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クラスマッチ編
第41話 - JOKER
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「あのマスクは……JOKERにJESTER!?」
映し出された映像を見て翔子の表情に焦りの色が見え始める。
"不協の十二音"の中でJOKERとJESTERの出現率は高い。2人はこれまで多くの被害者を生んでおり戦闘狂・殺人狂として認知されており個人としても危険度をSとして最も高く設定されている。
「あの2人にあの娘を殺す気はない。少なくとも育つまでは」
「どういうこと?」
翔子が尋ねる。
「あいつは将来性のある若者は殺さない。一流の使い手になってから死闘を繰り広げたい。それがJOKERの性格だ。あの男も生かされている」
瀧が体育館に入って来たのを見てMOONが言う。
「瀧さん……」
「(MOONの言っていることが正しいならば私はここで加勢することが出来ない。サイクスは使えるようだしあいつに攻撃することは可能だろうが奴がこの空間を支配する以上無意味だろう。そもそも私のサイクスでは致命傷を与えられない)」
翔子はその場に片足をついて座り、体育館の様子を見始めた。
MOONはその様子を見て鼻で「フン」っと軽く笑い、
「それで良い」
とだけ言い残して姿を消した。
#####
東京第三地区高等学校に瀧慎也、伊藤律太、土田仁、徳田花、霧島和人の5人が到着する。
「なっ! 何だ、この状況は!?」
校内の至る所で人が倒れている。
「これ全部樋口がやったって言うのか!?」
翔子は樋口のサイクスを見た瞬間に瀧に"樋口、第三地区高校"とメッセージを送っている。その後翔子の連絡は途絶えた。
これを踏まえた5人の考えはこうだ。
樋口の超能力を考えるとサイクスを多く喰える場所を探している。そして自分のことを邪険に扱う妹に対する恨みもあり、第三地区高等学校のクラスマッチに乗り込み生徒、教師、その他の超能力者のサイクスを奪い、混乱に乗じて妹への恨みを晴らしに来たと言う動機だ。
花がレンズを使って観察をする。
「瀧、倒れている人たち全員サイクスがあるわ」
言われて瀧もレンズで見る。
「あぁ。樋口の仕業じゃないのか?」
「それに……何だか皆んなに流れているサイクスは全部同じな様な……」
続いてレンズで見ている和人が言う。
「何だか皆んな気持ち良く眠っているみたいですね……」
「えぇ……そうね。別の超能力者の可能性? 樋口の仲間がいる? それに翔子さんが樋口相手にリングを発動しなきゃならないくらいに瑞希を危険な状況にして遅れをとるかしら?」
考えるほど謎が深まる。
「どちらにせよ発動したリングはここの体育館だろ? 向かうぞ」
#####
5人はJOKERとJESTERの2人と対峙する。
「JOKER……!」
瀧のサイクスが一気に力強くなる。
「土田、伊藤、和人、お前らは下がれ。奴らに手を出すな。死ぬだけだ。徳田、お前も無理しないで俺から離れるな。絶対にだ」
「ほーら、やっぱり来た。あのリングの超能力だろう?」
JOKERが5人の方を振り向いて笑う。
「瀧くん! 元気だったかい?」
JOKERは少し瀧を見た後に興奮気味に続ける。
「強くなったねぇ! 最後にあったのは3年前かい? 比較にならない程に強くなっている! 素晴らしい! そう思うだろう? JESTER」
JESTERはあまり興味無さそうに答える。
「誰だっけ? 私、女の子と子供が好きなのよねぇ」
JESTERは背中から瑞希の腹部に絡めている右手と胸に絡めている左手の力を少し強くし、両頬を交互に2回ずつ軽くキスした後に耳を甘噛みしながら囁く。
「可愛い女の子で才能があってまだ子どもってあなた最高よ♡」
瑞希は気持ち悪さと得体の知れなさからくる恐怖と妖艶な女が自身に施してくる仕草に恥ずかしさを感じて少し顔を赤らめて下を向く。
その様子を見ていた5人は一瞬の油断を後悔する。
「!?」
JOKERは先頭に立つ瀧と徳田を越えて後ろに下がっていた和人の目の前に突然現れる。
仮面を外したJOKERはその鋭く黄色がかった瞳で和人を見る。その間、和人は全く動けない。
徳田は銃を構え、瀧は赤く光る右手用の籠手、"血と汗の結晶"でサイクスを増幅させて殴りかかる。
その攻撃は直撃することなくJOKERは姿を消し、元の位置に戻っていた。
––––"弓道者" ・ "衝撃"!!
