愛すべき『蟲』と迷宮での日常

熟練紳士

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第二十九章

第百三十二話:(蛆蛞蝓外伝)天獄に到達した蛆蛞蝓(1)

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リアルが落ち着いてきたから、ちゃんと投稿ができた><
よかった。

さて、蛆蛞蝓ちゃんが主役の外伝をやろうと思います。

◆蛆蛞蝓
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 お父様から頂いた専用のセリナハイヴ第一研究施設。ここでは、モンスターの生態研究、新薬開発の研究、蟲系亜人の製造など様々な事を行っている場所、その管理運営を一手に引き受けている。お父様のご期待に応えるために、頑張っちゃう!!

モナナ(今日は、何をしようかしらね。ペニシリンの出荷も先日終えたし、蟲系亜人の出荷分も整備終わった。お父様の予備パーツも問題ない。うーーーん、瀬里奈様にアドバイスを貰いにいけば色々とアイディアを頂けそうですが・・・この間、それで捕まって三日三晩アシスタントとして缶詰にされてしまいましたからね)

ピッピ(蛆蛞蝓所長、例のサンプル・・・順調に育っております。ご予定通り、あと半年もすれば元通りになるかと思われます)

モナ(よろしい。しかし、知性あるモンスターのため復元速度を意図的に偽っている可能性もありますので万が一の場合は、即座に火口に送るように細心の注意を払いなさい)

 驚異的な再生能力ですね。お父様と一緒に回収したドッペルゲンガーの破片・・・遺伝子情報を読み取ってクローンを製造まで何とかこぎ着けましたが大変でした。

 遺伝子情報を読み取ろうと触れた瞬間、こちらを乗っ取ろうとしてきたので肉体を切断して、グリンドール様のお力を借りて完全に消滅させました。その工程を幾度も繰り返すことでようやくドッペルゲンガーの遺伝子情報を全て読み取ることに成功しました。

 その情報を元に、現在クローンを培養中。当然、ただのクローンではありません!! 蟲系モンスターの蟲ゲノムを取り込むことでお父様の戦力となるべく新種の蟲系モンスターとして生まれ変わらせる予定。コレが実現すれば、もはやグリンドール様を除きお父様は世界最強になるという壮大な計画なのです!!

 本当は、お父様を世界最強にして差し上げたいのですが・・・『闇』の魔法は無理です。お手上げです。

ピッピー(蛆蛞蝓所長。承知いたしました。これで、今月はお隣をビックリさせる事ができそうですね!!)

モッモナ(勿論と言いたいですが・・・瀬里奈様が所長をやられているんです。油断してはいけません。噂では、お父様から10万匹の労働力をお借りして地底湖で壮大な物をお作りになっているとか)

ビビ(あぁ、それ俺の兄弟達が参加しているプロジェクトだ。当初は、クィーン・セリザベス号とか豪華客船を作る予定だったらしいんだけど・・・お父様にばれてお流れになったので、今は戦艦SERINAを密造しているらしいよ)

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

 ち、地底湖でそんなの浮かべてどうするんですか!! きっと、海まで繋げれば問題ないわといいそうですね。そして、グラシア様と海に行きたいとか言ってグリンドール様を動かす気でしょう。グリンドール様なら、海まで河川を伸ばす事など容易いでしょうからね。

 それにしても瀬里奈様の引き出しは本当に多い。えーっと、機械工学というんでしたっけ・・・エンジンや時計などの恐ろしいまでに洗練された設計図は、この私でも舌を巻きました。それだけに留まらず、音楽や芸術面でも素晴らしい才能をお持ちなのです。何百年も後世に残るような名曲、名画及び彫刻などをいくつも作り上げているのですから。

 だから、戦艦SERINAにも私の想像を上回るような新技術が導入されているんでしょう。全く、ソッチの分野ではまるで瀬里奈様に勝てませんね。先日見せて頂いた企画書は、『水素エンジン』『太陽光発電』『原子力発電』など驚くような発想の物ばかりでした。

 流石に実現までこぎ着けるのは年単位の歳月が必要になるでしょうが。

モモナナ(こちらも負けてはいられませんわよ。とりあえず、予定通り第三実験施設にて146回目の実験に入ります。準備をしておきなさい)

 蟲ゲノムをモンスターのゲノムに上書きする技術・・・その名も蟲ゲノム術式。お父様でもマネできないとまで仰られた私だけの技術。これをつかってお父様に貢献してこそ私の存在意義。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

