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三章 ――白色の王子と透明な少女――
②<王子2> 『黒いローブの男』
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③【エストア】
「牢獄か……私に、相応しいわね」
狭い牢獄の中、カビで満たされた壁を眺めながらエストアは独りごちる。
奇妙な人生ばかりだと思いを馳せる。
エストアは『森のノカ』に生まれ、育った。階段と枝で作られた空中通路ばかりの不便な町だったけれど、少女時代のエストアにとっては良い遊び場だった。
そこで、友達もできた。後に腐れ縁になるレオンだ。
性格が真逆なのにも関わらず、レオンとは妙に気があった。
どこに行くにも一緒に行動し、お互いの家に泊まり合う仲になっていた。
そして当然のように、二人は恋人になっていた。
二人が十四歳の頃だった。
レオンが突如、王都に向かうと言い出した。森の中だけで育ち、見る物全てが森の中だけ。その生活から抜け出したい。そんな思いを夜通し聞かされた。
共についていく。エストアはそう決意し、共に王都へと向かった。
新しい世界。新しい環境に晒される二人だったが、二人は希望に溢れていた。
けれども世界は、二人に微笑まなかった。
定職の定まらないレオンを支えるため、エストアは夜の世界へと足を踏み入れた。
言葉にできない経験を沢山してきた。
全ては二人のため、そう言い訳しながら、自分を売ってきた。
それなのに、レオンはエストアの行ったことを知り、離れてしまった。
エストアは王都でただ一人になってしまった。
目的を見失い、抜け殻として生きていたエストアに新たな風が吹く。
客の一人、『教会』高位の人間が仕事を紹介すると言ってきたのだ。
幼い頃から森で生きてきたエストアは、人よりも優れた運動神経を持っていた。そこに目を付けた男からの提案だった。
その言葉に乗り、エストアは訓練を受けることとなった。
それこそ、異端審問官《インクィジター》戦闘員への道だった。
そしてそこで、レオンと再び出会った。
過去を水に流し、お互いに友情を取り戻した二人は異端審問官《インクィジター》戦闘員としての頭角を現し始める。
二人は寄りを戻し、別れての繰り返しを行いながら、戦いを繰り広げていた。
こんな人生も悪くない。そう思い始めたエストアに、再び転機が訪れる。
それこそが、エストアの妊娠だった。
父親は、エストア直属の上長だった。
上長と交渉を重ね、レオンと話し合いを続け、エストアは一人、『森のノカ』へと戻された。
上長の口利きで、本来『教会』へと返却するべき魔導具も持たされた。
生活が落ち着くまではと、良い宿も用意してくれた。
そして、古い『教会』施設の管理という役割を与えられ、子を産んだ。
親子二人、つつましく幸せな生活だった。
子供が一人で歩けるようになった頃、レオンが戻ってきた。
けれど、エストアはもう、過去の自分ほどレオンに特別な感情は持っていなかった。
彼女の全ては、自分の子供に向けられていた。
こんな生活も悪くない。
彼女が現れるまでは、そう思っていた。
「ごめんなさい……レオン」
レオンと一緒にいる間は、幸せだった。
レオンと幸せになれる未来は、確かにあった。
それを壊したのは、自分自身だ。
牢獄の外から話し声が聞こえてくる。
男達が歩いてくる。
罪を、償う時が来た。
覚悟を決めたエストアが見つめる中、牢獄の扉が開かれた。
白銀の髪を持つ男、第三王子ロキが中に入ってくる。
エストアの視線を受けながら、ロキが口を開いた。
「エストア。……お前をここから出す。そして、頼みがある」
④【ロキ】
