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2~狂い始めた運命
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植松正一郎。赤ん坊は豪一郎と加奈子によって、そう名付けられた。
「正一郎……しっかりと生きるんだぞ……」
里親となった植松夫妻が、これからこの子を育てていく事になる。しかし、この後、正一郎と正一郎を取り巻く様々な人間模様は、捻じれたメビウスの帯のように巡り巡って無限のループを繰り返し、やがて誰しもが想像だにしなかった結末を迎える事になる。それは、ある意味宿命だったのか?運命の悪戯だったのか?その答えは、まだ誰にも知る由もなかった。
「美恵子!!いい加減にして、そろそろ学校に行きなさい!!」
植松家の長女の植松美恵子は、十七も年が離れた、新しく植松家にやってきた弟が可愛くて仕方がなかったようで、ずっと正一郎の傍を離れずに、スヤスヤと眠っている正一郎の可愛い寝顔を見つめていた。
「あ~!!分かったよ~!もうすぐ出かけますよ~!!」
美恵子は、もう少し正一郎の傍にいたかったけど、仕方ないと諦めて、学校に行く準備を始めた。
「お兄ちゃん!!今日、大学行かないの~!?」
学校に行く準備を済ませた美恵子は、多分、まだ部屋で寝ているであろう兄の宗一郎に、念の為、確認を取ろうとした。
「あ~!!もう少し、寝かせてください~!!」
大学生の長男、宗一郎は、時計を確認してから、また眠ってしまった。
「私、今日は、バイトだから、夜ご飯いらないって、お母さんに言っといて~!!」
美恵子が、制服姿で家を出た。春の暖かい温もりに満ちた快晴の天候に恵まれて、美恵子は、気分よく学校へ向かった。
「お疲れ様です!」
駅前の、ちょっと洒落たイタリアンレストランが、美恵子のバイト先だった。
「おうっ!美恵ちゃん、お疲れっ!!」
店長の尾長さんに挨拶を済ませた美恵子は、制服に着替えるため、従業員室に入った。
「美恵ちゃん、今日、新しいバイトの子が、初出勤だから!いろいろ教えてやってね!」
店長は、開店前の仕込みをしながら、美恵子に大きめな声で話しかけた。
「うわっ!新人ですかぁ~、男の子ですか!?」
髪を後ろに束ねながら、美恵子は、出来ればカッコいい男の子であってほしいと勝手に願った。
「う~ん、残念ながら……美恵ちゃんと同じく女子高生です!しかも、年も学年も一緒の高校二年生の子だよ!!」
「なぁ~んだ、つまんないなぁ……」
美恵子は、露骨にしかめっ面をしてみせた。
「そろそろ、来る頃だな……」
店長が、時計を確認しながら、その時を待った。
「おはようございます!今日から、お世話になる安藤佳苗です!!よろしくお願いします!」
制服姿の、髪の長い女の子だった。
「初めまして!先輩アルバイトの植松美恵子です!」
美恵子の目から見ても、その新入りアルバイトの安藤佳苗は、高校生にしては、大人びていて明るい笑顔の中に、何かほの暗さが漂う、そんな第一印象を抱いた。
「佳苗ちゃん!美恵ちゃんに教わって、まず着替えてきて!!」
店長の尾長は、仕込みを続けながら、テキパキと指示を出していた。
「ここが、従業員の着替え場所兼、休憩所だよ!」
美恵子は、先輩として優しく丁寧に、佳苗に接していた。
「はい、ありがとうございます!」
佳苗は、少し緊張しているようにも見えた。
「制服が、用意されているから……まず、着替えよっか!」
「は、はいっ!」
佳苗の長い髪の毛からは、とてもいい匂いが漂ってきて、美恵子は、しばらく佳苗の美しい髪の毛に見とれてしまった。
