愛すべき『蟲』と迷宮での日常

熟練紳士

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第二十九章

第百三十三話:(蛆蛞蝓外伝)天獄に到達した蛆蛞蝓(2)

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◆一つ目:蛆蛞蝓
◆二つ目:タルト

筆が捗ったので投稿だ~。
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 朝起きて執務室に着てみれば、机の上に一枚の手紙が置かれていた。

 一体誰がと思ったけど、この問題は直ぐ解決した。一言・・・「モナ」と書かれていた。何度も言うようだけど、本当に一言!! 文字数にして二文字!! なんて難解な暗号なんだ。

 だが、お父様と呼ばれるこの私!! 娘達からの手紙が解読できませんじゃメンツに関わる。なんでも、文字のサイズや角度、太さ、止め払いなどで意味が異なるらしい。最近になって、何となく解読できるようになってきたけど・・・どの国家が使う暗号文よりも難解なのは言うまでもない。

 三日三晩格闘の末に、ついに答えが出た。

『お父様へ お父様の力になるべく、旅にでます!! 旅先からお手紙を出しますのでご心配なさらずに。PS瀬里奈様にお伝えください。お父様への愛を証明してみせます。』

 てっきり、研究所に籠もって実験をしているとばかり思っていたけど、まさか三日も前に旅に出ていたとは。しかし、本日は蛆蛞蝓ちゃんがラージャとゴリフィーナのお世話係の順番だったのにね。

 一週間以上前から、楽しみと言っていたのに・・・余程の事態なのだろう。

 さて、瀬里奈さんに事情を聞きにいくとしよう。私的な予想だが・・・来月新刊を発行するので蛆蛞蝓ちゃんの研究所で働く優秀な者達の手伝いが欲しかったのだろうね。大量印刷のために印刷機の製造にも着手したと聞いた。相変わらずハイスペックな瀬理奈さんだ。趣味のためなら何でもするという意気込みはすばらしいわ。

 バタン

 そのとき、部屋の扉が開いて瀬里奈さんが飛び込んできた。良いところに、ちょうど、色々と聞きたいことがあるんですよ。

ギィギ『レイアちゃん、先月完成したばかりの大人用人型模型が無くなっているのよ。泥棒が入ったんだわ。そうに違いない!!』

 そんなことができる泥棒がいるなら会ってみたいわ。瀨里奈ハイヴの地下に厳重保管されている瀬里奈さんの人型模型。それを持ち出せる者など限られている。瀬里奈さんが作った力作の大人用人型模型。某運命のなんとかスフィールのまるパクリ!! 確かに、アルビノで母性溢れるデザインを考慮した際に参考にするのは理解できるけどさ。

「きっと、蛆蛞蝓ちゃんが持って行ったんだよ。蛆蛞蝓ちゃんはその気になれば、体のサイズを圧縮して人型模型の体内から操縦する事もできるだろうからね」

 となれば、その体を使う必要がある場所に行くと言うことか。私の領地ならばアルビノの蟲系モンスターがどこに居ても誰も驚かないほどになったが・・・他では、そうはいかないだろう。

 よって、行き先は領地の外か。

ギィ『・・・・・・なんだそうだったの。なら、安心ね。折角、newボディーでラージャちゃんとゴリフィーナちゃんをあやそうと思ったのに残念だわ』

「今の間・・・蛆蛞蝓ちゃんの旅の一件、何か知っていますよね?素直に白状しないと、二人におばあちゃんは悪い子なんですよと教えちゃいますよ」

 瀬里奈さんにとっての初孫。まだ幼いとは言え、善悪の判断が付くようになったころお婆ちゃんは悪い子なんですよと教えられたら、距離を取る可能性もある。瀬里奈さんにしてみれば死の宣告にも等しいだろう。

ギギィィ『れ、レイアちゃん・・・なんて恐ろしい事を。実は、ちょーーと、蛆蛞蝓ちゃんのところで働く頭脳労働が得意な子達の力を借りたくて、遊びに行ったら・・・蛆蛞蝓ちゃんが大事な実験に失敗したらしく相談に乗ったのよ。アドバイスとして、レイアちゃんへの愛が足りないから失敗したんだわ。そして、ランクA相当のモンスターの遺伝子を更に集めれば成功間違い無しと』

 色々と酷いが・・・ランクA相当のモンスター。そんなの迷宮最下層にいるボスしかいない。そんな規格外のモンスターの遺伝子情報を手に入れる事など、いくら蛆蛞蝓ちゃんでも命がけだろう。

