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73.圧倒的!最悪の神の力
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三人とも施錠してしまった。
ブレードの暴走状態。
しかも完全に正気を失うんだろあれは!
俺は斑鳩さんに騙されて暴走させてしまったが、あいつらは自分の意思で暴走させた。
「「「アァァァァア゛ァァァ!」」」
竜巻に呑み込まれた三人の姿が変わっていた。
和澄は手にはめてあったナックルグローブ型のブレードがない。
代わりに大きな大剣を持っている。服装は黒いロングコートの軍服のような姿だ。
ルナトもやはり手にはまっていたナックルグローブ型のブレードがない。
代わりに棒のようなモノを持っていて、体勢が指揮者のような姿をしている。
服装はやっぱり黒だが、和澄とは違ってスーツ姿に近い。
そしてヨシュアは剣なのは変わらなかった。
けれど形態が一番おかしいのはヨシュアだ。
背中から棘のようなモノが生えている。
まるで茨のようなそんな感じの。
しかしそんなことよりなにより・・・
「ハハ・・・」
笑うしかない。
今のこの三人だけで帝国やアメリカなんかは沈んでしまいそうだ。
俺も暴走したときにこんだけ緊張感を感じていたとしたら、あの三人は相当、肝が座ってる。
俺はとてもじゃないが、生かして捕らえるなんて考えようともしなかっただろう。
「・・・まさかこれほどとはな」
エイダムと名乗っていたやつは何かつぶやいている。
まずは和澄が動き出した。
両手で持ったり片手で震ったりしてエイダムへと攻撃を何度も繰り出す。
エイダムが離れると斬撃を飛ばして、再び近づく。
「ア・・・ダムゥゥゥ!」
次に動き出したのはヨシュアだ。
こちらも和澄の動きに合わせて斬撃を飛ばす。
ホントに意識がないのか疑いたくなる連携だ。
「邪の道へと堕ちるか。これは救済が必要だ」
そしてヨシュアに一瞬で近づくが、そこでエイダムの動きが止まった。
これは・・・ルナトか?
ルナトは手を上げているだけ。
そして棒を振り回すと、エイダムは宙に浮き上がり地面に叩きつけられる。
しばらく地面に何度も叩きつけられた。
「くっ!これは金髪少年の仕業か!」
脱出し、ジャンプするエイダムだったけどそれは悪手だろう。
エイダムに和澄とヨシュアからの斬撃の嵐が襲いかかる。
しかし手を前にかざすと、斬撃が霧散した。
「バカモンが・・・あの三人、ブレードを暴走させよったな」
横でさっきまでのたうち回っていた紅の女王がつぶやく。
「おい!何故止めなかったんじゃ!」
俺の肩を掴みかんで怒鳴りつけてくる紅の女王。
「俺だって止めたかったさ!だけどじゃあどうする!これ以外に方法があったのか!?」
俺だって、あいつらと共に暴走をさせたかった。
あいつらは命の恩人だ。
そんなやつら命をかけたのに、俺だけ安全な場所で指をくわえて待ってるなんて!
「まずは一人」
俺と紅の女王はエイダムの方へ向く。
ヨシュアが吹き飛ばされていた。
あの斬撃を掻い潜り剣で斬りつけられたあと吹き飛ばされた。
身体から光の粒子が出ていて、次には背中の茨が消えた。
ヨシュアは生きてるのか?
なおも戦闘が続き、和澄がエイダムと交戦していて、ルナトがサポートをしている。
身体は連携をおぼえているんだろう。
「ヨシュア!しっかりせい!」
紅の女王がヨシュアへと駆け寄る。
胸からの血が止まってない。
「俺はヨシュアをみとく。紅の女王は医療とへ行って医者を呼んできてくれ。俺が言っても逆効果だ」
「くっ!冷静な対応ができるならこやつ等が暴走する前にしてほしかった!」
そう悪態吐いて、紅の女王、アンデルは駆けだしていった。
ベチョリ。
どれだけ出血してるんだ。
俺は服を脱いで傷口を抑える。
せめて止血しないと。
「さて、次は金髪の少年だ」
その声と共にルナトが吹き飛ばされてくる。
そしてルナトの持っていた棒が霧散し、グローブがルナトの頭上に形成された。
ルナトは、目立った外傷はないけど大丈夫か!?
