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24.紅の女王の実力
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俺たちはイヴさんの家の前で立っていた。冷静に考えたら家主不在の中家に上がるのはどーなんだ?ミナとルナトも同じ考えらしく家を空けられずにいた。
その中アンデルさんが家の門を開け、そのままドアに手をやる。鍵はかかっていないから普通にドアが開いた。
「お主らは若いのぉ。これくらいは何も考えずに甘えておけぃ!家を空けた相手に失礼じゃ」
たしかにそうだ。家を空けても平気だろうと俺たちを信用してくれてる相手に遠慮するなんて。
「そうだなアンデル。私も立場上は無断で家に入ることあるかもしれない。じゃなくても私たちはここに1週間泊まるのだ。同じことがあるかもしれない。今のうちに慣れておこう」
俺とミナも頷きイヴさんの家に入っていく。
中に入るなりアンデルさんは冷蔵庫を物色し始める。いくらなんでもこれは・・・。
そういえばうちでもソファに寝転がって寛いでいたなぁ。そう思い出している間にアンデルさんは飲み物を全員分入れ、お菓子を全員分出してくれた。
「さぁて!先程はイヴの所為で話を聞けなんかったから、思う存分聞くぞ儂は!この菓子は遠慮なく食え食え」
俺はもう少し遠慮した方がいいと思う。が、気力に押されて何も言えなかった。
◇◆◇◆◇
俺たちは家の庭にいた。
アンデルさんと雑談をしてるときに、俺たちと今日はアンデルさんが稽古をつけてくれるというので、お言葉に甘えることになった。紅の女王の胸を借りれるなんてありがたいことだ。
この場にミナはいない。雑談が終わって外に出るとき「私は非戦闘員なのでブレード解析したいから、カズくんとルナトくんはブレード置いてって」と俺たちのブレードを回収して、泊まる部屋に入っていった。
「お主らの実力がまず知りたい。胸を貸してやるから好きにかかってくるのじゃ」
見た目に騙されてはいけない。この人は普段から有象無象の鎮圧をこなす警備兵の総司令官だ。実戦経験は豊富だろう。
俺とルナトは目で合図しルナトは突撃、俺はその攻撃でできた隙をつく。
ルナトは殴りかかるが、身体を傾けて交わされる。交わされた勢いのまま、回し蹴りを腹に1発お見舞いするがそれを両手で受け止めた。両手がふさがったその隙に、俺は後ろから飛び蹴りをする。完全に虚をついた攻撃だったはずなのに<未来視>が発動。掴んだルナトを飛ばして俺にぶつける未来が視えた。俺はルナトを受け止める態勢に入る。
「若いのぉ」
俺はルナトを受け止めた。そして腹を殴られた。
―――!?どういうことだ?こんなのは視えなかった。
「なんの魔眼かはわからんがのぉ。大方予測演算か予知の類だろうが、自分の能力くらい把握しておけぃ」
一度相対しただけで魔眼だと見切られた。
どうやったのかわからないけどまだ戦闘中だ。
俺たちはもう一度攻撃態勢に入る。そしてルナトは駆け出した。拳技と足技の怒涛の攻撃だが涼しい顔をして去なすアンデルさん。
「お主らの実力はわかった。殿下は毎日稽古をしてるがテンプレ通りの動き過ぎるな。工夫を入れなければならんぞ。それじゃ見切ってくれと言ってるもんじゃ」
俺はルナトが攻撃してる隙に、後ろに回ってボディブローをする。しかし最早見られることもなく背負い投げされ殴りかかっているルナトに激突する。
「和澄も動き自体は悪くはないが、無意識に魔眼に自信を持ってあるのがダメじゃな。攻撃をする時にも魔眼を使え。常に受け身が取れる態勢で攻撃をしていては、熟練者にはなにかあるとわかるぞ。受け身を取る姿勢は悪くないが防御に特化したものでないのなら相手に悟られるでない」
アンデルさんほどの実力者ならば少しの違和感すら何かあると予測できてしまうのか。
俺とルナトは再び立ち上がるが、すぐ倒れ伏せる。
またもや予知ができなかった。これはもうあっちも魔眼使いでなんらかの方法で予知を無効化してる?
