上 下
67 / 106
四章

転生者。前世と合わせたら大抵年寄り

しおりを挟む
 陛下が他国へ行ったあの日は、ジノアの奴も色々とすることがあるからってすぐに宮廷に戻って行きやがった。
 それから一週間、俺達はセバスについて何も話せず終いだよ。

「ていうか、あのタイミングでジノア普通帰るかぁ!」

「うるさいぞリアス。しっかり働け。お前達も決闘の当事者である以上、これはペナルティなんだからな」

 俺はシャルル先生の雑用をやらされている。
 今は明日の授業の前に資料集と、その他諸々すべてを俺が持って運んでいた。
 俺だけじゃ無く、グレシア側の決闘の代行人であるミラ、イルミナもそれぞれリューリカ先生、セミール先生の手伝いをさせられている。
 グレイとグレシアは聖人聖女だからって免除とかずるくね!

「そんなこと言ったってこれ重たいんっすよ。てかシャルルさん、これいつまで続けりゃ良いんですかぁ」

「さぁなぁ。卒業するまでか?」

「そんなぁ・・・」

 要するに学園生活一生雑用生活って事じゃん。
 つらすぎんだろ!

「学園長の補佐を出来て光栄だろ?」

 シャルル先生は前学園長が信徒じゃなくなったことによって、副学園長から学園長に格上げされた。

「いや、全ぜ------イダダダダダダダッ」

 荷物を持っているから手が塞がってるから防げないのに、鼻を思い切り摘ままれる。
 ヤバ、鼻水出そう。

「す、すびばせん・・・」

「分かれば良い。それにしても昨日の決闘は滑稽だったな」

 アルバートとグレシアの決闘は結局引き分けと言うことを教皇が認めず、教皇の名の下に昨日再戦を行った。
 あれはウザかったな。
 けどそれ以上に面白かったのが、決闘場に現れたのはアルバートのみだったと言うこと。
 さすがにガーデルは俺に対して殺人未遂を行ったこともあって今も牢獄にいる。
 そしてパルバディは何故かアルバートへの協力を拒否したらしい。
 グランベルはリリィが眠っているからって、ずっと学園内の病室につきっきりだ。
 アルバートはしょうがないから他の代理人を捜そうとしたらしいけど、俺とミラとイルミナの実力を実際に目にした状態で、アルバートに協力しようって言う強きの生徒はタダの一人もいなかった。
 高位貴族の子息とかは出てくると思ってたんだけどなぁ。

「まさかアルバートに協力しようと言うバカが一人も出てこないとは思ってなかったぞ。アルバートへの不敬罪になる事と、勝てもしない闘いに参加してお前達に今後永遠に対峙していくデメリットを天秤にかけて、全員後者を選んだろうな」

「公爵家や侯爵家くらいは出てくるとおもってたんですけどね」

「アルバートは頼みに行ったらしいぞ?でも腐っても貴族だからな。神話級の精霊と契約していて、魔法を単独で行使できるお前と対峙しようなんてバカはいなかったみたいだ」

 聞いた話だと、頼みに行った公爵や侯爵の子息達は親には協力しろって言われてたらしいけどな。
 全員が逆に親に怒鳴りつけて、全力で拒否したらしい。
 プライドなんてクソ食らえ!ってさ。
 さすがに腹を抱えて笑ったわ。

「まぁアルバートもあとには引けなかったんだろうな。正直、私があいつの立場なら降参一択だぞ?」

「アハハ!俺だってそうしますよ。どう考えても勝ち目無いですからね」

「逃げ出さなかった勇気は、さすがは皇族ってトコロだろうな。最もあれは勇気と言うより無謀だったが」

 王取り戦のルールは変わらなかった。
 教皇がかなり文句を言ってたけど、決闘を仕掛けた側がルールを決めるだけでも異例なのに、決闘の都合でルールを変えるのは神聖なる決闘に対して、不誠実ではないかとシャルル先生が強きに言ってくれたおかげでそのままのルールで決闘が始まったんだ。
 最早、俺とクレとミラは力を隠すこと無く魔法でフィールドのほとんどを破壊し、完全に逃げ場がなくなったアルバートを、イルミナが速攻で点穴を突いて動きを止めたところでグレシアが近づいて剣を刺し、魔力体を破壊されて決着が着いた。
 因みにグレイはなにもせず仁王立ちで終わった。
 王取り戦ルールの決着スピードは過去最速の開始10秒だそうだ。

