69 / 172
夏休み後編
第67話 - 大浴場
しおりを挟む
「私は1人だけ4歳上で気まずいからパスで」
「私も恥ずかしいからパスで」
萌の全員での大浴場への入浴宣言に対して芽衣は拒否し、瑞希はそれに乗じて逃げようとする。
「瑞希は却下」
「志乃ちゃん!? 志乃ちゃんはこっち側じゃないの!?」
予想はしていたもののその発言者が志乃だったことに瑞希は驚く。
「こっち側って? あー、せっかくのお泊まり会だし大浴場まであるなら皆んなで入りたいよねって。あとは……瑞希の裸見たいよね」
志乃がイタズラっぽく笑い、瑞希は出発前以上に顔を真っ赤にして「スケベ」と呟く。
「みずちゃん、志乃ちゃんって結構中身おっさんだよー」
萌はそう言い、志乃に軽く叩かれる。結局、芽衣も萌のしつこい説得の末、6人全員で大浴場へ向かうことととなった。
「(私、皆んなで温泉って初めてなんだよなぁ……恥ずかしいなぁ……)」
瑞希は家族以外には上野菜々美としか入浴したことはなく、脱衣所で他5人の様子を伺っている。
「(皆んなが入ってから脱ごっかな……)」
そう考えていると既に衣服を脱いで浴室へと向かおうとする結衣に見られ、彼女は瑞希の考えを見抜いたのか騒ぎ始める。
「萌せんせー! 月島さんが皆んながお風呂に入るの待ってまーす!」
「何ですと!?」
萌も志乃も結衣の悪ふざけに乗り、瑞希を脱がせようとする。
「分かった、分かった! 脱ぎます! 自分で!」
瑞希は観念して脱ぎ始める。萌たちは「いえーい!」などと騒ぎながら大騒ぎしている。見かねた綾子は3人を先に行かせ、瑞希を待つ。
「みずちゃん、タオルで体隠すのはマナー悪いからね~」
去り際に萌はそう言って大浴場へと向かって行った。
「そうなの!?」
「いや、湯船につからなければ良いよ」
そう言って少し安心させる。
瑞希はタオルを身体に巻いて中に入るが志乃からは「旅番組のレポーターか」と突っ込まれ、泣く泣く巻いているタオルを取る。それでもタオルを真っ直ぐ垂らして胸から下半身までを覆う。
「最初は恥ずかしいよね」
綾子はそう言い、瑞希は「綾子ちゃん優しい」と言って彼女にぴったりくっ付いている。
「瑞希のおじいちゃんって近くに住んでるの?」
綾子は「肌スベスベ」と呟きながら瑞希の背中を洗う。
「んー、ここからだとそんなに近くないかなぁ。最低でも30分はかかると思う。第3地区なんだよね」
「糸島って言われてたとこだよね? あそこ珍しいお魚たくさんなんだよね」
隣で聞いていた結衣が口を挟む。
「そうそう。おじいちゃん1日中釣りしてたよ」
綾子が瑞希の背中の泡を流すと「ありがとう」と瑞希は告げ、交代する。
「さっきチラッとネットで検索したんだけど超能力者としても凄いって書いてたよ。どんなのか知ってるの?」
「んーん、私知らないんだよね。お母さんも含めて固有の超能力使ってるの見たことないかなー。ちなみにおばあちゃんとお父さんは非超能力者だよ」
瑞希が答えると「へー、意外」と既に湯船に浸かっている志乃が呟く。
「きっとお魚に関する超能力だよ!」
「でもそれなら釣りとかわざわざする?」
「うち、超能力に頼り過ぎないっていう考えも持ってたし、あと単純に釣りが好きって言ってたよ。海の側でのんびり出来て気持ちいいって」
結衣と萌の会話に対して瑞希が答える。
瑞希は綾子の背中を流した後に結衣と3人で既に湯船に浸かっている志乃、萌、芽衣と合流する。
「極楽、極楽~」
結衣の言葉に釣られるように瑞希も綾子も気持ち良さそうに湯船に浸かる。その時、結衣が思い出したかのように手を「パンッ」と叩き、赤いサイクスを放つ。
「丁度いいや、私の超能力見せてあげる!」
