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皇宮での邂逅
転移門を使ってみました。
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「では、行くよ。せっかくだから、この転移門を使ってみようか?」
父さまが、魔導師像を見つめながら言った。なんだかちょっと懐かしそう。
「使ったこと、あるの?父さま?」
聞いてみると、ああ、と頷かれた。
「これは、本当に昔からあって、、、。初代魔導師団長、この像のモデルなんだけど、が作ったものなんだ。そして、この敷地内で私が手を加えてない、数少ない魔術式だよ。」
想いのこもった、良い術式だ。父さまは感慨深げに転移門を見てるけど。
初代魔導師団長、て、ことは。
建国の英雄兄弟と共にオストマルク帝国を興した、謎多き『黒の魔導師』?
初代魔導師団長ってことになってるけど、建国してすぐに姿を消したから、実際は団長の地位に就いてないって、、、。一昨日お昼を食堂で食べた時に、魔導師団長あるあるで聞いたけど?
父さまに聞くと、ああ、となんでもないことのように言われた。
「本当に一瞬だけど、団長をしていたらしいよ。」
ちょっと煩わしいことがあって、もう建国したし良いか、と辞めちゃったって。
そうなんだ!・・・て、え?なんでそんな、直接聞きました、みたいな言い方するの?
じーっと見つめてみたけど、父さまは知らん顔してる。
こう言うときは絶対教えてくれないんだよね、、、。
まあ、団長だけに伝わる話っていうのもステキだから、今度ご機嫌な時に聞いてみよう!
それより。
「行こう。父さま」
「ああ。向こうはこの間行った噴水のある庭園だ。覚えてる?」
「うん、わたしも一人でやってみる!」
「分かった。もし何処かへ飛んでいきそうなら、私が連れ戻すから、安心してやってごらん。」
ありがとう、父さま。この安心感、たまらないわ!
冷たい石板に指先を当てて、目を瞑り木立に囲まれた噴水を思い浮かべる。
フッと浮き上がる感じがして。
次の瞬間、私は噴水の庭園にいた。
わぁ!
嬉しくて思わず声を上げてしまい、慌てて辺りを見回す。
「大丈夫。もう君の周りには結界が張ってあるから。」
すぐ隣で声がして見上げると、父さまが何でもないことのように言った。
「私と君の姿は他の人には見えないし、話も聞こえない。でも、他の人の姿は見えるし話は聞こえるから、まあ、ぶつからないようにだけ、気を付けなさい。」
「はい!」
「とりあえず一緒に動こう。もし万が一はぐれても、私がすぐ見つけるから心配しないで。」
でも、それでも心配だったり困った時には、、、ここで待ってなさい。
そう言って父さまは、噴水の一部分を指差した。
皇帝家の獅子の紋章がある。
「ここに触れて、今と同じように、今度はあの魔導師像を思い浮かべる。そうしたら魔導師団に帰れるから。待つのも嫌な時や、本当に一人で困ったら、帰っていなさい。」
父さまと離れるつもりはないけど、こうやって、万が一のことも考えてくれるから、本当に安心。
私は父さまの腕にグリグリ頭を押し付けた。
「父さまが母さまのものじゃなかったら、絶対お嫁さんにしてもらうのになぁ~。」
「グッ」
頭上で息が詰まる音がした。
「・・・ディー、父さまはディーをお嫁さんにはもらえないけど、誰かに渡すのもイヤだ。もう、バーベンベルクに帰っちゃおうか。」
父さまの切なそうな声がする。
いやいや、せっかく母さまたちも帝都に来るんだから、こっちでも楽しい思い出を作ろうよ!
私はパッと顔を上げると、父さまの腕を引っ張った。
「ううん、バーベンベルクには帰らない。ここで父さまと、秘密の冒険をするのよ!」
ね、まずはこの庭園から出てみよう?
あそこが出入口かな?
