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★【R18】Episode-1 これは、きつい……
Episode1 これは、きつい…… (※エロ注意です!)
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白いページをめくると、そこには私だけの楽園が広がっていく……
※※※
王妃フローラは、世に比類なき絶世の美貌の持ち主であった。
彼女を見た誰もが、「なんて美しい!」と彼女を褒め称えていた。
王妃・フローラは、隣国の強国・ストロンガーランドの王・ゴドウィンに嫁いで2年……まだ、世継ぎには恵まれていなかった。
いや、フローラは自分の胎内に、あの野獣のごとき野蛮な暴君・ゴドウィンの子を宿したくなどはなかったのだ。
体調不良を理由に、ゴドウィンとの夫婦生活をのらりくらりと避け続けていた。この2年、ゴドウィンと同じベッドで眠りについたのは両手で数えるほどでしかない。
何よりフローラは、ゴドウィンではなく別の男を愛しているのだから。
騎士・ゴードン。
彼もまた世に比類なき絶世の美貌の持ち主であった。
そして、ゴードンもまた、フローラを愛していた。
城内にある”いつもの庭園”にて、まるで自分たち2人しかこの世界にいないのではと思わせるほどの静かな庭園にてフローラとゴードンは愛し合う。
フローラは、夫・ゴドウィンに一度だって許していない行為もゴードンには許すことができた。というか、フローラ自ら積極的に行ってもいた。
そして、一度だって触れさせていない肉体のいたる箇所もゴードンには触れさせることができた。
「いや……ゴードン、そこはダメよ」
「何をおっしゃいますやら……ここをこんなにして……」
「ああんっ! ねえ、ゴードン、お願い……」
「もちろんですとも!!」
「あ! ああっ! い、痛いわ……ゴードン、もっとゆっくり……」
「あなたがこんなにも可愛くて、美しいのがいけないのですよ。それに……あなたの感じているこの痛みが、やがて快楽とへ変わるのです」
「……ゴードン…っ…あっ! ああああああああっっっ!!」
先に絶頂へと昇り詰めたゴードンを追いかけるように、フローラも果てた。
汗ばんだ全身を重ね合ったまま、フローラとゴードンは事後の息を整える。
いつもなら、数分後にフローラもゴードンも服を着て、女と男ではなく、王妃と騎士へと戻るはずであった。
そう、いつもなら――
「き、貴様らぁぁ……!!」
幾度も聞き覚えのある声が、全裸のまま太古の人類のごとく横たわっていたフローラとゴードンの上から突き刺さる。
「!!!!!」
王・ゴドウィン。
茹で上がったタコのように顔を真っ赤にし、怒りに震えるゴドウィンの傍らには、複数の兵だけでなく、おべっか使いの大臣や宰相の姿までもがあった。
「フローラ、ゴードン……貴様ら、いつからわしを裏切っていた?! いつから、わしをたばかっていたのだ?!!」
乳房を隠しながら、フローラは夫・ゴドウィンを見上げ毅然と答えた。
「この国に来て、この美しい方に初めてお会いした時からですわ! 私はこの方を愛しているのです! 魂より熱く求めあい、この世の誰よりも深く結びついているのです!!」
「ふさげるな! 単なる牡と牝として、肉欲のまま戯れていただけであろう!! この美しい顔をしたメス豚め!! わしを……いや、わしの国を虚仮にして、ただで済むと思うなよ!! 皆の者、こやつらをひっ捕らえよ!!」
ゴドウィンの命令に、忠実に従う者たちの手がフローラに、そしてゴードンへとかかる。
ついに2人は庭園の柔らかな草の上に、四つん這いの体勢にさせられてしまった。
元から服を着ていない彼女たちの秘めたる箇所は、王・ゴドウィンに、そして、その他の者たちにも露わとなった。
「王……ぜひ、”これ”をお試しくださいませ……!!」
王の取り巻きのおべっか使いの中でも、一際陰湿なおべっか使いである宰相が一歩歩み出る。
宰相の手には、どこから取り出したのか、そもそもなぜ持ち歩いているのか分からないが、黒光りする鞭が握られていた。
「お前はいつも気が利くな、宰相。そうだな、肉欲のまま生きる畜生どもには、罰を与えるべきだな……」
王・ゴドウィンの振り上げた鞭は、宙を幾度も舞った。
そして、幾度もフローラの白い尻とゴードンの引き締まった尻に、交互に赤い道筋をつけていく。
ビシッ、バシッという音とともに、フローラの口からもゴードンの口からも、苦痛の悲鳴があがる。
だが、苦痛とともにフローラの内部からは、男を誘う蜜が溢れ出してきた。そのことに、ゴドウィンも気づいたらしく、鞭を振りかざす手をピタリと止めた。
しゃがみ込んだゴドウィンは、フローラの蜜の源泉へとその無骨な指を数本差し入れた。
「……っ……!」
「ほう……白昼堂々と男を引き入れていたにしては、”ここ”はまだきついままだな。フローラよ……」