 どうしても欲しいと言うなら、私とゴリフターズが付いていったというのに。最悪、『闇』の使い手に土下座してお願いしてもいい。アレ一人居れば、何でも片づくが・・・間違ってモンスターごと消失させそうで怖いけどね。

「まったく、あんり変なアドバイスをしたらダメですよ。蛆蛞蝓ちゃんは、繊細な乙女なんだから」

ギィ『あながち間違ったアドバイスでもなかったんだけど・・・そういうことにしておくわ。さて、孫達の面倒を見に行かないと~。今、おばーちゃんが行きますよ』

 これから、瀬里奈さんが各国から大量に仕入れている鉄鉱石などの資材について追求しようと思ったけど、既に部屋から居なくなっていた。瀬理奈さんのおかげで、恐ろしいまでの金がヴォルドー領に集まっている。経済を回すためにも金を流通させるために、ある程度だが、この量は多すぎる。

 クイーン・セリザベス号やスピリット・オブ・マザーセリナという恐ろしい計画は潰したはずなんだがな。裏で何か遣っている気配がプンプンする。海賊王になるとか、モンスターの王になるとか、腐女子の王になるとか、二ヶ月に一回は言うことが変わっている。そのたびに、恐ろしい計画書が見つかるんだよね。



 ランクA相当のモンスター・・・当然、情報は少ない。この私でも知っている事は、人づての情報のみです。

 お一人目がテスタメント様・・・『モロド樹海』最下層に居た大型の蜘蛛系のモンスター。物理および魔法に対して極めて高レベルな体制をお持ちで、身体能力に関しては全蟲系モンスターで最強でしょう。

 二人目がドッペルゲンガー・・・『ネムロ遺跡』最下層の種族不明のモンスター。あらゆる生命に化けることが可能。更に言えば身体能力まで完璧に再現できる。魔法までは再現できないので、安心です。全冒険者で身体能力が最強であったクロッセル・エグザエルが居ない今、誰をコピーしたとしてもそこまで脅威ではありません。

 そして、先日、ゴリフリーテ様とゴリフリーナ様から耳寄りな情報を手に入れたのです!! なんと、お父様の義弟にあたりミルア様とイヤレス様がお持ちだった黄金と白銀の杖・・・あれこそ、お二人が迷宮最下層で滅ぼしたモンスターの素材で作り上げた超一級品だったのです。テンペスターという黄金の龍とシュナイザーという白銀の龍・・・生きたサンプルが欲しかったですが、贅沢は言いません!!

 ランクA相当の規格外のモンスターです。素材となった杖から生きたDNAが採取可能なことを祈りましょう。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

 『ウルオール』王都に直通している地下通路は便利ですね。普段は、物資運搬用に使われることしかありませんけどね。

ムッシュ(まもなく~、当蟲車は目的地『ウルオール』王都に到着いたしまーす。お客様は、完全に停止するまでお立ちにならないようお願いいたしまーす)

 流石は、ステイシスさん達ですね。早いです。しかし・・・このアナウンスは瀬里奈様の入り知恵でしょうね。なんとなく、そんな気が致します。

「無理なお願いして悪いわね。後で、お土産を沢山持ってくるから」

 瀬里奈様が先月作り上げた新しい人型模型。大人バージョンと仰っていましたが・・・なかなか良い完成度。 この私が中に入って操縦できるのは、素晴らしい。最初は内側から破裂するかなと恐る恐るでしたが、安心しました。

ムッシュ(蛆蛞蝓ちゃんすてき~。あ、お土産は、一人牛一頭で)

ムムシュュ(野菜も食べないと栄養バランスが悪いですよ。と言うわけで、野菜もお願いします)

ムッシュシュ(肉と野菜・・・後は、飲み物も忘れないでくださいね)

ムシュ(白米も忘れないでくださいよ。お肉とお米・・・これぞ至高!!)

 4匹のステイシスさん達から沢山の要望が!! まぁ、仕方有りません。その位、私のお小遣いでなんとかなるでしょうから、買ってきましょう。ここまで運んで頂きましたし、帰りもありますからね。

「分かりました。それでは、行ってくるので待っていてくださいね。早ければ数時間・・・遅ければ数日で戻ります」

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

 それから、『ウルオール』の地下に建造された駅に到着した。地上に上がる私をステイシスさん達が手を振って見送ってくれる。

 さてさて、この場所は、『ウルオール』で最重要機密に当たる場所。表向きは、王族が所有している屋敷・・・そこの地下10階に当たる。この長い階段を上ると、屋敷の地下一階の倉庫へと繋がっており、そこを通じて表に出る事が可能。

「うーーん、大丈夫よね」

 本日初めて外にお披露目される事になるこの人型模型・・・一応、ヴォルドー家の家紋が入っている純白の服を着ておりますが、不審者に思われないでしょうか。このお屋敷の管理をしている者達は、王家の方が信頼できるといっている人材が配備されているとはいえ、少々不安です。

 考えているうちに地下一階についてしまった。そして、扉を開けた。

 チリンチリン

 開けたと同時に鈴の音がなった。どうやら、地下からの来訪を知らせるベルらしい。普段は、こんなベルが鳴ることなんて無いでしょうね。

 ガタン

 なにやら、上の階で慌ただしい音がしている。完全に想定外の来訪者であるこの私が来たことに驚いているのでしょう。ごめんなさいね。事前の連絡もしないで。

 まぁ、ここで待っていても仕方有りませんので階段を登って一階まで行くとしましょう。一階まで登ると、ちょうどこちらに慌ててこようとしているメイドが二名。すぐに深くお辞儀をしてきた。

「ご対応が遅くなってしまい申し訳ありません。突然のご来訪であったため・・・」

「いいえ、お構いなく」

 端から見ても分かる程、顔色が青ざめている二人。いや、そんな顔をしなくても、別に取って食べちゃうわけじゃないんだから。

「そ、それと、大変失礼だとは存じますが・・・ヴォルドー家のご関係者様だと思われますが、お名前を教えて頂けないでしょうか」

「すぐに王宮にご連絡をして迎えの者を呼んで参ります」

 名前・・・瀬理奈様のお名前を拝借しようかと思いましたが、流石に普段お使いの人型模型の体型から考えるに無理があるわよね。一年とせずにこんな体に変わるなんて人間じゃ無いわ。

 しかし、この姿で蛆蛞蝓と名乗ってもいいのだろうか。そうしたら、今後瀬里奈様がこのお体を使われる際に支障を来す可能性があります。確か、この取扱説明書に固有名称が書いてあったわよね。

「アイリといいます以後お見知りおきを。ヴォルドー家の関係者で間違い有りませんが、王宮へはこの私自ら伺うので迎えは必要ありません。観光もしたいので」

 地下で待ってくれているステイシスさん達の土産の手配もしないといけない。王宮でお願いすればその位すぐに手配してくれるでしょうが、個人的な都合でここにきたので他の人の手を煩わせてしまっては、いけません。この私の行動全てが、お父様達への評判にも繋がるんです。

 しっかりしないと!!

「アイリ様ですね。承知致しました。しかし、私達も仕事である故、王宮にはご一報入れさせて頂きたく存じます」

「えぇ、構いません」

 それは、仕方有りません。報告の義務を怠って、この人達が職を失う結果になってもいけませんしね。

「では、すぐに護衛の者を手配致しますので」

「護衛ですが、必要ありません。こう見えて、強いんですよ」

 人差し指を唇に当てて、可愛らしく言ってみた。それに、私より弱い人が護衛に付いても意味がありません。どちらが護衛なのか分かったものではありません。

「・・・・・・・・・分かりました。お気を付けていってらっしゃいませ」

 渋っておりましたが、お父様のマネをして少しだけ殺気を乗せて睨んでみた。すると、ご理解頂けたようです。

 よくよく、思えば、お父様から離れるなんて初めての経験!! そして初めてのお買い物!! きゃー、どきどきしてきた。




 ば、ばかな!! 今月も載っているとは。

 『ウルオール』で毎月発行されている注目の冒険者が似顔絵入りで掲載されている雑誌。本日発売された雑誌にも載っていた・・・『血染めのタルト』『死の恐怖タルト』。その異名となった出来事などに尾びれ背びれがついた形で脚色されている。

 そ、そりゃ、レイア様からお預かりした蟲達を使って『神聖エルモア帝国』に入国をしようとした難民達を処理しましたよ。でも、警告もしましたし・・・国境を越えた者に限定もした。

 後、レイア様が私に変装して、『筋肉教団』の傘下に加わりたいが条件が厳しすぎるとグダグダ文句をいうギルド長の殺害ショーを披露した事もあった。おかげで、恐怖の代名詞みたいな存在になってしまった。悪い意味でレイア様より名前が売れているとか今でも信じられない。

 おかげで、街中でも顔を隠さないといけない始末。

「はあ~」

 思わずため息が出てしまう。たまの休みだったので実家に帰ってみれば、両親もよそよそしかったのは泣きそうだった。表に出ている私の情報だけ見ていればそうなるのも無理は無いけどさ~、もう少し実の娘を信じて欲しかった。

