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20.怒りの笑顔
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『皆さまご覧ください。こちらの方々が非道にも我が国に侵略し、街一つを壊滅させた帝国兵たちです』
レオナルドは饒舌に語る。こいつらが我が国に手を出した。許してはおけないと。
アンデルは顔をしかめて口にする。
「この豚めが!あることないこと口にしよって」
レオナルドはこの場で公開処刑すると言い出したのだ。22世紀において21世紀からある論理的問題などで、色々言われている中での公開処刑は賛否両論があるが、アメリカで起きるのは前代未聞である。
そして斑鳩の近くにいたソンジェが連れてかれる。
「あなた・・・」
メアリーはこれから夫がどうなるかわかっている。それでももしかしたらという希望を願っていた。
斑鳩はソンジェに対して叫ぶ。
『最後に我が国の民に詫びの一つでも入れないか帝国のクズが!』
―――パンッ
斑鳩は持っていた銃でほとんど無防備のソンジェの腹部に発砲する。
その映像を観ていたメアリーは涙を堪え口に手をかざしていた。
『ゴボッ・・・どちらがクズかね!僕は君らになんかには屈しないさ!何年も牢獄に閉じ込めてあることないこといいやがって!』
レオナルドはまたも饒舌に語り出す。
『帝国の上層に捕まったらそういうように言われたのでしょう。悲しい話です。どうか彼らのことは恨まないでください。悪いのは帝国の教えと皇帝のみです。さぁ斑鳩、彼に救済を』
斑鳩は腰に装着していた剣を抜刀する。そして剣を空へと掲げる。
ソンジェの最後の言葉が聞こえてくる。
『メアリー、愛してい・・・』
言葉を言い切る前に剣が振り下ろされ、ソンジェの首と胴は永遠の別れを告げる。
頭が宙を舞い、首から血があふれ出す
メアリーはしばらく放心していたが、広場に広がる赤い染みと首の骨がむき出しになって、口を開いたまま白目を向く旦那の変わり果てた姿を観て徐々に正気を
「あなた・・・いやよ・・・いや・・・イヤァァァァァァァァァ!」
メアリーはショックで意識を失った。わかっていても夫の死を目の前で観ては正気を保てなかった。
気を失ったメアリーをソファで横にさせるカナン。彼女自身も生首を見て、今にも吐きそうな青い顔をしていたが、メアリーの気持ちを思うと耐えなければいけなかった。
アンデルは怒りで顔を悪態つく。
「なにが救済か。こんなのただの虐殺じゃ!今のアメリカはここまで腐っておるのか」
しかし後ろでは忠澄は笑っていた。そして巻き起こる竜巻。
「義姉さんの魔眼<暴風>」
竜巻は止んだ。手首が二つ転がっていた。そしてその場から静枝が消え、手をひとつなくした忠澄の姿があった。
斑鳩は不愉快だと言わんばかりに眉間にしわを寄せ、近くの兵士へ叫ぶ。
『俗が一人逃げたぞ!追え!』
斑鳩の叱咤激励を受けた兵士だったが、忠澄が蹴りを入れて吹き飛ばす。
『させるかよぉ!殿はしっかり努めるぜ』
忠澄は兵士達が落とした銃を発砲。静江に追走しようとした兵士は頭を撃たれて絶命した。
逃走した静江が見えなくなる。
『斑鳩ぁ!義兄として、隊長として義弟であり部下であるてめぇの不始末はしないといけねぇ!』
『ふふふ。冗談が過ぎるよ義兄さん。皆さま申し訳ありません。私の姉夫婦たちは帝国の犬となってしまいました。そして非道にも兵士2人の尊い命を奪ってしまいました。彼らのためにも逃走した姉は必ず捕縛いたします』
集めていた人の野次が飛ぶが、斑鳩はそんなこと気にすることなく涼しい顔をして忠澄をみている。
全員がどうなるか息を呑んでみているところで映像が終了した。
「ここで映像は途切れている。忠澄とその部隊員たちはあの場で射殺され・・どこへ行く香澄!」