「お前達がスカッとする終わり方をしてくれたおかげで、教皇の奴も顔を真っ赤にして本国へ戻っていったぞ」

「不敬になりますよ」

「問題あるまい。あいつらの横暴さは酷かった」

「たしかに。寧ろここまで来ると報復が怖いですね。ジノアから、グレシアを教国に迎え入れるために教皇は足を運んだと聞きましたし」

 恐らくほとんどの国で聖人聖女を匿う所為で、肝心の教国の聖女があまりにも少ないんだろうな。
 実際、帝国だけでも三人の聖人聖女がいる点からしても、教国からしたら面白くないだろう。

「全く笑えない話だな」

「だが先生もしばらくは気を付けて下さいね。夜道には気を付けて」

「生徒に言われるまでもない。ほらついたぞ。ご苦労だったな」

「えぇ、全く生徒への気遣いと配慮が足りませんよ」

「一言多いんだよお前は!」

「イダダダダッ!」

 こめかみをぐりぐりと押されて、俺の頭は頭痛でピリピリとする。
 俺は教室に授業の道具をすべて置いて一息吐いた。
 教室の外を見ると、ミラとイルミナがこっちを覗いて待ってる。

「ふぅ、じゃあお疲れ様でした」

「あぁ、これからリリィへのお見舞いか?」

「グランベルをからかいに行くだけですよ」

 あいつは決闘が終わった次の日、ロングヘアだった髪の毛をすべて剃ってきて坊主になってきた。
 さすがに登校初日はほとんどのみんなが笑っていたが、段々慣れていってわざわざからかう人間はいなくなった。

「二人とも終わったぞ」

「お疲れリアスくん」

「お疲れ様です」

『大変でしたね。可哀想に』

「クレはこういうときだけミラの肩に逃げやがってこの野郎」

『まぁまぁご主人・・・』

 ナスタが俺のことを諫めようとしてくれるが、こいつ授業中は俺の肩でわざわざ寝てんだぞ?
 怒らない方がおかしいだろうが!
 俺がクレに睨みを続けていると、廊下を歩てきた三人とすれ違う。

「お、兄貴手伝い終わったんだ。大変ですわねー」

 アルナとグレイとグレシアだ。
 その組み合わせはわからないぞ?

「あぁ、もう大変だ。俺とミラとイルミナだけなんだぞ。お前らも当事者だろうが!手伝えよ」

「やだねー!オレだって聖人ってことが露見しちまったんだ!まぁ聖人って肩書きを大いに利用させてもらったぜ!」

「もう少し謙遜しなさいよバカ」

「グレシア!お前だって同罪だろ!何他人事みたいに言ってんだ!」

「グレシアは被害者だから仕方ないだろ。それよりもお前だよお前!!」

「ふふーんっ!」

「てめぇっ・・・」

 頭の血管が切れるかと思うくらい青筋を立てているグレイ。
 いや、俺だってお前に怒ってやりたいことは山ほどあるんだぞ?

「まぁまぁ、今日もリリィのお見舞いに行こうか」

「そうね。もうあれから一週間も経ってるけど、未だに目覚めないのよねあの子。大丈夫かしら?」

「あの薬物の効果がどれほどか知らないけど、まぁ魔力体とはいえ魔人になったんだ。それくらい療養がいるってことだろ?」

 下手したらずっと目覚めないとかあるぞ?
 魔力体だったから元に戻っただけで、影響はどれほどの物かわかったもんじゃないしな。
 アデルさんと会うことが出来ればいいんだけど・・・

「そう単純な話なのかね?まぁ行こうぜ」

「案外リアスくんが考えてるより単純だと思うよ。行ったらもう目が覚めてたりしてね」

「さすがにそれはないだろう?」

「リアスっ!!」

 廊下の窓を割り、俺の腕に噛みついてくるのはリリィの聖獣だ。
 最近毎日のように俺の腕に噛みついてくる。
 理由も教えてくれないしなんなんだよ。
 これで毎回毎回、病室に行ってグランベルに外して貰ってるんだ。
 腕から血が出ないのは、身体強化で腕をかなり強化してるからだ。
 身体強化魔法を使っても痛いもんは痛いけどな。

「いい加減痛ぇよ!なんでいつもいつも噛んでくんだ!」

「ふがふがっ!!」

「はぁ、そんなことしてもお前の主人は起きてこねぇぞ」

「ふがぁっ!!」

 こいつも魔法を使って来ないことから、俺のことを本気で害そうとはしてないだろう。
 でもいい加減にして欲しいな。
 聖獣を腕に付けたまま、リリィのいる病室に着く。
 病室に入るとリリィが目を覚ましてグランベルと話をしていた。