そう言うと結衣は水風呂へ移動し、潜水する。しばらく経っても浮上してこない為に心配になりお湯の中を覗くと結衣は余裕の表情で寝っ転がっている。
「私、水中の中で呼吸出来るんだ。あと水中内での身体能力が上がるの。他にもちょこっとあるけど明日海で見せたげる!」
ウィンクしながら話す。全員から歓声が上がる。
#####
6人は十二分に入浴を堪能した後に脱衣所へと向かい、身体を拭いている。各々下着を身に付けた後にパジャマに着替える。
すると綾子が5人に声をかける。
「皆んな、マッサージ室来て!」
全員がマッサージ室へ入ると綾子は瑞希に横になるように促し、両手に赤いサイクスが移動する。未だフローを修得しきっていないため (クラスマッチの際に瑞希に習っていたもののフローは2年生での学習範囲である)、少し時間を要した。
「今度は私の番だね!」
––––"女子の秘密の努力"
両手にサイクスを込めて対象者に触れることで対象者のサイクスに刺激を与えて流れを滑らかにし、また、血行促進を促して血流を改善する。
肌の状態を向上させ、そのままマッサージを行うことで肩こりや冷え性を改善する。また、負傷箇所の痛みを一次的に失くす事が出来る。
綾子はそのまま背中に触れ、マッサージを施す。
「んっ……」
瑞希は気持ち良さそうな声を上げ、そのまま身を任せる。
「めっちゃ気持ち良い……。このまま寝ちゃいそう……」
言葉通り瑞希は目を閉じる。「私も!」と他の4人もマッサージを要求する。その後順番に綾子のマッサージを受けてリラックスし、旅の疲れを取った。
「枕投げとかしたかったけどもう寝たい……」
萌はそう呟いた後にアンドロイドに指示して広間に布団を敷かせる。
「皆んなで一緒に寝よーよー」
5人は同意し、並べられた布団に身を包み、綾子の"女子の秘密の努力"の効果も手助けしてそのまま直ぐに眠りについた。
「私も恥ずかしいからパスで」
萌の全員での大浴場への入浴宣言に対して芽衣は拒否し、瑞希はそれに乗じて逃げようとする。
「瑞希は却下」
「志乃ちゃん!? 志乃ちゃんはこっち側じゃないの!?」
予想はしていたもののその発言者が志乃だったことに瑞希は驚く。
「こっち側って? あー、せっかくのお泊まり会だし大浴場まであるなら皆んなで入りたいよねって。あとは……瑞希の裸見たいよね」
志乃がイタズラっぽく笑い、瑞希は出発前以上に顔を真っ赤にして「スケベ」と呟く。
「みずちゃん、志乃ちゃんって結構中身おっさんだよー」
萌はそう言い、志乃に軽く叩かれる。結局、芽衣も萌のしつこい説得の末、6人全員で大浴場へ向かうことととなった。
「(私、皆んなで温泉って初めてなんだよなぁ……恥ずかしいなぁ……)」
瑞希は家族以外には上野菜々美としか入浴したことはなく、脱衣所で他5人の様子を伺っている。
「(皆んなが入ってから脱ごっかな……)」
そう考えていると既に衣服を脱いで浴室へと向かおうとする結衣に見られ、彼女は瑞希の考えを見抜いたのか騒ぎ始める。
「萌せんせー! 月島さんが皆んながお風呂に入るの待ってまーす!」
「何ですと!?」
萌も志乃も結衣の悪ふざけに乗り、瑞希を脱がせようとする。
「分かった、分かった! 脱ぎます! 自分で!」
瑞希は観念して脱ぎ始める。萌たちは「いえーい!」などと騒ぎながら大騒ぎしている。見かねた綾子は3人を先に行かせ、瑞希を待つ。
「みずちゃん、タオルで体隠すのはマナー悪いからね~」
去り際に萌はそう言って大浴場へと向かって行った。
「そうなの!?」
「いや、湯船につからなければ良いよ」
そう言って少し安心させる。
瑞希はタオルを身体に巻いて中に入るが志乃からは「旅番組のレポーターか」と突っ込まれ、泣く泣く巻いているタオルを取る。それでもタオルを真っ直ぐ垂らして胸から下半身までを覆う。
