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オレは同居人と先へ進みたい
◎8
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「健、どうした?」
「もうちょっと優しくできないのかよ」
「ああ、遠慮なさ過ぎたな。ごめん。触り心地が良かったから」
「……太ってるって言いたいのか?」
むくれた顔の健が可愛くて、笑みが零れる。健はそれを見て、怒りながら賢太郎の肩をびたびたと叩いてきた。もう少し健をからかってやりたい気持ちが芽を出す。
「ほら、腹は出てないだろ!」
健が賢太郎の手を掴んで腹に当てる。確かに、スリムとは言えないけれど、標準的な腹囲をしていた。
淡いオレンジ色の照明と黒いタイルのせいか、健の姿は扇情的に見えた。触れさせられた腹は思ったよりすべすべしていて、前日にシェーバーで剃ったのかもしれない、と思いを馳せる。水滴が跡を付けながら、次から次へと下に流れていって、その行く先から目が離せない。
健に悪気は無かったのだろう。けれど、賢太郎は完全に火をつけられた。
「……そうだな。じゃ、ここも?」
賢太郎は健の胸に手を伸ばす。先程の過ちを繰り返さないよう、指先でゆっくり優しく全体に触れた。最低限の脂肪しか付いていないように見えるし、押し込んでもへこんだりしない。だが、手のひら全体で包み込むと、意外と柔らかくて揉む余地もある。
「あ、ちょっとっ」
「確かに、余分な脂肪は付いてないな」
以前健に触れた時、胸にも反応を示していたことを思い出す。胸の先が固くなっていたので繰り返し触れると、健は善がりながら賢太郎の腕を掴んで止めようとした。力が全く入っていなかったので、賢太郎は構わずに健の胸を弄り続ける。降り注ぐ温かい水滴は、行為の妨げにもならない。
「ん、あっ……やめ、て……ああっ」
「気持ちよさそうだけど?」
「やっ……変、になりそ……んん」
健は目を閉じて息を荒げている。立ち上がりかけている彼の中心に触れると、熱を持っていて硬くなり始めていた。上下に擦ると、いつもより高い健の声が浴室に響く。
身を反らしながら快楽に追い詰められている健を見つめていると、賢太郎の頭の中には際限なく欲が浮かび上がってきた。例えば、このまま更に耳を攻めたら、健はどうなるだろう。自分以外の誰も見たことがないような健の姿を、更に知ることが出来るだろうか。想像するだけで、賢太郎の体の中心に血液が集まってきた。頭から血が足りなくなって、明晰でない思考がますます欲に染め上げられる。心臓の拍動が強く速くなって、息が荒くなっていった。
耳に顔を寄せると、健は最後の抵抗のつもりなのか、硬さを増した賢太郎の一部を両手で包んだ。喘ぎながら、力が入らないまま、必死に手を動かしている。そんな健の姿が、いじらしくて愛おしい。健から与えられる刺激全てが、賢太郎の本能を呼び起こしている。
「健、可愛い……好きだよ」
賢太郎はそれだけ告げると、健の耳に舌を差し込む。健はもう、意味を持つ言葉を発せなくなっていた。健の喘ぎ声が脳に響いて、それだけで果ててしまいそうだ。
本当は、もっと触りたかった場所がある。先程揉みしだいた、双丘の奥の秘所。けれど、快楽に溺れている健を恐怖に引き戻すことはしたくない。今は恋人のあられもない姿を存分に味わおう、と本能に侵食された理性が判断を下した。
「んあっ……けんたろう」
健が、回らない舌で必死に名前を呼ぶ。賢太郎は少しばかり、現実に戻った気分になった。
「健?」
「なまえ、もっと呼んで」
恋人に熱に浮かされた瞳で懇願されて、断ることができるわけがない。出来るだけ応えたいと思う。賢太郎は耳から口を離し、恋人の額にキスした。欲に塗れた思考の中にも、お互いを想う気持ちは確実に存在している。
「健、健」
「あ、ああっ……んん」
「……健」
