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〜第五章〜
冒険者ルーファス!【二】
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王都グラン·カルロリムへ着く頃には夜中になっていた。
「よし!着いたよ」
「うわぁー、ここが王都かー。凄いなぁー」
ルーファスは目と口を広げ王都グラン·カルロリムの街並みを見廻す。
それも、そうだろう……今まで住んでいた村は城壁も柵もなく、ましてや塔やレンガ作りの建物も無かった。
ルーファスの瞳に映る情景は新鮮であった。
「とりあえずは飯にしようか…」
「ご飯!楽しみです!」
「何か食べたい物でもある?」
「師匠、食べたい物がわからないです…村では麦がゆとかあとは……山菜………それに…………」
「ごめんルーファス、僕の聞き方が悪かった」
「え?」
「今お腹の調子はどうだい?」
と、僕がルーファスに聞くとルーファスは満面の笑みで、
「ペコペコです!」
と、答えた。
「なら、ガッツリ系と行くかな」
「ガッツリ系?」
何だそれ?と不思議そうに僕を見てくる。
「まぁまぁ、とにかく行こうぜルーファス!」
「はい!師匠!」
こうして、僕らは繁華街にある焼肉食べ放題の店へと突撃したのだった。
焼肉をお腹いっぱい溜め込んで店を出る頃には、もうかなり夜中になってしまっていた。
「食ったぁー!どうだった?焼肉は?」
「すごく美味しかったです!お肉ってあんなに美味しい物だったんですねー。あと!自分で焼くのも楽しかったです」
「気に入って貰えて何よりだ。さて宿探してギルド本店には明日の朝にしよう」
「ルーファス、明日からいよいよ冒険者だぞ」
ブルっと身震いをして元気よくルーファスは答えた。
「はいっ!」
空いてる宿を見つけルーファスと同じ部屋に泊まる。
部屋に入ってベッドに流れ込むルーファスは満腹感と強行軍による旅の疲れ。
そして、たった一日で自らの生活が激変した疲れ……きっとそう言うものからベッドに吸い込まれるように眠りに落ちて行った。
翌朝……まだベッドで寝ているルーファスに声を掛ける。
「ルーファス!そろそろ起きろ」
僕に声を掛けられたルーファスは重い目を開けながら、身体を起こす。
「おはようございます。師匠」
「あぁ、おはよう。準備済ませたらギルド本店へ行くぞ」
準備を済ませ僕らは宿の主人に礼を言いギルド本店に向かう。
「いい天気だなー」
「はい!」
「じゃあ、行くか」
ギルド本店へ着くと三つある内の冒険者登録窓口に向かう。
僕の後ろから着いてくるルーファスはギルド本店の周りの雰囲気にキョロキョロと目を動かしていた。
「いらっしゃいませ。冒険者登録ですか?」
「はい。お願いします!って僕じゃなくて……ルーファス!」
僕に名前を呼ばれたルーファスは慌てて僕の横に来る。
「お願いします」
「あら、随分と可愛らしい冒険者候補ですわね」
僕は頭を掻き、お願いしますと頭を下げる。
「では、こちらへ」
窓口の横の部屋から別のギルド職員がルーファスを呼ぶ。
「はい!」
ルーファスと僕は、あの水晶球の部屋に通される。
水晶球を見るとほんの少し前の出来事にも関わらず、何だか昔の事の様に感じた。
「では、こちらの水晶球に手を当ててくださいね」
「はい!……師匠行ってきます」
「あぁ、行ってこい」
ルーファスが水晶球に触れ、暫くすると一枚の用紙を渡される。
「これで、ルーファス様は冒険者となられました。おめでとうございます」
「………あ、ありがとうございます」
ルーファスから渡された用紙に目を通す。
ルーファス(♂)
職業: 冒険者
冒険者ランク: G
体力: F 120
魔力: G 50
攻撃力: F 110
魔法攻撃力: G 40
防御力: G 70
魔法防御力: G 30
俊敏: G 70
才器:
固有スキル: 王家の血脈
(ん?王家の血脈?なんだ、このスキル?)
