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皇宮での邂逅
単なるお仕置きでは有りませんでした。
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父さまの執務室に戻って報告をすると、フィン兄さまは帰ってしまった。
「その代わり、明日また迎えに来る。今日は早く帰って、ディーが来てもいい様に、ちょっと片付けをしておくよ。」
明日はディーを連れてくからな、とフィン兄さまが父さまに言うと、意外にあっさり頷かれた。
「昨日もうるさいのが魔導師団の入り口でチョロチョロしたからな。暫くは一人ではどこにも出したくないから、つまらないだろう。ディー、気晴らししておいで。」
それに。
フィン兄さまに視線を向ける。
「お前なら、ディーに変な虫を付けることもないだろう?」
小首を傾げる父さまに、兄さまはフンっと鼻息も荒く答えた。
「当たり前だ!そんな事したら、ディーがバーベンベルクからいなくなってしまうじゃないか!」
僕の夢はディーと二人で辺境伯付きの魔導師になる事なんだから。
え、そうなの?私、聞いてない、、、。
私の驚きに気付かず、兄さまは私に向き直り、嬉々として続けた。
「来年帰ったら、ディーの勉強は全部僕が見てあげる。学園の三年は上位貴族の義務だから仕方ないけど、大学部は行かなくても魔導師認定試験に問題ないよ。僕の知識で充分だって分かったからね。」
だから。
「心配しなくても、お前の面倒は、一生兄さまがちゃんとみるからな。」
ぎゅーって抱きしめてから、コツンと額を合わせてきた。
父さまと同じサラサラの黒髪。うなじで揃えてる父さまと違って、長く伸ばして右肩に垂らした髪が、少しほつれて私の頰をくすぐる。父さまそっくりの整った人形のような顔立ちのフィン兄さまは、瞳だけ、お祖父様の灰色だ。
目が合うと、その瞳が優しく細められた。
体型も顔立ちも性格も父さまとよく似たフィン兄さま。徹底的に違うのは、表情の豊かさなんだよね。
「ありがとう、兄さま。」
わたしもニッコリする。
昔から、兄さまはいつもこう言って、私を気遣ってくれるけど。
多分、あの時の暴走が原因なんだろうな、て今なら分かるけど。
大丈夫。
兄さまにそんな迷惑掛けないよ。
「私、頑張って結婚してくれる人を探すから、兄さまは心配しなくて大丈夫よ?」
安心してステキな女の人と幸せになってね。
そう言うと、フィン兄さまは、がっくり項垂れて帰って行った。
私の言い方、不味かった?
お昼になると、父さまはエルンストさんに二言三言話しかけて、私を手招いた。
近づくとローブの中に入れられる。
内緒で行きたいから姿を隠したいんだって。
「ちょっと政務宮に行こう。ディーは着いたら伯父様とオリヴィエにちゃんとお礼を言うんだよ。」
ほんと、そう言えば、昨日あんなに迷惑を掛けたのに、まだお礼を伝えてなかったわ。
「はい、父さま。」
見上げると、頭をポンポンとされた。
父さまは表情は無いけど。
キチンと言葉や態度で示してくれるから、愛情は充分感じられるの。
転移したら、宰相閣下の執務室では、補佐官さんがみんな出ていくところだった。
伯父さまとオリヴィエ兄さまを残して扉が閉まると同時に、姿を現わす。
「わあ、驚かせないでよ!叔父さん!」
オリヴィエ兄さまはムッとした表情になったけど、私がローブの陰から出ると、表情を和らげた。
「やあ、今日はもう元気かい?」
「ディーちゃんと毎日会えるのは嬉しいね。」
伯父さまも、執務机を回ってこっちに来る。
私は一歩下がってきちんと礼をした。
「昨日は突然ご迷惑をお掛けしました。お陰様さまで、すっかり元気になりました。」
ごめんなさい。と言って頭を上げると、二人はニコニコしていた。
「ディーちゃんが大丈夫ならそれでいいよ。」
優しいな、オリヴィエ兄さま。
「うん、君に意地悪をした彼らは、伯父さま達の方でちゃんと懲らしめておいたからね。なあ、アルフ?」
いい笑顔の伯父さま。
え? 昨日の今日で、懲らしめた?
な、何をしたんだろう?
咄嗟に父さまを見るも、知らん顔している。
怖すぎる、、、。
皇子殿下やジキスムント君は、どんな目に合ってしまったのかしら?
「そんな、ただのちょっとした子ども同士の揉め事で・・・」
慌てて伯父さまに訴えるも。
「いやいや、将来国を率いたり守ったりする者が、立場の弱い者を私情で傷付けるのは良くない。ここでキチンと指導するべきだと、宰相としては思うんだな。」
いやいや、それを言うなら、宰相が身内びいきで私刑しちゃダメでしょ!?
「でも、私も侍従見習いの分際で、殿下?をやっつけてしまいましたし。」
貴人なら、腹を立てるのが当たり前だと思うの。
「うん、アルフから聞いたよ。一瞬だったそうだね。殿下の教育にはそれなりに剣の訓練を組み込んでるのに、情けない。」
真面目に取り組んでない証拠だ。とそこは本当に顔をしかめた。
えーっ、そっちに行くの?
「バーベンベルクは騎士の家系なので。私も訓練場が遊び場でしたし・・・」
よく分からないけど、取り敢えずフォローしなくちゃ。
アワアワし始めた私を見て、伯父さまは楽しそうに笑った。
「ディーちゃんはいいね、本当にあいつ等には勿体無いんだけど。」
でも、宰相としてはお勧めせざるを得ないんだよな、、、と独りごちる。
何のこと?首をかしげる私と違い、今まで無言だった父さまが、グイッと前に出た。
「そこは今でも変わらないのですか、兄上?」
私は益々反対です。ときっぱり言って、ふいっと横を向く父さま。
あ、ちょっと怒ってる?
でも。苦笑いしながらも伯父さまは頷いた。
「変わらないね。昨日、あの揺れの件で陛下に拝謁した際、事情は説明した。私としては、今の時点で無理に会わない方が良いのでは、せめて時を置いて、と言ってみたんだけど。何としても頼むと言われてしまってね。」
何の話だか、全く分からない。今度はオリヴィエ兄さまを見つめてみる。
あ、視線を逸らされた!
私のことなのね。アヤシイ、、、。
「だからこそ、昨晩の状況が知りたいんだ。君のお仕置きの内容と、彼らの反応を教えて欲しい。」
「ジキスムントが初めてだったので、様子見がてら、ロイス侯爵家の忠義が意味するところをはっきり教えてやりました。」
伯父さまと父さまが話し始めた。
む!さっきは知らん顔されたけど、やっぱり昨日の夜、父さまがなんかしたのね!
黙って聞き耳をたてる。
「・・・取り敢えず切り刻んでやったら、絶叫して飛び起きました。同じ感じで、皇子は一人にさせて何人かに殴らせてみたら、こっちも絶叫して、侍従に起こされていました。あれは効いてるようです。兄上の言った通りですね。」
「切り刻んだ?!殴らせた?!」
ギョッとして思わず叫んでしまう。
父さまを睨みつけると、慌てて言い訳してきた。
「夢だから、ディー。ちょっと夢をいじっただけだから!」
夢?
「夢ってあの、寝てる時に見る?」
「そうなんだよ、ディーちゃん。」
今度は伯父さまが嬉々として説明を始めた。
「夢なら実害はないけれど精神的なダメージは大きいだろう?しかも悪夢を見たと訴えても、他人はそんなに同情しないし、騒げば自分が恥ずかしい思いをするだけだ。」
プライドの高いあの子たちなら、一人で悩むだろう。
なんて酷い!父さまは眠らないと言っていたから、正直、この話の酷さは分からないだろう。伯父さまは悪魔だわ!!
私が思わず反論しようとすると。
「上手くこっちの意図する夢が見せられるなら、ここであの子たちがどんな時にどう出るかを知る事で、気質なんかも見定められるだろう?」
伯父さまは思わぬ事を言い出した。
流石、皇宮の裏ボスだわ。
単なるお仕置きでは無かったのね、、、。
「その代わり、明日また迎えに来る。今日は早く帰って、ディーが来てもいい様に、ちょっと片付けをしておくよ。」
明日はディーを連れてくからな、とフィン兄さまが父さまに言うと、意外にあっさり頷かれた。
「昨日もうるさいのが魔導師団の入り口でチョロチョロしたからな。暫くは一人ではどこにも出したくないから、つまらないだろう。ディー、気晴らししておいで。」
それに。
フィン兄さまに視線を向ける。
「お前なら、ディーに変な虫を付けることもないだろう?」
小首を傾げる父さまに、兄さまはフンっと鼻息も荒く答えた。
「当たり前だ!そんな事したら、ディーがバーベンベルクからいなくなってしまうじゃないか!」
僕の夢はディーと二人で辺境伯付きの魔導師になる事なんだから。
え、そうなの?私、聞いてない、、、。
私の驚きに気付かず、兄さまは私に向き直り、嬉々として続けた。
「来年帰ったら、ディーの勉強は全部僕が見てあげる。学園の三年は上位貴族の義務だから仕方ないけど、大学部は行かなくても魔導師認定試験に問題ないよ。僕の知識で充分だって分かったからね。」
だから。
「心配しなくても、お前の面倒は、一生兄さまがちゃんとみるからな。」
ぎゅーって抱きしめてから、コツンと額を合わせてきた。
父さまと同じサラサラの黒髪。うなじで揃えてる父さまと違って、長く伸ばして右肩に垂らした髪が、少しほつれて私の頰をくすぐる。父さまそっくりの整った人形のような顔立ちのフィン兄さまは、瞳だけ、お祖父様の灰色だ。
目が合うと、その瞳が優しく細められた。
体型も顔立ちも性格も父さまとよく似たフィン兄さま。徹底的に違うのは、表情の豊かさなんだよね。
「ありがとう、兄さま。」
わたしもニッコリする。
昔から、兄さまはいつもこう言って、私を気遣ってくれるけど。
多分、あの時の暴走が原因なんだろうな、て今なら分かるけど。
大丈夫。
兄さまにそんな迷惑掛けないよ。
「私、頑張って結婚してくれる人を探すから、兄さまは心配しなくて大丈夫よ?」
安心してステキな女の人と幸せになってね。
そう言うと、フィン兄さまは、がっくり項垂れて帰って行った。
私の言い方、不味かった?
お昼になると、父さまはエルンストさんに二言三言話しかけて、私を手招いた。
近づくとローブの中に入れられる。
内緒で行きたいから姿を隠したいんだって。
「ちょっと政務宮に行こう。ディーは着いたら伯父様とオリヴィエにちゃんとお礼を言うんだよ。」
ほんと、そう言えば、昨日あんなに迷惑を掛けたのに、まだお礼を伝えてなかったわ。
「はい、父さま。」
見上げると、頭をポンポンとされた。
父さまは表情は無いけど。
キチンと言葉や態度で示してくれるから、愛情は充分感じられるの。
転移したら、宰相閣下の執務室では、補佐官さんがみんな出ていくところだった。
伯父さまとオリヴィエ兄さまを残して扉が閉まると同時に、姿を現わす。
「わあ、驚かせないでよ!叔父さん!」
オリヴィエ兄さまはムッとした表情になったけど、私がローブの陰から出ると、表情を和らげた。
「やあ、今日はもう元気かい?」
「ディーちゃんと毎日会えるのは嬉しいね。」
伯父さまも、執務机を回ってこっちに来る。
私は一歩下がってきちんと礼をした。
「昨日は突然ご迷惑をお掛けしました。お陰様さまで、すっかり元気になりました。」
ごめんなさい。と言って頭を上げると、二人はニコニコしていた。
「ディーちゃんが大丈夫ならそれでいいよ。」
優しいな、オリヴィエ兄さま。
「うん、君に意地悪をした彼らは、伯父さま達の方でちゃんと懲らしめておいたからね。なあ、アルフ?」
いい笑顔の伯父さま。
え? 昨日の今日で、懲らしめた?
