感じさせて……。

紫倉 紫

文字の大きさ
上 下
79 / 102
ゆめ5

しおりを挟む
 目を開ける。奥村さんの目が思っていたより近くにあった。
 見てしまうと、余計に恥ずかしさがこみ上げた。
 そらす前に、一度、きつく吸われた。
 声が漏れる。
 奥村さんは先端に、下の歯を当てたままで「眼鏡」と言った。
「外したら良いんですか」
 奥村さんが、ゆっくりと目を閉じた。
 自由な左手で眼鏡を外した。柄が曲がらないように、慎重に抜き取る。
 テーブルに置いた。
 奥村さんは、私の左手を掴むと、自分の背中に回すように仕向けた。
 奥村さんを抱える形になった。
 
 さっきより、強く顔を押しつけられる。深く含まれた。
 奥村さんが目を閉じている。
 なんだろう。かわいく思える。
 奥村さんは、ほとんど自分の腕で体を支えている。
 右手は添えているだけで、自由に動いた。
 髪に触れて、目を閉じた。
 もうすっかり乾いている。さらっとした手触りで、撫でていて心地よかった。
 しばらくは、変な気分よりも、母性本能が勝っていた。
 だけど、時々、かすかに体を動かしてしまいそうな、感覚が走り出した。
 奥村さんが、もう一方を指先で摘まんだ。
 思わず、奥村さんを強く抱きしめてしまった。
 さっきまで単調だった舌先が、奔放に動き始めた。
 声が、漏れる。
 この間から、そうされることに弱い自覚はあった。
「奥村さん……それは……」
 軽く歯をたてられた。
「あっ」
 吸われるより、ずっと、感じてしまう。
 奥村さんの肩を軽く叩いた。
 目をあけて、奥村さんを見たけれど、気づいてくれない。
 視界に、砂時計が入った。
「待って……砂時計……終わってます」
 奥村さんは、口の動きを止めた。
 体を起こして座り直した。
 砂時計を手に取った。
「ひっくり返すのを忘れていた」
「え?」
「今ので15分経ってるわけないだろ」
「そんな……」
「今度は向こう端に寄って座れ。逆側でやり直しだ」
 奥村さんは立ち上がって私の前に立った。バスタオルを巻いていても、どうなっているか、わかった。男の人の、こういう生理現象には、全然、慣れる気がしない。
 見上げて「これは、奥村さんのミスなんじゃ……」と訴えてみた。
 奥村さんは、不機嫌な顔になり、黙ったまま顎で、移動しろと指示を出してきた。
 仕方なく、今と線対称になる位置に座り直した。
 
 奥村さんは膝枕状態になってから、砂時計をテーブルに置いた。砂が落ち始める。
 奥村さんの首の後ろに左腕を添える。
「頭、撫でてもいいぞ」
「あり……」
 お礼を言いそうになった。
「撫でて欲しいんですか?」
「撫でたいんだろ? お前が」
 確かに撫でたくはなった。
「そうですね……」
 奥村さんが腕を伸ばしてきて、私の頬に触れた。
「お前、こっち側の方が敏感だから、覚悟しとけよ」
 言葉の内容にはそぐわない優しい笑顔を向けられた。
「『赤子に乳を与えるように』とあったから、お前がくわえさせる方がいいかもしれないな」
 奥村さんが、口をあけたままじっとしている。
 与える……
 動けないでいると、奥村さんは、私の胸の先を軽くはじいた後、自分の口を指さした。
 それは、わかっている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...