「よしっ!あとは、髪の毛を後ろで束ねてね!!」
制服に着替え終わった佳苗に美恵子が、先輩アルバイトとして明るく対応して、少しでも佳苗の緊張をほぐそうと笑顔を見せ続けていた。
この時は、まだ誰も気づいていなかった。しかし、運命の悪戯で植松家の長女の美恵子と正一郎と名付けられた、あの赤ちゃんの実の母親である安藤佳苗は、このバイト先である駅前のイタリアンレストランで偶然の悪戯によって出会ってしまった。
そして、運命の歯車は、ゆっくりと確実に狂い始めていく。まだ、赤ん坊だった正一郎は、何も知らずに植松家に新しく用意されたベビーベッドの上で、心地よさそうに眠っていた。
植松家の長男である宗一郎は、スヤスヤと眠っている急に出来た二十以上違う年の弟の寝顔を、なんとなく見つめていた。
「ったく、今更、赤ちゃんなんて、いらねぇのになぁ~!」
そう言いながら、宗一郎は、まだ赤ちゃんの正一郎がいる前でタバコに火を点けて、ぷかぷかとタバコをふかし始めた。
「あ~、しばらくSEXしてねぇから、気分が乗らねえよ~!!」
宗一郎は、今までナンパして性交渉を行った数多くの少女たちを思い出して、ニタニタと笑いながら、一人で卑猥な空想を膨らませていた。
「あ~、あの娘!なんつったけなぁ?フェラが、すっげえ上手な娘!?」
宗一郎は、タバコの火を消してから、大学へ向かう準備を始めた。
自分の部屋で洋服を着替えながら、宗一郎は、その当時流行っていた歌謡曲を口ずさんでいた。
「のぞみ、かなえ、たまえ……か~、欽ちゃんも良く考えたねぇ~!!」
「ん?のぞみ……かなえ……かなえ……佳苗……」
「佳苗だっ!!あの、ナンパして直ぐやらせてくれた女の子!!」
宗一郎が、大学に向かって家を出た頃、ベビーベッドの上で眠っていた正一郎の足がピクピクと小刻みに動いた。
まるで、これから始まる悪夢のような日々を感じ取っているかのように……
「正一郎……しっかりと生きるんだぞ……」
里親となった植松夫妻が、これからこの子を育てていく事になる。しかし、この後、正一郎と正一郎を取り巻く様々な人間模様は、捻じれたメビウスの帯のように巡り巡って無限のループを繰り返し、やがて誰しもが想像だにしなかった結末を迎える事になる。それは、ある意味宿命だったのか?運命の悪戯だったのか?その答えは、まだ誰にも知る由もなかった。
「美恵子!!いい加減にして、そろそろ学校に行きなさい!!」
植松家の長女の植松美恵子は、十七も年が離れた、新しく植松家にやってきた弟が可愛くて仕方がなかったようで、ずっと正一郎の傍を離れずに、スヤスヤと眠っている正一郎の可愛い寝顔を見つめていた。
「あ~!!分かったよ~!もうすぐ出かけますよ~!!」
美恵子は、もう少し正一郎の傍にいたかったけど、仕方ないと諦めて、学校に行く準備を始めた。
「お兄ちゃん!!今日、大学行かないの~!?」
学校に行く準備を済ませた美恵子は、多分、まだ部屋で寝ているであろう兄の宗一郎に、念の為、確認を取ろうとした。
「あ~!!もう少し、寝かせてください~!!」
大学生の長男、宗一郎は、時計を確認してから、また眠ってしまった。
「私、今日は、バイトだから、夜ご飯いらないって、お母さんに言っといて~!!」
美恵子が、制服姿で家を出た。春の暖かい温もりに満ちた快晴の天候に恵まれて、美恵子は、気分よく学校へ向かった。
「お疲れ様です!」
駅前の、ちょっと洒落たイタリアンレストランが、美恵子のバイト先だった。
「おうっ!美恵ちゃん、お疲れっ!!」
店長の尾長さんに挨拶を済ませた美恵子は、制服に着替えるため、従業員室に入った。