『灰色の樹幹』は、その性質上、地下にかなりの数の牢獄がある。
その中には格子状に鉄柵が組まれた牢獄も含まれ、その中の一つに魔族は収容されていた。
黒いローブの男は小動物に姿を変える事ができるからだ。
エストアと別れた俺は、別の牢獄へと向かい、かび臭い匂いに眉を潜めながら中に入る。
その男は居た。
両手を鎖に繋がれ、黒いローブを纏《まと》った身体を土の壁に預け、両手両足を投げ出して座り込んでいる。
フードの隙間から、大きな長い鼻が見え隠れしていて人間とは別の存在であることを主張していた。
身体全体が薄く、半透明になっていて背後の土壁が透けて見えるほどだ。
もし幽霊がみえるのならばこのように見えるのかもしれないな。
「……やっと出会えたな。『黒いローブの男』」
「そういう君は誰なのかな?」
その姿とは裏腹に妙に高めの声だった。
「ルスラン王国第五王子、ロキだ。『教会』に依頼され、お前の魔法を止めに来た」
「それはそれは……あいつらの仲間か。あの五人には申し訳ないことをしたけれど、そろそろ目覚める頃だと思うよ。死なない程度に弱まったら解除するように調整した」
「……殺すつもりはなかったと?」
「僕は、人間に期待しているんだ。そんなこと、するはずがない」
あの五人は毒殺され、既に死んでいる。余計なことをしなければ目覚めていたというわけか……皮肉なものだな。
「お前の目的はなんだ? なぜ、この町に現れた」
「……メア種のメフィスだ。見ての通り、僕は魔族さ」
「そんなことはとうに分かっている。質問の答えになっていない」
「気が早いなぁ……僕は魔族だけど、人間の味方だ。この町に居る人間に害をなす存在、人の文明を滅ぼそうとする魔族を止めにきた」
「……信じられないな。お前がそんなことをする目的はなんだ?」
不意に、男の身体が動いた。フードを被りうつむいているため表情は分からない。……笑っているのか?
「……僕の目的は魔族を滅ぼすことだ。僕だけだと、その目的は達成できない。けれど、人間達は違う。人には可能性が無限大にある。人間達には魔族を滅ぼす力がある。だから、僕は……」
「魔族が何故、魔族に敵対する?」
「質問が多いなぁ……僕に答える義務なんてないんだよ」
「お前が言うことが本当ならば……お前をここに捕らえる意味はなくなる。その信頼を得るためだと諦めろ」
「……魔族の心は一つの“意識”に支配されている。それは呪いのようなものだ。僕は愛する存在を失ってから、その“意識”を毛嫌いするようになった。……そんなところかな。どちらにせよ、人間には理解できる感情じゃないよ」
説明を聞いてもまるで理解ができないが、嘘は付いていないようにも思える。
コイツは恋人を失って投げやりになってしまっているということなのだろうか。
「……まあいい。お前の目的は分かった。……次はお前の能力だ」
「『夢魔法』は見たとおりの魔法だ。頭に手をかざせば、どんな存在だって眠らせることができる」
「捕らえられた時は小動物の姿だったようだな。まさかそれで人間に化けているつもりなのか?」
人間大の大きさではあるが、ローブから伸びる手は毛並みに覆われ明らかに人間の手からはかけはなれている。フードの隙間から見える顔もそうだ。
「まさか。今のこの姿が僕の本来の姿なのさ。自分で魔法を使うには、この姿が丁度良いんだ。……なんなら、今すぐ悪夢を見せてあげようか?」
「そんなもの、この世界だけで十分だ」
「違いないね。……どちらにせよ、後二回ってところかな。他人を眠らせることができるのは。魔力切れでこんなに薄くなってしまった」
「……どうりで透明感のある肌だと思った。自分の命を削って魔法を使っているのか?」