香澄は机を思い切り叩き部屋を出て行こうとする。マーフィーは抱きついて無理やり止めたが、香澄の顔を見て絶句する。香澄からは怒りの感情を感じるのに顔は笑っていた。
「斑鳩を殺す」
「落ち着け。お前の怒りはわかるが俺はお前の夫として、妻をその精神状態で外へは出せない」
しかし香澄は出て行こうと暴れる。
「あなた離して!義姉さんだってまだアメリカにいるんだ!助けないと」
マーフィーは静江は密偵に保護されて治療を受けていて、近日中には帰国するということを香澄に伝えた。
香澄は納得した顔をしていないが一先ずは席に着いた。ヨシュアはマーフィーに話を続けるように促す。
「母さんの気持ちはわかるよ。俺も斑鳩が許せない。父さん、この映像を見せたのは叔父さんたちの死を確認させるだけじゃないんでしょ?」
マーフィーはヨシュア落ち着いて諭されたのに戸惑いながらも話を続ける。
「あ、あぁ。この場にいるものは全員、戦争が始まった場合に徴兵される可能性のある、わたしと親しい者たちだ」
マーフィーはここにいる人間でブレードを唯一持たない。メアリーの武器型は十字架のようなもので殺傷能力はないが、神属性を操れる。帝国には神属性のブレード所持するのは皇帝とメアリーの2人しかいない。よって戦場には出なくても医療施設で衛生兵として徴兵される可能性はあるのだ。
しかしカナンは殿下の護衛も兼任した、学園への配属なので徴兵されるのはおそらく遅いとのこと。
そこでこの場にいて和澄と唯一面識がなく、和澄の暴走について知らないアンデルが質問をする。
「なるほどのぉ。しかしお主の甥もブレード所持者と聞いたぞ。いくら子供だからと言って徴兵されないとは限らんだろう?」
アンデルの疑問は最もだ。子供を戦場に出さないなど余裕があるときにしか言えない。しかし和澄が暴走した場合、デメリットとしてヨシュアとカナンが戦力にならずに下手をすると和澄が配属された部隊全員が無力化される。
そのことを話すとアンデルはほほぉと和澄に関心を抱いた。
レオナルドは饒舌に語る。こいつらが我が国に手を出した。許してはおけないと。
アンデルは顔をしかめて口にする。
「この豚めが!あることないこと口にしよって」
レオナルドはこの場で公開処刑すると言い出したのだ。22世紀において21世紀からある論理的問題などで、色々言われている中での公開処刑は賛否両論があるが、アメリカで起きるのは前代未聞である。
そして斑鳩の近くにいたソンジェが連れてかれる。
「あなた・・・」
メアリーはこれから夫がどうなるかわかっている。それでももしかしたらという希望を願っていた。
斑鳩はソンジェに対して叫ぶ。
『最後に我が国の民に詫びの一つでも入れないか帝国のクズが!』
―――パンッ
斑鳩は持っていた銃でほとんど無防備のソンジェの腹部に発砲する。
その映像を観ていたメアリーは涙を堪え口に手をかざしていた。
『ゴボッ・・・どちらがクズかね!僕は君らになんかには屈しないさ!何年も牢獄に閉じ込めてあることないこといいやがって!』
レオナルドはまたも饒舌に語り出す。
『帝国の上層に捕まったらそういうように言われたのでしょう。悲しい話です。どうか彼らのことは恨まないでください。悪いのは帝国の教えと皇帝のみです。さぁ斑鳩、彼に救済を』
斑鳩は腰に装着していた剣を抜刀する。そして剣を空へと掲げる。
ソンジェの最後の言葉が聞こえてくる。
『メアリー、愛してい・・・』
言葉を言い切る前に剣が振り下ろされ、ソンジェの首と胴は永遠の別れを告げる。
頭が宙を舞い、首から血があふれ出す
メアリーはしばらく放心していたが、広場に広がる赤い染みと首の骨がむき出しになって、口を開いたまま白目を向く旦那の変わり果てた姿を観て徐々に正気を
「あなた・・・いやよ・・・いや・・・イヤァァァァァァァァァ!」
メアリーはショックで意識を失った。わかっていても夫の死を目の前で観ては正気を保てなかった。
気を失ったメアリーをソファで横にさせるカナン。彼女自身も生首を見て、今にも吐きそうな青い顔をしていたが、メアリーの気持ちを思うと耐えなければいけなかった。
アンデルは怒りで顔を悪態つく。
「なにが救済か。こんなのただの虐殺じゃ!今のアメリカはここまで腐っておるのか」
しかし後ろでは忠澄は笑っていた。そして巻き起こる竜巻。
「義姉さんの魔眼<暴風>」
竜巻は止んだ。手首が二つ転がっていた。そしてその場から静枝が消え、手をひとつなくした忠澄の姿があった。
斑鳩は不愉快だと言わんばかりに眉間にしわを寄せ、近くの兵士へ叫ぶ。
『俗が一人逃げたぞ!追え!』
斑鳩の叱咤激励を受けた兵士だったが、忠澄が蹴りを入れて吹き飛ばす。
『させるかよぉ!殿はしっかり努めるぜ』
忠澄は兵士達が落とした銃を発砲。静江に追走しようとした兵士は頭を撃たれて絶命した。
逃走した静江が見えなくなる。
『斑鳩ぁ!義兄として、隊長として義弟であり部下であるてめぇの不始末はしないといけねぇ!』
『ふふふ。冗談が過ぎるよ義兄さん。皆さま申し訳ありません。私の姉夫婦たちは帝国の犬となってしまいました。そして非道にも兵士2人の尊い命を奪ってしまいました。彼らのためにも逃走した姉は必ず捕縛いたします』
集めていた人の野次が飛ぶが、斑鳩はそんなこと気にすることなく涼しい顔をして忠澄をみている。
全員がどうなるか息を呑んでみているところで映像が終了した。
「ここで映像は途切れている。忠澄とその部隊員たちはあの場で射殺され・・どこへ行く香澄!」
香澄は机を思い切り叩き部屋を出て行こうとする。マーフィーは抱きついて無理やり止めたが、香澄の顔を見て絶句する。香澄からは怒りの感情を感じるのに顔は笑っていた。
「斑鳩を殺す」
「落ち着け。お前の怒りはわかるが俺はお前の夫として、妻をその精神状態で外へは出せない」
しかし香澄は出て行こうと暴れる。
「あなた離して!義姉さんだってまだアメリカにいるんだ!助けないと」
マーフィーは静江は密偵に保護されて治療を受けていて、近日中には帰国するということを香澄に伝えた。
香澄は納得した顔をしていないが一先ずは席に着いた。ヨシュアはマーフィーに話を続けるように促す。
「母さんの気持ちはわかるよ。俺も斑鳩が許せない。父さん、この映像を見せたのは叔父さんたちの死を確認させるだけじゃないんでしょ?」
マーフィーはヨシュア落ち着いて諭されたのに戸惑いながらも話を続ける。
「あ、あぁ。この場にいるものは全員、戦争が始まった場合に徴兵される可能性のある、わたしと親しい者たちだ」
マーフィーはここにいる人間でブレードを唯一持たない。メアリーの武器型は十字架のようなもので殺傷能力はないが、神属性を操れる。帝国には神属性のブレード所持するのは皇帝とメアリーの2人しかいない。よって戦場には出なくても医療施設で衛生兵として徴兵される可能性はあるのだ。
しかしカナンは殿下の護衛も兼任した、学園への配属なので徴兵されるのはおそらく遅いとのこと。
そこでこの場にいて和澄と唯一面識がなく、和澄の暴走について知らないアンデルが質問をする。
「なるほどのぉ。しかしお主の甥もブレード所持者と聞いたぞ。いくら子供だからと言って徴兵されないとは限らんだろう?」
アンデルの疑問は最もだ。子供を戦場に出さないなど余裕があるときにしか言えない。しかし和澄が暴走した場合、デメリットとしてヨシュアとカナンが戦力にならずに下手をすると和澄が配属された部隊全員が無力化される。
そのことを話すとアンデルはほほぉと和澄に関心を抱いた。
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