２０２０年版 ルノルマン・カードに導かれし物語たちよ！

Episode８ 閲覧注意！ Gにまつわるオムニバス”女子”ホラー３品

【お急ぎの方へ☆サクッとネタバレ】Episode８－B 超可愛い俺の嫁

★ネタバレあり登場人物紹介★

・桃恵……主人公。３５才独身。自分の容姿が優れていないことは自覚済み。
・大貴……桃恵の従弟であり同僚。２５才既婚。妻と四か月の息子あり。
・ことり…大貴の妻であり、四か月の息子の母親。大貴と同じ２５才。


★かる～く、あらすじ★

　連日の酷暑。

　桃恵は同じ事業所に勤務している大貴が、就業時間中にもかかわらず、私物のスマホを弄り続けていたため、見かねて注意した。
　聞けば、妻の”ことり”より緊急性皆無の他愛もない内容のLI〇Eが送られてくるのだという。

　夫が仕事中だと分かっているのに連絡をしてくる妻、そしてそんな妻を一切咎めることもせずに相手をしてやっている大貴も大貴であると、桃恵は呆れずにはいられなかった。

　大貴の妻・ことりは、大貴が自慢するだけあって顔は超可愛いも、その内面は年相応に成熟していないというか……極端なまでに幼くて無神経（桃恵の容姿を桃恵本人の前で貶める）なうえ、”一人じゃ何も出来ず”、自分の両親や大貴に尋常じゃないほどに依存していた。


　酷暑がまだまだ続いていた、ある日のこと。
　朝から、落ち着かず浮かない顔をしていた大貴。
　その原因は、通勤途中に自分の不注意でスマホを壊してしまった（＝スマホが壊れたということは、今というこの時もことりからの連絡がジャンジャン溜まっていってしまっているだろう）ためであった。

　帰り際、大貴が桃恵に懇願する。
「桃ちゃん……俺と一緒に家まで帰ってくれないか？　ことり、俺と連絡が取れなかったこと、すごく心配していると思う……というか、あいつ、絶対に泣いてるはずだ。桃ちゃんの方からも、俺があいつと物理的に連絡が取れなかった状況を説明してほしいんだ」と。
　ことりもことりだが、大貴も大貴である。

　大貴を見捨てることが出来ず、しぶしぶながら同行した桃恵。
　大貴が予測していた通り、ことりは自宅マンションの”玄関の扉の前で”顔を真っ赤にし泣きじゃくっていた。
　子供はどうしたのかと大貴が聞くと「……リビングのベビーベッドにいるよ」と、答えることり。

　子供はベビーベッドの中ですやすやと熟睡中なのかと思いきや……

　なんと、ことりが”朝に”リビングの窓を閉めようとしたら、ベランダから大きいゴキブリが入ってきたらしい。
　そのゴキブリが、とても怖くて気持ち悪かったことりは逃げ出し、自身の両親ならびに大貴に助けを求めた。
　けれども両親は海外旅行中で、大貴がスマホが壊れていたため連絡を取ることができなかった。
　よって、ことりは”ずっと”家の中に戻れなかったと！

　真っ青になった桃恵と大貴。
　ことりは一体、何時間、子供を放置したというのか？！

　子供を救出せんと、玄関の扉を開けた。
　蒸し風呂のごとき熱気に満ちた家の中は、静まり返っていた。