「この身体自体が、魔法なんだ。本体は別に居る。この身体は魔力が回復しないから、使えば使うほど僕の身体はこの世から消えていく。別に死ぬ訳じゃないから消えても構わないのだけど……」
「だけど――?」
急に歯切れが悪くなった男に尋ねる。
「この身体は、本体と記憶が別になっているんだ。本体に戻れず消えてしまうと、今ここに居る僕の記憶は綺麗さっぱりなくなってしまう。それが――辛い」
「ここで得た、ヤツの情報が消えてしまうことがか?」
「それもそうだけど……違う。楽しい思い出が消えてしまう。それが――辛い」
「人間の世界で、楽しい思い出なんてあったのか?」
「そりゃあるよ。……仲間とのね。短い間だったけど、とても、楽しかった」
仲間か。確かに人間の味方だというならば、魔族であったとしても手助けする奴がいるのかもしれない。
「そういえば、もう一人、人間が捕まっていると聞いたな。それが仲間か?」
「恐らくね。助けられるなら、助けたいと思っている。……言っても無駄だろうけれど、僕らを捕まえるのは筋違いだよ。この町を無茶苦茶にした悪い奴は別にいる」
そんなことはとうに分かっている。問題はこの魔族が信用できるかどうかだ……。
信憑性のある話だし、嘘は付いていないように思える。
後は――
「……後二回程度、夢を見せられると言ったな。その『夢』というものは、どんなものでも見せられるのか?」
「ある程度はね。相手の記憶を引っ張ってこないといけないから、あまり突拍子のないことは難しいかもしれないよ」
「例えば、忘れてしまった『過去の記憶』とかはどうだ?」
「見せられる。忘れてしまっていても、脳は記憶しているから、それを引っ張り出せばいい」
なるほどな。かなり融通の効く、便利な魔法のようだ。
それができるのならば……残る問題は一つだな。
コイツの言葉を信じるかどうかだ。
『今夜だけでいい……私を信じてもらいたい。愛してるって言ってもらいたい』
シルワの発した言葉が蘇る。
……そうだな、シルワ。信じなくては、始まらないことだってある。
「いいだろう。魔族、取引だ。……お前の力を借りたい」
借りられるならば、魔族だろうがなんだろうが、力を借りてやる。
それがシルワの仇討ちに繋がるのならばな。
「牢獄か……私に、相応しいわね」
狭い牢獄の中、カビで満たされた壁を眺めながらエストアは独りごちる。
奇妙な人生ばかりだと思いを馳せる。
エストアは『森のノカ』に生まれ、育った。階段と枝で作られた空中通路ばかりの不便な町だったけれど、少女時代のエストアにとっては良い遊び場だった。
そこで、友達もできた。後に腐れ縁になるレオンだ。
性格が真逆なのにも関わらず、レオンとは妙に気があった。
どこに行くにも一緒に行動し、お互いの家に泊まり合う仲になっていた。
そして当然のように、二人は恋人になっていた。
二人が十四歳の頃だった。
レオンが突如、王都に向かうと言い出した。森の中だけで育ち、見る物全てが森の中だけ。その生活から抜け出したい。そんな思いを夜通し聞かされた。
共についていく。エストアはそう決意し、共に王都へと向かった。
新しい世界。新しい環境に晒される二人だったが、二人は希望に溢れていた。
けれども世界は、二人に微笑まなかった。
定職の定まらないレオンを支えるため、エストアは夜の世界へと足を踏み入れた。
言葉にできない経験を沢山してきた。
全ては二人のため、そう言い訳しながら、自分を売ってきた。
それなのに、レオンはエストアの行ったことを知り、離れてしまった。
エストアは王都でただ一人になってしまった。
目的を見失い、抜け殻として生きていたエストアに新たな風が吹く。
客の一人、『教会』高位の人間が仕事を紹介すると言ってきたのだ。