 真実を伝えても良かったかも知れませんが、レイア様の関わることを漏らすのは命に関わる。

「おぃおぃ、聞いたか。なんでも『筋肉教団』のタルト副教祖様が『ウルオール』に帰省されているらしいぞ」

「初耳だわ。何処に目と耳があるか分からないから、タルト副教祖の話題は気をつけなさい。ゴリヴィエ教祖と違い本当に血も涙もないお人よ」

「蟲系亜人を囲っているだけの変態じゃなかったのか」

「そういう発言は一人の時にしてよ。私さ・・・『神聖エルモア帝国』でタルト副教祖が顔色変えずに難民達に対して、無慈悲な殺害指示を出していた現場にいたのよ。老若男女問わず、国境線を越えた者達が殺される現場でニヤニヤ笑われていたのよ」

 近くに居る冒険者からとんでもない話題が聞こえた。

 た、確かにレイア様から蟲系亜人を何人か譲り受けましたよ。私の好みにストライクの子達をね!! そんな可愛い子達とキャフフフする事を楽しみにしていた時のできごとなのだから、ニヤニヤしていたのは当然でしょう。

 名乗り出て訂正したい・・・でも、名乗り出たら問題が問題を呼び寄せそうな気がする。

 ざわざわ

 なにやら、周りが急に騒がしくなってきた。書店から出て、大通りを見てみると・・・些か、人の域を外れたほどの美人が歩いている。女の私の目から見てもとんでもない美人だわ。男性達が騒ぎ立てるのも無理はない。

 た、ただ・・・アルビノで・・・お値段が想像も付かないような純白の法衣みたいな長い丈の服。そして、ヴォルドー家の家紋。この『ウルオール』でヴォルドー家の家紋を知らない者は少ない。他国の大貴族だけという理由だけに留まらず、ヴァーミリオン王家とも繋がりのある家だ。

 誰なんだろうか。今までヴォルドー家の家紋を付けた服装をした蟲系亜人は誰も居ない。蟲達が操る人型模型でも同様のはず。

「・・・・・・・・・あっ」

 め、目が合ってしまった。そして、和やかな微笑みがこちらに向けられる。その微笑みを見た男性達が思わず見ほれているのが分かる。

 一歩ずつゆっくりとこちらに近づいてくる。そして、私が付けていた帽子とめがね、マスクを外してきた。

「やっぱり、駄目猫タルトさんでしたか。よいところでお会い致しました」

 私の名前が出た瞬間、周辺の人たちが一斉に距離を取った。や、やめて~、私のライフはもう0よ。

「ひ、人違いですよ。私は、タルトなんて『筋肉教団』の副教祖様ではありません。いや~、日頃から似ていると言われて大変なんですよ」

 謎の美女が顔を近づけてきて、何を思ったのか、私の顔を嘗めた。

 ぺろり

 周辺から黄色い声が聞こえる。

「これは、嘘をついている味ですよ。それに、裸のお付き合いをした仲じゃ有りませんか」

 「蟲系亜人の男の娘を囲うだけでなく、あんな美女まで・・・恐ろしい」「『二刀流のタルト』と二つ名を追加して貰えるように雑誌に投稿しておくわ」などなど、私のイメージがどんどん崩れていく。

「だ、誰だか知らないけどいいかげ「モナ」・・・・・・・・・モナ?」

 考えろタルト・・・レイア様の蟲の中でこんな特徴的な可愛い鳴き声をする蟲が誰なのかを。答えは簡単だ!!

「うじむぅぅぅぅ「はいはい、駄目猫タルトさん、それ以上はダメですよ」」

 柔らかい何かに包まれたとおもったら、蛆蛞蝓ちゃんの胸に顔を押しつけられていた。周りに居る男性達から「うらやましいぞ変われ!!」という声まで聞こえてくる。

 相変わらずですけど・・・どうして、こんな女性の敵みたいなスタイルをした子達ばかりいるんでしょうね!! この胸をもぎ取ってやろうかと思った。
 
************************************************
嘘予告?

???「三回回ってワンって言えば、抱きしめさせてあげてもいいんですよ」

タルト「ワン!!」

ゴリフターズ「あの駄目猫・・・お灸をすえないといけませんね」

レイア「駄目猫君。私は、君に期待しているんですよ。もし、生き残れたら、何でも望みを一つ叶えてあげましょう」

みたいな事があったり無かったり@@
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