 明るい実験室・・・50m四方の四角い部屋ですが、壁は全てオリハルコンとミスリル、そして迷宮下層の蟲達の糸を混ぜ込んで作られている複合合金。そんじょそこらのモンスターに破られるような物ではありません。

 この私でも、この壁を破ろうと思えば20分は掛かってしまいます。要するにどのような事態であってもお父様達がここに駆けつける時間は最低限確保できる。

ピーーー(これよりネセサリウスの意識を覚醒させた後に拘束を解きます)

 『ウルオール』のヴァーミリオン王家から送られてきた珍しいモンスター。迷宮には、存在しない希少種!! なんでも、ペニシリンなどで『ウルオール』に貢献した事へのお礼らしい。

 蛆蛞蝓ちゃんへとエームプレートまで書かれていた。モンスターであるこの私にヴァーミリオン王家のしかも頂点のお人からこのような贈り物が貰えるなど感謝感激でした。だから、張り切って徹底的に調べ尽くした。何度も解剖して、元通りにして・・・どんな薬物が効果的なのかなど考えられる様々な実験を行った。

 そして、今日最後の実験です。

 普通のモンスターでは、何度やっても成功しなかった。146回・・・低ランクから高ランクまで様々な種類のモンスター相手に蟲ゲノムの上書き術式を行いましたが、どれも2時間と持たずに息を引き取ってしまった。

 ですが、瀬里奈様のお言葉を借りるならば『失敗は成功の母』・・・素晴らしいお言葉です。そのお言葉を常に意識して何が原因だったのか、考え手法を変えることで最初は1分と持たずに死んだのが、今では2時間!! 続けていけば更に伸びるでしょうが・・・それでは、意味がありません。

モッモナ(完全な蟲系モンスターへの種族転換・・・普通のモンスターでダメならば、希少種であるウルフ系のネセサリウスならばと考えたんです)

 『ウルオール』の国軍が動いて捕獲したネセサリウス・・・地上での機動力は、この私では到底勝てないでしょう。ですが、この閉鎖空間ならば、相手に逃げ場など有りません。

ギッギ(本当によろしいのですが、昏睡状態のまま蟲ゲノム術式を行った方が安全かと思いますよ所長)

モッモナナ(それは理解しています。他の薬物を完全に抜いた状態でなければ正常な実験結果が得られません。なるべく完璧な状態でテストをしたいのでブレインウォーカーも摘出しなさい。この閉鎖空間で私に勝てるモンスターなど早々おりません!! さぁ、ネセサリウスを起こしなさい)

ピッピ(切断していた神経の再接続完了。催涙ガス停止。ブレインウォーカーの摘出完了!! )

 恐らく、このレベルのモンスターになれば意識覚醒まで30秒も掛からないでしょう。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

 そして、ネセサリウスが目を開けた。臭いをかぎ、辺りを見渡している。ここが何処なのか知ろうとしているのだろう。無菌室にも近い私の研究所は常にエアーダスターちゃん達が24時間体制で換気を行っている。

ガルルル(貴様・・・ただのモンスターではないな)

モナナ(第一声が場所や置かれている状況ではなく、この私について知ろうとする辺り判断力は鈍くありませんね)

 流石は、『ウルオール』国内で4番目に高い賞金首モンスターです。長年生きてきた知恵は、大した物ですね。

グルルルルゥ(交換条件だ。ここから俺をだせ。そうすれば、貴様等に危害は加えないと約束しよう)

モナァナ(それはできません。貴方をここから出せば、また『ウルオール』や『神聖エルモア帝国』で暴れるのでしょう。それに、今までの被害状況から鑑みてもできない相談です)

 『ウルオール』のヴァーミリオン王家の方が、プレゼントしてくれた希少種のモンスターだ。これを逃がして再び被害が出れば、お父様だけでなく色々なお方にご迷惑が掛かる。だから、逃がすという選択肢なんて最初から用意などされていません。

グルゥ(そうであろうな。『蟲』の魔法により洗脳された者達相手に交渉など無意味であったか。愚かしいの・・・洗脳されて人の手先に成り下がったモンスターなど見るだけで吐き気がする)

モォォォナァァァァ(それは、お父様を馬鹿にしているのですか? 私達の大好きなお父様を悪く言って生きてここから出られるとは思わないで頂きましょう!!)