幼い頃から森で生きてきたエストアは、人よりも優れた運動神経を持っていた。そこに目を付けた男からの提案だった。
その言葉に乗り、エストアは訓練を受けることとなった。
それこそ、異端審問官《インクィジター》戦闘員への道だった。
そしてそこで、レオンと再び出会った。
過去を水に流し、お互いに友情を取り戻した二人は異端審問官《インクィジター》戦闘員としての頭角を現し始める。
二人は寄りを戻し、別れての繰り返しを行いながら、戦いを繰り広げていた。
こんな人生も悪くない。そう思い始めたエストアに、再び転機が訪れる。
それこそが、エストアの妊娠だった。
父親は、エストア直属の上長だった。
上長と交渉を重ね、レオンと話し合いを続け、エストアは一人、『森のノカ』へと戻された。
上長の口利きで、本来『教会』へと返却するべき魔導具も持たされた。
生活が落ち着くまではと、良い宿も用意してくれた。
そして、古い『教会』施設の管理という役割を与えられ、子を産んだ。
親子二人、つつましく幸せな生活だった。
子供が一人で歩けるようになった頃、レオンが戻ってきた。
けれど、エストアはもう、過去の自分ほどレオンに特別な感情は持っていなかった。
彼女の全ては、自分の子供に向けられていた。
こんな生活も悪くない。
彼女が現れるまでは、そう思っていた。
「ごめんなさい……レオン」
レオンと一緒にいる間は、幸せだった。
レオンと幸せになれる未来は、確かにあった。
それを壊したのは、自分自身だ。
牢獄の外から話し声が聞こえてくる。
男達が歩いてくる。
罪を、償う時が来た。
覚悟を決めたエストアが見つめる中、牢獄の扉が開かれた。
白銀の髪を持つ男、第三王子ロキが中に入ってくる。
エストアの視線を受けながら、ロキが口を開いた。
「エストア。……お前をここから出す。そして、頼みがある」
④【ロキ】
『灰色の樹幹』は、その性質上、地下にかなりの数の牢獄がある。
その中には格子状に鉄柵が組まれた牢獄も含まれ、その中の一つに魔族は収容されていた。
黒いローブの男は小動物に姿を変える事ができるからだ。
エストアと別れた俺は、別の牢獄へと向かい、かび臭い匂いに眉を潜めながら中に入る。
その男は居た。
両手を鎖に繋がれ、黒いローブを纏《まと》った身体を土の壁に預け、両手両足を投げ出して座り込んでいる。
フードの隙間から、大きな長い鼻が見え隠れしていて人間とは別の存在であることを主張していた。
身体全体が薄く、半透明になっていて背後の土壁が透けて見えるほどだ。
もし幽霊がみえるのならばこのように見えるのかもしれないな。
「……やっと出会えたな。『黒いローブの男』」
「そういう君は誰なのかな?」
その姿とは裏腹に妙に高めの声だった。
「ルスラン王国第五王子、ロキだ。『教会』に依頼され、お前の魔法を止めに来た」
「それはそれは……あいつらの仲間か。あの五人には申し訳ないことをしたけれど、そろそろ目覚める頃だと思うよ。死なない程度に弱まったら解除するように調整した」
「……殺すつもりはなかったと?」
「僕は、人間に期待しているんだ。そんなこと、するはずがない」
あの五人は毒殺され、既に死んでいる。余計なことをしなければ目覚めていたというわけか……皮肉なものだな。
「お前の目的はなんだ? なぜ、この町に現れた」
「……メア種のメフィスだ。見ての通り、僕は魔族さ」
「そんなことはとうに分かっている。質問の答えになっていない」
「気が早いなぁ……僕は魔族だけど、人間の味方だ。この町に居る人間に害をなす存在、人の文明を滅ぼそうとする魔族を止めにきた」
「……信じられないな。お前がそんなことをする目的はなんだ?」
不意に、男の身体が動いた。フードを被りうつむいているため表情は分からない。……笑っているのか?