私が木立に消える小径を目指すと、父さまは。
ディーらしいね、と言いながら、がっくりと項垂れた。
父さまが、魔導師像を見つめながら言った。なんだかちょっと懐かしそう。
「使ったこと、あるの?父さま?」
聞いてみると、ああ、と頷かれた。
「これは、本当に昔からあって、、、。初代魔導師団長、この像のモデルなんだけど、が作ったものなんだ。そして、この敷地内で私が手を加えてない、数少ない魔術式だよ。」
想いのこもった、良い術式だ。父さまは感慨深げに転移門を見てるけど。
初代魔導師団長、て、ことは。
建国の英雄兄弟と共にオストマルク帝国を興した、謎多き『黒の魔導師』?
初代魔導師団長ってことになってるけど、建国してすぐに姿を消したから、実際は団長の地位に就いてないって、、、。一昨日お昼を食堂で食べた時に、魔導師団長あるあるで聞いたけど?
父さまに聞くと、ああ、となんでもないことのように言われた。
「本当に一瞬だけど、団長をしていたらしいよ。」
ちょっと煩わしいことがあって、もう建国したし良いか、と辞めちゃったって。
そうなんだ!・・・て、え?なんでそんな、直接聞きました、みたいな言い方するの?
じーっと見つめてみたけど、父さまは知らん顔してる。
こう言うときは絶対教えてくれないんだよね、、、。
まあ、団長だけに伝わる話っていうのもステキだから、今度ご機嫌な時に聞いてみよう!
それより。
「行こう。父さま」
「ああ。向こうはこの間行った噴水のある庭園だ。覚えてる?」
「うん、わたしも一人でやってみる!」
「分かった。もし何処かへ飛んでいきそうなら、私が連れ戻すから、安心してやってごらん。」
ありがとう、父さま。この安心感、たまらないわ!
冷たい石板に指先を当てて、目を瞑り木立に囲まれた噴水を思い浮かべる。
フッと浮き上がる感じがして。
次の瞬間、私は噴水の庭園にいた。
わぁ!
嬉しくて思わず声を上げてしまい、慌てて辺りを見回す。
「大丈夫。もう君の周りには結界が張ってあるから。」
すぐ隣で声がして見上げると、父さまが何でもないことのように言った。
「私と君の姿は他の人には見えないし、話も聞こえない。でも、他の人の姿は見えるし話は聞こえるから、まあ、ぶつからないようにだけ、気を付けなさい。」
「はい!」
「とりあえず一緒に動こう。もし万が一はぐれても、私がすぐ見つけるから心配しないで。」
でも、それでも心配だったり困った時には、、、ここで待ってなさい。
そう言って父さまは、噴水の一部分を指差した。
皇帝家の獅子の紋章がある。
「ここに触れて、今と同じように、今度はあの魔導師像を思い浮かべる。そうしたら魔導師団に帰れるから。待つのも嫌な時や、本当に一人で困ったら、帰っていなさい。」
父さまと離れるつもりはないけど、こうやって、万が一のことも考えてくれるから、本当に安心。
私は父さまの腕にグリグリ頭を押し付けた。
「父さまが母さまのものじゃなかったら、絶対お嫁さんにしてもらうのになぁ~。」
「グッ」
頭上で息が詰まる音がした。
「・・・ディー、父さまはディーをお嫁さんにはもらえないけど、誰かに渡すのもイヤだ。もう、バーベンベルクに帰っちゃおうか。」
父さまの切なそうな声がする。
いやいや、せっかく母さまたちも帝都に来るんだから、こっちでも楽しい思い出を作ろうよ!
私はパッと顔を上げると、父さまの腕を引っ張った。
「ううん、バーベンベルクには帰らない。ここで父さまと、秘密の冒険をするのよ!」
ね、まずはこの庭園から出てみよう?
あそこが出入口かな?
私が木立に消える小径を目指すと、父さまは。
ディーらしいね、と言いながら、がっくりと項垂れた。
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