「あ?リリィは目覚めたんだな」

 ミラの言うとおりだったな。
 単純な話だったわ。

「リアス・・・」

 そんなに睨まないでほしいわー。
 一応同郷の人間だろうに。

「やっほーリリィ。君のことボコしてやろうと思ったから元気そうで何よりだよ」

「雷神!」

「待て待て待て・・・」

 俺は頭を抱えたくなったぞ。
 なんでこいつがミラが雷神だって知ってんだよ。
 ミラもニコニコしながら物騒なこと言うなよ。

「突っ込みどころが多すぎるんだが、まずこいつ外してくんないか?」

「てぃっくん、こっちにおいで」

「はい、リリィ様」

 おい、てぃっくんってなんだ。
 ネーミングセンス疑うぞ。
 聖獣の元々の名前なのか?
 てぃっくんって、ペットじゃないんだからさぁ。

「イルミナは今日はシュバリンは連れてないんだな」

「えぇ、今頃メルセデスにおやつを作ってもらってることでしょう」

「え、グランベルはいつの間に彼女と仲良くなったの?」

「こんな化け物と仲が良い!?リリィ、お前の目は節穴か?」

 仲が良いというか、病室に顔を出してるうちに話すようになっただけだろ。
 しかも毎回毎回イルミナに返り討ちにされてる。
 
「失礼な人ですね。点穴を突いてあげましょうか?」

「おい、止せ!点穴突かれたら一日動けねぇんだぞ?おい、リアス!止めろよ」

 俺に助け船を期待するとは馬鹿だな。

「知らん。がんばれ」

「てめぇ!くそっ!おい、グレイ!」

「あーオレもパス」

 グレイにもダメだろ。
 ここで助け船を求めるのに正しいのはグレシアだ。
 最も、後ろめたさがあるからしょうがないだろうけど。

「むーっ!わたしが寝てる間に、どうしてこんなことになってるの?一応決闘は引き分けで終わってるんでしょ?再戦するかもしれない相手なのに!」

 あー、そうか。
 グランベルに昨日決闘が再戦になったこと言ってなかったな。
 だからリリィが目を覚ましてるとはいえ、決闘が終わってることを知らないんだな。
 
「安心しろ。決闘の再戦は昨日行われたぜ?」

「は!?」

「あ?おい、リアス!俺は何も聞いてねぇぞ」

「言ってないからな」

「おいおい・・・ところで結果はどうなったんだ?」

「お前、それ聞いてもいいのか?」

「いや、一応予想は付いてるが、番狂わせがあるかもしれねぇだろ?」

「ハッハッハ!リアスが答えないなら代わりにオレが教えてやるよグランベル!決闘の結果はオレ達の勝ちだぜ!なんと決闘始まって以来の、王取り戦最速決着だったらしいぜ!」

 いや、お前が言うの?
 お前だけだよなにもしてないの。
 
「やっぱりかぁ」

「うそっ!?じゃあアルバートは廃嫡になっちゃったの!?後ろ盾が無い以上仕方ないけど・・・」

 玉の輿を狙っている様には・・・見えないな。
 顔を青ざめていると言うことは、アルバートが廃嫡するとまずい事態がリリィの知識にはあるってことか。
 だからグレシアを犠牲にしてまで、アルバートの横に並ぼうとしたってことか。

「それを決めるのは陛下だ。俺達が決めることじゃない」

「くっ・・・」

「リリィ・バンディール」

「わたしのこと言ってる?わたしはリリィ・バンディナーなんだけど?」

 え?
 やっべ、ずっとバンディールだと思ってた。

「リアスくんはずかしー」

「いやー、俺も歳かな」

「実年齢は44歳だもんねー。おじいちゃんだ」

 ミラの言葉を聞いて、口をぽかんと開けるリリィ。
 同じ転生者なら協力出来れば良いと思って一応打ち明ける。
 これが吉と出るか凶と出るかは、まだわからない。

「実年齢・・・44歳・・・もしかして貴方・・・」

「おう。俺はリアスとは別に、日本人の人生の記憶がある。転生者だ」

「え・・・えぇ・・・えぇぇぇぇええ!?」

 指を差しながら口をパクパクさせている。
 普通に指を差すな。
 失礼だろ。
 日本人なら子供の時に習うことだろうに。

「落ち着けよ。お前も転生者なんだろ?」

「あ、え、えっと。そうだけど、ちょっとびっくりしてて・・・貴方転生者なのに・・・顔立ちが地味っ!!」

 え、こいつぶん殴ってやろうか?
 俺はガヤポジションのキャラだけあって、どうせ顔立ちは地味だよ! 
 たしかにこいつは傍の目から見ても美人かも知れないし、ミラやイルミナ、グレシアも全員が美形だ。
 グレイですら顔面偏差値はかなり高い。
 さすが攻略対象達。