「……僕の目的は魔族を滅ぼすことだ。僕だけだと、その目的は達成できない。けれど、人間達は違う。人には可能性が無限大にある。人間達には魔族を滅ぼす力がある。だから、僕は……」
「魔族が何故、魔族に敵対する?」
「質問が多いなぁ……僕に答える義務なんてないんだよ」
「お前が言うことが本当ならば……お前をここに捕らえる意味はなくなる。その信頼を得るためだと諦めろ」
「……魔族の心は一つの“意識”に支配されている。それは呪いのようなものだ。僕は愛する存在を失ってから、その“意識”を毛嫌いするようになった。……そんなところかな。どちらにせよ、人間には理解できる感情じゃないよ」
説明を聞いてもまるで理解ができないが、嘘は付いていないようにも思える。
コイツは恋人を失って投げやりになってしまっているということなのだろうか。
「……まあいい。お前の目的は分かった。……次はお前の能力だ」
「『夢魔法』は見たとおりの魔法だ。頭に手をかざせば、どんな存在だって眠らせることができる」
「捕らえられた時は小動物の姿だったようだな。まさかそれで人間に化けているつもりなのか?」
人間大の大きさではあるが、ローブから伸びる手は毛並みに覆われ明らかに人間の手からはかけはなれている。フードの隙間から見える顔もそうだ。
「まさか。今のこの姿が僕の本来の姿なのさ。自分で魔法を使うには、この姿が丁度良いんだ。……なんなら、今すぐ悪夢を見せてあげようか?」
「そんなもの、この世界だけで十分だ」
「違いないね。……どちらにせよ、後二回ってところかな。他人を眠らせることができるのは。魔力切れでこんなに薄くなってしまった」
「……どうりで透明感のある肌だと思った。自分の命を削って魔法を使っているのか?」
「この身体自体が、魔法なんだ。本体は別に居る。この身体は魔力が回復しないから、使えば使うほど僕の身体はこの世から消えていく。別に死ぬ訳じゃないから消えても構わないのだけど……」
「だけど――?」
急に歯切れが悪くなった男に尋ねる。
「この身体は、本体と記憶が別になっているんだ。本体に戻れず消えてしまうと、今ここに居る僕の記憶は綺麗さっぱりなくなってしまう。それが――辛い」
「ここで得た、ヤツの情報が消えてしまうことがか?」
「それもそうだけど……違う。楽しい思い出が消えてしまう。それが――辛い」
「人間の世界で、楽しい思い出なんてあったのか?」
「そりゃあるよ。……仲間とのね。短い間だったけど、とても、楽しかった」
仲間か。確かに人間の味方だというならば、魔族であったとしても手助けする奴がいるのかもしれない。
「そういえば、もう一人、人間が捕まっていると聞いたな。それが仲間か?」
「恐らくね。助けられるなら、助けたいと思っている。……言っても無駄だろうけれど、僕らを捕まえるのは筋違いだよ。この町を無茶苦茶にした悪い奴は別にいる」
そんなことはとうに分かっている。問題はこの魔族が信用できるかどうかだ……。
信憑性のある話だし、嘘は付いていないように思える。
後は――
「……後二回程度、夢を見せられると言ったな。その『夢』というものは、どんなものでも見せられるのか?」
「ある程度はね。相手の記憶を引っ張ってこないといけないから、あまり突拍子のないことは難しいかもしれないよ」
「例えば、忘れてしまった『過去の記憶』とかはどうだ?」
「見せられる。忘れてしまっていても、脳は記憶しているから、それを引っ張り出せばいい」
なるほどな。かなり融通の効く、便利な魔法のようだ。
それができるのならば……残る問題は一つだな。
コイツの言葉を信じるかどうかだ。
『今夜だけでいい……私を信じてもらいたい。愛してるって言ってもらいたい』
シルワの発した言葉が蘇る。
……そうだな、シルワ。信じなくては、始まらないことだってある。
「いいだろう。魔族、取引だ。……お前の力を借りたい」
借りられるならば、魔族だろうがなんだろうが、力を借りてやる。
それがシルワの仇討ちに繋がるのならばな。
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