２０２０年版 ルノルマン・カードに導かれし物語たちよ！

Episode７ 共通テーマは「お肉」の４品？ 短編ホラー２本と1000字内ショートホラー２本

【お急ぎの方へ☆サクッとネタバレ】Episode７－D おばあちゃんとチロ

　主人公は、ド田舎の村に住んでいる女子中学生・沙織。
　６年前に両親を交通事故で亡くした彼女にとっては、おばあちゃんと犬のチロだけが家族であった。

　そんな沙織が、おばあちゃんと両親の墓参りを終えて帰ってきたら、チロが家から忽然といなくなっていた。
　そのうえ、渇ききった黄土色の土に赤黒い血らしきものが点々と飛び散ってもいた。
　沙織はチロを探しに行き、（足腰が弱っている）おばあちゃんは顔馴染みの駐在さんへと連絡する。
　沙織がいったん家へと戻る途中、隣家の高校生のお姉さんとその部活仲間（男女５、６名ほど）に遭遇し、なんと彼女たちもチロを探してくれると……

　しかし、お姉さんたちと部活仲間たちは、沙織の家の敷地内にズカズカと踏み込んできて、ビデオカメラを手に無断で撮影までしている。正直、嫌だと感じた沙織であるが、年上の人に文句は言えなかった。
　おばあちゃんが一喝するも、大人をなめ腐っている彼女たちはおばあちゃんの言うことなどガン無視だ。
　そればかりか、隣家のお姉さんは沙織の家のポストを勝手に開けた。

　ポストに入れられていた封筒の中にあったのは、皮を剥がれ、肉をえぐられた血まみれの犬の写真であった。
　チロが殺されてしまった？！
　その犬の毛の色も体型も、ほんの数時間前まで、ここで確かに生きていたはずのチロにしか、沙織には見えなかった。

　沙織とともに、その惨たらしい写真を見てしまったおばあちゃんの呼吸は乱れ出す。ウッと低く呻いたおばあちゃんは、そのまま膝から崩れ落ち、仰向けに倒れてしまった。

　ここで、お姉さんたちが慌てだす。
　なんと、お姉さんたちは高校の高校の映像研究会の仲間であり、夏休みで退屈だったから”面白いドッキリ動画”を撮ろうと、チロを借りただけだったと。犬の死体写真も海外のグロサイトで見つけたものであり、地面の血もただの絵の具だと。
　まさか、こんなことになるなんて思わなかったと！

　チロは、お姉さんの家の蔵の中にいた。ちゃんと生きていた。
　だか、時はすでに遅く、おばあちゃんはチロの無事も知らぬまま、ショック死してしまう。もはや誰が見ても手遅れの状態であった。
　沙織が泣き叫びながらおばあちゃんを呼ぶ声が、遠くから響いてくる救急車のサイレンに重なり合い続けるだけであった。