「失礼な奴だな。お前本当に日本人か?」

「あ、ご、ごめんなさい」

「へぇ、素直に謝れるんだな」

「当たり前でしょ!わたしだって、前世ではそれなりの偏差値の高校に通ってたんだから!」

 高校の偏差値マウントを取ってくるってことは、世間知らずか現役高校生だったか。
 多分後者だろうな。

「お前、高校生で命を落としたのか?」

「なんでわかるのよ!?もしかしてストーカー?」

「失礼過ぎんなお前・・・俺は前世で死んだのは29だからお前より年上だぞ?敬えよ」

「リアスも大概だと思うぞ?」

「あ?」

 俺の何処が失礼なんだよこいつ。
 言ってみろオラァ!

「おっさんじゃん!おっさん!おっさん!!」

「黙れ子娘!こちとら、お前とは刻んできた年月が違うんじゃボケェ!」

「リアスくん!?キャラ壊れてる壊れてる!」

 おっとヤバイヤバイ。
 ここは大人の貫禄を見せないといけないな。
 あぁ、俺は年上だからこいつの言葉を笑って受け流さないといけないんだ。

「おっさんが若作りしてんじゃねぇよカス!」

 ブチッ。
 何か切れるような音がした。

「てめぇだって女子高生で死んだならもう30以上のババァだろうがこの野郎!!」

「あんたは44歳のクソジジィでしょ!このクソジジィ!しかもそこの雷神と婚約してるロリコンじゃない!!」

「ほぉ・・・良い度胸だ!病み上がりだろうが関係ねぇ!表に出ろや!」

「望むところよ!ロリコンジジィに天誅下してやろうじゃない!」

 ぶっ飛ばす!
 こいつだけはぜってぇにぶっ飛ばす!

「いい加減に・・・」

「しろっ!」

 俺はミラに、リリィはグランベルに思いきりげんこつをもらった。
 普通にいてぇ。

「いったい!何するのよグランベル!」

「脳天は洒落にならないぞミラ!」

「はぁ・・・」

「リアスくん、リリィとは目が覚めたら話をするんでしょ。どうして喧嘩になってるの?」

「リリィもだ。お前、病み上がりだってことを自覚しろよ。一週間も何も飲み食いしてない奴がこいつらに勝てるかよ、このだあほ」

 二人の言い分は間違っていなく、俺達は互いに拳を収めた。
 いやいずれはぶつける予定だけど、それは今じゃ無いって話なだけだけどね?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

悪役令嬢は天然

西楓
恋愛
死んだと思ったら乙女ゲームの悪役令嬢に転生⁉︎転生したがゲームの存在を知らず天然に振る舞う悪役令嬢に対し、ゲームだと知っているヒロインは…

悪役令嬢に転生したので、すべて無視することにしたのですが……?

りーさん
恋愛
 気がついたら、生まれ変わっていた。自分が死んだ記憶もない。どうやら、悪役令嬢に生まれ変わったみたい。しかも、生まれ変わったタイミングが、学園の入学式の前日で、攻略対象からも嫌われまくってる!?  こうなったら、破滅回避は諦めよう。だって、悪役令嬢は、悪口しか言ってなかったんだから。それだけで、公の場で断罪するような婚約者など、こっちから願い下げだ。  他の攻略対象も、別にお前らは関係ないだろ!って感じなのに、一緒に断罪に参加するんだから!そんな奴らのご機嫌をとるだけ無駄なのよ。 もう攻略対象もヒロインもシナリオも全部無視!やりたいことをやらせてもらうわ!  そうやって無視していたら、なんでか攻略対象がこっちに来るんだけど……? ※恋愛はのんびりになります。タグにあるように、主人公が恋をし出すのは後半です。 1/31 タイトル変更 破滅寸前→ゲーム開始直前

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

王太子が悪役令嬢ののろけ話ばかりするのでヒロインは困惑した

葉柚
恋愛
とある乙女ゲームの世界に転生してしまった乙女ゲームのヒロイン、アリーチェ。 メインヒーローの王太子を攻略しようとするんだけど………。 なんかこの王太子おかしい。 婚約者である悪役令嬢ののろけ話しかしないんだけど。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

執着王子の唯一最愛~私を蹴落とそうとするヒロインは王子の異常性を知らない~

犬の下僕
恋愛
公爵令嬢であり第1王子の婚約者でもあるヒロインのジャンヌは学園主催の夜会で突如、婚約者の弟である第二王子に糾弾される。「兄上との婚約を破棄してもらおう」と言われたジャンヌはどうするのか…

処理中です...