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第六節
暴走
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瑪瑙紅音。
紅華の姉であり、"最凶”と呼ばれた程の最強乙女。
紅華達が暮らしている、明桜市(めいら)にある"菜花町”(なばな町)の掲示板には、その紅音の顔が載っている行方不明と書かれたチラシが貼られていた。
もう、何年も、誰も見ていない。
閉話休題。
紅華達は、休みと言うこともあってか海に来ていた。
紅華は黒いセーラー服みたいな水着で赤いリボンが着いている。
鈴菜は水色のギンガムチェックのワンピースみたいな水着、美埜音は黄色と黒のチェックに、黄色い生地にさくらんぼが沢山描いてあるセパレートタイプの水着。
蓬は、緑と黒のネコ柄のズボンに白いラッシュガードを着ていて、煌は黒と赤のチェック柄のズボンの水着を着ている。
「今日はおもいっきり遊ぶぞお前らーーー~!!!」(煌)
「「「「うおーーーーーーーー!!!!!」」」」(煌以外)
「やっぱ海って良いわよねーーー!空気も良いし!」
「ですよね!この国暑さバグってますもん!」
と会話してると、鈴菜が
「早く遊ぼうよー( ´ ▽ ` )ノ♩」
と言って浮き輪も持って遊ぶ準備をしている。可愛i(((
「今行くー!」
海で沢山遊んだ後は、旅館で休むだけ。
服に着替えた紅華達は、旅館に来た。
「この旅館、人気なのによく予約取れたよね~」
「凄いわよね、さすが御曹司」
「もっと煌様に敬意を示せ」
「誰がアンタなんかに敬意を示すんだ
(ハイハイありがとうございます~)
(棒読み)」
「紅華、心の声と言ってる言葉反対だぞ。共感はするが」
「wwwwww」
「紅華さんオモロいですねw」
「( ・∇・)」
「その顔はやめて腹が死ぬwww」
「アっハッハwww」
笑い転げている鈴菜達は横目に、蓬は部屋の中を物色し、煌はベッドにダイブしている。
「あっずるい!私もやる!」
と、皆それぞれくつろいでいる。
まだ旅館の女将さんが来る時間帯では無いので、自由時間というものなのだろう。
流石、天廼家の御曹司。太っ腹~。
とりあえずは、蓬に話しかけてみる。
「ねぇ蓬。何か見つかった?」
「いいや、不審なものとかは特に見つからなった」
「不審な物?この旅館って……もしかして訳あり?(小声)」
「うーん、1ヶ月前にほら、大会あっただろ。アレが終わった直後、不審な物が海辺で見つかったってニュースを見たんだ」
「海辺で?不審なものって何?」
「なんでも、黒い宝石だって聞いたぞ」
「宝石……?!」
「え、どうした、瑪瑙」
「紅華で良いわ。それって、海辺のどこら辺?」
「いや、たまたまニュースで見たから……まさか、心当たりとか?」
「いいえ、でも……………………………………
宝石、というか宝石で作られた時計を持っている人物なら…………」
「…………後で話を聞こう。この話、意外と厄介かもしれないぞ、紅華」
「えぇ、分かってる。あなたにも協力してもらうわよ」
「……は?」
「は?じゃないわよ。こんな話を他のメンバーに話してみなさいよ。めんどくさくなるじゃない」
「それはまぁ……確かにそうだが。何故俺?」
「頭いいから」
「そんな理由かよ。まぁ良いが」
「ありがと」
「礼は後にしろ。終わってからな」
「うん……、あと蓬」
「ん?」
「今回は…………大会で使ったアレを使うけど……何かあったら私をアンタが止めてね」
「どういう事だ?」
「いずれ分かる事。そろそろ行くって鈴菜たち拗ねてるわよ。貴方の相棒さんもね」
「煌の事か?……別に、相棒なんかじゃ…………」
「どうだかね」
「……からかってるだろ」
「別に~?そんなことないですよ~(笑)?」
「笑ってるな」
「なぜバレた」
「バレバレだったぞ~」
「くっ……」
「おおーい!早く来いよ!そろそろ夕飯食べに食堂に行くぞー!」
「分かってるから大きい声出すなアホ!」
「俺はアホじゃない!天才だ!」
「低脳の間違いだろ」
「なんだと蓬!」
「ふっ」
「なんやコイツ」
「やっぱりこの2人も相棒って感じよね……」
とりあえず全員で食堂に行くことにした。
……んが、そう簡単に行くはずもなく。
停電した。
「ええ?!真っ暗なんだけど怖い怖い怖いやだやだやだやだやだやだ無理無理無理無理」
「おい俺にひっつくな暑苦しいぞ煌」
「やだやだやだやだやだやだ怖すぎだよおいぶち○すぞ」
「おい鈴菜言葉遣い荒いわよ」
「お前もじゃい!」
「怖いです:(´◦ω◦`):」
「美埜音落ち着いて!怖くないから」
ちょっと停電しただけでこのザマである。
しばらくすると停電は治り、悲鳴が聞こえた。
「キャーーーーー!!!!!(悲鳴)」
「何?!何なの?!」
「行くわよ皆!」
「おい置いてくな!」
バンッ!(ドア開ける音)
「大丈夫ですか?!」
と、紅華が開けるとそこは…………
血の海だった。
まさに地獄絵図。女将は顔を真っ青にして震えている。
「?!」
もちろん鈴菜と美埜音は絶句。煌は顔が青ざめているし、蓬も少し驚いている。
…………紅華を除いて。
・・・
死体の近くに、白いフードを被った何者かがいる。
その人物は振り返った。
紅華は驚いた。
だってその人物は……………………………………
あまりにも紅音に似てたから。
「嘘でしょ……?」
と紅華は呟くと、その人物はニッコリ笑った。
「ふふっ♪ 驚いているようだけど、誰かに似てるのかなぁ?」
「……っ、それよりアンタは誰?」
「え~覚えてないんだ。残念だな~笑
まぁいいや。教えてあげる…………
ボクの名前は、"青瑪瑙諷”(あおめのうそら)。瑪瑙家の分家の子供だったやつ。」
「…………はぁ?!」
さすがに紅華も絶句した。
だってそうだろう。そもそも知らないような奴が瑪瑙家の分家なんて。その分家の子が人を沢山殺してるなんて。しかも、そいつは自分の姉に似てるのだから。
(嘘でしょ……。あんなやつ会った事……アレ、無かったっけ?どこかで見たような気もするんだけど……よく思い出せない……なんで?どうして…………………………?)
「あれ、混乱してるみたいだね。ねぇ、ボクの事、思い出してくれた?ソラだよ……?ねぇ、"紅華”」
「なっ……?!」
キイイイイイイイイイイン
(いっ……?!…………頭が割れ……ル……)
ボーン…………ボーン……………。
「おい、大丈夫か?!」
蓬が声をかけるも、紅華は反応しない。
こんなんじゃ、「返事はない、ただの屍のようだ」なんて言ってられない。
蓬は必死に駆け寄って紅華に呼びかける。
「おい、大丈……えっ?」
ヴウン
「……コロス」
そう言うと紅華は諷に向かって突っ走った。
黒い髪型は更に真っ黒くなり、目は赤く紅く染まり、正気では無いくらい殺気を纏っている。
蓬side
(そういえば……紅華は『私に何かあったらアンタが私を止めてね』って言ってたような……覚醒の事だったのか?でも様子が変だ。とにかく、早く止めた方が良さそうではあるな)
「おい、やめろ紅華。そんでお前も…………殺されたくなかったら早く逃げろ」
「うーん、じゃあお言葉に甘えて……ね」
パチン
「は?」
「は?じゃないよ。時を止めたの。とーき♪☆………んじゃ頑張ってね、手刀で気絶出来るからさ」
「……に、がさ……ナイ」
「( ; ᷄ᾥ ᷅ )どうしてそこで私の世界に入ってこれるのさー?……仕方ない。少年、戦闘開始だよ!」
「は?え?ちょっ、マアァァァァァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
蓬が珍しく情けない声を出しながら攻撃する。
(後で締める)
と、決意を固めながら。
その間、諷という少女は作戦を考えていた。
その結果、一瞬だけ時を止めて、手刀で気絶させるという脳筋発想に辿り着き、蓬にもその作戦を伝えるべく蓬の方に移動する。
「少年、考えがあるんだけど」
「手短に頼む」
「うん。早く終わるよ。作戦はこう…………………。手刀でだけど、出来る?」
「なんとしてでもやるんだ。任せろ」
「頼もしいね、ところで名前は?」
「蓬(よもぎ)。ソラ……って言うんだっけか。よろしく、ソラ」
「さん付けしないんね。まぁいっか」
「……してほしいのか?」
「違う」
「そうか」
「よし、やるよ!」
「あぁ」
「ネエ、骨って折るト楽シイノ……?楽しいのか検証シよ?」
「さぁな。お前だけだろ」
「辛辣だね」
「今だ」
「りょー」
パチン!
「今だよ!」
「分かってる」
トットットッ
「いくよ」
パチンッ
「……うっ」
ドサッ
「ふう。上手くいったな」
「ヒヤヒヤしたよ~」
「ほんとだな」
とりあえず、
「なぁ、蓬。なんで」
「あ。後で説明する。安心しろ、煌。お前の想像通りではない」
「なら大丈夫だな、相棒!」
「勝手に上げるな。別に何でもいいが」
「ふっ……そういうところ、ほんと○○に似てるなぁ……」
「なんて?」
「何でも無い~」
「あそ。おーい、美埜音、鈴菜、部屋戻るぞ」
「えっ、あ、うん……。女将さん、大丈夫ですか?」
「えっ、えぇ…………。後でお夕食をシェフに作って貰って、お部屋にお運びしますね」
「お、お手伝い出来ることがあれば何でも仰ってくださいね」
「大丈夫ですよ、ありがとうございます。お優しいですね」
「あ、いえ、そんな……いつm」
ザーザザ
(お手伝いしてよ鈴菜!早く、今すぐ!
何、当たり前でしょ?早く作ってよご飯!この、"無能”!)
「ウッ…………ううっ、前から母に言われてた事なので、大丈夫です。たくさん作るだろうし、こう見えて料理は得意ですもん!」
「ふふっ、凄いですね。でもスタッフはたくさんいるので、今日はゆっくり休んでくださいね」
「ありがとうございます!」
「おーい鈴菜、早く行くぞー」
「まって蓬くん!それでは!」
「また、2時間後に」
ペコリ
「さっき、頭が痛そうだったけど……大丈夫かしら…………」
女将さんは1人、頭痛薬を用意しながら呟いた。
「は~。なんか今日は色々と疲れましたね~」
と、美埜音はため息を吐きながらそういった。
「そうだね…………」
鈴菜は言葉を返すが、その目線は紅華に注がれていた。
そりゃあそうだろうなぁ、と美埜音は思いながら見ていた。
だって、目の前で殺人(?)現場を見てしまったわけだし、あの敵さんを見てから紅華の様子もおかしくなって、何故か蓬はあの敵さんと共闘していたし、何より相棒である暴走状態の紅華を止めることが出来なかったのだから。
実際に止めたのはあの敵さんと蓬だ。鈴菜ではない。
流石にショックを受けるだろう。
美埜音はなんと声をかければいいか分からなかった。
「鈴菜さん…………」
ポツリと呟いたその声は、鈴菜には届かなかった。
蓬side
「で、説明してくれるのか?蓬」
「あぁ。はっきり言うと、あの"ソラ”っていう敵を見てから紅華の様子がおかしくなって、それをソラと一緒に止めたんだ」
「うん待ってちょっともう少し、いやかなり詳しく説明して」
「だよな、分からないよなそうだよな。だって俺でもよく分からない説明だと思ってたから」
「説明プリーズ」
「あぁ。順を追って説明する
と……かくかくしかじか、という訳だ」
「なるほどな、てかそいつ、苗字に瑪瑙って入ってたよな?って事は…………紅華の、親戚か?」
「分からない。今あいつは眠っているがまた暴れ出すのかもしれないが、多分その可能性は低いし、ソラ……は手刀で気絶させたら治ると言っていたし、ほんとかどうかも分からない。どっちみちこの事は紅華に聞かないと分からない事だ」
「だな。後は飯だメシーーー!」
「もう夜だからそんな大声出すな」
「分かってるよ。……でもアレだな」
「何だ」
「俺にも、頼って欲しかったなぁ、さっきの奴じゃなくて」
「何だ……?ソラに嫉妬してんのか?
(ニヤニヤ)」
「はぁ?!しししし、してねーし!」
「すんごく分かりやすいなお前w」
「うるさい!」
「はいはい、お前もな」
「…………くぅ」
「しゃあねぇな。ほれ」
ワシャワシャ
「何すんの」
「撫でてる」
「……ホントそういうとこだぞ」
「なにがだ」
「教えないもん」
「もんって言うなキショい」
「ねぇほんと泣くよ?」
「泣くな寝れない( ˙-˙ )」
「酷すぎワロタ」
「笑ってんじゃねぇか」
飯は超超超美味かった。シェフ達は血に慣れているからか、そんなに驚かなかったらしい。
第七章に続く。
(テーマ"戦争”、裏テーマ、"ーーー”
です。裏テーマは何が入るのか、考えてみて下さいね。あと投稿のペース遅くなるかもしれませんすみません(;_;))
紅華の姉であり、"最凶”と呼ばれた程の最強乙女。
紅華達が暮らしている、明桜市(めいら)にある"菜花町”(なばな町)の掲示板には、その紅音の顔が載っている行方不明と書かれたチラシが貼られていた。
もう、何年も、誰も見ていない。
閉話休題。
紅華達は、休みと言うこともあってか海に来ていた。
紅華は黒いセーラー服みたいな水着で赤いリボンが着いている。
鈴菜は水色のギンガムチェックのワンピースみたいな水着、美埜音は黄色と黒のチェックに、黄色い生地にさくらんぼが沢山描いてあるセパレートタイプの水着。
蓬は、緑と黒のネコ柄のズボンに白いラッシュガードを着ていて、煌は黒と赤のチェック柄のズボンの水着を着ている。
「今日はおもいっきり遊ぶぞお前らーーー~!!!」(煌)
「「「「うおーーーーーーーー!!!!!」」」」(煌以外)
「やっぱ海って良いわよねーーー!空気も良いし!」
「ですよね!この国暑さバグってますもん!」
と会話してると、鈴菜が
「早く遊ぼうよー( ´ ▽ ` )ノ♩」
と言って浮き輪も持って遊ぶ準備をしている。可愛i(((
「今行くー!」
海で沢山遊んだ後は、旅館で休むだけ。
服に着替えた紅華達は、旅館に来た。
「この旅館、人気なのによく予約取れたよね~」
「凄いわよね、さすが御曹司」
「もっと煌様に敬意を示せ」
「誰がアンタなんかに敬意を示すんだ
(ハイハイありがとうございます~)
(棒読み)」
「紅華、心の声と言ってる言葉反対だぞ。共感はするが」
「wwwwww」
「紅華さんオモロいですねw」
「( ・∇・)」
「その顔はやめて腹が死ぬwww」
「アっハッハwww」
笑い転げている鈴菜達は横目に、蓬は部屋の中を物色し、煌はベッドにダイブしている。
「あっずるい!私もやる!」
と、皆それぞれくつろいでいる。
まだ旅館の女将さんが来る時間帯では無いので、自由時間というものなのだろう。
流石、天廼家の御曹司。太っ腹~。
とりあえずは、蓬に話しかけてみる。
「ねぇ蓬。何か見つかった?」
「いいや、不審なものとかは特に見つからなった」
「不審な物?この旅館って……もしかして訳あり?(小声)」
「うーん、1ヶ月前にほら、大会あっただろ。アレが終わった直後、不審な物が海辺で見つかったってニュースを見たんだ」
「海辺で?不審なものって何?」
「なんでも、黒い宝石だって聞いたぞ」
「宝石……?!」
「え、どうした、瑪瑙」
「紅華で良いわ。それって、海辺のどこら辺?」
「いや、たまたまニュースで見たから……まさか、心当たりとか?」
「いいえ、でも……………………………………
宝石、というか宝石で作られた時計を持っている人物なら…………」
「…………後で話を聞こう。この話、意外と厄介かもしれないぞ、紅華」
「えぇ、分かってる。あなたにも協力してもらうわよ」
「……は?」
「は?じゃないわよ。こんな話を他のメンバーに話してみなさいよ。めんどくさくなるじゃない」
「それはまぁ……確かにそうだが。何故俺?」
「頭いいから」
「そんな理由かよ。まぁ良いが」
「ありがと」
「礼は後にしろ。終わってからな」
「うん……、あと蓬」
「ん?」
「今回は…………大会で使ったアレを使うけど……何かあったら私をアンタが止めてね」
「どういう事だ?」
「いずれ分かる事。そろそろ行くって鈴菜たち拗ねてるわよ。貴方の相棒さんもね」
「煌の事か?……別に、相棒なんかじゃ…………」
「どうだかね」
「……からかってるだろ」
「別に~?そんなことないですよ~(笑)?」
「笑ってるな」
「なぜバレた」
「バレバレだったぞ~」
「くっ……」
「おおーい!早く来いよ!そろそろ夕飯食べに食堂に行くぞー!」
「分かってるから大きい声出すなアホ!」
「俺はアホじゃない!天才だ!」
「低脳の間違いだろ」
「なんだと蓬!」
「ふっ」
「なんやコイツ」
「やっぱりこの2人も相棒って感じよね……」
とりあえず全員で食堂に行くことにした。
……んが、そう簡単に行くはずもなく。
停電した。
「ええ?!真っ暗なんだけど怖い怖い怖いやだやだやだやだやだやだ無理無理無理無理」
「おい俺にひっつくな暑苦しいぞ煌」
「やだやだやだやだやだやだ怖すぎだよおいぶち○すぞ」
「おい鈴菜言葉遣い荒いわよ」
「お前もじゃい!」
「怖いです:(´◦ω◦`):」
「美埜音落ち着いて!怖くないから」
ちょっと停電しただけでこのザマである。
しばらくすると停電は治り、悲鳴が聞こえた。
「キャーーーーー!!!!!(悲鳴)」
「何?!何なの?!」
「行くわよ皆!」
「おい置いてくな!」
バンッ!(ドア開ける音)
「大丈夫ですか?!」
と、紅華が開けるとそこは…………
血の海だった。
まさに地獄絵図。女将は顔を真っ青にして震えている。
「?!」
もちろん鈴菜と美埜音は絶句。煌は顔が青ざめているし、蓬も少し驚いている。
…………紅華を除いて。
・・・
死体の近くに、白いフードを被った何者かがいる。
その人物は振り返った。
紅華は驚いた。
だってその人物は……………………………………
あまりにも紅音に似てたから。
「嘘でしょ……?」
と紅華は呟くと、その人物はニッコリ笑った。
「ふふっ♪ 驚いているようだけど、誰かに似てるのかなぁ?」
「……っ、それよりアンタは誰?」
「え~覚えてないんだ。残念だな~笑
まぁいいや。教えてあげる…………
ボクの名前は、"青瑪瑙諷”(あおめのうそら)。瑪瑙家の分家の子供だったやつ。」
「…………はぁ?!」
さすがに紅華も絶句した。
だってそうだろう。そもそも知らないような奴が瑪瑙家の分家なんて。その分家の子が人を沢山殺してるなんて。しかも、そいつは自分の姉に似てるのだから。
(嘘でしょ……。あんなやつ会った事……アレ、無かったっけ?どこかで見たような気もするんだけど……よく思い出せない……なんで?どうして…………………………?)
「あれ、混乱してるみたいだね。ねぇ、ボクの事、思い出してくれた?ソラだよ……?ねぇ、"紅華”」
「なっ……?!」
キイイイイイイイイイイン
(いっ……?!…………頭が割れ……ル……)
ボーン…………ボーン……………。
「おい、大丈夫か?!」
蓬が声をかけるも、紅華は反応しない。
こんなんじゃ、「返事はない、ただの屍のようだ」なんて言ってられない。
蓬は必死に駆け寄って紅華に呼びかける。
「おい、大丈……えっ?」
ヴウン
「……コロス」
そう言うと紅華は諷に向かって突っ走った。
黒い髪型は更に真っ黒くなり、目は赤く紅く染まり、正気では無いくらい殺気を纏っている。
蓬side
(そういえば……紅華は『私に何かあったらアンタが私を止めてね』って言ってたような……覚醒の事だったのか?でも様子が変だ。とにかく、早く止めた方が良さそうではあるな)
「おい、やめろ紅華。そんでお前も…………殺されたくなかったら早く逃げろ」
「うーん、じゃあお言葉に甘えて……ね」
パチン
「は?」
「は?じゃないよ。時を止めたの。とーき♪☆………んじゃ頑張ってね、手刀で気絶出来るからさ」
「……に、がさ……ナイ」
「( ; ᷄ᾥ ᷅ )どうしてそこで私の世界に入ってこれるのさー?……仕方ない。少年、戦闘開始だよ!」
「は?え?ちょっ、マアァァァァァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
蓬が珍しく情けない声を出しながら攻撃する。
(後で締める)
と、決意を固めながら。
その間、諷という少女は作戦を考えていた。
その結果、一瞬だけ時を止めて、手刀で気絶させるという脳筋発想に辿り着き、蓬にもその作戦を伝えるべく蓬の方に移動する。
「少年、考えがあるんだけど」
「手短に頼む」
「うん。早く終わるよ。作戦はこう…………………。手刀でだけど、出来る?」
「なんとしてでもやるんだ。任せろ」
「頼もしいね、ところで名前は?」
「蓬(よもぎ)。ソラ……って言うんだっけか。よろしく、ソラ」
「さん付けしないんね。まぁいっか」
「……してほしいのか?」
「違う」
「そうか」
「よし、やるよ!」
「あぁ」
「ネエ、骨って折るト楽シイノ……?楽しいのか検証シよ?」
「さぁな。お前だけだろ」
「辛辣だね」
「今だ」
「りょー」
パチン!
「今だよ!」
「分かってる」
トットットッ
「いくよ」
パチンッ
「……うっ」
ドサッ
「ふう。上手くいったな」
「ヒヤヒヤしたよ~」
「ほんとだな」
とりあえず、
「なぁ、蓬。なんで」
「あ。後で説明する。安心しろ、煌。お前の想像通りではない」
「なら大丈夫だな、相棒!」
「勝手に上げるな。別に何でもいいが」
「ふっ……そういうところ、ほんと○○に似てるなぁ……」
「なんて?」
「何でも無い~」
「あそ。おーい、美埜音、鈴菜、部屋戻るぞ」
「えっ、あ、うん……。女将さん、大丈夫ですか?」
「えっ、えぇ…………。後でお夕食をシェフに作って貰って、お部屋にお運びしますね」
「お、お手伝い出来ることがあれば何でも仰ってくださいね」
「大丈夫ですよ、ありがとうございます。お優しいですね」
「あ、いえ、そんな……いつm」
ザーザザ
(お手伝いしてよ鈴菜!早く、今すぐ!
何、当たり前でしょ?早く作ってよご飯!この、"無能”!)
「ウッ…………ううっ、前から母に言われてた事なので、大丈夫です。たくさん作るだろうし、こう見えて料理は得意ですもん!」
「ふふっ、凄いですね。でもスタッフはたくさんいるので、今日はゆっくり休んでくださいね」
「ありがとうございます!」
「おーい鈴菜、早く行くぞー」
「まって蓬くん!それでは!」
「また、2時間後に」
ペコリ
「さっき、頭が痛そうだったけど……大丈夫かしら…………」
女将さんは1人、頭痛薬を用意しながら呟いた。
「は~。なんか今日は色々と疲れましたね~」
と、美埜音はため息を吐きながらそういった。
「そうだね…………」
鈴菜は言葉を返すが、その目線は紅華に注がれていた。
そりゃあそうだろうなぁ、と美埜音は思いながら見ていた。
だって、目の前で殺人(?)現場を見てしまったわけだし、あの敵さんを見てから紅華の様子もおかしくなって、何故か蓬はあの敵さんと共闘していたし、何より相棒である暴走状態の紅華を止めることが出来なかったのだから。
実際に止めたのはあの敵さんと蓬だ。鈴菜ではない。
流石にショックを受けるだろう。
美埜音はなんと声をかければいいか分からなかった。
「鈴菜さん…………」
ポツリと呟いたその声は、鈴菜には届かなかった。
蓬side
「で、説明してくれるのか?蓬」
「あぁ。はっきり言うと、あの"ソラ”っていう敵を見てから紅華の様子がおかしくなって、それをソラと一緒に止めたんだ」
「うん待ってちょっともう少し、いやかなり詳しく説明して」
「だよな、分からないよなそうだよな。だって俺でもよく分からない説明だと思ってたから」
「説明プリーズ」
「あぁ。順を追って説明する
と……かくかくしかじか、という訳だ」
「なるほどな、てかそいつ、苗字に瑪瑙って入ってたよな?って事は…………紅華の、親戚か?」
「分からない。今あいつは眠っているがまた暴れ出すのかもしれないが、多分その可能性は低いし、ソラ……は手刀で気絶させたら治ると言っていたし、ほんとかどうかも分からない。どっちみちこの事は紅華に聞かないと分からない事だ」
「だな。後は飯だメシーーー!」
「もう夜だからそんな大声出すな」
「分かってるよ。……でもアレだな」
「何だ」
「俺にも、頼って欲しかったなぁ、さっきの奴じゃなくて」
「何だ……?ソラに嫉妬してんのか?
(ニヤニヤ)」
「はぁ?!しししし、してねーし!」
「すんごく分かりやすいなお前w」
「うるさい!」
「はいはい、お前もな」
「…………くぅ」
「しゃあねぇな。ほれ」
ワシャワシャ
「何すんの」
「撫でてる」
「……ホントそういうとこだぞ」
「なにがだ」
「教えないもん」
「もんって言うなキショい」
「ねぇほんと泣くよ?」
「泣くな寝れない( ˙-˙ )」
「酷すぎワロタ」
「笑ってんじゃねぇか」
飯は超超超美味かった。シェフ達は血に慣れているからか、そんなに驚かなかったらしい。
第七章に続く。
(テーマ"戦争”、裏テーマ、"ーーー”
です。裏テーマは何が入るのか、考えてみて下さいね。あと投稿のペース遅くなるかもしれませんすみません(;_;))
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