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〜第三章〜

緊急任務!【四】

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 リビングからいい匂いが僕の鼻腔を擽る。
 旅の支度を前日に済ませていたので、荷物を背負いリビングに向かう。

 「おはよう」
 「あぁ、おはよう、寝れたかね?」
 「えぇ、僕は寝れましたよ。ただ寝れなかったのは四人の方じゃないですかね?」
 「ははは、だろうな。でも見たまえ。楽しそうだ」

 そうマーチンさんに言われキッチンを見るとスズとサクラはいつもよりも楽しそうに朝食の準備と旅の食料の管理など和気あいあいと二人でやっている。

 リビングに目を戻すとカヴァルとブッフォンが二人で地図や凶獣マダゴランの資料などに目を通し、作戦やら話し合っている。

 「大丈夫そうですね」
 「あぁ」

 「ところでレインの姿が見えないんですけど……?」
 「どうやら、ここ最近新技の試し打ちとかで朝方に帰ってくるな」
 「え?大丈夫なんですか?今日出発ですよ。寝てなくて大丈夫なのかな~」

 「EI最強のイン率を誇る、不眠姫だ。大丈夫だろう」
 笑いながらマーチンは答えた。

 (…不眠姫って……)

 「それに、馬車でも寝られるだろうし、何より一番今回の旅の件で四人に関して責任を感じているのだろう。身体を動かしていたいのだよ」
 「そんなもんですかねー」

 僕とマーチンさんがそんな会話をしていると朝食が運ばれてきた。
 「皆お待たせ」
 スズがテーブルに朝食を運んで来たのと同時にギルドホームの玄関から
 「ただいまぁ~、うわぁ!いい匂い。お腹空いたぁー」
 と、レインが戻って来た。

 サクラも旅の支度が済みリビングに戻ってくる。
 「あ!レインちゃんおかえり、先にシャワー浴びて来てね」
 「あぅー、ご飯………」

 皆の笑い声の間をレインがショボンとしながらシャワーに向かうのだった……。
 サクラは歳は一番下だけど昔からお母さん肌なのだ。
 サクラを現実世界で知っている僕は心の中で

 (レインご愁傷さま)

 と、手を合わせ朝食に手を伸ばすのだった。


 レインがシャワーから上がり、皆が揃いレインが遅れた朝食にありつくとカヴァルが
 「ちょっといいかな?あ!レインちゃんは食べながら聞いてくれて構わないよ」
 「ぁう…ん…」

 「今回のクエストの小隊長としてマダゴラン討伐に向けた作戦条項を発表したい」
 「うむ。小隊長はカヴァルくんだから任せよう」

 「ありがとうございますマーチンさん。では……」
 「まず王都グラン·カルロリムを出たら南に向かい城塞都市ザルホザーツを目指します、ここで凶獣マダゴランの情報収集と物資の補給…」
 「その後我々小隊でマダゴラン討伐。マーチンさん、レインちゃん、リョウマにはいざの時のバックアップをお願いします」
 「心得た…」

 カヴァルから作戦が伝えられた後、各自最終確認後ギルド本店にいるアニマさんに声を掛け僕らは、この世界に来て初めての旅に出る。
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