感じさせて……。

紫倉 紫

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ゆめ5

十三

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 ダメだ。我慢出来ない。
 私は目をつぶった。
「舌を出せ」
 逆らっても仕方ない。ほんの少しだけ、出した。
 奥村さんが、舌に、唇を押し付けてくる。ゆっくりと、口の周りを舐めさせられる。
 奥村さんは、汗をかいてるのだろうか。ほんのり塩の味がした。
「わかったか?」
「少しだけ、しょっぱい気が……」
「それが、お前のの味」
「私の?」
「そう、膣分泌液」
「ち……」
 それ以上は、言葉に出来なかった。
 大げさでなくめまいを起こして、ソファに倒れ込んだ。
「次々と溢れ出してきたぞ」 
 私は耳を塞いだ。
「体の方は、準備ができてるみたいだな」
 聞こえるように、わざと大きめの声で言う。奥村さんは、やっぱり意地悪だ。
 私は頭を強く横に振った。
「風呂行くぞ」
 奥村さんに、腕を引っ張られた。無理矢理立たされる。体にかかっていたバスタオルが床に落ちた。
 もう、恥ずかしがる気力もない。後二回お風呂に入って、それぞれ、何かをされる。さっきの以上に恥ずかしいことは、そう、ないような気がする。
「もう、眼鏡をかけて入っていいか?」
「普段はかけて入るんですか」
「ほとんど、見えないからな」
「わかりました……」
 あんなことまでされた後だ。恥ずかしがることが、恥ずかしいような気になってくる。
 バスルームに入るなり「洗ってやろうか?」と訊かれた。
 面倒になって「お願いします」と答える。
 顔をみると、眼鏡が曇っている。奥村さんは眼鏡を外して、一度湯船につけた。
「これでよく見える」
 曇ったままにしてくれれば良かったのに……。
 覚悟していたが、予想とは違って、あっさりと終わった。
「俺は、顔を洗うだけでいいくらいだな」
 そうかもしれない。 
 奥村さんが顔を洗い始めた。
「なかなか落ちない」
 手を取られた。顎に触らせられる。
「まだヌルヌルしてるだろ」
 確かにしている。
「お前のなんだし、責任もって落とせよ」
 私はシャワーヘッドを受け取った。口のあたりにかけながら、指先でこする。少し、ヒゲが伸びている。
 奥村さんは、自分の口の周りを手のひらで撫でた。
「もう、いい。体を温めよう」
 促されて、湯船に入った。今度は、奥村さんの前に、重なるようにして座らせられた。
「湯温をあげよう。風呂場内の行為に時間は記されていない。ただ、同じ結果を得るのに、俺の場合、どれだけ時間がかかるかわからん」
 洗って、手でさせられる以外に、まだ何かあるんだろうか。
 奥村さんに引き寄せられて、完全に凭れた。
「たっぷり、お返しをしてもらう」
 奥村さんの手が背後から回り込んできて、私の頬に触れる。
 濡れた指先が唇を割って、入ってきた。
「お前、歯が薄いなあ。気をつけろよ」
 奥村さんは、私の下の前歯を指でなぞりながら、言った。
 虫歯になりやすいんだろうか。質問しようにも、口の中に指があるから喋れない。
「さっきの声、良かったな……」
 唐突に話がかわる。
「思い出しただけで、興奮してきた」
 さっきの声って……
 私が抑えられなかった声……
 恥ずかしさが蘇る。
「『妻の口の中で、みるみる育っていった。』の再現は無理だな……」
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