君を救うから

冰彗

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プロローグ

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 小学一年生の夏、幼馴染の男の子が亡くなった。誘拐殺人事件だった。

 最後に一緒にいたのは僕、天羽あもう芭琉はるだけ。

 男の子の名前は南本みなもと雪人ゆきと。雪人の両親は聞いてきた。

『誰か怪しい人はいなかった?』

 雪人のお兄さんは言った。

『お前がちゃんと一緒にいたなら雪人は誘拐されて、殺されたりしなかったんだ! お前が、雪人を殺したんだ!』

 雪人のお兄さんの言葉を聞いた僕は目を見開いた。

 僕が、ちゃんと一緒に帰っていれば雪人は死んだりしなかった……?

 怒り狂う雪人のお兄さんを雪人の両親が必死に宥めている様子を見ている中、僕の頭の中は『ごめんなさい』でいっぱいだった。

 ―――ごめんなさい。僕がちゃんと一緒に帰っていればこんなことにはならなかったんだ。雪人のお兄さんや両親が泣くことも、雪人が冷たい遺体で帰ってくることもなかった。

「ごめん、なさい」

 誰に謝っているのか分からない。けれど、謝らずにはいられなかった。

「っ、謝ったって雪人は帰ってこないんだ! お前が、死ねば良かったんだ!」

 お兄さんは未だ怒った様子でそう言い放った。おおよそ七歳の子どもに言う言葉ではない言葉を。

 犯人は見つかっていない。雪人の遺体は校区内にある河原で発見されたらしい。

「うちの子だけが悪いんですか!? 確かに芭琉が一緒だったなら防げたかもしれませんが、まだ七歳の子にそんなことを言うだなんて!」

「そいつが悪いんだ!」

「葵、いい加減に……」

「母さんたちが黙ってろよ!」

「芭琉、あっちへ行こう」

 お母さんが僕の前に庇うように立ち、葵お兄さんに言っているとお父さんに抱っこされ、僕は別室へ連れて行かれた。

 そこまでが覚えている記憶だ。
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