手の中に握った健の一部が、脈打って限界を迎える。健が一際甘い声を上げて、賢太郎の手に精を吐き出すのを眺めながら、賢太郎も健の手の中で果てた。
「もうちょっと優しくできないのかよ」
「ああ、遠慮なさ過ぎたな。ごめん。触り心地が良かったから」
「……太ってるって言いたいのか?」
むくれた顔の健が可愛くて、笑みが零れる。健はそれを見て、怒りながら賢太郎の肩をびたびたと叩いてきた。もう少し健をからかってやりたい気持ちが芽を出す。
「ほら、腹は出てないだろ!」
健が賢太郎の手を掴んで腹に当てる。確かに、スリムとは言えないけれど、標準的な腹囲をしていた。
淡いオレンジ色の照明と黒いタイルのせいか、健の姿は扇情的に見えた。触れさせられた腹は思ったよりすべすべしていて、前日にシェーバーで剃ったのかもしれない、と思いを馳せる。水滴が跡を付けながら、次から次へと下に流れていって、その行く先から目が離せない。
健に悪気は無かったのだろう。けれど、賢太郎は完全に火をつけられた。
「……そうだな。じゃ、ここも?」
賢太郎は健の胸に手を伸ばす。先程の過ちを繰り返さないよう、指先でゆっくり優しく全体に触れた。最低限の脂肪しか付いていないように見えるし、押し込んでもへこんだりしない。だが、手のひら全体で包み込むと、意外と柔らかくて揉む余地もある。
「あ、ちょっとっ」
「確かに、余分な脂肪は付いてないな」
以前健に触れた時、胸にも反応を示していたことを思い出す。胸の先が固くなっていたので繰り返し触れると、健は善がりながら賢太郎の腕を掴んで止めようとした。力が全く入っていなかったので、賢太郎は構わずに健の胸を弄り続ける。降り注ぐ温かい水滴は、行為の妨げにもならない。
「ん、あっ……やめ、て……ああっ」
「気持ちよさそうだけど?」
「やっ……変、になりそ……んん」
健は目を閉じて息を荒げている。立ち上がりかけている彼の中心に触れると、熱を持っていて硬くなり始めていた。上下に擦ると、いつもより高い健の声が浴室に響く。
身を反らしながら快楽に追い詰められている健を見つめていると、賢太郎の頭の中には際限なく欲が浮かび上がってきた。例えば、このまま更に耳を攻めたら、健はどうなるだろう。自分以外の誰も見たことがないような健の姿を、更に知ることが出来るだろうか。想像するだけで、賢太郎の体の中心に血液が集まってきた。頭から血が足りなくなって、明晰でない思考がますます欲に染め上げられる。心臓の拍動が強く速くなって、息が荒くなっていった。
耳に顔を寄せると、健は最後の抵抗のつもりなのか、硬さを増した賢太郎の一部を両手で包んだ。喘ぎながら、力が入らないまま、必死に手を動かしている。そんな健の姿が、いじらしくて愛おしい。健から与えられる刺激全てが、賢太郎の本能を呼び起こしている。
「健、可愛い……好きだよ」
賢太郎はそれだけ告げると、健の耳に舌を差し込む。健はもう、意味を持つ言葉を発せなくなっていた。健の喘ぎ声が脳に響いて、それだけで果ててしまいそうだ。
本当は、もっと触りたかった場所がある。先程揉みしだいた、双丘の奥の秘所。けれど、快楽に溺れている健を恐怖に引き戻すことはしたくない。今は恋人のあられもない姿を存分に味わおう、と本能に侵食された理性が判断を下した。
「んあっ……けんたろう」
健が、回らない舌で必死に名前を呼ぶ。賢太郎は少しばかり、現実に戻った気分になった。
「健?」
「なまえ、もっと呼んで」
恋人に熱に浮かされた瞳で懇願されて、断ることができるわけがない。出来るだけ応えたいと思う。賢太郎は耳から口を離し、恋人の額にキスした。欲に塗れた思考の中にも、お互いを想う気持ちは確実に存在している。
「健、健」
「あ、ああっ……んん」
「……健」
手の中に握った健の一部が、脈打って限界を迎える。健が一際甘い声を上げて、賢太郎の手に精を吐き出すのを眺めながら、賢太郎も健の手の中で果てた。
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