苦痛と快楽によって、声が出なくなっているフローラに、ゴドウィンはなおも続ける。
「フローラ、お前は先ほど、このゴードンと魂より熱く求めあい、この世の誰よりも深く結びついていると言った。それは誠であるか?」
「誠でございますわ! 忌むべきあなただけでなく、敬うべき神にだって誓えます! 前世でも、きっと来世でも、どのような国のどのような時代に生まれても、私とゴードンは熱く求めあい、深く結びつく定めでありますわ!!」
唇をギッと噛みしめ、フローラは答える。
「そうか……これから先も、そう誓えるといいな……」
「!!!」
まさか――
フローラは、ゴドウィンが”これから先”にしようとしていることに気づいた。
ゴドウィンが下半身より、その猛る性器を取り出そうとして服が擦れるシュルッという音が聞こえたのだから……
「やめろぉぉ!!」
ゴードンの叫びが青き空にこだました。
ズン、という衝撃がフローラの内部に走った。
ゴドウィンの猛る性器――怒りと屈辱に猛る性器がフローラの中に突き入れられたのだ。
「あ……っ! ああっ……!!」
「愛する男の隣で、衆人環視のなか、忌むべき男に蹂躙されている気分はどうだ? フローラよ!」
「いやっ……やめ……」
「やめるものか! わしは、わしなりにお前を愛していたんだ。魂の底より! お前はそれを裏切った! 罰を……報いを受けるがいい! 忌むべき男の精を受け、胎内に忌むべき子を宿すとう報いを!!」
フローラの美しき髪をガッと掴んだ、王・ゴドウィンはさらに激しく腰を振り続けた。
愛人・ゴードンのすすり泣く声はさらに大きくなり、周りでこの光景を見ている兵士、大臣、宰相たちの荒い息と何かをしごいているような音までもが聞こえてきた。
フローラ自身は、地獄と天国を行ったり来たりしていた。
愛する男の前で、夫とはいえ別の男に凌辱されている。だが、その男によって、この身に与えられる魂までをも痺れさせる快感――
完全に牝となり、自らも腰を振り始めたフローラの口からは、甘い涎がつたっていた。
「ん……あっ……ああああああああっっっ!!」
完全に天国へと昇りつめたフローラの胎内は、熱く濃く憎い白濁によってたっぷりと満たされていった……
―― fin ――
※※※
女子高生・澄香は、帰宅後、いつものように自宅の階段を駆け上がり、自室の扉を開けた。
「?!」
違和感。
扉を開けた澄香が感じ取り、また目にしたのは違和感であった。
朝と部屋の様子が違う。
部屋の中が、綺麗に片づけられている?!
まさか、私の部屋にお母さんが入った?!
澄香の全身を瞬時に駆け巡る嫌な予感。
その嫌な予感が予感でなかったということの証明のごとく、綺麗に整頓されつくした澄香の机の上に、”カーペットの下に隠していたはずの大学ノート”があった。
即座にダッと駆け出し、大学ノートを手にとった澄香は、そのノートに手紙が挟んであることに気づいた。
ドッドッドッと嫌な鼓動を立てる心臓とまるで呼応するように震える両手で、澄香はその手紙をあけた――
「澄香ちゃんへ
お母さんです。
澄香ちゃんのお部屋があまりにも乱雑だったので、今日はお母さんが片付けてあげることにしました。
掃除機をかけていたら、カーペットの妙な長方形の膨らみに気づいて「何だろう?」とカーペットをめくったところ……このノートを発見したのです。
澄香ちゃんがこんな小説を書いていたとは、お母さんは正直、とっても驚きました。鼻水を垂らしながらペロペロキャンディーを舐めていた、ちっちゃい頃の澄香ちゃんでは、とっくになくなってしまったんだなあって……
お母さんは、澄香ちゃんの秘密の小説の読者第一号となったわけですので、感想含め改善点をこの手紙に記させてもらいますね。
まず、第一に、登場人物たちの容姿の描写が少ないですね。フローラさんも、ゴードンさんも、「世に比類なき絶世の美貌の持ち主」とされていますけど、人間の美しさというものは、様々な種類があるとお母さんは思っています。
例えば、フローラさんが「咲き誇る大輪の赤い薔薇のごとく妖艶であでやかな美人」であるのか、「月明かりの下でひっそりと咲く百合の花のごとき清純な美人」であるのかでは、読者に与える印象も違ってくるでしょう。
鞭でぶたれるフローラさんの白いお尻にしたって、「グラマラスでボリューム満点ツヤっツヤに輝く白いお尻」か「ほっそりとしていながらも、女らしい丸みをふんだんに含んだ白いお尻」かに違いが出てきますからね。
容姿の描写も少ないので、彼女たちの年齢もよく分かりません。お母さんは、「フローラさんとゴードンさんの年齢は20代半ばぐらいかな……」と脳内補完して読み進めていたのですが、昔は10代前半で嫁ぐお姫様もいましたよ。
そして、フローラさんの夫である王様のゴドウィンさんは、自分のことを「わし」と呼んでいるから、おそらくフローラさんよりもおおよそ数十歳年上という設定でいいのかしら?