そんな疑問を持ちつつも、ザッと用紙に目を通し、思わず呟いてしまった………。
「………これが普通だよな………そりゃチートだよ」
「え?師匠どうしました?」
「ん?なんでもないよ」
水晶球の部屋を後にし、ついでにギルドメンバー登録にも向かう。
こうして晴れてルーファスは冒険者となり、僕ら《大鴉の尻尾》の一員となったのだった。
「よし!着いたよ」
「うわぁー、ここが王都かー。凄いなぁー」
ルーファスは目と口を広げ王都グラン·カルロリムの街並みを見廻す。
それも、そうだろう……今まで住んでいた村は城壁も柵もなく、ましてや塔やレンガ作りの建物も無かった。
ルーファスの瞳に映る情景は新鮮であった。
「とりあえずは飯にしようか…」
「ご飯!楽しみです!」
「何か食べたい物でもある?」
「師匠、食べたい物がわからないです…村では麦がゆとかあとは……山菜………それに…………」
「ごめんルーファス、僕の聞き方が悪かった」
「え?」
「今お腹の調子はどうだい?」
と、僕がルーファスに聞くとルーファスは満面の笑みで、
「ペコペコです!」
と、答えた。
「なら、ガッツリ系と行くかな」
「ガッツリ系?」
何だそれ?と不思議そうに僕を見てくる。
「まぁまぁ、とにかく行こうぜルーファス!」
「はい!師匠!」
こうして、僕らは繁華街にある焼肉食べ放題の店へと突撃したのだった。
焼肉をお腹いっぱい溜め込んで店を出る頃には、もうかなり夜中になってしまっていた。
「食ったぁー!どうだった?焼肉は?」
「すごく美味しかったです!お肉ってあんなに美味しい物だったんですねー。あと!自分で焼くのも楽しかったです」
「気に入って貰えて何よりだ。さて宿探してギルド本店には明日の朝にしよう」
「ルーファス、明日からいよいよ冒険者だぞ」
ブルっと身震いをして元気よくルーファスは答えた。
「はいっ!」
空いてる宿を見つけルーファスと同じ部屋に泊まる。
部屋に入ってベッドに流れ込むルーファスは満腹感と強行軍による旅の疲れ。
そして、たった一日で自らの生活が激変した疲れ……きっとそう言うものからベッドに吸い込まれるように眠りに落ちて行った。
翌朝……まだベッドで寝ているルーファスに声を掛ける。
「ルーファス!そろそろ起きろ」
僕に声を掛けられたルーファスは重い目を開けながら、身体を起こす。
「おはようございます。師匠」
「あぁ、おはよう。準備済ませたらギルド本店へ行くぞ」
準備を済ませ僕らは宿の主人に礼を言いギルド本店に向かう。
「いい天気だなー」
「はい!」
「じゃあ、行くか」
ギルド本店へ着くと三つある内の冒険者登録窓口に向かう。
僕の後ろから着いてくるルーファスはギルド本店の周りの雰囲気にキョロキョロと目を動かしていた。
「いらっしゃいませ。冒険者登録ですか?」
「はい。お願いします!って僕じゃなくて……ルーファス!」
僕に名前を呼ばれたルーファスは慌てて僕の横に来る。
「お願いします」
「あら、随分と可愛らしい冒険者候補ですわね」
僕は頭を掻き、お願いしますと頭を下げる。
「では、こちらへ」
窓口の横の部屋から別のギルド職員がルーファスを呼ぶ。
「はい!」
ルーファスと僕は、あの水晶球の部屋に通される。
水晶球を見るとほんの少し前の出来事にも関わらず、何だか昔の事の様に感じた。
「では、こちらの水晶球に手を当ててくださいね」
「はい!……師匠行ってきます」
「あぁ、行ってこい」
ルーファスが水晶球に触れ、暫くすると一枚の用紙を渡される。
「これで、ルーファス様は冒険者となられました。おめでとうございます」
「………あ、ありがとうございます」
ルーファスから渡された用紙に目を通す。
ルーファス(♂)
職業: 冒険者
冒険者ランク: G
体力: F 120
魔力: G 50
攻撃力: F 110
魔法攻撃力: G 40
防御力: G 70
魔法防御力: G 30
俊敏: G 70
才器:
固有スキル: 王家の血脈
(ん?王家の血脈?なんだ、このスキル?)
そんな疑問を持ちつつも、ザッと用紙に目を通し、思わず呟いてしまった………。
「………これが普通だよな………そりゃチートだよ」
「え?師匠どうしました?」
「ん?なんでもないよ」
水晶球の部屋を後にし、ついでにギルドメンバー登録にも向かう。
こうして晴れてルーファスは冒険者となり、僕ら《大鴉の尻尾》の一員となったのだった。
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