な、何をしたんだろう?
咄嗟に父さまを見るも、知らん顔している。
怖すぎる、、、。
皇子殿下やジキスムント君は、どんな目に合ってしまったのかしら?
「そんな、ただのちょっとした子ども同士の揉め事で・・・」
慌てて伯父さまに訴えるも。
「いやいや、将来国を率いたり守ったりする者が、立場の弱い者を私情で傷付けるのは良くない。ここでキチンと指導するべきだと、宰相としては思うんだな。」
いやいや、それを言うなら、宰相が身内びいきで私刑しちゃダメでしょ!?
「でも、私も侍従見習いの分際で、殿下?をやっつけてしまいましたし。」
貴人なら、腹を立てるのが当たり前だと思うの。
「うん、アルフから聞いたよ。一瞬だったそうだね。殿下の教育にはそれなりに剣の訓練を組み込んでるのに、情けない。」
真面目に取り組んでない証拠だ。とそこは本当に顔をしかめた。
えーっ、そっちに行くの?
「バーベンベルクは騎士の家系なので。私も訓練場が遊び場でしたし・・・」
よく分からないけど、取り敢えずフォローしなくちゃ。
アワアワし始めた私を見て、伯父さまは楽しそうに笑った。
「ディーちゃんはいいね、本当にあいつ等には勿体無いんだけど。」
でも、宰相としてはお勧めせざるを得ないんだよな、、、と独りごちる。
何のこと?首をかしげる私と違い、今まで無言だった父さまが、グイッと前に出た。
「そこは今でも変わらないのですか、兄上?」
私は益々反対です。ときっぱり言って、ふいっと横を向く父さま。
あ、ちょっと怒ってる?
でも。苦笑いしながらも伯父さまは頷いた。
「変わらないね。昨日、あの揺れの件で陛下に拝謁した際、事情は説明した。私としては、今の時点で無理に会わない方が良いのでは、せめて時を置いて、と言ってみたんだけど。何としても頼むと言われてしまってね。」
何の話だか、全く分からない。今度はオリヴィエ兄さまを見つめてみる。
あ、視線を逸らされた!
私のことなのね。アヤシイ、、、。
「だからこそ、昨晩の状況が知りたいんだ。君のお仕置きの内容と、彼らの反応を教えて欲しい。」
「ジキスムントが初めてだったので、様子見がてら、ロイス侯爵家の忠義が意味するところをはっきり教えてやりました。」
伯父さまと父さまが話し始めた。
む!さっきは知らん顔されたけど、やっぱり昨日の夜、父さまがなんかしたのね!
黙って聞き耳をたてる。
「・・・取り敢えず切り刻んでやったら、絶叫して飛び起きました。同じ感じで、皇子は一人にさせて何人かに殴らせてみたら、こっちも絶叫して、侍従に起こされていました。あれは効いてるようです。兄上の言った通りですね。」
「切り刻んだ?!殴らせた?!」
ギョッとして思わず叫んでしまう。
父さまを睨みつけると、慌てて言い訳してきた。
「夢だから、ディー。ちょっと夢をいじっただけだから!」
夢?
「夢ってあの、寝てる時に見る?」
「そうなんだよ、ディーちゃん。」
今度は伯父さまが嬉々として説明を始めた。
「夢なら実害はないけれど精神的なダメージは大きいだろう?しかも悪夢を見たと訴えても、他人はそんなに同情しないし、騒げば自分が恥ずかしい思いをするだけだ。」
プライドの高いあの子たちなら、一人で悩むだろう。
なんて酷い!父さまは眠らないと言っていたから、正直、この話の酷さは分からないだろう。伯父さまは悪魔だわ!!
私が思わず反論しようとすると。
「上手くこっちの意図する夢が見せられるなら、ここであの子たちがどんな時にどう出るかを知る事で、気質なんかも見定められるだろう?」
伯父さまは思わぬ事を言い出した。
流石、皇宮の裏ボスだわ。
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