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皇宮での邂逅
皇太子殿下という俺を受け入れるためにⅡ(フェリクス視点)
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皇太子の位を返上?もう一人の息子って五歳になる弟のことか?
脅しも大概にしてくれ。
俺は改めて父上を睨みつけようとして、そのまま固まった。
父上の薄い水色の目が冷たく凝っている、、、本気だ。これは脅しじゃない。
俺は、こんな事で、皇太子位を返上させられる、、、?
まとまらない思考の中、父上の声が響く。
「私はお前に破格の種明かしをしたはずだ。ディアナ嬢には黄金の瞳がある、と。」
皇帝家からは既に失われて久しい
建国の英雄の色。
コンラート公爵家に発現するも、何故か隔世で男子にしか出ない幻の瞳。
皇帝家の権威を高めるために英雄を神聖視すればするほど、保守系純血主義の貴族たちはコンラート公爵家を崇めると言う矛盾。
過去には皇帝家とコンラート公爵家の確執も数多くあり、、、いつからか皇帝家には家訓が出来た。
『黄金の瞳の乙女が生まれたら、何としても皇帝家に血を入れること。』
分かってる。それは皇帝権を継ぐ者の義務だ。
だが、それなら、、、
「なぜ、ディアナ嬢に、皇帝家に嫁げ、と言わないのです?」
俺は皇太子だ。
ディアナ嬢はコンラート一門だが、身分はたかだか辺境伯令嬢だろう?
俺が選ばれるよう努力しなくても、勅令で召し上げれば、貴族なら黙って従う。
それが皇帝の権威ってものじゃないのか?
俺の不満が分かっているはずなのに、父上の目は揺るがなかった。
「これも言ったな。ディアナ嬢はただの辺境伯令嬢ではない。アルフレートの、魔導師団長の娘だ。アルフレート自身が私に言ったのだ。娘はまさに自分の子だと。」
「だから?」
辺境伯と魔導師団長は相思相愛で有名な夫婦だ。自分の子で当たり前だ。黄金の瞳だって、魔導師団長から継いだんだろう?
そして、魔導師団は、皇帝の配下じゃないのか?
何を遠慮してるんだ父上!
だから俺は、、、!
父上への不満をグッと飲み込んだ俺に、今度は宰相が言う。
「やはり、意味がお分かりではなかったのですね・・・単に娘と言うだけではないのですよ、殿下。ディアナ嬢はアルフレートを継ぐ者なのです。」
「継ぐ者?」
それは、なにを?魔導師団長を継ぐ、、、まさか、まさか、、、
「あの、魔力・・・?」
俺がやっと言葉を紡ぐと、父上は重々しく頷いた。
「やっと理解したか、馬鹿者。」
つまり。
ディアナ嬢は。
皇帝家悲願である、黄金の瞳をもたらす乙女で。
帝国の結界を一手に担う魔導師団長の後継者で。
そこに辺境伯の忠誠が付いてくる、と。
「ならば、なおの事、勅令でお命じになれば良いではありませんか?!なぜ、下手に出るのです?!魔導師団長の力がそんなに怖いのですか?!」
「・・・なんだと?」
普段は穏やかな父上の低い声。でも、俺は止まれなかった。
「だってそうでしょう。忘れたとは言わせませんよ!あの七年前の玉座の間での出来事を。
父上は済まない、許してくれと勝手に出奔した魔導師団長に頭を下げ。
今度は息子がその娘に結婚してくれと媚びへつらう。
ハッ!
至高の存在と言い、強大な帝権と言いながら、所詮魔導師の顔色を伺うしかないなんて、とんだ皇帝親子だ!」
情けない、情けない、情けない!!
だから俺は父上を、皇帝を尊敬したいけど出来ない。
帝国を導く事に憧れながらも、皇帝になりたいと思えない。
だから俺は俺をそんな気持ちにさせた魔導師団長が大嫌いだ。
激昂した俺は抑えきれずに不満をブチまけ、、、その場の沈黙にはっと我に返った。
「フェリクス、お前、見ていたのか・・・?」
地を這う声。昏い瞳。
俺は、生まれて初めて、父親を怖いと思った。
脅しも大概にしてくれ。
俺は改めて父上を睨みつけようとして、そのまま固まった。
父上の薄い水色の目が冷たく凝っている、、、本気だ。これは脅しじゃない。
俺は、こんな事で、皇太子位を返上させられる、、、?
