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皇宮での邂逅
皇太子殿下という俺を受け入れるためにⅣ(フェリクス視点)
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「魔導師団長。陛下の御前だ、膝を付きなさい。」
宰相が穏やかに言うが、魔導師団長は身じろぎもしなかった。
「今頃何をしに来た?」
「バーベンベルクはもう制圧済みだぞ!」
「先ほど、辺境伯嫡男オスカーの身柄を確保したと連絡が有ったからな!」
貴族達が気勢を上げる。
「貴方達も、陛下の御前で口を慎まれよ。」
宰相が一転、冷たい口調で言うも、貴族達の勢いは止まらない。
「今回の事は、化け物が、その正体を現したのです!」
「いくら有能とは言え、身勝手なふるまいはかえって帝国の守りを危うくする!いきなり全ての結界を消すとは、、、!信頼出来ない力を当てにしてはいけません。いっそ任せない方が良いのです!」
「そして、こいつは追放を!」
「コンラート一門の責任も、追及しなければ!」
どんどん激しくなる貴族達の声。沈黙を守る魔導師団長と、その周りを、いつでも抜刀出来る構えで取り囲む近衛騎士団。
なんの騒ぎなんだろう?これは?
困惑していると。
「少し、静かにしないか。」
父上の声がした。
大きな声では無かったけれど、その途端。
一斉に貴族たちが口をつぐんだ。
さすが父上!
俺は誇らしさで一杯になる。
この騒ぎを鎮めるために、夜もお仕事をしてるんだ!
ここからでは玉座の背中しか見えないけど。
その向こうに父上がいる、それだけで俺は気分が高揚するのを感じた。
「ロデリック?」
また、父上の声がする。
「ではここからは私が。」
宰相の声がした。
「これは、突然帝国内の全結界を消失させて失踪した魔導師団長に、理由を問うとともに、申し開きの機会を与える場である。」
「まずは、この騒ぎを起こした理由を聞こうか?魔導師団長、突然の失踪、帝国全土の結界を消失させたこと、どちらも帝国法に触れるという事は理解しているな?なぜこのような罪を犯したのだ?」
穏やかな宰相の声のあと、しばらくの沈黙が続き、、、。
「・・・をしたから。」
ぼそっと声が聞こえた。
よく、聞き取れない。
そう思ったのは俺だけでは無かったようで。
「もっとはっきり話せないのか?」
「陛下の御前だぞ!」
また大きな声で貴族たちが騒ぎ出す。その声を制す宰相の冷たい声が響き、一瞬声が途切れた時。
「煩い。」
ほんの一言聞こえた、次の瞬間。
「-----!!」
フッと両脇の物音が消えた。
不思議に思って見回すと、貴族たちはみな、首に手を当て、叫んでいた、、、でも、音が、声が一切聞こえない。どうやら見えない壁が出来たようで、空中を必死に叩いている者もいる。
「アルフ!」
「大丈夫だ、兄上。真空の中で、ちょっと気を失って大人しくしてもらうだけだ。」
先ほどまでの落ち着きが一転、慌てたように叫んだ宰相に向かって、魔導師団長は視線を向けると、淡々と言った。
「死んでしまうだろう!止めろ!」
「全員気絶したから空間を元へ戻した。あとは・・・」
貴族達へ駆け寄ろうとする宰相を手で制し、また淡々と続ける。
「お前達だな。」
ぐるりと取り囲む近衛騎士に視線を移すと片手を上げる。静かなのに、なんだろう?急に寒気がして、身体が震えた。何だろう、息苦しいし、怖い。
それは近衛騎士たちも同じだったようで。
「お、のれ・・・抜剣!」
誰かが叫び、騎士達が一斉に腰の剣を抜き放った、、、と思ったら。
「わっなんだこれは!」
今度は剣が全て蛇に変わっていた。驚く間もなく。
「っ・・・フギャアッ」
今度は騎士達が猫に変わってしまう。何だ?何なんだ?驚きに腰を抜かしてカーテンの陰でうずくまる俺の目の前で、何十匹もの猫と蛇は、盛大な鳴き声を上げながら戦いを始めた。
「これも煩いな。」
「あ、止めろ、アルフ!」
宰相の叫びも空しく、魔導師の腕の一振りで、今度は玉座の間を所せましと駆け巡っていた蛇と猫が消える。
「元に戻して騎士団の詰所に放り込んだだけだ。気づいても結界を張ったから出られない。」
そう言うと。
魔導師は初めて玉座の方を向いた。
そのまま静かに近づいてくる。
「これでやっと静かに話が出来る。良いだろう?兄上、陛下・・・いや、ジークムント。」
父上の名前を呼び捨てにするなんて!