「ルナト?」
ルナトの両腕は曲がっちゃ行けない方向に曲がっていた。
蹴り飛ばされて腕を交差させたからだ。
「骨折に内臓が破裂してる可能性もあるか・・」
重傷者が二人も・・・
そしてアンデルは医者を呼んで駆けつけて来た。
「遅い!」
「ワタシだってわかってる!」
口調が違う。
いやそれだけ焦ってるんだな。
自分のキャラ作りすら忘れるほど。
「これは!?まずはマーフィー様の息子様から治療します。そこの君止血はわかるが手を退けてくれ。すぐに傷口を縫う」
この人もかなりの胆力だ。
近くにはエイダムという化け物がいるというのに冷静に対処する。
それは戦闘力がおそらく無いだろう人に簡単にできることじゃない。
「殿下の容態は?」
「意識はない。ルナト起きなさい!」
「アンデル様。身体は揺すらないで下さい。呼吸があるなら服でもなんでもいいです。柔らかいモノで膝裏に強いて仰向けで寝かせて下さい。腹筋の力が緩みます」
言われたとおりアンデルさんは自分の服とズボンを丸めて対応する。
「さて、これで少年も終わりだな。人の身でよく頑張ったと言えよう。この三人に敬意を称え、この国の他の奴らは見逃してやる。まぁ最初からなにかしようというわけではないがな」
嘘だろ・・・?
和澄が一番重症なのはわかる。
剣が胸を貫いていた。
そして引き抜かれる剣。
地面に倒れ込む和澄。
ヨシュアなんかの比じゃないほどの出血量だ。
「和・・・澄?」
紅の女王の様子がおかしい。
おいまさか!?
殺気が急に跳ね上がった。
「き、貴様ぁぁ!」
アンデルは一瞬でエイダムの元に現れる。
この国は化け物だらけか!
だが今エイダムに喧嘩を売るのはまずい!
「アンデルやめろよ!」
しかし俺の声は聞こえてないのか、打撃を繰り返すアンデル。
エイダムはそれをすべていなしている。
「少女よ。見逃してやると言ったんだ。命はあまり無駄にするな」
「無駄だって!よくも和澄を!」
「この馬鹿がぁ」
俺はアンデルにタックルで掴みかかる。
「放せ!祐樹!あんたはまた裏切る気か!」
「ちげぇよ!」
そしてエイダムは空中浮遊し始める。
「赤髪の少年。英断だ。エヴァの複製とその弟子の処分は終了した。さらばだ。もう会う機会はないだろうがな」
そしてエイダムはどこかへ飛んで行ってしまう。
アンデルが俺を殴りつける。
「何故とめたぁ!」
俺も思い切りアンデルの頬を叩く。
「馬鹿が!あれが引くっていうんだから引かせとけよ!和澄の治療が先だろうが!」
そういうとアンデルはすぐに和澄に駆け寄る。
噴水のように血液が流れている。
「くそっ!レイクさんかメアリーはいないの?」
アンデルは目を涙でいっぱいにして叫んでいた。
こんなの致命傷に近い。
普通の治療じ無理だ。
神属性じゃないと治せない。
「アンデル。何があったかはある程度把握してるけど、あとで教えてね」
「和澄くん!?大丈夫?しっかり気を持って」
「モルフェ。それにメアリーも」
現れたのはメアリーとモルフェさんだった。
どうやってここに来たんだ?
「よかったよ。モスゲイルが闇属性を操れなかったら、ルナトとヨシュアはともかく、和澄は確実に死んでいた」
治療を始めるメアリーさん。
モスゲイルって一体。
イヴのところにはモスマンがいる。
あのモスマンが二人をここまで連れて来てくれたのか。
「貴方は・・・モスゲイル・・・」
「そうですイヴ様。さすがですね。胸の穴はもう塞がりつつあります」
イヴさんも胸を貫通させられていたんだったな。
そして足音が大量に聞こえてくる。
騒ぎを聞きつけて増援に来たんだろう。
遅い。あまりにも遅すぎる。
「う・・・化け物ぉぉ!全軍攻撃かまえ!」
隊長なのか?
