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「まったく、どうなるかと思ったよ」
「わたしたちの気持ち、分かってくれたんでしょうか?」
「どうかな。動物だってそう簡単じゃないからね。だけど、こっちが戦う気満々だったらこうはならなかっただろう」
「そうですね……」
「それにしても、モンスターがこんな挙動をするなんてね。プレイヤーを襲うようにプログラミングされているはずなんだから」
もちろん、こちらが強かったわけではない。かなりの苦戦は免れなかったはずだ。シーズァは、ラルと目を合わせた。
「バグが広がっているのかもな。生態系に影響するように」
ノラにも見つめられ、ラルはなんだかこそばゆくなった。よく分からないながら、こん棒を右肩に、ふんっ、と意気込む。行こう、サンクチュアリはもうすぐだ、と歩き出し、ランタンがすぐさま行く手を照らす。暗闇の向こうを警戒し、なるべく気配を消し、足音を立てないようにして、浮かび上がる幹を避けていく。それでも何度かエンカウントし、そのたびにどうにか追い払って、小一時間くらいだろうか、ようやく枝葉の覆いがまだらになったところでラルは目を見開いた。巨人族の城塞のような山影、その上空で輝きが揺らめいている。
サンクチュアリ――
シーズァ、ノラも仰ぎ、しばし見入った。ついにここまで来た。後は頂まで登るだけだ。小休止で水分補給をし、ラルが先頭で樹間を縫って、緩やかな斜面を上がっていく。天上は白銀の満月よりも明るく、ランタンもいらないくらいだった。
「このくらいならハイキングだけど、だんだんときつくなるぞ」
シーズァが、隣のノラに話しかける。
「けっこう標高がありそうだな。ぼく、登山なんて初めてだよ。――ラル、飛ばすとバテちゃうぞ」
ずんずん進む背中に忠告し、先ほどの小休止でのアドバイスを繰り返す。いたずらに急がず、小股でゆっくり歩きながら体を慣らし、ペースを作っていく――シーズァがネットから得た知識だ。はやる気持ちは皆同じである。しかし、最後の難関ともなれば、強力なモンスターが待ち構えているかもしれない。どこまでリアルに忠実かは不明だが、もしかすると高山病だってあり得る。いずれにせよ、何があるか分からないのだから、調子を崩したりけがをしたりは避けたい。
邪魔な灌木を避け、うねうねとした根をまたいで、幻想的に照らされる木々の間を行くうち、脇や背中がじっとりとして、足は少しずつ鉛に変わっていくようだった。警戒にもかかわらず、モンスターにはまったく出くわすことがなく、山は不気味なほど静かだった。先頭のラルは目を光らせ、耳をそばだて、鼻をひくつかせつつ、いつでもこん棒を振るえるようにした。
何度か小休止を経るうち、傾斜は頭をもたげて、薄霧をまとうようになった。半ば手探りでしばらく行く、とかすんだ林が途切れて、ごつごつとした石だらけの、黒い山肌があらわになった。シーズァが拾ってみた石は、よく見ると溶岩石で、拒絶する手触りをしている。
追っ手は――
シーズァは振り返った。薄霧の林が城壁さながらにあり、天上の光に照らされた麓の深緑が一望できる。耳を澄ましてみたが、これといったものは聞こえない。
あの隠し階段は、見つからなかったのか……――
視線を戻し、ラル、ノラの疲れた背中を追う。斜面は一段と急になって、足を滑らせたらどこまでも落ちていきそうだ。きらめく山頂はすぐそこのようだが、見えるのと手が届くのとは違う。まだまだ歩かなければいけない。もしかすると、ここまでと同じくらい――
どすっ、と冷たいものが鋼の胸当てを貫き、肩甲骨の間に食い込んで、そり返りながらシーズァはうめいた。そのまま膝から崩れ、黒土の上にばったりと倒れ込む。振り返ったふたりにも衝撃があって、それぞれよろめき、膝、手をついた。ラルは左胸、ノラは右脇腹にスローイングナイフが刺さっていた。
「急所を狙ったんですけど、ちょっと距離がありましたね」
数十メートル後ろに退廃的な美しさの人形が、数本のスローイングナイフを手に立っていた。タッジノだった。その傍らに浮かんだ空中ディスプレイでは、ジョーカーがソファでくつろいでいた。
「――あっ、ぶないっ!」
ノラがクレードを唱える。土の盾にはじかれ、数本のスローイングナイフが落ちた。すぐさまノラはシーズァに駆け寄って、ごめんなさい、と背中から刃を引き抜いた。
