２０２０年版 ルノルマン・カードに導かれし物語たちよ！

Episode５ 勇者、故郷に帰る。PART２ オムニバスホラー３品

【お急ぎの方へ☆サクッとネタバレ】Episode５－A 墓場にいる勇者カレブ

【結論】
　カレブの成功と功績を、最大限に骨の髄までむしゃぶりつくすがごとく、”金儲け”に利用せんとする妻マージョリー（と彼女の母親）。
　そして、ついに彼女（たち）は、「最愛の妻と大切な”一粒種”を残しこの世を去った悲劇の勇者カレブ」というコンセプト（？）での金儲けに行きつき、カレブを早死にさせようとする。



★あらすじ★
　魔王を倒し故郷に戻ってきた勇者カレブ（３８才）。
　今や時の人となったカレブは、同い年の妻・マージョリーの”マネジメント”の元、サイン会に握手会、トークショーetcと超多忙な日々を送ることに。
　カレブ自身は、それほど”欲（自己顕示欲、金銭欲その他諸々）”のないタイプであるため、マージョリー主動の金儲けと宣伝活動には、仕方なしに付き合っていたといったところだ。

　帰郷から数か月経過しても、”勇者フィーバー”はまだ収まらず、ゆっくり休めないカレブの疲労とストレスは日々蓄積していく。
　そして、マージョリーがついに念願の妊娠。
（”勇者となったカレブ”の子供を一日でも早く欲しかったマージョリー主動のやや強引な夫婦生活が功を奏したのだ。）

　もう逃げられないカレブ。
　嗚呼、まさに結婚は人生の”墓場”。
　そのうえ、マージョリーが作ってくれる毎日の食事も、やたら塩辛かったり、コッテリした味付けのものばかりになっていたので、カレブは食事の時間すら苦痛となっていた。

　ある夜のこと。
　カレブは、マージョリーと姑の話を立ち聞きしてしまう。
　マージョリーは、カレブをそう遠くないうちに”真の意味で墓場送りにしよう”と画策してため、高カロリー＆高コレステロールの食事を、わざと彼だけに与えていた。
　カレブが”憎かった”というわけではなく、「英雄（勇者）も長く生きると、晩節を汚す可能性も無きにしも非ずだから（byマージョリー）」「早死にしてくれた方が、希少価値が増すってモンだよ（by姑）」と人を人とも思わぬサイコな理由であった。

　拳を砕けんばかりに握りしめ、乾ききった喉から迸る叫びを堪えながら、カレブは彼女たちへと一歩を踏み出した。

※本編はここで終わりです※
　この直後の彼らについては、読者様の想像にお任せです。