 最高速度は、あちらが上でしょう。ですが、それ以外の能力に関しては私の方が数段上!! 見せてあげましょう!! この蛆蛞蝓がお父様のモンスターの中で最凶と言われる実力を。

 自己再生、自己増殖、自己進化!! 私だけにお父様がお与えくださった能力。

 えーーと、この姿じゃ殴りにくいからゴリヴィエ様の遺伝子情報は・・・何処にしまったかな。うーーーん、これは駄目猫。これは、グリンドール様・・・・・・あったわ。

 ダウンロード!! ダウンロード!!

 遺伝子情報を元に肉体を作り替える。だが、変身中だというのに、ネセサリウスがこちらの首元に牙を立ててねじ切ってきた。

ガガル(ペッ!! この程度で殺せるとは思っていなかったが・・・普通じゃ無いな)

 間もなく、ゴリヴィエ様の遺伝子情報を元にお姿が再現できる。残念な事に、なぜかゴリフ化状態でないのが不思議でならない。この私ですら完全に再現できないとは、ますます研究したいですね。

 ブヨンブヨン

 メキメキ

 ゴキリ

モナナ(ふぅ~、これで完璧。人の姿も便利ですね)

ピッピ(蛆蛞蝓所長。15番コンテナを出しますので、ちゃんと服を着てください!! )

 ズドンという音と共に天井の一角からコンテナが落ちてきた。元は瀬里奈様の人型模型の装備ですが、スタイル的に近いので十分着られる。

 そうそう、変身中に攻撃とか乙女が着替え中に攻撃とかマナー違反ですからね。次やったら、実験とか関係無しに殺しますよ。

ガガルルルゥ(馬鹿な・・・エルフに化けるだと!! )

 コンテナの中に格納されている装備を付ける。それにしても、完全に時代を先取りしているかのような機能美・・・内蔵されているいくつものギミックなど、どうやったらこんな発想ができるのか不思議です。

 パチンパチンガチャリ

 瀬里奈様・・・この黒いバイザーですが、完全に趣味ですよね。見えづらいです!! 視界の半分以上を塞いで、何処の修行僧ですか。目を閉じて他の感覚で戦えば強くなるとでも思っているんですか。

モナモナ(遺伝子情報を元にクローンを作れる私にとっては姿形をまねることなど造作もありません。さぁ、着替えるのを待ってくれたのは貴方は・・・瀬里奈様が鍛えたセロンダイトの錆にしてくれましょう)

 まぁ、ブラフなんですけどね。剣術なんて、見よう見まね程度しか使えません。エーテリア様の足下にも及ばない稚拙な物です。ですが、このセロンダイトに警戒の目を向けさせるのには十分です。

 エーテリア様曰く・・・武器なんて相手の居る方向に全力で振れば良いんだよ!! 

 それを実践すべく、両手で剣を持ち、振り下ろす構えを取った。この私より機動力があるネセサリウスとて攻撃する瞬間だけは速度が落ちる。その瞬間に打ち下ろせば良い!! 肉を切らせ骨を断つ。

ガガガル(些か不利な勝負だな。首を抉った際に感じたが、ダメージを与えられていない。まるで、水にかぶりついた感じがした。しばらくは、俺の方が有利に事を運べるだろう・・・だが、勝機はないな)

モナ(では、諦めると。それならば、こちらも楽ができてよいのですけどね。無抵抗ならば、痛くしないであげますよ)

ガッガッガル(はっはっは、ほざけ!! 人間に媚びをうるモンスターなどに、タダで命を捨ててでも刃向かってやる)

 タン

 ネセサリウスが本気を出したのが分かった。この密閉空間を利用しましたか、壁や天井を利用した三次元移動方法。真っ正面から攻め込んできてくれれば振り下ろすだけでしたが、来ないでしょうね。

 壁を背にする戦法もありますが、遠いです。あそこに行くまでに手足をもがれそうです。ですが、問題ありません!! 所詮、この剣などただの飾り!! 切れ味は折り紙付きですが、使い手の私が、たいしたことはできません。

モナナ(早いですね。視認するのがやっとですよ。ですが、視認さえできれば動きを読むなど簡単です)

ガガル(ほざけぇぇぇ)

 すでに、何度もネセサリウスを解剖し調べ尽くした。どの程度、関節が動くのか。そして、脳内の記憶を抽出して行動のパターンも読めている。更に、今見せてくれた移動速度を加味すれば、どこにどのタイミングで攻撃してくるかなどこの私にとってすれば、朝飯前です。

 足にかみつくふりをして、狙いは脇腹!!

 即座に片手を剣から離して拳でカウンターを当てた。

モナ(無駄!!)

 ドコン

 鼻の骨が砕ける良い音が聞こえた。しかし、二手目を打つ前に逃げられましたか。まぁ、予定通り。

ガガッガガル(剣に注意を取られすぎたか。この俺の速度にカウンターを合わせてくるとは・・・だが、これなら!!)

 ふっふっふ、無駄です無駄です!! 

 手に持っていた剣を思い切り、正面に投げた。当然、ネセサリウスに当たるわけも無く平然と回避される。そして、武器を手放したのをみてこちらに正面から挑んできた!!

 ですが、分かっています!!

 正面から来るふりをして左から来るんでよね。軽くステップを踏んで体の向きを変えた。ネセサリウスと正面を向くように。

モナナ(予想通りの動きです)

ガガル(だが、武器を手放しては俺を殺すには攻撃力が欠けるぞ)

 武器など不要。私には、今この拳があるのですから!!

モナモナモナモナモナ(無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ーーーーーー!!)

 ドドドドドン

 この私の全力のパンチのラッシュ!! 威力はそこそこ・・・ネセサリウスの言うとおり、このレベルのモンスターを撲殺するにはパワー不足。ですが、防御力など私のパンチの前には無意味!!

ガッガッガル(良い威力だが・・・足りぬ。その程度のパンチを何百くらおうが倒せぬぞ)

モナモモナー(甘いのは貴方です!! 今のパンチで貴方の遺伝子情報を上書きした!! )

 デデーーン

 実験施設の様子をみている幻想蝶ちゃん達が効果音を付けてくれる。そして、ネセサリウスにまで『遺伝子情報の上書きだと!! そんなことが可能なのか!?』と演技を注文している。

 ネセサリウスが白い目でこっちを見てくる。私の指示じゃ無いよ!! ほんとだって、そんな目で乙女を見てはいけません。

ガルル(遺伝子情報?上書き? 何を言っているか理解できんが、そんなパン・・・チなぁんぞぉぉ。か、からだがぁぁぁぁぁ!! )

 蟲ゲノムの上書きをして一分もしないで変化が訪れるとは。ネセサリウスの足が四散したとおもったら、バッタのような足が生えてきた。そして目玉が落ちてトンボのような複眼に。

モナナ(至急サンプルを確保します。完全武装したステイシスさんを3名。網で捕獲した後にブレインウォーカーで沈静化させます)

 天井の一部が開き、ステイシスさん達が降りてきた。

ムッシュシュ(呼ばれるとおもって待機していましたよ蛆蛞蝓所長!! さて、捕獲)

ムッシュ(えーーと、この使い方は・・・)

ムムシュシュ(レーザーポインタが出ているだろう。それで照準を合わせて引き金を引けば、網が飛び出る)

 パパパーーン

 三方向から網が発射されて捕獲が完了した。私も押さえ込んでブレインウォーカーを耳から挿入し、完全に意識を掌握した。

モナナ(これは、新しい症状・・・一体、どんな原因があるのでしょうね。もしかしたら、このまま生きて初めての成功作品になるかも!! さて、逐次観察してレポートにしなきゃ)

ガッガル(止め・・・ろぉ)

 さぁさぁ、奥の特別室にいきましょうね。
************************************************
モナナ(失敗した。失敗した。失敗した。失敗した・・・どうして!! なんでうまくいかないの!?)

ギィギ『困りのようね蛆蛞蝓ちゃん。根を詰めてはだめよ。困っていることがあるなら相談してみなさい。蛆蛞蝓ちゃんほどソッチの分野は専門じゃ無いけど、アイディアくらい提供できるかもよ』

モナ(ぶわ。瀬里奈様~・・・実は、カクカクシカジカ)

ギギギ『なるほどなるほど。そういうことね・・・答えは簡単よ。愛!! レイアちゃんへの愛が足りないのよ!?』

モモナァァ(ば、馬鹿な・・・三度のご飯よりお父様が大好きなこの私でも愛が足りないなんてorz。一体どうすれば)

ギィギ『旅にでるのよ!! そう、テスタメント・ドッペルゲンガーだけでなくランクA相当のモンスターの情報を全て集めたとき蛆蛞蝓ちゃんの願いは叶うでしょう』

モナ(・・・・・・・・・確かに!! さすが瀬里奈様です。お父様の為に、早速お出かけしてきます!!)

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

ギッギ『さて、蛆蛞蝓ちゃんが不在のため・・・本日から私が代理所長をします!! 基本業務は維持で・・・手の空いた者から、ウ=ス異本のお手伝いよ!! 来月までに新刊を2冊だすわよ~』
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