まとまらない思考の中、父上の声が響く。
「私はお前に破格の種明かしをしたはずだ。ディアナ嬢には黄金の瞳がある、と。」
皇帝家からは既に失われて久しい
建国の英雄の色。
コンラート公爵家に発現するも、何故か隔世で男子にしか出ない幻の瞳。
皇帝家の権威を高めるために英雄を神聖視すればするほど、保守系純血主義の貴族たちはコンラート公爵家を崇めると言う矛盾。
過去には皇帝家とコンラート公爵家の確執も数多くあり、、、いつからか皇帝家には家訓が出来た。
『黄金の瞳の乙女が生まれたら、何としても皇帝家に血を入れること。』
分かってる。それは皇帝権を継ぐ者の義務だ。
だが、それなら、、、
「なぜ、ディアナ嬢に、皇帝家に嫁げ、と言わないのです?」
俺は皇太子だ。
ディアナ嬢はコンラート一門だが、身分はたかだか辺境伯令嬢だろう?
俺が選ばれるよう努力しなくても、勅令で召し上げれば、貴族なら黙って従う。
それが皇帝の権威ってものじゃないのか?
俺の不満が分かっているはずなのに、父上の目は揺るがなかった。
「これも言ったな。ディアナ嬢はただの辺境伯令嬢ではない。アルフレートの、魔導師団長の娘だ。アルフレート自身が私に言ったのだ。娘はまさに自分の子だと。」
「だから?」
辺境伯と魔導師団長は相思相愛で有名な夫婦だ。自分の子で当たり前だ。黄金の瞳だって、魔導師団長から継いだんだろう?
そして、魔導師団は、皇帝の配下じゃないのか?
何を遠慮してるんだ父上!
だから俺は、、、!
父上への不満をグッと飲み込んだ俺に、今度は宰相が言う。
「やはり、意味がお分かりではなかったのですね・・・単に娘と言うだけではないのですよ、殿下。ディアナ嬢はアルフレートを継ぐ者なのです。」
「継ぐ者?」
それは、なにを?魔導師団長を継ぐ、、、まさか、まさか、、、
「あの、魔力・・・?」
俺がやっと言葉を紡ぐと、父上は重々しく頷いた。
「やっと理解したか、馬鹿者。」
つまり。
ディアナ嬢は。
皇帝家悲願である、黄金の瞳をもたらす乙女で。
帝国の結界を一手に担う魔導師団長の後継者で。
そこに辺境伯の忠誠が付いてくる、と。
「ならば、なおの事、勅令でお命じになれば良いではありませんか?!なぜ、下手に出るのです?!魔導師団長の力がそんなに怖いのですか?!」
「・・・なんだと?」
普段は穏やかな父上の低い声。でも、俺は止まれなかった。
「だってそうでしょう。忘れたとは言わせませんよ!あの七年前の玉座の間での出来事を。
父上は済まない、許してくれと勝手に出奔した魔導師団長に頭を下げ。
今度は息子がその娘に結婚してくれと媚びへつらう。
ハッ!
至高の存在と言い、強大な帝権と言いながら、所詮魔導師の顔色を伺うしかないなんて、とんだ皇帝親子だ!」
情けない、情けない、情けない!!
だから俺は父上を、皇帝を尊敬したいけど出来ない。
帝国を導く事に憧れながらも、皇帝になりたいと思えない。
だから俺は俺をそんな気持ちにさせた魔導師団長が大嫌いだ。
激昂した俺は抑えきれずに不満をブチまけ、、、その場の沈黙にはっと我に返った。
「フェリクス、お前、見ていたのか・・・?」
地を這う声。昏い瞳。
俺は、生まれて初めて、父親を怖いと思った。
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