小説は漫画とは異なり、言葉だけで読者へと物語を届けるのです。
中には、極限にまで言葉を厳選し、読者の想像に任せるといった手法の小説もあるかとは思いますが、澄香ちゃんの小説の場合は、詳細に描写することでより性的興奮を高めることができるかと思います。
第二に、それに、おそらくフローラさんは生を受けた国の政治の道具として「ストロンガーランド」(この国名も安直すぎる気もします)に嫁いだのですよね?
自由恋愛ではなく、幼き頃より他国に嫁ぐ姫としての教育を受けていたはずのフローラさんが仮病で、ゴドウィンさんとの夫婦生活の大半を断り続けていて、それが2年間も許されていたことに、少し違和感を感じます。
澄香ちゃんの作った「ストロンガーランド」は架空の時代の架空の国ではありますが、もっと実際の歴史の中に生きていた女性たちの姿も調べて、知識を増やしましょう。
王のゴドウィンさんは、フローラさんのバレバレであったであろう仮病も受け入れてあげていた、もともとは優しい方のような印象を受けました。
むしろ、フローラさんが痛いっていってるのに、腰を振り続けるゴードンさんの方がどうかとお母さんは思いました。それに、ゴードンさんは果てるのが早すぎだし、男性器が”小さい”のではと感じられる描写もありましたしね。
第三に、フローラさんの不倫相手である騎士ゴードンさんと、夫である王ゴドウィンさんの名前が似ているためこんがらがります。あえて、よく似た名前にしたのかもしれませんが、一話完結の短編における登場人物の名前は覚えやすくした方が印象に残りますね。
第四に、フローラさんが絶頂の階段の一番上まで駆け上がった時の声が「ああああああああっっっ!!」だけとは、あまりにもワンパターン過ぎます。もっと、バリエーションを増やしましょう。
最後に、これはお母さんの勝手な好みなので、読み流していただいても構いませんが……
澄香ちゃんは、王妃と騎士との秘められた危うい関係とその関係の罰として受けるSMチックなプレイに萌えてしまうのかもしれませんが、不倫ってそんなにいいものではありませんし、鞭で叩かれたらとっても痛いですよ。
正直、お母さんは「未婚の若い姫が幾人もの王子や騎士に迫られるお話」が好みです。
麗しい王子や逞しい騎士に「美しい姫、どうか私の花嫁に……!!」や「僕は永遠に、姫をお守りいたします!!」などと甘い言葉を耳元で囁かれ、これ以上ないほどに大切に扱われ……男たちからの熱き愛の洪水をその全身に受けざるを得ないほど可憐で未来の希望に溢れている若いお姫様のお話に萌えてしまいます。
長くなりましたが、また厳しいことも記させてもらいましたが、澄香ちゃんが自らの手で白いページに書き記していく楽園が、これから先もっとより良いものとなることを、お母さんは影ながら応援しています。
でも、ちゃんと部屋は片づけましょうね。
お母さんより」
手の震えが止まらない。
足の震えも止まらない。
毛穴からブワッと吹き出てくる、冷たく粘り気のある汗も澄香の全身を”濡らしていく”……
女子高生・澄香は、大学ノートにこっそり書き記していた自作のエロ小説を、部屋の掃除に来たお母さんに見られてしまった。
澄香が白いページに描き上げた楽園へと足を踏み入れてきたお母さんに、秘密のオナニー小説(しかもSMチックな凌辱もの)を熟読され……改善点付きの手紙までをも、お母さんからもらってしまった。
Oh, これは、きつい……きつすぎる。
―― fin ――
※※※
王妃フローラは、世に比類なき絶世の美貌の持ち主であった。
彼女を見た誰もが、「なんて美しい!」と彼女を褒め称えていた。
王妃・フローラは、隣国の強国・ストロンガーランドの王・ゴドウィンに嫁いで2年……まだ、世継ぎには恵まれていなかった。
いや、フローラは自分の胎内に、あの野獣のごとき野蛮な暴君・ゴドウィンの子を宿したくなどはなかったのだ。
体調不良を理由に、ゴドウィンとの夫婦生活をのらりくらりと避け続けていた。この2年、ゴドウィンと同じベッドで眠りについたのは両手で数えるほどでしかない。
