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一章
四話
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両親が仕事に向かってしまい一時間が経った。三夜と千夜は見知らぬ人々に戸惑っているのかソファに座って庇い合うように抱きついていた。
キッチンでその様子を見ていた家事担当の詠と詩は三夜たちに見つからないよう物陰にしゃがみこんでコソコソと内緒話をしていた。
「夕飯どうする?三夜たちの好きなものにする?」
「そうするのが良いんだろうけど、どうやって聞くのさ」
「普通に聞けばいいじゃん」
「そうなんだけどさぁ……」
詠と詩、この双子は人見知りではないのだが一時間前に会ったばかりの弟と妹にどう接していいのか分からずにいた。弟はたくさんいるので三夜に接するのはまだ良いのだが妹は今までいた事がないのでどう接すれば良いのか分からない。
三夜も三夜で弟たちにはいないタイプのようなのでどう接していいのかも分からない。前途多難というやつである。
双子がそんな会話をしている事など分からない千夜は新しい家にやってきてソワソワしていた。千夜自身、人見知りでもなんでもないが大きい人ばかりなので多少驚いたところはある。だが人見知りがある三夜とは違い、千夜は人と接するのは好きな方だ。
「にぃに、おにーちゃんたちとおはなちしてきてもいい?」
千夜は三夜に問い掛けてみる事にした。すると三夜は少し悩んだような表情を浮かべるも可愛い妹の頼みならと思い「いいよ」と了承した。
了承を貰った千夜はふにゃっと微笑みを浮かべると双子のいるキッチンに入っていった。
千夜がキッチンに入ってきた事に気付いた詠は千夜の方を見て目線を合わせる為にしゃがみこんだ。
「千夜、どうしたの?」
「たんけん!」
「そっか、探検してるのか」
元気よく言った千夜を見て詠はクスッと微笑みをこぼし、詩はケラケラと楽しそうに笑っていた。
「あ、そうだ」
詩は何かを思い出したような表情を浮かべると千夜に近付きしゃがんだ。
「千夜、好きな食べ物ある?夜ご飯に作ろうと思うんだけど」
「すきなたべもの~?」
詩の問い掛けを聞き千夜はきょとんとした表情を浮かべて首を傾げていた。
少し悩んだ様子をしていた千夜だったが何かを思い付いたような表情を浮かべた。
「あれすき!えとね、ホットケーキ!」
「千夜は甘いのが好きなんだね。それはデザートに作ろうかな。三夜が好きな食べ物って何か分かる?」
「にぃにのすきなの?ハンバーグ!」
三夜の好きな食べ物を千夜から聞いた詩と詠はクスクスと笑みをこぼした。好きな食べ物が琥珀とほたると同じだったからだ。
「よし、じゃあ夜ご飯はハンバーグ。デザートにホットケーキにしよっか」
詠は千夜と目線を合わせてしゃがむとそう言った。すると千夜はとても嬉しそうな笑みを浮かべ。
「うんっ!」
と可愛らしく返事をした。
キッチンでその様子を見ていた家事担当の詠と詩は三夜たちに見つからないよう物陰にしゃがみこんでコソコソと内緒話をしていた。
「夕飯どうする?三夜たちの好きなものにする?」
「そうするのが良いんだろうけど、どうやって聞くのさ」
「普通に聞けばいいじゃん」
「そうなんだけどさぁ……」
詠と詩、この双子は人見知りではないのだが一時間前に会ったばかりの弟と妹にどう接していいのか分からずにいた。弟はたくさんいるので三夜に接するのはまだ良いのだが妹は今までいた事がないのでどう接すれば良いのか分からない。
三夜も三夜で弟たちにはいないタイプのようなのでどう接していいのかも分からない。前途多難というやつである。
双子がそんな会話をしている事など分からない千夜は新しい家にやってきてソワソワしていた。千夜自身、人見知りでもなんでもないが大きい人ばかりなので多少驚いたところはある。だが人見知りがある三夜とは違い、千夜は人と接するのは好きな方だ。
「にぃに、おにーちゃんたちとおはなちしてきてもいい?」
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「たんけん!」
「そっか、探検してるのか」
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「あ、そうだ」
詩は何かを思い出したような表情を浮かべると千夜に近付きしゃがんだ。
「千夜、好きな食べ物ある?夜ご飯に作ろうと思うんだけど」
「すきなたべもの~?」
詩の問い掛けを聞き千夜はきょとんとした表情を浮かべて首を傾げていた。
少し悩んだ様子をしていた千夜だったが何かを思い付いたような表情を浮かべた。
「あれすき!えとね、ホットケーキ!」
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「にぃにのすきなの?ハンバーグ!」
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「よし、じゃあ夜ご飯はハンバーグ。デザートにホットケーキにしよっか」
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「うんっ!」
と可愛らしく返事をした。
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