「最初は恥ずかしいよね」
綾子はそう言い、瑞希は「綾子ちゃん優しい」と言って彼女にぴったりくっ付いている。
「瑞希のおじいちゃんって近くに住んでるの?」
綾子は「肌スベスベ」と呟きながら瑞希の背中を洗う。
「んー、ここからだとそんなに近くないかなぁ。最低でも30分はかかると思う。第3地区なんだよね」
「糸島って言われてたとこだよね? あそこ珍しいお魚たくさんなんだよね」
隣で聞いていた結衣が口を挟む。
「そうそう。おじいちゃん1日中釣りしてたよ」
綾子が瑞希の背中の泡を流すと「ありがとう」と瑞希は告げ、交代する。
「さっきチラッとネットで検索したんだけど超能力者としても凄いって書いてたよ。どんなのか知ってるの?」
「んーん、私知らないんだよね。お母さんも含めて固有の超能力使ってるの見たことないかなー。ちなみにおばあちゃんとお父さんは非超能力者だよ」
瑞希が答えると「へー、意外」と既に湯船に浸かっている志乃が呟く。
「きっとお魚に関する超能力だよ!」
「でもそれなら釣りとかわざわざする?」
「うち、超能力に頼り過ぎないっていう考えも持ってたし、あと単純に釣りが好きって言ってたよ。海の側でのんびり出来て気持ちいいって」
結衣と萌の会話に対して瑞希が答える。
瑞希は綾子の背中を流した後に結衣と3人で既に湯船に浸かっている志乃、萌、芽衣と合流する。
「極楽、極楽~」
結衣の言葉に釣られるように瑞希も綾子も気持ち良さそうに湯船に浸かる。その時、結衣が思い出したかのように手を「パンッ」と叩き、赤いサイクスを放つ。
「丁度いいや、私の超能力見せてあげる!」
そう言うと結衣は水風呂へ移動し、潜水する。しばらく経っても浮上してこない為に心配になりお湯の中を覗くと結衣は余裕の表情で寝っ転がっている。
「私、水中の中で呼吸出来るんだ。あと水中内での身体能力が上がるの。他にもちょこっとあるけど明日海で見せたげる!」
ウィンクしながら話す。全員から歓声が上がる。
#####
6人は十二分に入浴を堪能した後に脱衣所へと向かい、身体を拭いている。各々下着を身に付けた後にパジャマに着替える。
すると綾子が5人に声をかける。
「皆んな、マッサージ室来て!」
全員がマッサージ室へ入ると綾子は瑞希に横になるように促し、両手に赤いサイクスが移動する。未だフローを修得しきっていないため (クラスマッチの際に瑞希に習っていたもののフローは2年生での学習範囲である)、少し時間を要した。
「今度は私の番だね!」
––––"女子の秘密の努力"
両手にサイクスを込めて対象者に触れることで対象者のサイクスに刺激を与えて流れを滑らかにし、また、血行促進を促して血流を改善する。
肌の状態を向上させ、そのままマッサージを行うことで肩こりや冷え性を改善する。また、負傷箇所の痛みを一次的に失くす事が出来る。
綾子はそのまま背中に触れ、マッサージを施す。
「んっ……」
瑞希は気持ち良さそうな声を上げ、そのまま身を任せる。
「めっちゃ気持ち良い……。このまま寝ちゃいそう……」
言葉通り瑞希は目を閉じる。「私も!」と他の4人もマッサージを要求する。その後順番に綾子のマッサージを受けてリラックスし、旅の疲れを取った。
「枕投げとかしたかったけどもう寝たい……」
萌はそう呟いた後にアンドロイドに指示して広間に布団を敷かせる。
「皆んなで一緒に寝よーよー」
5人は同意し、並べられた布団に身を包み、綾子の"女子の秘密の努力"の効果も手助けしてそのまま直ぐに眠りについた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる