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番外編
第7話 仲間探し
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~修学旅行編、1日目~
紅華と鈴菜は、美埜音達には秘密でメルカ横丁という和菓子を売っている街へ赴いた。
ちなみに秘密にしたのは、相棒と出かけたいという思いがあったが、そんな暇はなかったからである。
二人だけになって話すのは、中学以来だった。
「久しぶりに話せたわね、和菓子でも食べる? 鈴菜」
「そうだね......あ、私は最中(モナカ)が食べたい! 抹茶パンケーキも!」
「食べるわねw......あ、私は練りきりっていうお菓子が食べたいから、あそこの杏栖庵(あんずあん)ってところはどう? 全部ではないけれど、最中ならあるわよ」
「行く―!」
「はいはい、行きましょうか」
紅華はこういう時だけ足の早い鈴菜の跡をついて行きながら思った。
(やれやれ......妖朴退治はもう少しあとの予定になりそうね......)
と。
数十分前~
紅華たち二人が班から離脱してすぐくらいの頃、美埜音がその事に気づいた。
「待ってください! 紅華さん達は!?」
「鈴菜もいない!! どこにいったんだ!?」
「落ち着け、まだそんな遠くにはいないはずだ。誉、GPSは? 紅華は特に方向音痴だからと、俺が徹夜して作ったGPSがあるはずだ。それを追っかけるように専用のスマホを誉に渡したろ?」
「待って、GPSは......メルカ横丁ね。色々な和菓子を売ってる街よ。ここから30分位で着くようね」
「サラッとアイツをdisってるような気がするんだが?」
「じゃあ、早く行こうよ誉!」
「無視ですかそうですか」
煌は案の定無視されてはいるが、誰も気にしないのはもはやお約束である。
苺が今にでも走って行こうとするのを、何故か誉は止めた。
どうしてなのか聞くと、
「いいえ、紅華に連絡してみましょ。そうしたら嫌でも気づくはずよ」
と言った。先に連絡を入れて反応しなかったら向かおう、ということなのだろう。
苺は誉と長年の付き合いだからか、すぐに誉の言いたい事を理解出来た。
「そっか。あたしは横丁行きたいけどな~。仕方ないかぁ」
「俺も横丁行きたい!」「私も」「俺も」
「あ、待って、紅華達は今建物の中よ。今のうちに横丁へ移動したほうが二人と合流できるし良いかもしれない。よし、返事も来ないし行きましょうか」
「じゃ、合流目指してレッツゴー!!」
苺たちはメルカ横丁を目指して、他の班から離れ始めた。
* * *
一方その頃、紅華たちはというと......
杏栖庵で抹茶スイーツや和菓子を堪能していた。
自分の立場や、今頃班の皆が探し回っているとも知らずに。
~紅華&鈴菜 side~
「んん~!! おいひい!」
「ね~! この最中も美味しいわよ。スティック状なんだけど、食べる?」
「食べる~」
「お待たせいたしました、抹茶パフェでございます」
「「ありがとうございます!!」」
~蓬side~
「くそっ、アイツらどこに行ったんだ?! 見つからないじゃねえか!」
「蓬、口が悪いぞ。焦ったところでどうにもならないし」
「なんでお前はそんなに薄情なんだ、煌。普通は急いで探すものだろ」
俺がそう言うと、煌はため息をつきながら背中をさすってくれた。
……いや、くすぐったいんだが。
「"急がば回れ”、って知ってるか? 急いでいるからこそ冷静になり、頑張って探すんだ。これでもかなり心配してるんだぞ?」
「……蒼葉宮か?」
「なんでそうなる。別にそ、そんなんじゃないし」
……いや動揺してますけど? 少しからかってみるか。
俺は煌に鎌をかけてみることにした。おもろいから。
「お前が何を考えているのか知らないが、別に俺は恋愛的な意味で言った訳じゃないぞ?」
「は……! お前カマかけたな?! って俺もそんなこと考えてないし!ていうか美埜音とはどうなんだよ?」
「いや、なんでそこで鬱島が出てくるんだよ」
「べっつにー? でもいつかそういう事になったら俺に相談しろよな! な、"相棒”!」
「はぁ……なんかよくわからんが分かった」
「2人とも、そこで話してないで探しますよ!」
「分かってるー! あ、美埜音走るな! 危ないぞ! ……ったく、行くぞ蓬! 焦ってイラついても何も始まらないからなー!」
「………走りながら叫ぶヤツ初めて見た。あの小さい体のどこにあんな声量出せるだけの筋力があるんだか。……お前も走るなーー! 転ぶぞ~」
そう言いつつ俺は、煌を追いかけた。
自分でも気づかない、笑みをうっすらと浮かべて。
続く。
あとがき
えー、休みとは言いましたが、あんまり長くても良くないので番外編作りました。
ども。
どうやら今年中には終わりそうにないので、ゆったりと投稿します。
よろしくお願いします!ではでは~(o・・o)/
紅華と鈴菜は、美埜音達には秘密でメルカ横丁という和菓子を売っている街へ赴いた。
ちなみに秘密にしたのは、相棒と出かけたいという思いがあったが、そんな暇はなかったからである。
二人だけになって話すのは、中学以来だった。
「久しぶりに話せたわね、和菓子でも食べる? 鈴菜」
「そうだね......あ、私は最中(モナカ)が食べたい! 抹茶パンケーキも!」
「食べるわねw......あ、私は練りきりっていうお菓子が食べたいから、あそこの杏栖庵(あんずあん)ってところはどう? 全部ではないけれど、最中ならあるわよ」
「行く―!」
「はいはい、行きましょうか」
紅華はこういう時だけ足の早い鈴菜の跡をついて行きながら思った。
(やれやれ......妖朴退治はもう少しあとの予定になりそうね......)
と。
数十分前~
紅華たち二人が班から離脱してすぐくらいの頃、美埜音がその事に気づいた。
「待ってください! 紅華さん達は!?」
「鈴菜もいない!! どこにいったんだ!?」
「落ち着け、まだそんな遠くにはいないはずだ。誉、GPSは? 紅華は特に方向音痴だからと、俺が徹夜して作ったGPSがあるはずだ。それを追っかけるように専用のスマホを誉に渡したろ?」
「待って、GPSは......メルカ横丁ね。色々な和菓子を売ってる街よ。ここから30分位で着くようね」
「サラッとアイツをdisってるような気がするんだが?」
「じゃあ、早く行こうよ誉!」
「無視ですかそうですか」
煌は案の定無視されてはいるが、誰も気にしないのはもはやお約束である。
苺が今にでも走って行こうとするのを、何故か誉は止めた。
どうしてなのか聞くと、
「いいえ、紅華に連絡してみましょ。そうしたら嫌でも気づくはずよ」
と言った。先に連絡を入れて反応しなかったら向かおう、ということなのだろう。
苺は誉と長年の付き合いだからか、すぐに誉の言いたい事を理解出来た。
「そっか。あたしは横丁行きたいけどな~。仕方ないかぁ」
「俺も横丁行きたい!」「私も」「俺も」
「あ、待って、紅華達は今建物の中よ。今のうちに横丁へ移動したほうが二人と合流できるし良いかもしれない。よし、返事も来ないし行きましょうか」
「じゃ、合流目指してレッツゴー!!」
苺たちはメルカ横丁を目指して、他の班から離れ始めた。
* * *
一方その頃、紅華たちはというと......
杏栖庵で抹茶スイーツや和菓子を堪能していた。
自分の立場や、今頃班の皆が探し回っているとも知らずに。
~紅華&鈴菜 side~
「んん~!! おいひい!」
「ね~! この最中も美味しいわよ。スティック状なんだけど、食べる?」
「食べる~」
「お待たせいたしました、抹茶パフェでございます」
「「ありがとうございます!!」」
~蓬side~
「くそっ、アイツらどこに行ったんだ?! 見つからないじゃねえか!」
「蓬、口が悪いぞ。焦ったところでどうにもならないし」
「なんでお前はそんなに薄情なんだ、煌。普通は急いで探すものだろ」
俺がそう言うと、煌はため息をつきながら背中をさすってくれた。
……いや、くすぐったいんだが。
「"急がば回れ”、って知ってるか? 急いでいるからこそ冷静になり、頑張って探すんだ。これでもかなり心配してるんだぞ?」
「……蒼葉宮か?」
「なんでそうなる。別にそ、そんなんじゃないし」
……いや動揺してますけど? 少しからかってみるか。
俺は煌に鎌をかけてみることにした。おもろいから。
「お前が何を考えているのか知らないが、別に俺は恋愛的な意味で言った訳じゃないぞ?」
「は……! お前カマかけたな?! って俺もそんなこと考えてないし!ていうか美埜音とはどうなんだよ?」
「いや、なんでそこで鬱島が出てくるんだよ」
「べっつにー? でもいつかそういう事になったら俺に相談しろよな! な、"相棒”!」
「はぁ……なんかよくわからんが分かった」
「2人とも、そこで話してないで探しますよ!」
「分かってるー! あ、美埜音走るな! 危ないぞ! ……ったく、行くぞ蓬! 焦ってイラついても何も始まらないからなー!」
「………走りながら叫ぶヤツ初めて見た。あの小さい体のどこにあんな声量出せるだけの筋力があるんだか。……お前も走るなーー! 転ぶぞ~」
そう言いつつ俺は、煌を追いかけた。
自分でも気づかない、笑みをうっすらと浮かべて。
続く。
あとがき
えー、休みとは言いましたが、あんまり長くても良くないので番外編作りました。
ども。
どうやら今年中には終わりそうにないので、ゆったりと投稿します。
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