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クラスマッチ編
第27話 - サイクスを使ったスポーツ
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「日曜日も学校来なきゃなんて瑞希も大変だねぇ」
翌日から3日間行われるクラスマッチに向けて各クラスの生徒たちは日曜日にも登校し、練習を行なっている。
東京第三地区高等学校はクラスマッチのチーム編成として基本的に非超能力者と超能力者で分けて行われる。(サイクスを一切使わないというルールの下、超能力者が非超能力者のチームに参加することもある)
また、超能力者競技においては競技によって若干ルールが異なるがボールにサイクスを込めての強化は反則とされない。しかし、敵選手に直接影響を与える超能力を使うことは許されずこれは反則行為の対象となり、発覚時点で不戦敗となる。
競技は8人制男子サッカー (最低8名)、女子バレーボール (最低6名)、男女混合ドッジボール (最低男子3名、女子3名)、男子バスケットボール (最低5名)、女子バスケットボール (最低5名)となる。
瑞希の1年1組は上野菜々美が逮捕となったことで合計人数は41名となり、そのうち超能力者は19名 (男子11名、女子8名)となり、全競技に参加することがクラス全体として決まった為、複数競技に参加する生徒が必然的に存在する。
瑞希は花からの指示もあり、女子バレーボール、男女混合ドッジボール、女子バスケットボールと全ての競技に参加する。
「サイクスの配分を考えながらスポーツするの楽しいよ。特にピボちゃん出してるとサイクス少ないからフローが大事になるからね」
瑞希は女子バスケットボールの練習に戻る。特別教育機関にいた頃にバスケットボールの経験がある瑞希はチームの中心として動く。
クラスマッチという特性上、どの競技も明確にポジションを分けているわけではないがPGとしてゲームメイクを担う。
普通の生徒でもサイクスを込めてボールスピードなどを変えることは可能である。しかし、フローの概念を知らないために配分のバランスが悪くパスが通らなかったり、シュートがコントロール出来ないことが殆どである。
フローの概念を理解し、またその見極めに自信のある瑞希は1つ1つのプレーにサイクスの配分を考慮しながらプレーをする。
「(足裏に1割にも満たないサイクスを込めて身体のバランスを安定、状況に合わせて膝と肘にサイクスを込めてシュートやパスの瞬間のバネの強さを強化。そしてまた状況に応じてボールに込めるサイクスを調整してボールスピードに変化を加えるっと)」
「瑞希、ナイスパス!」
綾子が瑞希からパスを受けるとそのままレイアップでゴールする。
「月島さん、人によってパスの強さとか調整してくれるからすっごいやり易い!」
バスケ部に所属する大木 志乃が興奮しながら瑞希に駆け寄る。
瑞希は少し照れながら「任せて」と答える。
瑞希以外の生徒は正確に自分のサイクスを把握していないためサイクスを込めると毎回安定しない。更に試合という緊張感の中だとサイクスを多く込め過ぎたり逆に少な過ぎたりしてしまう。それが理由でサイクスを使わない生徒もいる。
瑞希は経験あるポジションということもあるがパスにおいても繊細に調整可能な為にPGを任された。
「バスケ部の志乃ちゃんと経験ある月島さん、スポーツ経験豊富な綾子ちゃんが中心になってもらって経験ないうちと萌は3人にパスが繋がるようにすることが大事だね!」
長野 結衣はそう言い、豊島《とよしま》 萌もそれを聞いて大きく頷く。
「皆んな私が上手く状況見ながらどんどんパス回すから積極的にいこ!」
瑞希がチームメイトを鼓舞し、その日の練習は終了となった。
#####
綾子と瑞希は一緒に下校する。
「瑞希、出る競技多いんだから無理しないでね」
「大丈夫だよ」
「でも気分悪くなったり怪我したりしたらちゃんと言うんだよ」
「うん、ありがとね。綾子ちゃんもバスケとドッジボール出るんだし気を付けてね」
「うん! 明日頑張ろうね!」
「また明日ね!」
瑞希は綾子と別れた後、アウター・サイクスをインナー・サイクスに切り替えた。
「切り替えも更にスムーズになったね」
ピボットが瑞希に声をかける。
「うん。2種類のサイクスの感覚を掴んでからやり易くなったかな。インナー・サイクスは何かしながらっていうのはまだまだ難しいけどね」
「成長著しくてボクは嬉しいよ」
ピボットは顔を手で覆って泣くフリをする。
「ピボちゃんからは何も教えてもらってないけどねー!」
そう言って瑞希は歩を速めて自宅へと向かった。
#####
「(だんだんとコイツの性能が分かってきたぜ……)」
第3地区8番街第2セクターの裏路地に座り込む男、樋口兼がいた。
「(とにかくコイツは常にサイクスを欲している。ある基準値を下回り始めると俺にまで空腹がきやがる。喰ったサイクスを消化する前まではそのサイクスを俺に回して俺自身の攻撃力や防御力の強化に役立ってくれるらしい)」
大食漢はそれ自身に意思があり、超能力者を見つけると自動的に喰らいに行く。食べる量は様々だが自分に対して敵意のある者に対しては多くのサイクスを喰おうとする。
「(何だかよく分かんねぇけど勝手に見えなくなることあるしな……ただ1番の問題は常にサイクスを喰う場所、つまり超能力者が多くいる所に行かなきゃなんねーことにある。つまりはこの間の奴らみたいなサツの連中に見つかるリスクが高まるってことだ)」
「とにかく目立たないようにサイクスが多く得られる所に行かねーと……」
樋口はそう呟くと立ち上がり、また闇の中へと消えて行った。