モスマンを見て全軍銃を構えて向ける。
「おい・・・黙れよ・・・お前等」
アンデルの声色が低く怒鳴りつける。
仲間相手にこんだけ殺気を向けるなんて・・・。
いや正直、和澄の、友達命の恩人であるあのモスマンに攻撃を仕掛けようとして怒りは感じていた。
まぁ事情を知らない彼らには理不尽なんだが。
「しかしアンデル司令。あの化け物がこの惨状を・・・」
「二度は言わないわよ・・・?武器を下ろして黙れ・・・」
「ひっ!」
隊長は失禁する。
そりゃあの規模の殺気をまともに正面から受けたら恐怖するわな。
「アンデル様、住民の避難完了しました」
「アンデルお姉さん!顔が怖いし口調も戻ってる!冷静になって。彼らは何も知らないんだから、そこの蛾人間が化け物にみえるのもしょうがないよ」
あれはレイとカリアという女性か。
アンデルが現れるとともに避難誘導を始めた二人だ。
カリアの口調がラフな感じになってる。
心を静めるべく普段の対応をしたんだろうな。
たしか小さい頃のカリアを見ていたとか。
「わかっておる。すまぬ気が立っていた。主等のように柔軟な思考を期待するのも酷じゃな」
アンデルの口調が戻ってる。
そして和澄の元に駆け寄り、頬を撫でる。
「この馬鹿弟子が。師匠より先に死ぬなんて師匠不幸者になるとこじゃったぞ」
母のような目をしてる。
この人はそれだけ和澄のことが大事だったのか。
そういえば息子を失ったとか言っていたな。
和澄を息子のように思っているのか?
「アンデル様。ヨシュア様の一命は取り留めました」
ヨシュアの傷を縫っていた、医者の声がする。
「うむ。感謝するぞ。ルナトはどうだ?」
「はい。殿下は幸い内臓は破裂してないようです。しかし全身の骨にヒビが入っていると思われます」
「かなり重症じゃないか!」
「アンデルちゃん・・・そっちはわたしが見るわ。せめてもの責任として・・・ね」
ふらふらでイヴさんが歩いてくる。
こっちもこっちで化け物か!
「助かる。それとあとで事情を説明してくれイヴ」
「わかってるわ。巻き込んでごめんなさい」
イヴさんがルナトのところに座り込み手をかざしている。
神属性か。
ひとまずは全員生きててよかった。
いやエイダムの気まぐれに生かされたのが正しいな。
和澄は普通なら死んでいたし、本当に運が良い。
「そうだ。アンデル。報告したいことがあるんだ。いいか?」
「なんじゃ?」
そして俺は拠点にしていた小屋にあったロシアの元軍人の写真のことを話す。
元々そのことを伝えるために帝都へ来たんだ。
やはりというかアンデル、レイ、カリアは険しい顔をした。
ブレードの暴走状態。
しかも完全に正気を失うんだろあれは!
俺は斑鳩さんに騙されて暴走させてしまったが、あいつらは自分の意思で暴走させた。
「「「アァァァァア゛ァァァ!」」」
竜巻に呑み込まれた三人の姿が変わっていた。
和澄は手にはめてあったナックルグローブ型のブレードがない。
代わりに大きな大剣を持っている。服装は黒いロングコートの軍服のような姿だ。
ルナトもやはり手にはまっていたナックルグローブ型のブレードがない。
代わりに棒のようなモノを持っていて、体勢が指揮者のような姿をしている。
服装はやっぱり黒だが、和澄とは違ってスーツ姿に近い。
そしてヨシュアは剣なのは変わらなかった。
けれど形態が一番おかしいのはヨシュアだ。
背中から棘のようなモノが生えている。
まるで茨のようなそんな感じの。
しかしそんなことよりなにより・・・
「ハハ・・・」
笑うしかない。
今のこの三人だけで帝国やアメリカなんかは沈んでしまいそうだ。
俺も暴走したときにこんだけ緊張感を感じていたとしたら、あの三人は相当、肝が座ってる。
俺はとてもじゃないが、生かして捕らえるなんて考えようともしなかっただろう。
「・・・まさかこれほどとはな」
エイダムと名乗っていたやつは何かつぶやいている。
まずは和澄が動き出した。
両手で持ったり片手で震ったりしてエイダムへと攻撃を何度も繰り出す。
エイダムが離れると斬撃を飛ばして、再び近づく。
「ア・・・ダムゥゥゥ!」
次に動き出したのはヨシュアだ。
こちらも和澄の動きに合わせて斬撃を飛ばす。
ホントに意識がないのか疑いたくなる連携だ。
「邪の道へと堕ちるか。これは救済が必要だ」
そしてヨシュアに一瞬で近づくが、そこでエイダムの動きが止まった。
これは・・・ルナトか?
