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皇宮での邂逅
つい見つめてしまいました。
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茂みの向こうは一段低くなっていて、その段差を壁替わりに、こじんまりとした訓練場が作られていた。
そして、そこに。
剣術の訓練をしていたらしい、男の子達が居た。
どの子も動き易そうなシャツにスラックス姿で、模擬剣がそばに置いてある。
でも、話からすると訓練はもう終わりみたいね。
みんな汗だくみたいで、襟元をパタパタしたり、頭を布で拭いたりしながら、身の回りのものを片付けてる。
一人、二人、、、男の子は四人だ。
三人はキラキラした髪色だけど、一人は私みたいに赤毛。ふふっ親近感わくな。
どの子も私より少し大きそう。ルー兄さまくらいかな。
背中向けてる子も居るし、瞳の色はよく分からないけど、どの子も結構カッコいいかも。フィン兄さまやルー兄さまみたいに美人さん系もいるし、オスカー兄上みたいな、、、精悍って言うんだっけ、、、感じの子もいる。
ウチの兄さまたちの方が素敵だけどね!!
大人の人も二人居て、見覚えのある紅の騎士服を着ているから、近衛騎士団の人ね。
そっか、そう言えばオリヴィエ兄さまが、政務宮のもう一方の裏道を行くと騎士団に着くって言ってたっけ。
ここ、近衛騎士団なんだ。確かに小さな訓練場の向こうには、政務宮と同じような、高い建物が見える。段差があるから、ちょっと低く見えて、割と低くて横長な魔導師団と間違えちゃったんだ。
場所も分かったし道も分かった。すぐに帰るべきなんだろうけど、、、。
さっきの会話が気になってついつい覗き見を続けてしまう。
あと一人、まだ訓練する子が居たよね。
、、、やっぱり見てみたいよね。
茂みの下の方に訓練場があるから、隠れてても様子がよく見えるの。
少しでも良いから、見てから帰りたい。
そう思ってると。
ざっと汗を拭いていた男の子達のうち三人は、若い騎士の一人と一緒に訓練場から出て行った。
後には、三十歳くらい?ちょっと落ち着いた感じの騎士さんと、赤毛の男の子が一人。
この子がまだ訓練するのね!
「最後の一本は、本気でやりたいんだ。」
「分かりました。お手柔らかに頼みますよ。」
穏やかにそんな会話を交わしてから、訓練場の真ん中に出て行く。照りつける夏の日差しを遮るものもなく、真昼の白い光の中に立つ二人。
「では、お願いします。」
「どうぞ。」
騎士の穏やかな声がした途端。
ギュイーーーン!
すごい速さで繰り出された一撃を弾き返す金属音が響き、私は固唾を飲んで見つめてしまった。
あの子、強いっ!
私では歯が立たない。ただ重いだけなら上手く流せば戦えるけど、あの子のは重くて速いから、頑張っても、逃げ回った挙句、動きに隙が出来たところを一撃されそう。
相手の騎士さんは少し余裕ありそうだけど、受け身ではなく結構攻めてもいるから、かなり実戦系だ。でも、男の子は避け方にも無駄がなくて、本当に身のこなしが安定している。
、、、ルー兄さまも叶わないかもしれない。それは、もちろん嫌なこと、なんだけど。でも。
すごい!すごい!!すごい!!!
私は興奮のあまり身を乗り出して
見つめてしまった。
最後は体力の差で動きが鈍くなったところを攻め込まれ、受け損ねて模擬刀を飛ばされた男の子の負けだった。まあ、相手は現役の騎士さんだし、当然だよね。
それにしても。
本当にいい訓練を見せてもらった。良かった!
そう思って感動していると。
挨拶を交わして、去って行く騎士さんを見送り、模擬刀を拾いにこちらへ向かってきた男の子が、こっちを見て言ったの。
「さっきからそこに居るのは誰だ。コソコソ隠れてないで出て来い。」
え、見つかってたの?私?
そして、そこに。
剣術の訓練をしていたらしい、男の子達が居た。
どの子も動き易そうなシャツにスラックス姿で、模擬剣がそばに置いてある。
でも、話からすると訓練はもう終わりみたいね。
みんな汗だくみたいで、襟元をパタパタしたり、頭を布で拭いたりしながら、身の回りのものを片付けてる。
一人、二人、、、男の子は四人だ。
三人はキラキラした髪色だけど、一人は私みたいに赤毛。ふふっ親近感わくな。
どの子も私より少し大きそう。ルー兄さまくらいかな。
背中向けてる子も居るし、瞳の色はよく分からないけど、どの子も結構カッコいいかも。フィン兄さまやルー兄さまみたいに美人さん系もいるし、オスカー兄上みたいな、、、精悍って言うんだっけ、、、感じの子もいる。
ウチの兄さまたちの方が素敵だけどね!!
大人の人も二人居て、見覚えのある紅の騎士服を着ているから、近衛騎士団の人ね。
そっか、そう言えばオリヴィエ兄さまが、政務宮のもう一方の裏道を行くと騎士団に着くって言ってたっけ。
ここ、近衛騎士団なんだ。確かに小さな訓練場の向こうには、政務宮と同じような、高い建物が見える。段差があるから、ちょっと低く見えて、割と低くて横長な魔導師団と間違えちゃったんだ。
場所も分かったし道も分かった。すぐに帰るべきなんだろうけど、、、。
さっきの会話が気になってついつい覗き見を続けてしまう。
あと一人、まだ訓練する子が居たよね。
、、、やっぱり見てみたいよね。
茂みの下の方に訓練場があるから、隠れてても様子がよく見えるの。
少しでも良いから、見てから帰りたい。
そう思ってると。
ざっと汗を拭いていた男の子達のうち三人は、若い騎士の一人と一緒に訓練場から出て行った。
後には、三十歳くらい?ちょっと落ち着いた感じの騎士さんと、赤毛の男の子が一人。
この子がまだ訓練するのね!
「最後の一本は、本気でやりたいんだ。」
「分かりました。お手柔らかに頼みますよ。」
穏やかにそんな会話を交わしてから、訓練場の真ん中に出て行く。照りつける夏の日差しを遮るものもなく、真昼の白い光の中に立つ二人。
「では、お願いします。」
「どうぞ。」
騎士の穏やかな声がした途端。
ギュイーーーン!
すごい速さで繰り出された一撃を弾き返す金属音が響き、私は固唾を飲んで見つめてしまった。
あの子、強いっ!
私では歯が立たない。ただ重いだけなら上手く流せば戦えるけど、あの子のは重くて速いから、頑張っても、逃げ回った挙句、動きに隙が出来たところを一撃されそう。
相手の騎士さんは少し余裕ありそうだけど、受け身ではなく結構攻めてもいるから、かなり実戦系だ。でも、男の子は避け方にも無駄がなくて、本当に身のこなしが安定している。
、、、ルー兄さまも叶わないかもしれない。それは、もちろん嫌なこと、なんだけど。でも。
すごい!すごい!!すごい!!!
私は興奮のあまり身を乗り出して
見つめてしまった。
最後は体力の差で動きが鈍くなったところを攻め込まれ、受け損ねて模擬刀を飛ばされた男の子の負けだった。まあ、相手は現役の騎士さんだし、当然だよね。
それにしても。
本当にいい訓練を見せてもらった。良かった!
そう思って感動していると。
挨拶を交わして、去って行く騎士さんを見送り、模擬刀を拾いにこちらへ向かってきた男の子が、こっちを見て言ったの。
「さっきからそこに居るのは誰だ。コソコソ隠れてないで出て来い。」
え、見つかってたの?私?
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