翌日から3日間行われるクラスマッチに向けて各クラスの生徒たちは日曜日にも登校し、練習を行なっている。
東京第三地区高等学校はクラスマッチのチーム編成として基本的に非超能力者と超能力者で分けて行われる。(サイクスを一切使わないというルールの下、超能力者が非超能力者のチームに参加することもある)
また、超能力者競技においては競技によって若干ルールが異なるがボールにサイクスを込めての強化は反則とされない。しかし、敵選手に直接影響を与える超能力を使うことは許されずこれは反則行為の対象となり、発覚時点で不戦敗となる。
競技は8人制男子サッカー (最低8名)、女子バレーボール (最低6名)、男女混合ドッジボール (最低男子3名、女子3名)、男子バスケットボール (最低5名)、女子バスケットボール (最低5名)となる。
瑞希の1年1組は上野菜々美が逮捕となったことで合計人数は41名となり、そのうち超能力者は19名 (男子11名、女子8名)となり、全競技に参加することがクラス全体として決まった為、複数競技に参加する生徒が必然的に存在する。
瑞希は花からの指示もあり、女子バレーボール、男女混合ドッジボール、女子バスケットボールと全ての競技に参加する。
「サイクスの配分を考えながらスポーツするの楽しいよ。特にピボちゃん出してるとサイクス少ないからフローが大事になるからね」
瑞希は女子バスケットボールの練習に戻る。特別教育機関にいた頃にバスケットボールの経験がある瑞希はチームの中心として動く。
クラスマッチという特性上、どの競技も明確にポジションを分けているわけではないがPGとしてゲームメイクを担う。
普通の生徒でもサイクスを込めてボールスピードなどを変えることは可能である。しかし、フローの概念を知らないために配分のバランスが悪くパスが通らなかったり、シュートがコントロール出来ないことが殆どである。
フローの概念を理解し、またその見極めに自信のある瑞希は1つ1つのプレーにサイクスの配分を考慮しながらプレーをする。
「(足裏に1割にも満たないサイクスを込めて身体のバランスを安定、状況に合わせて膝と肘にサイクスを込めてシュートやパスの瞬間のバネの強さを強化。そしてまた状況に応じてボールに込めるサイクスを調整してボールスピードに変化を加えるっと)」
「瑞希、ナイスパス!」
綾子が瑞希からパスを受けるとそのままレイアップでゴールする。
「月島さん、人によってパスの強さとか調整してくれるからすっごいやり易い!」
バスケ部に所属する大木 志乃が興奮しながら瑞希に駆け寄る。
瑞希は少し照れながら「任せて」と答える。
瑞希以外の生徒は正確に自分のサイクスを把握していないためサイクスを込めると毎回安定しない。更に試合という緊張感の中だとサイクスを多く込め過ぎたり逆に少な過ぎたりしてしまう。それが理由でサイクスを使わない生徒もいる。
瑞希は経験あるポジションということもあるがパスにおいても繊細に調整可能な為にPGを任された。
「バスケ部の志乃ちゃんと経験ある月島さん、スポーツ経験豊富な綾子ちゃんが中心になってもらって経験ないうちと萌は3人にパスが繋がるようにすることが大事だね!」
長野 結衣はそう言い、豊島《とよしま》 萌もそれを聞いて大きく頷く。
「皆んな私が上手く状況見ながらどんどんパス回すから積極的にいこ!」
瑞希がチームメイトを鼓舞し、その日の練習は終了となった。
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綾子と瑞希は一緒に下校する。
「瑞希、出る競技多いんだから無理しないでね」
「大丈夫だよ」
「でも気分悪くなったり怪我したりしたらちゃんと言うんだよ」
「うん、ありがとね。綾子ちゃんもバスケとドッジボール出るんだし気を付けてね」
「うん! 明日頑張ろうね!」
「また明日ね!」
瑞希は綾子と別れた後、アウター・サイクスをインナー・サイクスに切り替えた。
「切り替えも更にスムーズになったね」
ピボットが瑞希に声をかける。
「うん。2種類のサイクスの感覚を掴んでからやり易くなったかな。インナー・サイクスは何かしながらっていうのはまだまだ難しいけどね」
「成長著しくてボクは嬉しいよ」
ピボットは顔を手で覆って泣くフリをする。
「ピボちゃんからは何も教えてもらってないけどねー!」
そう言って瑞希は歩を速めて自宅へと向かった。
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「(だんだんとコイツの性能が分かってきたぜ……)」
第3地区8番街第2セクターの裏路地に座り込む男、樋口兼がいた。
「(とにかくコイツは常にサイクスを欲している。ある基準値を下回り始めると俺にまで空腹がきやがる。喰ったサイクスを消化する前まではそのサイクスを俺に回して俺自身の攻撃力や防御力の強化に役立ってくれるらしい)」
大食漢はそれ自身に意思があり、超能力者を見つけると自動的に喰らいに行く。食べる量は様々だが自分に対して敵意のある者に対しては多くのサイクスを喰おうとする。
「(何だかよく分かんねぇけど勝手に見えなくなることあるしな……ただ1番の問題は常にサイクスを喰う場所、つまり超能力者が多くいる所に行かなきゃなんねーことにある。つまりはこの間の奴らみたいなサツの連中に見つかるリスクが高まるってことだ)」
「とにかく目立たないようにサイクスが多く得られる所に行かねーと……」
樋口はそう呟くと立ち上がり、また闇の中へと消えて行った。
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