「今、治しますっ!」
手からの光で傷が塞がって、胸当ての破損も元通りになる。すぐにシーズァは立ち上がって、放たれた水流がペドレの映像ごとタッジノを飛びのかせた。その間にノラはラルにヒーリをかけ、それから刃を引き抜き、自分の傷を治した。
ぐるうっ、とうなって、ラルがこん棒を構えると、タッジノは両手を上げて怖がり、画面越しにペドレがせせら笑う。
「ボクたちが一番ですね」
軽やかにタッジノが踏み出す。両手に双剣がなかったなら、散策の足取りにしか見えない。
「石椅子の下の隠し階段、あそこから何人も来ていますよ。もっとも、潰し合っているから、こうやって出し抜かれるんですけどね」
『それでは、視聴者の皆さん』
ペドレが、ぱん、と手を叩き合わせる。
『これからミーたちプレゼンツのショーをご覧に入れます。こういうバグの始末は滅多に見られませんよ』
タッジノが地を蹴る。かまいたちさながらの刃が土の盾に防がれ、ぶんっ、とうなるこん棒をひらりとかわす姿を、ペドレ側のカメラドローンがライブ配信する。天上の輝きに照らし出されるそれは、この世に現れた魔性の舞踏を思わせた。
「あっちへ行けっ!――」
ウォロー――いくつもの水の矢でタッジノが飛びのく。そして、シーズァがラル、ノラに叫ぶ。
「先に行くんだ! 早くっ!」
ふたりはこん棒を構え、土塊のこぶしを固めて、けん制しながら斜面を上がった。それにシーズァが遅れて続く。目的はサンクチュアリ到達であって、追っ手を倒すことではない。だが――
「逃がしませんよっ!――」
悪魔の人形が飛び出し、押し流そうとするウォダーをかわす。ひらめく左右の刃が、シーズァの右前腕、左前腕から鮮血をほとばしらせた。骨に達するほどの、深い防御創――加勢しようとするふたりを制し、早く行け、とシーズァは気合いさながらに発した。
「だけど、シーズァさん……」
と、ノラがためらう。
「後から行くよ。せっかくここまで成長したアバターをダメにするもんか」
「……分かりました。――行こう、ラル」
タッジノをにらみ、ラルは斜面を上がった。三人掛かりでも、おそらくかなわないだろう。となれば、逃げるしかないのだ。ウォローでタッジノの足を止め、シーズァは癒やし水で傷を治す。そしてまた、ウォダーが飛びかかっていく。しかしながらタッジノは捉えがたく、深手を負っては癒やし水を繰り返すうち、とうとうストックがなくなってしまった。
「どうしました?」
溶けかけのバターのごとく、タッジノが微笑する。
「癒やし水を使わないのですか?」
「くっ……」
後ずさったシーズァが、がくっ、とよろめく。うっかり溶岩石を踏んで、バランスを崩してしまったのだ。疾風のごとく突っ込むタッジノは、シーズァの道具袋から飛び出したカプセルに意表を突かれた。
「何だっ?」
テニスボール大の球体から、爆発するように巨体が現れて――怪獣の尻尾さながらの鼻がタッジノを吹っ飛ばす。空中で柔らかに態勢を立て直し、どうにか着地して、サファイア色の瞳はいくらか赤みを帯びた。
「そうでしたね。そのキメラのことを忘れていました」
「グレイス!」
ノラが叫ぶ。シーズァも驚いていた。道具袋、カプセルから勝手に飛び出してくる、そんなことは考えられなかった。ど、ど、どっ、とグレイスが突進し、そり返った牙でタッジノを狙う。
「不正改造のくせにっ!」
ひらっ、とかわしざま、左右の刃が切り裂き、ばあっ、と血が吹き出たが、分厚い皮膚では深手にはならず、巨体に似合わぬ俊敏さにタッジノは危うく踏み潰されそうになった。黒土の上を転がって、双剣と跳ね起きたところ、グレイスをかばうようにしてノラ、シーズァ、そしてラルがこん棒を構えていた。
『ほらほら』
画面の中で、ぱんぱん、とペドレが両手を叩く。
『そんな連中にいつまでかかっているんだ。タッジノ、ユーはSRランクのドールだろう』
「分かっていますよ、ペドレ様。――」
ずいっ、と黒革ショートブーツが踏み込んだとき、ごおっ、と突風が吹きつけ、上空から猛火が襲いかかってきた。たちまち火だるまになったタッジノがもがくも、火炎放射は牙を食い込ませ、あごでがっちり捕らえたように焼き続け、悲鳴さえも黒焦げになっていく。度肝を抜かれたラルたちは、コウモリに似た翼を大きく広げ、口から炎を吐く怪竜――ワイバーンの巨大な影を上空に認めた。その背から、浮かれた蛮声が降ってくる。