「!?」
JOKERは元の位置に戻った瞬間、サイクスの矢が自身に向かって飛んできたことに驚きつつそれを躱した。
和人はJOKERが眼前から消えた瞬間、レンズを発動しバネ状のサイクスを視認、跳ねた方向へと"衝撃"の矢を放ったのだ。
JOKERは驚きと興奮の入り混じった表情で和人を見つめる。
その隙を見逃さずに瀧がJOKERの左顔面に右ストレートを見舞い、勢いよく吹き飛ばす。
––––"弾性恋愛物語" !!
JOKERの右人差し指から先にフックが付いたバネ状のサイクスが延び、瀧の腹部辺りのサイクスに引っかかる。
バネが縮んで瀧も勢いよく引っ張られてそのままJOKERの拳が顔面にヒットし、JOKERと反対方向へ吹き飛ばされた。
JOKERは左肩を右手でポンポンと叩いた後に、口についた血を拭う。
「キミ、名前はなんて言うの?」
JOKERは和人に尋ねる。
「霧島和人」
和人は静かに答える。
「素晴らしいよ、キミ。瑞希ちゃんの他にもこんな逸材がいるだなんて。瀧くんとも再会出来たし今日は何て素晴らしい日なんだろうか」
JOKERは手を広げながらまるでミュージカル俳優かのように喋る。その話っぷりは彼の言葉に全て楽譜があり、そのメロディーに沿って話しているかのようにリズミカルで美しさすら感じてしまう。
「さてと、ボクはもう満足なんだけど……DOCはもう帰ってるねぇ。JESTERはどう?」
JESTERは瑞希の頰に自分の頰を擦り付けながら答える。
「私ももう良いわよ。瑞希ちゃんと別れないといけないのは悲しいけどね」
「ふざけんな、簡単に逃すかよ!」
瀧が立ち上がりながら大声で言う。
「まぁ立場上、そう言うよねぇ。んー、じゃあさ、こういうのはどうかなぁ?」
JOKERは気絶している樋口の首を左手で掴んで持ち上げる。そして右手に刀身がカーブしているナイフを持った。
––––全員が注目している様を見てうっすらと笑みを浮かべたJOKERはそのまま樋口の首を切断した。
映し出された映像を見て翔子の表情に焦りの色が見え始める。
"不協の十二音"の中でJOKERとJESTERの出現率は高い。2人はこれまで多くの被害者を生んでおり戦闘狂・殺人狂として認知されており個人としても危険度をSとして最も高く設定されている。
「あの2人にあの娘を殺す気はない。少なくとも育つまでは」
「どういうこと?」
翔子が尋ねる。
「あいつは将来性のある若者は殺さない。一流の使い手になってから死闘を繰り広げたい。それがJOKERの性格だ。あの男も生かされている」
瀧が体育館に入って来たのを見てMOONが言う。
「瀧さん……」
「(MOONの言っていることが正しいならば私はここで加勢することが出来ない。サイクスは使えるようだしあいつに攻撃することは可能だろうが奴がこの空間を支配する以上無意味だろう。そもそも私のサイクスでは致命傷を与えられない)」
翔子はその場に片足をついて座り、体育館の様子を見始めた。
MOONはその様子を見て鼻で「フン」っと軽く笑い、
「それで良い」
とだけ言い残して姿を消した。
#####
東京第三地区高等学校に瀧慎也、伊藤律太、土田仁、徳田花、霧島和人の5人が到着する。
「なっ! 何だ、この状況は!?」
校内の至る所で人が倒れている。
「これ全部樋口がやったって言うのか!?」
翔子は樋口のサイクスを見た瞬間に瀧に"樋口、第三地区高校"とメッセージを送っている。その後翔子の連絡は途絶えた。
これを踏まえた5人の考えはこうだ。
樋口の超能力を考えるとサイクスを多く喰える場所を探している。そして自分のことを邪険に扱う妹に対する恨みもあり、第三地区高等学校のクラスマッチに乗り込み生徒、教師、その他の超能力者のサイクスを奪い、混乱に乗じて妹への恨みを晴らしに来たと言う動機だ。
花がレンズを使って観察をする。
「瀧、倒れている人たち全員サイクスがあるわ」
言われて瀧もレンズで見る。
「あぁ。樋口の仕業じゃないのか?」
「それに……何だか皆んなに流れているサイクスは全部同じな様な……」
続いてレンズで見ている和人が言う。
「何だか皆んな気持ち良く眠っているみたいですね……」