「ふふ。意地が悪いかのぉ。おまけじゃ。儂の魔眼の能力は他の魔眼は干渉できないんじゃ。儂の魔眼は<事象改変>。5秒前の過去を変えることができる。私は過去の自分の行動を変更したんじゃ。1分に1度しか使用はできないがのぉ。もし使用する場合、代償としてそこから1秒待たずに使う事に1歳若返ってしまうんじゃ。だからそっちは模擬戦で使わんから安心せい」
かなり難しい話だ。俺は言ってることが理解できない。見ればルナトも頭に?を浮かべてる。
「なんじゃ、難しかったかのぉ?」
ルナトが答える。
「あぁ、少なくとも私にはよくわからない現象だ。要するに過去に行って自分の行動を変えている。そしてそれを何度も連続して使用すると若返ってしまうってことか?」
「うーん厳密には違うがその感覚は近い。実際に行ってるわけじゃないから記憶はないからの」
なるほど過去にタイムリープしてる感覚か。じゃんけんで後出しができるってことじゃないか。それじゃ勝ち目がないじゃないか。
「限界まで若返るとどうなるんですか?」
「おそらく死ぬじゃろな」
破格な能力な分代償がかなり重たい。それは寿命を削っているようなもので、模擬戦では連続使用するにはあまりに割高だ。つまり実践ならまだしも模擬戦ならまだ勝機はあるということだ。
「一旦休憩にしよう。10分後再開じゃ。それまでに2人は作戦を練ってかかってくるがよい。儂が言ったことも忘れるでないぞ」
そんなすぐに変えれるようなことではないが指摘したところを意識して次は一矢報いろうと決意する。
その中アンデルさんが家の門を開け、そのままドアに手をやる。鍵はかかっていないから普通にドアが開いた。
「お主らは若いのぉ。これくらいは何も考えずに甘えておけぃ!家を空けた相手に失礼じゃ」
たしかにそうだ。家を空けても平気だろうと俺たちを信用してくれてる相手に遠慮するなんて。
「そうだなアンデル。私も立場上は無断で家に入ることあるかもしれない。じゃなくても私たちはここに1週間泊まるのだ。同じことがあるかもしれない。今のうちに慣れておこう」
俺とミナも頷きイヴさんの家に入っていく。
中に入るなりアンデルさんは冷蔵庫を物色し始める。いくらなんでもこれは・・・。
そういえばうちでもソファに寝転がって寛いでいたなぁ。そう思い出している間にアンデルさんは飲み物を全員分入れ、お菓子を全員分出してくれた。
「さぁて!先程はイヴの所為で話を聞けなんかったから、思う存分聞くぞ儂は!この菓子は遠慮なく食え食え」
俺はもう少し遠慮した方がいいと思う。が、気力に押されて何も言えなかった。
◇◆◇◆◇
俺たちは家の庭にいた。
アンデルさんと雑談をしてるときに、俺たちと今日はアンデルさんが稽古をつけてくれるというので、お言葉に甘えることになった。紅の女王の胸を借りれるなんてありがたいことだ。
この場にミナはいない。雑談が終わって外に出るとき「私は非戦闘員なのでブレード解析したいから、カズくんとルナトくんはブレード置いてって」と俺たちのブレードを回収して、泊まる部屋に入っていった。
「お主らの実力がまず知りたい。胸を貸してやるから好きにかかってくるのじゃ」
見た目に騙されてはいけない。この人は普段から有象無象の鎮圧をこなす警備兵の総司令官だ。実戦経験は豊富だろう。
俺とルナトは目で合図しルナトは突撃、俺はその攻撃でできた隙をつく。
ルナトは殴りかかるが、身体を傾けて交わされる。交わされた勢いのまま、回し蹴りを腹に1発お見舞いするがそれを両手で受け止めた。両手がふさがったその隙に、俺は後ろから飛び蹴りをする。完全に虚をついた攻撃だったはずなのに<未来視>が発動。掴んだルナトを飛ばして俺にぶつける未来が視えた。俺はルナトを受け止める態勢に入る。
「若いのぉ」
俺はルナトを受け止めた。そして腹を殴られた。
―――!?どういうことだ?こんなのは視えなかった。
「なんの魔眼かはわからんがのぉ。大方予測演算か予知の類だろうが、自分の能力くらい把握しておけぃ」
一度相対しただけで魔眼だと見切られた。
どうやったのかわからないけどまだ戦闘中だ。
俺たちはもう一度攻撃態勢に入る。そしてルナトは駆け出した。拳技と足技の怒涛の攻撃だが涼しい顔をして去なすアンデルさん。
「お主らの実力はわかった。殿下は毎日稽古をしてるがテンプレ通りの動き過ぎるな。工夫を入れなければならんぞ。それじゃ見切ってくれと言ってるもんじゃ」
俺はルナトが攻撃してる隙に、後ろに回ってボディブローをする。しかし最早見られることもなく背負い投げされ殴りかかっているルナトに激突する。
「和澄も動き自体は悪くはないが、無意識に魔眼に自信を持ってあるのがダメじゃな。攻撃をする時にも魔眼を使え。常に受け身が取れる態勢で攻撃をしていては、熟練者にはなにかあるとわかるぞ。受け身を取る姿勢は悪くないが防御に特化したものでないのなら相手に悟られるでない」
アンデルさんほどの実力者ならば少しの違和感すら何かあると予測できてしまうのか。
俺とルナトは再び立ち上がるが、すぐ倒れ伏せる。
またもや予知ができなかった。これはもうあっちも魔眼使いでなんらかの方法で予知を無効化してる?
「ふふ。意地が悪いかのぉ。おまけじゃ。儂の魔眼の能力は他の魔眼は干渉できないんじゃ。儂の魔眼は<事象改変>。5秒前の過去を変えることができる。私は過去の自分の行動を変更したんじゃ。1分に1度しか使用はできないがのぉ。もし使用する場合、代償としてそこから1秒待たずに使う事に1歳若返ってしまうんじゃ。だからそっちは模擬戦で使わんから安心せい」
かなり難しい話だ。俺は言ってることが理解できない。見ればルナトも頭に?を浮かべてる。
「なんじゃ、難しかったかのぉ?」
ルナトが答える。
「あぁ、少なくとも私にはよくわからない現象だ。要するに過去に行って自分の行動を変えている。そしてそれを何度も連続して使用すると若返ってしまうってことか?」
「うーん厳密には違うがその感覚は近い。実際に行ってるわけじゃないから記憶はないからの」
なるほど過去にタイムリープしてる感覚か。じゃんけんで後出しができるってことじゃないか。それじゃ勝ち目がないじゃないか。
「限界まで若返るとどうなるんですか?」
「おそらく死ぬじゃろな」
破格な能力な分代償がかなり重たい。それは寿命を削っているようなもので、模擬戦では連続使用するにはあまりに割高だ。つまり実践ならまだしも模擬戦ならまだ勝機はあるということだ。
「一旦休憩にしよう。10分後再開じゃ。それまでに2人は作戦を練ってかかってくるがよい。儂が言ったことも忘れるでないぞ」
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