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〜第三章〜

遭遇!【五】

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 カヴァルに振り下ろされた剣は、一本の剣によってカヴァルの首筋には届いてはいなかった。

 マクマフィ·オセとカヴァルの間に割って入った、その人物は……銀髪の長髪を靡かせ全身、白に統一された鎧姿。
 片手に剣を持ちマクマフィ·オセの剣を防いでる、その姿は絵になった…。

 「……レインっ……」
 「……レインちゃん………」

 振り絞った声でブッフォンとスズがその名を呼ぶ。

 「遅くなったわね」

 「何者です?私の楽しい時間を横取りする貴女は」
 「……サブ…サブマスター、ギルド大鴉の尻尾レイヴンテイルのサブマスター、レインよッ!」
 「皆をずいぶんいたぶってくれたわね……覚悟しなさい」

 「レインさん……その人……魔人ヴァンデルです。かなり強いです………気は抜かないでください」

 サクラも必死にレインに情報を伝える。

 「魔人ヴァンデル?……………そう……か、わかった。サクラちゃんありがと。皆、後は任せて」

 「任せて?とは?そんなに強そうには見えないんですけどねぇ」
 「最初から全力フルスロットルでいくわよ、魔人ヴァンデル

 カヴァルの腕を掴み、後方にバックしカヴァルの安全圏を確保するレイン。
 と、いなや全速力でマクマフィ·オセに向かう…。

 「神刀[白百合しらゆり][黒百合くろゆり]!」
 走りながら才器を具現化し、更に。
 「【光鋼斬こうごうざん】!」
 二刀でマクマフィ·オセに斬り掛かる。

 マクマフィ·オセはギリギリでレインの【光鋼斬】を防いだ………かに見えた。
 ………が、防いだと思った瞬間に自らの剣諸共に斬られていた。

 「ぐはッ!バカなッ!」
 「おのれ!冒険者ゴミの分際で、この私の身体に深手を負わすだとー!」
 怒りに身を任せ折れた剣でレインに斬り掛かる。


 「………遅いのよ」


 レインの、その一言の後には、マクマフィ·オセの右腕は宙に舞っていたのだった。

 声にもならない悲鳴じみた絶叫がこだます。

 「ギヤァァァァァ………………くそっ!くそがぁー!」
 
 「まだ、やる?やるなら、あなた死ぬわよ?」
 
 「《大鴉の尻尾レイヴンテイル》のレインッ!顔と名前は覚えておくぞ!」
 地に落ちた右腕を拾い、そう言い放つと禍々しい闇属性のオーラを纏い、消えた…………。



 「………ふぅー」
 「皆大丈夫?今馬車来るからね!」

 レインの圧倒的な闘いを目に焼き付けた四人は安心して目を閉じた。




 「……っで、アイツ結局何だったの?魔人ヴァンデルとか言ってたわよね?サクラちゃん」
 馬車の中で回復薬により少しだけ元気になった四人にレインは問う。
 「はい、あの人は魔人ヴァンデルで名前はマクマフィ·オセと言うらしいです」
 「フレーバーテキストにいたかしら?」
 「まっ、私が覚えてないくらいだから、きっと小者よね」
 笑顔を見せるレインにブッフォンは思わず。
 「あれが小者だと……バケモンめ!」

 そんな会話をしていた。
 ふと、思い出したかのようにスズが、あー!と叫ぶ。

 馬車を操車していたマーチンさんが。
 「急にどうした、スズくん?」
 「大事な事忘れてたよ!マダゴルーンがっ!」
 「スズさん、マダゴランね!……って、あーッ!」
 「今度は何だ!カヴァルくん」
 「マクマフィ·オセが話してたんです、マダゴランが城塞都市ザルホザーツを襲うって!」
 「何だと!それは急がねばだな。しかし馬車だと中々、歩が進まんな………」
 
 回復薬を使ったとはいえ、才器を具現化した後遺症のあるスズの回復魔法は当てにならない今、全員で走って駆けつける事は不可能だった……。

 「才器の具現化は考えものだな………」
 「私は何とも無いけどね?」
 「レインちゃんはバケモンだからな……」
 「もうっ!カヴァルくんまで!」

 「よし、決めたぞ。おーい、リョウマくん?」
 馬車の先頭を歩いていた僕にマーチンさんから声が掛かる。


 馬車に集まった僕達は、ギルドマスターのマーチンさんの指示通りに行動を開始した。
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