「えぇ……そうね。別の超能力者の可能性? 樋口の仲間がいる? それに翔子さんが樋口相手にリングを発動しなきゃならないくらいに瑞希を危険な状況にして遅れをとるかしら?」
考えるほど謎が深まる。
「どちらにせよ発動したリングはここの体育館だろ? 向かうぞ」
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5人はJOKERとJESTERの2人と対峙する。
「JOKER……!」
瀧のサイクスが一気に力強くなる。
「土田、伊藤、和人、お前らは下がれ。奴らに手を出すな。死ぬだけだ。徳田、お前も無理しないで俺から離れるな。絶対にだ」
「ほーら、やっぱり来た。あのリングの超能力だろう?」
JOKERが5人の方を振り向いて笑う。
「瀧くん! 元気だったかい?」
JOKERは少し瀧を見た後に興奮気味に続ける。
「強くなったねぇ! 最後にあったのは3年前かい? 比較にならない程に強くなっている! 素晴らしい! そう思うだろう? JESTER」
JESTERはあまり興味無さそうに答える。
「誰だっけ? 私、女の子と子供が好きなのよねぇ」
JESTERは背中から瑞希の腹部に絡めている右手と胸に絡めている左手の力を少し強くし、両頬を交互に2回ずつ軽くキスした後に耳を甘噛みしながら囁く。
「可愛い女の子で才能があってまだ子どもってあなた最高よ♡」
瑞希は気持ち悪さと得体の知れなさからくる恐怖と妖艶な女が自身に施してくる仕草に恥ずかしさを感じて少し顔を赤らめて下を向く。
その様子を見ていた5人は一瞬の油断を後悔する。
「!?」
JOKERは先頭に立つ瀧と徳田を越えて後ろに下がっていた和人の目の前に突然現れる。
仮面を外したJOKERはその鋭く黄色がかった瞳で和人を見る。その間、和人は全く動けない。
徳田は銃を構え、瀧は赤く光る右手用の籠手、"血と汗の結晶"でサイクスを増幅させて殴りかかる。
その攻撃は直撃することなくJOKERは姿を消し、元の位置に戻っていた。
––––"弓道者" ・ "衝撃"!!
「!?」
JOKERは元の位置に戻った瞬間、サイクスの矢が自身に向かって飛んできたことに驚きつつそれを躱した。
和人はJOKERが眼前から消えた瞬間、レンズを発動しバネ状のサイクスを視認、跳ねた方向へと"衝撃"の矢を放ったのだ。
JOKERは驚きと興奮の入り混じった表情で和人を見つめる。
その隙を見逃さずに瀧がJOKERの左顔面に右ストレートを見舞い、勢いよく吹き飛ばす。
––––"弾性恋愛物語" !!
JOKERの右人差し指から先にフックが付いたバネ状のサイクスが延び、瀧の腹部辺りのサイクスに引っかかる。
バネが縮んで瀧も勢いよく引っ張られてそのままJOKERの拳が顔面にヒットし、JOKERと反対方向へ吹き飛ばされた。
JOKERは左肩を右手でポンポンと叩いた後に、口についた血を拭う。
「キミ、名前はなんて言うの?」
JOKERは和人に尋ねる。
「霧島和人」
和人は静かに答える。
「素晴らしいよ、キミ。瑞希ちゃんの他にもこんな逸材がいるだなんて。瀧くんとも再会出来たし今日は何て素晴らしい日なんだろうか」
JOKERは手を広げながらまるでミュージカル俳優かのように喋る。その話っぷりは彼の言葉に全て楽譜があり、そのメロディーに沿って話しているかのようにリズミカルで美しさすら感じてしまう。
「さてと、ボクはもう満足なんだけど……DOCはもう帰ってるねぇ。JESTERはどう?」
JESTERは瑞希の頰に自分の頰を擦り付けながら答える。
「私ももう良いわよ。瑞希ちゃんと別れないといけないのは悲しいけどね」
「ふざけんな、簡単に逃すかよ!」
瀧が立ち上がりながら大声で言う。
「まぁ立場上、そう言うよねぇ。んー、じゃあさ、こういうのはどうかなぁ?」
JOKERは気絶している樋口の首を左手で掴んで持ち上げる。そして右手に刀身がカーブしているナイフを持った。
––––全員が注目している様を見てうっすらと笑みを浮かべたJOKERはそのまま樋口の首を切断した。
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