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七話
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先輩に横抱きにされたまま家の中に入ると寝室のベッドに寝かせていたはずの希緒が玄関先で壁に寄り掛かったまま座っていた。
俺は先輩に下ろしてもらい、壁に寄り掛かって座っている希緒を抱き締める。
「ごめん、きおごめん……辛いのにいっぱいまたせてごめん」
希緒の額と俺の額を合わせると希緒の熱が高くなっているような気がした。
たくさん待たせてごめん。風邪ひいているのにアイスも買ってきてやれなくてごめん。お兄ちゃんがオメガでごめん。
心の中で何度も何度も謝罪した。きっと、希緒は帰ってくるのが遅れた理由を話せば俺に対してではなく、襲ってきた男子高校生たちに対して怒りを持つだろう。そして、俺が襲われたのはアイスを食べたいなんて我儘を言った自分だと己を責めるだろう。
そんな事ないのに、優しい子だから自分を責める。
「真琴君、希緒君を寝室に運びましょう? このままでは酷くなるだけです」
後ろに立っていた先輩はそう言うと俺と希緒を一緒に抱き上げ、寝室に運んでくれた。
「ありがとう、ございま、す」
寝室に運ばれている間、先輩に感謝の言葉を述べると先輩はにこっと微笑みを浮かべていた。
あれ、そういえば、と高校生たちが言っていた言葉を思い出す。俺、いま軽い方だけど発情期みたいになってるんだよな? ならフェロモン出てるんじゃ……。
「先輩、おれ、フェロモンが出て」
「ちょっと黙ってて下さい」
先輩は低い声色でそう言った。まるで怒気を孕んだような声色。俺は思わず希緒を強く抱き締めた。
怖がっている俺に気付いたのか先輩は申し訳なさそうな表情をして俺を寝室のベッドに寝かせた。
「フェロモン良い匂いなので……犯したくなるので気を逸らしていたんです」
あ、そうだったんですか、と納得したような気がした。
確かアルファはオメガのフェロモンを嗅ぐと理性を保てないのではなかっただろうか。なのに、だ。先輩は理性をギリギリ保っている。
そんな事を考えていると抱き締めていた希緒が小さく唸りながら俺の上着を強く握りしめた。
「希緒君は、真琴君の事が好きなんですね」
唐突に先輩はそう言い出した。
「どうしたんですか」
「なんとなくそう思っただけです」
先輩は顔を逸らしてそう言うと「お邪魔しました」と言って寝室から出て行ってしまった。
俺は先輩に下ろしてもらい、壁に寄り掛かって座っている希緒を抱き締める。
「ごめん、きおごめん……辛いのにいっぱいまたせてごめん」
希緒の額と俺の額を合わせると希緒の熱が高くなっているような気がした。
たくさん待たせてごめん。風邪ひいているのにアイスも買ってきてやれなくてごめん。お兄ちゃんがオメガでごめん。
心の中で何度も何度も謝罪した。きっと、希緒は帰ってくるのが遅れた理由を話せば俺に対してではなく、襲ってきた男子高校生たちに対して怒りを持つだろう。そして、俺が襲われたのはアイスを食べたいなんて我儘を言った自分だと己を責めるだろう。
そんな事ないのに、優しい子だから自分を責める。
「真琴君、希緒君を寝室に運びましょう? このままでは酷くなるだけです」
後ろに立っていた先輩はそう言うと俺と希緒を一緒に抱き上げ、寝室に運んでくれた。
「ありがとう、ございま、す」
寝室に運ばれている間、先輩に感謝の言葉を述べると先輩はにこっと微笑みを浮かべていた。
あれ、そういえば、と高校生たちが言っていた言葉を思い出す。俺、いま軽い方だけど発情期みたいになってるんだよな? ならフェロモン出てるんじゃ……。
「先輩、おれ、フェロモンが出て」
「ちょっと黙ってて下さい」
先輩は低い声色でそう言った。まるで怒気を孕んだような声色。俺は思わず希緒を強く抱き締めた。
怖がっている俺に気付いたのか先輩は申し訳なさそうな表情をして俺を寝室のベッドに寝かせた。
「フェロモン良い匂いなので……犯したくなるので気を逸らしていたんです」
あ、そうだったんですか、と納得したような気がした。
確かアルファはオメガのフェロモンを嗅ぐと理性を保てないのではなかっただろうか。なのに、だ。先輩は理性をギリギリ保っている。
そんな事を考えていると抱き締めていた希緒が小さく唸りながら俺の上着を強く握りしめた。
「希緒君は、真琴君の事が好きなんですね」
唐突に先輩はそう言い出した。
「どうしたんですか」
「なんとなくそう思っただけです」
先輩は顔を逸らしてそう言うと「お邪魔しました」と言って寝室から出て行ってしまった。
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