何よりフローラは、ゴドウィンではなく別の男を愛しているのだから。
騎士・ゴードン。
彼もまた世に比類なき絶世の美貌の持ち主であった。
そして、ゴードンもまた、フローラを愛していた。
城内にある”いつもの庭園”にて、まるで自分たち2人しかこの世界にいないのではと思わせるほどの静かな庭園にてフローラとゴードンは愛し合う。
フローラは、夫・ゴドウィンに一度だって許していない行為もゴードンには許すことができた。というか、フローラ自ら積極的に行ってもいた。
そして、一度だって触れさせていない肉体のいたる箇所もゴードンには触れさせることができた。
「いや……ゴードン、そこはダメよ」
「何をおっしゃいますやら……ここをこんなにして……」
「ああんっ! ねえ、ゴードン、お願い……」
「もちろんですとも!!」
「あ! ああっ! い、痛いわ……ゴードン、もっとゆっくり……」
「あなたがこんなにも可愛くて、美しいのがいけないのですよ。それに……あなたの感じているこの痛みが、やがて快楽とへ変わるのです」
「……ゴードン…っ…あっ! ああああああああっっっ!!」
先に絶頂へと昇り詰めたゴードンを追いかけるように、フローラも果てた。
汗ばんだ全身を重ね合ったまま、フローラとゴードンは事後の息を整える。
いつもなら、数分後にフローラもゴードンも服を着て、女と男ではなく、王妃と騎士へと戻るはずであった。
そう、いつもなら――
「き、貴様らぁぁ……!!」
幾度も聞き覚えのある声が、全裸のまま太古の人類のごとく横たわっていたフローラとゴードンの上から突き刺さる。
「!!!!!」
王・ゴドウィン。
茹で上がったタコのように顔を真っ赤にし、怒りに震えるゴドウィンの傍らには、複数の兵だけでなく、おべっか使いの大臣や宰相の姿までもがあった。
「フローラ、ゴードン……貴様ら、いつからわしを裏切っていた?! いつから、わしをたばかっていたのだ?!!」
乳房を隠しながら、フローラは夫・ゴドウィンを見上げ毅然と答えた。
「この国に来て、この美しい方に初めてお会いした時からですわ! 私はこの方を愛しているのです! 魂より熱く求めあい、この世の誰よりも深く結びついているのです!!」
「ふさげるな! 単なる牡と牝として、肉欲のまま戯れていただけであろう!! この美しい顔をしたメス豚め!! わしを……いや、わしの国を虚仮にして、ただで済むと思うなよ!! 皆の者、こやつらをひっ捕らえよ!!」
ゴドウィンの命令に、忠実に従う者たちの手がフローラに、そしてゴードンへとかかる。
ついに2人は庭園の柔らかな草の上に、四つん這いの体勢にさせられてしまった。
元から服を着ていない彼女たちの秘めたる箇所は、王・ゴドウィンに、そして、その他の者たちにも露わとなった。
「王……ぜひ、”これ”をお試しくださいませ……!!」
王の取り巻きのおべっか使いの中でも、一際陰湿なおべっか使いである宰相が一歩歩み出る。
宰相の手には、どこから取り出したのか、そもそもなぜ持ち歩いているのか分からないが、黒光りする鞭が握られていた。
「お前はいつも気が利くな、宰相。そうだな、肉欲のまま生きる畜生どもには、罰を与えるべきだな……」
王・ゴドウィンの振り上げた鞭は、宙を幾度も舞った。
そして、幾度もフローラの白い尻とゴードンの引き締まった尻に、交互に赤い道筋をつけていく。
ビシッ、バシッという音とともに、フローラの口からもゴードンの口からも、苦痛の悲鳴があがる。
だが、苦痛とともにフローラの内部からは、男を誘う蜜が溢れ出してきた。そのことに、ゴドウィンも気づいたらしく、鞭を振りかざす手をピタリと止めた。
しゃがみ込んだゴドウィンは、フローラの蜜の源泉へとその無骨な指を数本差し入れた。
「……っ……!」
「ほう……白昼堂々と男を引き入れていたにしては、”ここ”はまだきついままだな。フローラよ……」
苦痛と快楽によって、声が出なくなっているフローラに、ゴドウィンはなおも続ける。
