手作りの楽園で

冰彗

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二話

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 次の日の五月五日、世間一般的には子どもの日である今日、俺は実家である五百扇家に向かっていた。

 気が重い上に足取りも重くなってきた。

 自宅のマンションから実家までバスと電車を使って一時間とちょっと。

 電車を駅のホームで待っている間、家族連れがよく視界に入る。

 ──あの子がいたら、幾つになっていたんだろうか。

 無意味なことを考えてしまうのは俺の悪い癖。

 頭を左右に振り、ホームに入ってきた電車に乗り込みぼーっとしながら外の風景を見る。

 家を出て十分は経っているからあと二十分は電車に揺られなくてはならない。実家からの呼び出しがなければ家でハンドメイドをしていたのに。

 思わず深い溜息が出てしまう。こうして実家へ向かっている間でさえ憂鬱だ。

 実家の最寄駅に近付くにつれて外の風景がちょっとした都会から田舎へと変わっていく。

 最寄駅に着くと三十分はバスに揺られないといけない。

 バスに乗って揺られ着いたのは大きな日本家屋。表札には『五百扇』と書かれている。

 来たくない実家に着いてしまった。

 またしても深い溜息が出しながらも俺は五百扇家の敷地内へと入った。
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