62 / 217
60
しおりを挟む
私は状況説明と避難誘導をしてもらう為にイガラシ邸に向かった。
この家も久しぶりだわ。
グレン個人の邸宅で暮らしてるわけだし。
まぁ帰国してからずっとマリアの家に居たんだけど。
「ふむ。有事と言うことなら、ゴルド」
「はっ、マシバ様」
彼がマシバ様の護衛であるゴルドさん。
話には聞いてたけど初めて見た。
想像より細いし、ゴツゴツもしてない。
「聞いたな。マーティンとやら、貴様は倒せそうか?」
「抜かりなく」
「そうか。じゃあいけ。グレンに遅れを取るなよ」
「御意」
そこまでは求めてなかったけど、でも戦力が多いに越したことはないわよね。
「避難誘導はイガラシ財閥の商会長達に頼もう。その方が円滑に進むだろう」
「それもそうですね。色々と助かります」
「我が国の危機だ。当然のことをしたまで。それにしてもこれはただの謀反なのか?」
「と言うと?」
「君の話を聞く限り、何か裏に誰かがいるとしか思えないのだよ。それが神国かナンチョウ人民国かはわからないがね」
「それはほぼ確実でしょう。しかし後ろ盾が片方だけとは限りません」
「両国が居る可能性もあるか。まぁゴルドが捕まえてくれるはずだ。あとは任せて大丈夫だろう」
マシバ様がそれだけ信頼しているって事はかなりの実力者なのね。
確かゴルドさんはグンジョーのお父さんと聞いているわ。
彼も精霊魔法使いなのかしら?
「そう言えばこの紙をマシバ様に渡すように言われてたのですが」
「ふむ、どれだ」
私はグレンから渡されたゴールドマリーが置いていった紙をマシバ様に渡した。
マシバ様がその紙を見ると大きく目を見開いた。
やっぱり読めるのね。
「驚いた。これは誰が書いたのだ?」
「帝国のゴールドマリー・・・聖女です」
「聖女がこの字の紙を渡してきたのか。彼女は何て言ってたんだ?」
私も詳しく聞いたわけじゃ無いからどう答えるか迷っていると、室内にペタペタと這いずってくる音がする。
何事かと思ったら、女の人が首輪を付けてる。
でもドレス着てるわ。
一体どんなプレイ?
「はぁはぁ・・・わんっ!」
「なに?」
「その紙を渡してきた彼女は、あなたがその紙について何か知ってるって聞いたのよ」
「ヒスイ!」
ヒスイさんだったんだ。
でもその鎖繋がれてる女性のインパクトが強すぎて、言葉が出てこなかった。
「いくらお前でも流石にそれはやり過ぎだ・・・」
「いいじゃない。彼女は自ら望んでやってるんだ」
「だからってこの国の王妃を・・・」
お・・う・・ひ?
私ちょっと疲れてるのかしら?
そこの犬のように扱われて頬を紅く染める女性が王妃!?
「えぇえええええ!?」
「傲慢さは見る影もなくなったわ」
「王妃の気品も見る影もなくなったがな!」
そうよ、マシバ様もっと言ってあげて。
頭抱えたくなるわよこんなの。
「細かい男は嫌いよ」
「そうだな。問題ないな」
マシバ様ぁ・・・
頼みの綱は落ちてしまった。
この情態でもオリバー様は喜びそうで怖いわよね。
「それでその聖女が私なら知ってるとそう言ったのだな」
「えぇ、彼女は他にも色々語っていたのよ」
ヒスイさんは、ゴールドマリーとヒスイさんが対峙したときのやりとりを全て話してくれた。
それにしても、ヒスイさんが殺気で撤退を選択したなんて信じられないわ。
「なるほどな。そのゴールドマリーと言う少女は恐らく勇者だろう」
「勇者?」
「勇者ってなんですか?」
「魔獣達の王である魔王を殺すために呼ばれた人達のことを指すのだ。過去には平気で異界から勇者を召喚していたんだ。そこで出てきた者達総じて勇者と呼ぶ」
「魔王に勇者。初めて聞いた名前だわ」
「現在は異世界人とも言われてる。イガラシ財閥の先祖もその異世界から来ていると」
驚いた。
だったら紙に書かれているのはまさか。
「ここにはイガラシと一番上の文字が五、二番目が十、そして最後の文字が嵐と書くそうだ」
「ごじゅうあらしでイガラシと読むのね」
「ではゴールドマリーも?」
「さぁな。しかしヒスイが聞いた例え話が事実だとすれば、彼女は被害者と言うことになるな」
彼女が被害者?
認めたくない事実と、マシバ様がそのことにたどり着いたと言うことは事実である可能性が高いと言うこと。
「まぁお前達が気にすることではないんじゃないか?それよりも、今はこの国内の問題だろう」
「それもそうね。あ、あたしは王妃の護衛があるし、ゴルドが離れたからこの人も守らないといけないから頼んだわよルルシアちゃん」
「そ、そうですね・・・」
気になることは多々あるけど、二人が動けないんだから私は早く現場に戻った方がいいわよね。
それに避難誘導がうまくいってなかったらそれのサポートもしないといけないもの。
「グレンをよろしく頼むわルルシアちゃん!」
「わかりました。二人とも気を付けて」
「あぁ、避難誘導は任せてもらおう」
取りあえずは国民の避難はすぐに出来そうね。
何処に避難誘導するのかはわからないけど。
「お任せしました。では私は行きます」
ひとまずは置いておこう。
まずはマーティンよ。
この家も久しぶりだわ。
グレン個人の邸宅で暮らしてるわけだし。
まぁ帰国してからずっとマリアの家に居たんだけど。
「ふむ。有事と言うことなら、ゴルド」
「はっ、マシバ様」
彼がマシバ様の護衛であるゴルドさん。
話には聞いてたけど初めて見た。
想像より細いし、ゴツゴツもしてない。
「聞いたな。マーティンとやら、貴様は倒せそうか?」
「抜かりなく」
「そうか。じゃあいけ。グレンに遅れを取るなよ」
「御意」
そこまでは求めてなかったけど、でも戦力が多いに越したことはないわよね。
「避難誘導はイガラシ財閥の商会長達に頼もう。その方が円滑に進むだろう」
「それもそうですね。色々と助かります」
「我が国の危機だ。当然のことをしたまで。それにしてもこれはただの謀反なのか?」
「と言うと?」
「君の話を聞く限り、何か裏に誰かがいるとしか思えないのだよ。それが神国かナンチョウ人民国かはわからないがね」
「それはほぼ確実でしょう。しかし後ろ盾が片方だけとは限りません」
「両国が居る可能性もあるか。まぁゴルドが捕まえてくれるはずだ。あとは任せて大丈夫だろう」
マシバ様がそれだけ信頼しているって事はかなりの実力者なのね。
確かゴルドさんはグンジョーのお父さんと聞いているわ。
彼も精霊魔法使いなのかしら?
「そう言えばこの紙をマシバ様に渡すように言われてたのですが」
「ふむ、どれだ」
私はグレンから渡されたゴールドマリーが置いていった紙をマシバ様に渡した。
マシバ様がその紙を見ると大きく目を見開いた。
やっぱり読めるのね。
「驚いた。これは誰が書いたのだ?」
「帝国のゴールドマリー・・・聖女です」
「聖女がこの字の紙を渡してきたのか。彼女は何て言ってたんだ?」
私も詳しく聞いたわけじゃ無いからどう答えるか迷っていると、室内にペタペタと這いずってくる音がする。
何事かと思ったら、女の人が首輪を付けてる。
でもドレス着てるわ。
一体どんなプレイ?
「はぁはぁ・・・わんっ!」
「なに?」
「その紙を渡してきた彼女は、あなたがその紙について何か知ってるって聞いたのよ」
「ヒスイ!」
ヒスイさんだったんだ。
でもその鎖繋がれてる女性のインパクトが強すぎて、言葉が出てこなかった。
「いくらお前でも流石にそれはやり過ぎだ・・・」
「いいじゃない。彼女は自ら望んでやってるんだ」
「だからってこの国の王妃を・・・」
お・・う・・ひ?
私ちょっと疲れてるのかしら?
そこの犬のように扱われて頬を紅く染める女性が王妃!?
「えぇえええええ!?」
「傲慢さは見る影もなくなったわ」
「王妃の気品も見る影もなくなったがな!」
そうよ、マシバ様もっと言ってあげて。
頭抱えたくなるわよこんなの。
「細かい男は嫌いよ」
「そうだな。問題ないな」
マシバ様ぁ・・・
頼みの綱は落ちてしまった。
この情態でもオリバー様は喜びそうで怖いわよね。
「それでその聖女が私なら知ってるとそう言ったのだな」
「えぇ、彼女は他にも色々語っていたのよ」
ヒスイさんは、ゴールドマリーとヒスイさんが対峙したときのやりとりを全て話してくれた。
それにしても、ヒスイさんが殺気で撤退を選択したなんて信じられないわ。
「なるほどな。そのゴールドマリーと言う少女は恐らく勇者だろう」
「勇者?」
「勇者ってなんですか?」
「魔獣達の王である魔王を殺すために呼ばれた人達のことを指すのだ。過去には平気で異界から勇者を召喚していたんだ。そこで出てきた者達総じて勇者と呼ぶ」
「魔王に勇者。初めて聞いた名前だわ」
「現在は異世界人とも言われてる。イガラシ財閥の先祖もその異世界から来ていると」
驚いた。
だったら紙に書かれているのはまさか。
「ここにはイガラシと一番上の文字が五、二番目が十、そして最後の文字が嵐と書くそうだ」
「ごじゅうあらしでイガラシと読むのね」
「ではゴールドマリーも?」
「さぁな。しかしヒスイが聞いた例え話が事実だとすれば、彼女は被害者と言うことになるな」
彼女が被害者?
認めたくない事実と、マシバ様がそのことにたどり着いたと言うことは事実である可能性が高いと言うこと。
「まぁお前達が気にすることではないんじゃないか?それよりも、今はこの国内の問題だろう」
「それもそうね。あ、あたしは王妃の護衛があるし、ゴルドが離れたからこの人も守らないといけないから頼んだわよルルシアちゃん」
「そ、そうですね・・・」
気になることは多々あるけど、二人が動けないんだから私は早く現場に戻った方がいいわよね。
それに避難誘導がうまくいってなかったらそれのサポートもしないといけないもの。
「グレンをよろしく頼むわルルシアちゃん!」
「わかりました。二人とも気を付けて」
「あぁ、避難誘導は任せてもらおう」
取りあえずは国民の避難はすぐに出来そうね。
何処に避難誘導するのかはわからないけど。
「お任せしました。では私は行きます」
ひとまずは置いておこう。
まずはマーティンよ。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる