感じさせて……。

紫倉 紫

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ゆめ2

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 奥村さんの手が、膝に触れる。 
 片方ずつ足を外側にずらされた。防水シート敷くために、腰を浮かすように指示された。
「少し冷たいが我慢しろ」
 奥村さんは、淡々とそう言った。これだけ足を開いていれば、絶対に見えているはずだ。
 わたしは、タオルケットを顔に押し付けて、必死で目を閉じていた。
 水がかけられた。冷たくて、足に力が入る。
 洗浄はすんだらしく、布で、足の間を拭き取られる。
 終わったわけではない。これからだった。
 これがまだ、純粋にどこかのレディースクリニックで、見知らぬ医師相手ならよかった。
 それほどかかわりはなかったが、研究室によく出入りしている、それも、最も苦手にしている相手にさらけ出している。
 先生の研究に協力するたびに、こんな目にあうのだろうか。
 奥村さんが「力を抜け」と言った。
 力を入れているつもりはない。抜き方はわからない。
「ん?」と、言って、わたしの足をさらに両側に押し広げる。息を止めた。恥ずかしすぎる。奥村さんは、わたしの足の付け根のその奥を、指で、なぞった。
「うーん」
 人の股間を眺めながら、そんな声を出さないでほしい。
 入口のあたりを指で広げられた。その後で痛みが走る。
「これはまずい」
 奥村さんがまたため息をついて、膝を閉じさせた。
「教授に話してくる。お前は服を着て待っておけ」
 奥村さんが部屋からも出て行った。
 一人取り残され、しばらくボーっとしていた。戻ってくる前に、下着だけでもつけておきたい。なんとか体を起こす。
 ほんの少しだとは思うが、指をいれられた。
 奥村さんに見られて触られるなんて、予想もしたことがなかった。
 いくら、先生のことがあるからって、受け入れたのは判断ミスだった気がする。急に悲しくなって、涙がこぼれた。
 とにかく、下着をつけて、まくれあがったスカートを伸ばした。ストッキングは、はくのが面倒だった。タオルケットを足にかけて、奥村さんが戻ってくるのを待った。
 ドアの音が聞こえた。慌てて涙を拭った。
 奥村さんが顔だけのぞかせた。
「はいたか?」
 一瞬答えに迷ったが頷いた。先生が隣の応接で呼んでいるらしい。素足でパンプスをはき、奥村さんについて先生のもとへ向かう。
 先生はソファに腰掛けて待っていた。
「座りたまえ」
 奥村さんと並んで座った。
「奥村君から報告を受けてね……現時点での君は実験に協力してもらうには不適格と判断した」
 ショックだった。あんなことまでさせられて、おろされるなんて。
「ただ、君が、奥村君からの指導を受けて、ある一定のレベルまで達するのであれば、こちらとしては、少々時期が延びても、他の人材を調達するよりは効率的だとは考えている」
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