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皇宮での邂逅
エピソードⅣ オリヴィエ兄さまは葛藤中Ⅵ
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僕とエレオノーレ様は、あっけにとられて去っていく叔父と彼女を見つめた。
叔父のことだ。
何か理由はあるんだろうけど。
突然転移しないだけマシなんだろうけど。
気づけば周りの注目を浴びていた。
貴族はこういう揉め事が大好きだから、周囲の人々は何気ない風を装いつつもチラチラ見てくる。
まずい。
この場合は、エスコート中の女性を叔父に奪われた僕より、普段エレオノーレ様一筋の叔父が女性を連れて行ったことで、エレオノーレ様の方が好奇の目で見られてしまう。
それに。これだけの美女で地位もある方だ。夫婦の不和と思われて、この隙に近寄る男がいたら、後から叔父が面倒だ。
仕方ない。親族として、ここは僕が場を持たせなければ。
周囲にサッと視線を巡らせながらここまで考え、覚悟を決めて振り返る。
「困りましたね。すぐ戻るでしょうが、それまで暫く僕のお相手を願えるでしょうか・・・」
面子を潰されて怒ってるかな、、、現役の騎士団長の怒り、怖いな、、、。
内心びくびくした僕の、視線の先のエレオノーレ様は。
何とも切ない表情で、叔父の去った方を見つめていた。
僕はサッと蒼ざめた。
この表情は不味い。置いて行かれた衝撃からか少し蒼ざめ、潤んだ瞳は頼りなげで、少しかみしめた口元は寂しさを堪えているようで、、、凛々しい立ち姿とのギャップが何とも庇護欲をそそる。
僕が声をかけただけで舌打ちをした叔父だ。こんな表情を見られたと知ったら、、、。
周りの男どもの反応を見るのも恐ろしく、僕は取り敢えずエレオノーレ様を目立たない場所へ連れて行くことにした。
「少しあちらで座りませんか?」
視線を塞ぐように立ち、やや強引に手を差し伸べると。
エレオノーレ様はハッとして僕を見つめ、周囲をチラッと確認した。注目されていることに気づいたらしい。
そして。
今度は恥ずかしそうに頬を染めた。
周りから息をのむ音が聞こえ、僕は冷や汗をかく。
不味いから。ほんと不味いから。その容姿で未婚の小娘みたいなうぶな反応しないで!エレオノーレ様!
だが、僕の焦りも、周りの男の視線も全く気付かない様子で。
「や、済まない。甥っ子にみっともないところを見られてしまったね。」
取り敢えず、向こうに行こうか。でもエスコートは遠慮しておくよ。ありがとう。
そう言ってエレオノーレ様は僕に、行こう、と微笑みかけた。
痛いほどの視線を受けて、二人、友人のように連れ立って歩く。
所在無げな僕の腕をチラッと見て、まだ少し顔色の悪いエレオノーレ様は気遣うように笑った。
「ごめんね。君のエスコートに不満なんて無いんだ。でも、私に異性が触れるのを、アルは極端に嫌うから。」
こんな男女をどうこうしようなんて物好きな男、居る訳ないのにな。
エレオノーレ様は自嘲気味に呟くが、、、これは、そんなことありませんって、若い男性の僕に言って欲しいのか?
「何を仰います。閣下程の美女、機会があれば知り合いになりたい者が沢山おりますでしょう?」
取り敢えず無難に答えると、エレオノーレ様は、閣下はいいよ、叔母でもエレオノーレでも好きな方で呼んで、と言ってから、うん、と頷いた。
「そう、私に近付くものは、辺境伯に用があるものばかりなんだ。私個人に興味があるとは思えないんだけど。」
何でアルはあんなに嫌がるのか、昔から疑問だよ。
小首をかしげるのも、可愛い。
僕も思わず首をひねった。
おかしいな?この人、何でこんなに女としての自己評価が低いんだろう?今だって周りの男の半数は、この人の姿を気のある風に見つめてるのに。
何で気づかないんだ、、、もしや。
僕は不図思った疑問を口にした。
「叔母上、若しかして、小さい頃から叔父上と知り合いでしたか?」
「うん。婚約は大学部に入るころだったけど、知り合ったのは学園に入学する前だから。」
でも、その頃は大した知り合いでは無かったけれどね?
エレオノーレ様はさらっと言うけれど、、、。
僕は何となく正解にたどり着いた気がした。
これは、多分叔父が何かやって、思春期前から、この人の周りから男を排除したな。
なんてえげつない、、、。僕があきれ返っていると。
目の前を通り過ぎる人を避けようとしたエレオノーレ様の影が不自然に揺れた。
あ、と思わず手を差し伸べるが、彼女は手を振って避けた、、、そのまま少しよろめいて、向こうから足早にやってきた人にぶつかってしまう。
「あ、申し訳・・・」
慌てるエレオノーレ様を、その人はグッと抱き留めた。
「大丈夫だよ、エレオノーレ。遅くなって済まない、、、オリヴィエもご苦労。取り敢えず、うちに行こうか。」
「父上・・・!」
そこには、コンラート公爵家当主で叔父の長兄である、僕の父上がいた。
叔父のことだ。
何か理由はあるんだろうけど。
突然転移しないだけマシなんだろうけど。
気づけば周りの注目を浴びていた。
貴族はこういう揉め事が大好きだから、周囲の人々は何気ない風を装いつつもチラチラ見てくる。
まずい。
この場合は、エスコート中の女性を叔父に奪われた僕より、普段エレオノーレ様一筋の叔父が女性を連れて行ったことで、エレオノーレ様の方が好奇の目で見られてしまう。
それに。これだけの美女で地位もある方だ。夫婦の不和と思われて、この隙に近寄る男がいたら、後から叔父が面倒だ。
仕方ない。親族として、ここは僕が場を持たせなければ。
周囲にサッと視線を巡らせながらここまで考え、覚悟を決めて振り返る。
「困りましたね。すぐ戻るでしょうが、それまで暫く僕のお相手を願えるでしょうか・・・」
面子を潰されて怒ってるかな、、、現役の騎士団長の怒り、怖いな、、、。
内心びくびくした僕の、視線の先のエレオノーレ様は。
何とも切ない表情で、叔父の去った方を見つめていた。
僕はサッと蒼ざめた。
この表情は不味い。置いて行かれた衝撃からか少し蒼ざめ、潤んだ瞳は頼りなげで、少しかみしめた口元は寂しさを堪えているようで、、、凛々しい立ち姿とのギャップが何とも庇護欲をそそる。
僕が声をかけただけで舌打ちをした叔父だ。こんな表情を見られたと知ったら、、、。
周りの男どもの反応を見るのも恐ろしく、僕は取り敢えずエレオノーレ様を目立たない場所へ連れて行くことにした。
「少しあちらで座りませんか?」
視線を塞ぐように立ち、やや強引に手を差し伸べると。
エレオノーレ様はハッとして僕を見つめ、周囲をチラッと確認した。注目されていることに気づいたらしい。
そして。
今度は恥ずかしそうに頬を染めた。
周りから息をのむ音が聞こえ、僕は冷や汗をかく。
不味いから。ほんと不味いから。その容姿で未婚の小娘みたいなうぶな反応しないで!エレオノーレ様!
だが、僕の焦りも、周りの男の視線も全く気付かない様子で。
「や、済まない。甥っ子にみっともないところを見られてしまったね。」
取り敢えず、向こうに行こうか。でもエスコートは遠慮しておくよ。ありがとう。
そう言ってエレオノーレ様は僕に、行こう、と微笑みかけた。
痛いほどの視線を受けて、二人、友人のように連れ立って歩く。
所在無げな僕の腕をチラッと見て、まだ少し顔色の悪いエレオノーレ様は気遣うように笑った。
「ごめんね。君のエスコートに不満なんて無いんだ。でも、私に異性が触れるのを、アルは極端に嫌うから。」
こんな男女をどうこうしようなんて物好きな男、居る訳ないのにな。
エレオノーレ様は自嘲気味に呟くが、、、これは、そんなことありませんって、若い男性の僕に言って欲しいのか?
「何を仰います。閣下程の美女、機会があれば知り合いになりたい者が沢山おりますでしょう?」
取り敢えず無難に答えると、エレオノーレ様は、閣下はいいよ、叔母でもエレオノーレでも好きな方で呼んで、と言ってから、うん、と頷いた。
「そう、私に近付くものは、辺境伯に用があるものばかりなんだ。私個人に興味があるとは思えないんだけど。」
何でアルはあんなに嫌がるのか、昔から疑問だよ。
小首をかしげるのも、可愛い。
僕も思わず首をひねった。
おかしいな?この人、何でこんなに女としての自己評価が低いんだろう?今だって周りの男の半数は、この人の姿を気のある風に見つめてるのに。
何で気づかないんだ、、、もしや。
僕は不図思った疑問を口にした。
「叔母上、若しかして、小さい頃から叔父上と知り合いでしたか?」
「うん。婚約は大学部に入るころだったけど、知り合ったのは学園に入学する前だから。」
でも、その頃は大した知り合いでは無かったけれどね?
エレオノーレ様はさらっと言うけれど、、、。
僕は何となく正解にたどり着いた気がした。
これは、多分叔父が何かやって、思春期前から、この人の周りから男を排除したな。
なんてえげつない、、、。僕があきれ返っていると。
目の前を通り過ぎる人を避けようとしたエレオノーレ様の影が不自然に揺れた。
あ、と思わず手を差し伸べるが、彼女は手を振って避けた、、、そのまま少しよろめいて、向こうから足早にやってきた人にぶつかってしまう。
「あ、申し訳・・・」
慌てるエレオノーレ様を、その人はグッと抱き留めた。
「大丈夫だよ、エレオノーレ。遅くなって済まない、、、オリヴィエもご苦労。取り敢えず、うちに行こうか。」
「父上・・・!」
そこには、コンラート公爵家当主で叔父の長兄である、僕の父上がいた。
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