怒りが驚愕を上回って、俺は何とか立ち上がると、玉座の近くに集まった三人を見つめた。
「アルフ、いや、魔導師団長、言葉を慎め・・・」
再び落ち着いた宰相の窘める声を遮り。
「ふうっ。今は、良い。アルフレート、お前にとって、この件は全くのプライベートだと、そう言いたいんだな?」
溜め息を付きながら父上が、砕けた口調で魔導師に話しかけた。
宰相が穏やかに言うが、魔導師団長は身じろぎもしなかった。
「今頃何をしに来た?」
「バーベンベルクはもう制圧済みだぞ!」
「先ほど、辺境伯嫡男オスカーの身柄を確保したと連絡が有ったからな!」
貴族達が気勢を上げる。
「貴方達も、陛下の御前で口を慎まれよ。」
宰相が一転、冷たい口調で言うも、貴族達の勢いは止まらない。
「今回の事は、化け物が、その正体を現したのです!」
「いくら有能とは言え、身勝手なふるまいはかえって帝国の守りを危うくする!いきなり全ての結界を消すとは、、、!信頼出来ない力を当てにしてはいけません。いっそ任せない方が良いのです!」
「そして、こいつは追放を!」
「コンラート一門の責任も、追及しなければ!」
どんどん激しくなる貴族達の声。沈黙を守る魔導師団長と、その周りを、いつでも抜刀出来る構えで取り囲む近衛騎士団。
なんの騒ぎなんだろう?これは?
困惑していると。
「少し、静かにしないか。」
父上の声がした。
大きな声では無かったけれど、その途端。
一斉に貴族たちが口をつぐんだ。
さすが父上!
俺は誇らしさで一杯になる。
この騒ぎを鎮めるために、夜もお仕事をしてるんだ!
ここからでは玉座の背中しか見えないけど。
その向こうに父上がいる、それだけで俺は気分が高揚するのを感じた。
「ロデリック?」
また、父上の声がする。
「ではここからは私が。」
宰相の声がした。
「これは、突然帝国内の全結界を消失させて失踪した魔導師団長に、理由を問うとともに、申し開きの機会を与える場である。」
「まずは、この騒ぎを起こした理由を聞こうか?魔導師団長、突然の失踪、帝国全土の結界を消失させたこと、どちらも帝国法に触れるという事は理解しているな?なぜこのような罪を犯したのだ?」
穏やかな宰相の声のあと、しばらくの沈黙が続き、、、。
「・・・をしたから。」
ぼそっと声が聞こえた。
よく、聞き取れない。
そう思ったのは俺だけでは無かったようで。
「もっとはっきり話せないのか?」
「陛下の御前だぞ!」
また大きな声で貴族たちが騒ぎ出す。その声を制す宰相の冷たい声が響き、一瞬声が途切れた時。
「煩い。」
ほんの一言聞こえた、次の瞬間。
「-----!!」
フッと両脇の物音が消えた。
不思議に思って見回すと、貴族たちはみな、首に手を当て、叫んでいた、、、でも、音が、声が一切聞こえない。どうやら見えない壁が出来たようで、空中を必死に叩いている者もいる。
「アルフ!」
「大丈夫だ、兄上。真空の中で、ちょっと気を失って大人しくしてもらうだけだ。」
先ほどまでの落ち着きが一転、慌てたように叫んだ宰相に向かって、魔導師団長は視線を向けると、淡々と言った。
「死んでしまうだろう!止めろ!」
「全員気絶したから空間を元へ戻した。あとは・・・」
貴族達へ駆け寄ろうとする宰相を手で制し、また淡々と続ける。
「お前達だな。」
ぐるりと取り囲む近衛騎士に視線を移すと片手を上げる。静かなのに、なんだろう?急に寒気がして、身体が震えた。何だろう、息苦しいし、怖い。
それは近衛騎士たちも同じだったようで。
「お、のれ・・・抜剣!」
誰かが叫び、騎士達が一斉に腰の剣を抜き放った、、、と思ったら。
「わっなんだこれは!」
今度は剣が全て蛇に変わっていた。驚く間もなく。
「っ・・・フギャアッ」
今度は騎士達が猫に変わってしまう。何だ?何なんだ?驚きに腰を抜かしてカーテンの陰でうずくまる俺の目の前で、何十匹もの猫と蛇は、盛大な鳴き声を上げながら戦いを始めた。
「これも煩いな。」
「あ、止めろ、アルフ!」
宰相の叫びも空しく、魔導師の腕の一振りで、今度は玉座の間を所せましと駆け巡っていた蛇と猫が消える。
「元に戻して騎士団の詰所に放り込んだだけだ。気づいても結界を張ったから出られない。」
そう言うと。
魔導師は初めて玉座の方を向いた。
そのまま静かに近づいてくる。
「これでやっと静かに話が出来る。良いだろう?兄上、陛下・・・いや、ジークムント。」
父上の名前を呼び捨てにするなんて!
怒りが驚愕を上回って、俺は何とか立ち上がると、玉座の近くに集まった三人を見つめた。
「アルフ、いや、魔導師団長、言葉を慎め・・・」
再び落ち着いた宰相の窘める声を遮り。
「ふうっ。今は、良い。アルフレート、お前にとって、この件は全くのプライベートだと、そう言いたいんだな?」
溜め息を付きながら父上が、砕けた口調で魔導師に話しかけた。
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