ルナトは手を上げているだけ。
そして棒を振り回すと、エイダムは宙に浮き上がり地面に叩きつけられる。
しばらく地面に何度も叩きつけられた。
「くっ!これは金髪少年の仕業か!」
脱出し、ジャンプするエイダムだったけどそれは悪手だろう。
エイダムに和澄とヨシュアからの斬撃の嵐が襲いかかる。
しかし手を前にかざすと、斬撃が霧散した。
「バカモンが・・・あの三人、ブレードを暴走させよったな」
横でさっきまでのたうち回っていた紅の女王がつぶやく。
「おい!何故止めなかったんじゃ!」
俺の肩を掴みかんで怒鳴りつけてくる紅の女王。
「俺だって止めたかったさ!だけどじゃあどうする!これ以外に方法があったのか!?」
俺だって、あいつらと共に暴走をさせたかった。
あいつらは命の恩人だ。
そんなやつら命をかけたのに、俺だけ安全な場所で指をくわえて待ってるなんて!
「まずは一人」
俺と紅の女王はエイダムの方へ向く。
ヨシュアが吹き飛ばされていた。
あの斬撃を掻い潜り剣で斬りつけられたあと吹き飛ばされた。
身体から光の粒子が出ていて、次には背中の茨が消えた。
ヨシュアは生きてるのか?
なおも戦闘が続き、和澄がエイダムと交戦していて、ルナトがサポートをしている。
身体は連携をおぼえているんだろう。
「ヨシュア!しっかりせい!」
紅の女王がヨシュアへと駆け寄る。
胸からの血が止まってない。
「俺はヨシュアをみとく。紅の女王は医療とへ行って医者を呼んできてくれ。俺が言っても逆効果だ」
「くっ!冷静な対応ができるならこやつ等が暴走する前にしてほしかった!」
そう悪態吐いて、紅の女王、アンデルは駆けだしていった。
ベチョリ。
どれだけ出血してるんだ。
俺は服を脱いで傷口を抑える。
せめて止血しないと。
「さて、次は金髪の少年だ」
その声と共にルナトが吹き飛ばされてくる。
そしてルナトの持っていた棒が霧散し、グローブがルナトの頭上に形成された。
ルナトは、目立った外傷はないけど大丈夫か!?
「ルナト?」
ルナトの両腕は曲がっちゃ行けない方向に曲がっていた。
蹴り飛ばされて腕を交差させたからだ。
「骨折に内臓が破裂してる可能性もあるか・・」
重傷者が二人も・・・
そしてアンデルは医者を呼んで駆けつけて来た。
「遅い!」
「ワタシだってわかってる!」
口調が違う。
いやそれだけ焦ってるんだな。
自分のキャラ作りすら忘れるほど。
「これは!?まずはマーフィー様の息子様から治療します。そこの君止血はわかるが手を退けてくれ。すぐに傷口を縫う」
この人もかなりの胆力だ。
近くにはエイダムという化け物がいるというのに冷静に対処する。
それは戦闘力がおそらく無いだろう人に簡単にできることじゃない。
「殿下の容態は?」
「意識はない。ルナト起きなさい!」
「アンデル様。身体は揺すらないで下さい。呼吸があるなら服でもなんでもいいです。柔らかいモノで膝裏に強いて仰向けで寝かせて下さい。腹筋の力が緩みます」
言われたとおりアンデルさんは自分の服とズボンを丸めて対応する。
「さて、これで少年も終わりだな。人の身でよく頑張ったと言えよう。この三人に敬意を称え、この国の他の奴らは見逃してやる。まぁ最初からなにかしようというわけではないがな」
嘘だろ・・・?
和澄が一番重症なのはわかる。
剣が胸を貫いていた。
そして引き抜かれる剣。
地面に倒れ込む和澄。
ヨシュアなんかの比じゃないほどの出血量だ。
「和・・・澄?」
紅の女王の様子がおかしい。
おいまさか!?
殺気が急に跳ね上がった。
「き、貴様ぁぁ!」
アンデルは一瞬でエイダムの元に現れる。
この国は化け物だらけか!
だが今エイダムに喧嘩を売るのはまずい!