「美恵ちゃん、今日、新しいバイトの子が、初出勤だから!いろいろ教えてやってね!」
店長は、開店前の仕込みをしながら、美恵子に大きめな声で話しかけた。
「うわっ!新人ですかぁ~、男の子ですか!?」
髪を後ろに束ねながら、美恵子は、出来ればカッコいい男の子であってほしいと勝手に願った。
「う~ん、残念ながら……美恵ちゃんと同じく女子高生です!しかも、年も学年も一緒の高校二年生の子だよ!!」
「なぁ~んだ、つまんないなぁ……」
美恵子は、露骨にしかめっ面をしてみせた。
「そろそろ、来る頃だな……」
店長が、時計を確認しながら、その時を待った。
「おはようございます!今日から、お世話になる安藤佳苗です!!よろしくお願いします!」
制服姿の、髪の長い女の子だった。
「初めまして!先輩アルバイトの植松美恵子です!」
美恵子の目から見ても、その新入りアルバイトの安藤佳苗は、高校生にしては、大人びていて明るい笑顔の中に、何かほの暗さが漂う、そんな第一印象を抱いた。
「佳苗ちゃん!美恵ちゃんに教わって、まず着替えてきて!!」
店長の尾長は、仕込みを続けながら、テキパキと指示を出していた。
「ここが、従業員の着替え場所兼、休憩所だよ!」
美恵子は、先輩として優しく丁寧に、佳苗に接していた。
「はい、ありがとうございます!」
佳苗は、少し緊張しているようにも見えた。
「制服が、用意されているから……まず、着替えよっか!」
「は、はいっ!」
佳苗の長い髪の毛からは、とてもいい匂いが漂ってきて、美恵子は、しばらく佳苗の美しい髪の毛に見とれてしまった。
「よしっ!あとは、髪の毛を後ろで束ねてね!!」
制服に着替え終わった佳苗に美恵子が、先輩アルバイトとして明るく対応して、少しでも佳苗の緊張をほぐそうと笑顔を見せ続けていた。
この時は、まだ誰も気づいていなかった。しかし、運命の悪戯で植松家の長女の美恵子と正一郎と名付けられた、あの赤ちゃんの実の母親である安藤佳苗は、このバイト先である駅前のイタリアンレストランで偶然の悪戯によって出会ってしまった。
そして、運命の歯車は、ゆっくりと確実に狂い始めていく。まだ、赤ん坊だった正一郎は、何も知らずに植松家に新しく用意されたベビーベッドの上で、心地よさそうに眠っていた。
植松家の長男である宗一郎は、スヤスヤと眠っている急に出来た二十以上違う年の弟の寝顔を、なんとなく見つめていた。
「ったく、今更、赤ちゃんなんて、いらねぇのになぁ~!」
そう言いながら、宗一郎は、まだ赤ちゃんの正一郎がいる前でタバコに火を点けて、ぷかぷかとタバコをふかし始めた。
「あ~、しばらくSEXしてねぇから、気分が乗らねえよ~!!」
宗一郎は、今までナンパして性交渉を行った数多くの少女たちを思い出して、ニタニタと笑いながら、一人で卑猥な空想を膨らませていた。
「あ~、あの娘!なんつったけなぁ?フェラが、すっげえ上手な娘!?」
宗一郎は、タバコの火を消してから、大学へ向かう準備を始めた。
自分の部屋で洋服を着替えながら、宗一郎は、その当時流行っていた歌謡曲を口ずさんでいた。
「のぞみ、かなえ、たまえ……か~、欽ちゃんも良く考えたねぇ~!!」
「ん?のぞみ……かなえ……かなえ……佳苗……」
「佳苗だっ!!あの、ナンパして直ぐやらせてくれた女の子!!」
宗一郎が、大学に向かって家を出た頃、ベビーベッドの上で眠っていた正一郎の足がピクピクと小刻みに動いた。
まるで、これから始まる悪夢のような日々を感じ取っているかのように……
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