「わたしたちの気持ち、分かってくれたんでしょうか?」
「どうかな。動物だってそう簡単じゃないからね。だけど、こっちが戦う気満々だったらこうはならなかっただろう」
「そうですね……」
「それにしても、モンスターがこんな挙動をするなんてね。プレイヤーを襲うようにプログラミングされているはずなんだから」
もちろん、こちらが強かったわけではない。かなりの苦戦は免れなかったはずだ。シーズァは、ラルと目を合わせた。
「バグが広がっているのかもな。生態系に影響するように」
ノラにも見つめられ、ラルはなんだかこそばゆくなった。よく分からないながら、こん棒を右肩に、ふんっ、と意気込む。行こう、サンクチュアリはもうすぐだ、と歩き出し、ランタンがすぐさま行く手を照らす。暗闇の向こうを警戒し、なるべく気配を消し、足音を立てないようにして、浮かび上がる幹を避けていく。それでも何度かエンカウントし、そのたびにどうにか追い払って、小一時間くらいだろうか、ようやく枝葉の覆いがまだらになったところでラルは目を見開いた。巨人族の城塞のような山影、その上空で輝きが揺らめいている。
サンクチュアリ――
シーズァ、ノラも仰ぎ、しばし見入った。ついにここまで来た。後は頂まで登るだけだ。小休止で水分補給をし、ラルが先頭で樹間を縫って、緩やかな斜面を上がっていく。天上は白銀の満月よりも明るく、ランタンもいらないくらいだった。
「このくらいならハイキングだけど、だんだんときつくなるぞ」
シーズァが、隣のノラに話しかける。
「けっこう標高がありそうだな。ぼく、登山なんて初めてだよ。――ラル、飛ばすとバテちゃうぞ」
ずんずん進む背中に忠告し、先ほどの小休止でのアドバイスを繰り返す。いたずらに急がず、小股でゆっくり歩きながら体を慣らし、ペースを作っていく――シーズァがネットから得た知識だ。はやる気持ちは皆同じである。しかし、最後の難関ともなれば、強力なモンスターが待ち構えているかもしれない。どこまでリアルに忠実かは不明だが、もしかすると高山病だってあり得る。いずれにせよ、何があるか分からないのだから、調子を崩したりけがをしたりは避けたい。
邪魔な灌木を避け、うねうねとした根をまたいで、幻想的に照らされる木々の間を行くうち、脇や背中がじっとりとして、足は少しずつ鉛に変わっていくようだった。警戒にもかかわらず、モンスターにはまったく出くわすことがなく、山は不気味なほど静かだった。先頭のラルは目を光らせ、耳をそばだて、鼻をひくつかせつつ、いつでもこん棒を振るえるようにした。
何度か小休止を経るうち、傾斜は頭をもたげて、薄霧をまとうようになった。半ば手探りでしばらく行く、とかすんだ林が途切れて、ごつごつとした石だらけの、黒い山肌があらわになった。シーズァが拾ってみた石は、よく見ると溶岩石で、拒絶する手触りをしている。
追っ手は――
シーズァは振り返った。薄霧の林が城壁さながらにあり、天上の光に照らされた麓の深緑が一望できる。耳を澄ましてみたが、これといったものは聞こえない。
あの隠し階段は、見つからなかったのか……――
視線を戻し、ラル、ノラの疲れた背中を追う。斜面は一段と急になって、足を滑らせたらどこまでも落ちていきそうだ。きらめく山頂はすぐそこのようだが、見えるのと手が届くのとは違う。まだまだ歩かなければいけない。もしかすると、ここまでと同じくらい――
どすっ、と冷たいものが鋼の胸当てを貫き、肩甲骨の間に食い込んで、そり返りながらシーズァはうめいた。そのまま膝から崩れ、黒土の上にばったりと倒れ込む。振り返ったふたりにも衝撃があって、それぞれよろめき、膝、手をついた。ラルは左胸、ノラは右脇腹にスローイングナイフが刺さっていた。
「急所を狙ったんですけど、ちょっと距離がありましたね」
数十メートル後ろに退廃的な美しさの人形が、数本のスローイングナイフを手に立っていた。タッジノだった。その傍らに浮かんだ空中ディスプレイでは、ジョーカーがソファでくつろいでいた。
「――あっ、ぶないっ!」
ノラがクレードを唱える。土の盾にはじかれ、数本のスローイングナイフが落ちた。すぐさまノラはシーズァに駆け寄って、ごめんなさい、と背中から刃を引き抜いた。
「今、治しますっ!」
手からの光で傷が塞がって、胸当ての破損も元通りになる。すぐにシーズァは立ち上がって、放たれた水流がペドレの映像ごとタッジノを飛びのかせた。その間にノラはラルにヒーリをかけ、それから刃を引き抜き、自分の傷を治した。
ぐるうっ、とうなって、ラルがこん棒を構えると、タッジノは両手を上げて怖がり、画面越しにペドレがせせら笑う。
「ボクたちが一番ですね」
軽やかにタッジノが踏み出す。両手に双剣がなかったなら、散策の足取りにしか見えない。
「石椅子の下の隠し階段、あそこから何人も来ていますよ。もっとも、潰し合っているから、こうやって出し抜かれるんですけどね」
『それでは、視聴者の皆さん』
ペドレが、ぱん、と手を叩き合わせる。
『これからミーたちプレゼンツのショーをご覧に入れます。こういうバグの始末は滅多に見られませんよ』
タッジノが地を蹴る。かまいたちさながらの刃が土の盾に防がれ、ぶんっ、とうなるこん棒をひらりとかわす姿を、ペドレ側のカメラドローンがライブ配信する。天上の輝きに照らし出されるそれは、この世に現れた魔性の舞踏を思わせた。
「あっちへ行けっ!――」
ウォロー――いくつもの水の矢でタッジノが飛びのく。そして、シーズァがラル、ノラに叫ぶ。
「先に行くんだ! 早くっ!」
ふたりはこん棒を構え、土塊のこぶしを固めて、けん制しながら斜面を上がった。それにシーズァが遅れて続く。目的はサンクチュアリ到達であって、追っ手を倒すことではない。だが――
「逃がしませんよっ!――」
悪魔の人形が飛び出し、押し流そうとするウォダーをかわす。ひらめく左右の刃が、シーズァの右前腕、左前腕から鮮血をほとばしらせた。骨に達するほどの、深い防御創――加勢しようとするふたりを制し、早く行け、とシーズァは気合いさながらに発した。
「だけど、シーズァさん……」
と、ノラがためらう。
「後から行くよ。せっかくここまで成長したアバターをダメにするもんか」
「……分かりました。――行こう、ラル」
タッジノをにらみ、ラルは斜面を上がった。三人掛かりでも、おそらくかなわないだろう。となれば、逃げるしかないのだ。ウォローでタッジノの足を止め、シーズァは癒やし水で傷を治す。そしてまた、ウォダーが飛びかかっていく。しかしながらタッジノは捉えがたく、深手を負っては癒やし水を繰り返すうち、とうとうストックがなくなってしまった。
「どうしました?」
溶けかけのバターのごとく、タッジノが微笑する。
「癒やし水を使わないのですか?」
「くっ……」
後ずさったシーズァが、がくっ、とよろめく。うっかり溶岩石を踏んで、バランスを崩してしまったのだ。疾風のごとく突っ込むタッジノは、シーズァの道具袋から飛び出したカプセルに意表を突かれた。
「何だっ?」
テニスボール大の球体から、爆発するように巨体が現れて――怪獣の尻尾さながらの鼻がタッジノを吹っ飛ばす。空中で柔らかに態勢を立て直し、どうにか着地して、サファイア色の瞳はいくらか赤みを帯びた。
「そうでしたね。そのキメラのことを忘れていました」
「グレイス!」
ノラが叫ぶ。シーズァも驚いていた。道具袋、カプセルから勝手に飛び出してくる、そんなことは考えられなかった。ど、ど、どっ、とグレイスが突進し、そり返った牙でタッジノを狙う。
「不正改造のくせにっ!」
ひらっ、とかわしざま、左右の刃が切り裂き、ばあっ、と血が吹き出たが、分厚い皮膚では深手にはならず、巨体に似合わぬ俊敏さにタッジノは危うく踏み潰されそうになった。黒土の上を転がって、双剣と跳ね起きたところ、グレイスをかばうようにしてノラ、シーズァ、そしてラルがこん棒を構えていた。
『ほらほら』
画面の中で、ぱんぱん、とペドレが両手を叩く。
『そんな連中にいつまでかかっているんだ。タッジノ、ユーはSRランクのドールだろう』
「分かっていますよ、ペドレ様。――」
ずいっ、と黒革ショートブーツが踏み込んだとき、ごおっ、と突風が吹きつけ、上空から猛火が襲いかかってきた。たちまち火だるまになったタッジノがもがくも、火炎放射は牙を食い込ませ、あごでがっちり捕らえたように焼き続け、悲鳴さえも黒焦げになっていく。度肝を抜かれたラルたちは、コウモリに似た翼を大きく広げ、口から炎を吐く怪竜――ワイバーンの巨大な影を上空に認めた。その背から、浮かれた蛮声が降ってくる。
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