「アンデルやめろよ!」
しかし俺の声は聞こえてないのか、打撃を繰り返すアンデル。
エイダムはそれをすべていなしている。
「少女よ。見逃してやると言ったんだ。命はあまり無駄にするな」
「無駄だって!よくも和澄を!」
「この馬鹿がぁ」
俺はアンデルにタックルで掴みかかる。
「放せ!祐樹!あんたはまた裏切る気か!」
「ちげぇよ!」
そしてエイダムは空中浮遊し始める。
「赤髪の少年。英断だ。エヴァの複製とその弟子の処分は終了した。さらばだ。もう会う機会はないだろうがな」
そしてエイダムはどこかへ飛んで行ってしまう。
アンデルが俺を殴りつける。
「何故とめたぁ!」
俺も思い切りアンデルの頬を叩く。
「馬鹿が!あれが引くっていうんだから引かせとけよ!和澄の治療が先だろうが!」
そういうとアンデルはすぐに和澄に駆け寄る。
噴水のように血液が流れている。
「くそっ!レイクさんかメアリーはいないの?」
アンデルは目を涙でいっぱいにして叫んでいた。
こんなの致命傷に近い。
普通の治療じ無理だ。
神属性じゃないと治せない。
「アンデル。何があったかはある程度把握してるけど、あとで教えてね」
「和澄くん!?大丈夫?しっかり気を持って」
「モルフェ。それにメアリーも」
現れたのはメアリーとモルフェさんだった。
どうやってここに来たんだ?
「よかったよ。モスゲイルが闇属性を操れなかったら、ルナトとヨシュアはともかく、和澄は確実に死んでいた」
治療を始めるメアリーさん。
モスゲイルって一体。
イヴのところにはモスマンがいる。
あのモスマンが二人をここまで連れて来てくれたのか。
「貴方は・・・モスゲイル・・・」
「そうですイヴ様。さすがですね。胸の穴はもう塞がりつつあります」
イヴさんも胸を貫通させられていたんだったな。
そして足音が大量に聞こえてくる。
騒ぎを聞きつけて増援に来たんだろう。
遅い。あまりにも遅すぎる。
「う・・・化け物ぉぉ!全軍攻撃かまえ!」
隊長なのか?
モスマンを見て全軍銃を構えて向ける。
「おい・・・黙れよ・・・お前等」
アンデルの声色が低く怒鳴りつける。
仲間相手にこんだけ殺気を向けるなんて・・・。
いや正直、和澄の、友達命の恩人であるあのモスマンに攻撃を仕掛けようとして怒りは感じていた。
まぁ事情を知らない彼らには理不尽なんだが。
「しかしアンデル司令。あの化け物がこの惨状を・・・」
「二度は言わないわよ・・・?武器を下ろして黙れ・・・」
「ひっ!」
隊長は失禁する。
そりゃあの規模の殺気をまともに正面から受けたら恐怖するわな。
「アンデル様、住民の避難完了しました」
「アンデルお姉さん!顔が怖いし口調も戻ってる!冷静になって。彼らは何も知らないんだから、そこの蛾人間が化け物にみえるのもしょうがないよ」
あれはレイとカリアという女性か。
アンデルが現れるとともに避難誘導を始めた二人だ。
カリアの口調がラフな感じになってる。
心を静めるべく普段の対応をしたんだろうな。
たしか小さい頃のカリアを見ていたとか。
「わかっておる。すまぬ気が立っていた。主等のように柔軟な思考を期待するのも酷じゃな」
アンデルの口調が戻ってる。
そして和澄の元に駆け寄り、頬を撫でる。
「この馬鹿弟子が。師匠より先に死ぬなんて師匠不幸者になるとこじゃったぞ」
母のような目をしてる。
この人はそれだけ和澄のことが大事だったのか。
そういえば息子を失ったとか言っていたな。
和澄を息子のように思っているのか?
「アンデル様。ヨシュア様の一命は取り留めました」
ヨシュアの傷を縫っていた、医者の声がする。
「うむ。感謝するぞ。ルナトはどうだ?」
「はい。殿下は幸い内臓は破裂してないようです。しかし全身の骨にヒビが入っていると思われます」
「かなり重症じゃないか!」
「アンデルちゃん・・・そっちはわたしが見るわ。せめてもの責任として・・・ね」
ふらふらでイヴさんが歩いてくる。
こっちもこっちで化け物か!
「助かる。それとあとで事情を説明してくれイヴ」
「わかってるわ。巻き込んでごめんなさい」
イヴさんがルナトのところに座り込み手をかざしている。
神属性か。
ひとまずは全員生きててよかった。
いやエイダムの気まぐれに生かされたのが正しいな。
和澄は普通なら死んでいたし、本当に運が良い。
「そうだ。アンデル。報告したいことがあるんだ。いいか?」
「なんじゃ?」
そして俺は拠点にしていた小屋にあったロシアの元軍人の写真のことを話す。
元々そのことを伝えるために帝都へ来たんだ。
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