「フローラ、お前は先ほど、このゴードンと魂より熱く求めあい、この世の誰よりも深く結びついていると言った。それは誠であるか?」
「誠でございますわ! 忌むべきあなただけでなく、敬うべき神にだって誓えます! 前世でも、きっと来世でも、どのような国のどのような時代に生まれても、私とゴードンは熱く求めあい、深く結びつく定めでありますわ!!」
唇をギッと噛みしめ、フローラは答える。
「そうか……これから先も、そう誓えるといいな……」
「!!!」
まさか――
フローラは、ゴドウィンが”これから先”にしようとしていることに気づいた。
ゴドウィンが下半身より、その猛る性器を取り出そうとして服が擦れるシュルッという音が聞こえたのだから……
「やめろぉぉ!!」
ゴードンの叫びが青き空にこだました。
ズン、という衝撃がフローラの内部に走った。
ゴドウィンの猛る性器――怒りと屈辱に猛る性器がフローラの中に突き入れられたのだ。
「あ……っ! ああっ……!!」
「愛する男の隣で、衆人環視のなか、忌むべき男に蹂躙されている気分はどうだ? フローラよ!」
「いやっ……やめ……」
「やめるものか! わしは、わしなりにお前を愛していたんだ。魂の底より! お前はそれを裏切った! 罰を……報いを受けるがいい! 忌むべき男の精を受け、胎内に忌むべき子を宿すとう報いを!!」
フローラの美しき髪をガッと掴んだ、王・ゴドウィンはさらに激しく腰を振り続けた。
愛人・ゴードンのすすり泣く声はさらに大きくなり、周りでこの光景を見ている兵士、大臣、宰相たちの荒い息と何かをしごいているような音までもが聞こえてきた。
フローラ自身は、地獄と天国を行ったり来たりしていた。
愛する男の前で、夫とはいえ別の男に凌辱されている。だが、その男によって、この身に与えられる魂までをも痺れさせる快感――
完全に牝となり、自らも腰を振り始めたフローラの口からは、甘い涎がつたっていた。
「ん……あっ……ああああああああっっっ!!」
完全に天国へと昇りつめたフローラの胎内は、熱く濃く憎い白濁によってたっぷりと満たされていった……
―― fin ――
※※※
女子高生・澄香は、帰宅後、いつものように自宅の階段を駆け上がり、自室の扉を開けた。
「?!」
違和感。
扉を開けた澄香が感じ取り、また目にしたのは違和感であった。
朝と部屋の様子が違う。
部屋の中が、綺麗に片づけられている?!
まさか、私の部屋にお母さんが入った?!
澄香の全身を瞬時に駆け巡る嫌な予感。
その嫌な予感が予感でなかったということの証明のごとく、綺麗に整頓されつくした澄香の机の上に、”カーペットの下に隠していたはずの大学ノート”があった。
即座にダッと駆け出し、大学ノートを手にとった澄香は、そのノートに手紙が挟んであることに気づいた。
ドッドッドッと嫌な鼓動を立てる心臓とまるで呼応するように震える両手で、澄香はその手紙をあけた――
「澄香ちゃんへ
お母さんです。
澄香ちゃんのお部屋があまりにも乱雑だったので、今日はお母さんが片付けてあげることにしました。
掃除機をかけていたら、カーペットの妙な長方形の膨らみに気づいて「何だろう?」とカーペットをめくったところ……このノートを発見したのです。
澄香ちゃんがこんな小説を書いていたとは、お母さんは正直、とっても驚きました。鼻水を垂らしながらペロペロキャンディーを舐めていた、ちっちゃい頃の澄香ちゃんでは、とっくになくなってしまったんだなあって……
お母さんは、澄香ちゃんの秘密の小説の読者第一号となったわけですので、感想含め改善点をこの手紙に記させてもらいますね。
まず、第一に、登場人物たちの容姿の描写が少ないですね。フローラさんも、ゴードンさんも、「世に比類なき絶世の美貌の持ち主」とされていますけど、人間の美しさというものは、様々な種類があるとお母さんは思っています。
例えば、フローラさんが「咲き誇る大輪の赤い薔薇のごとく妖艶であでやかな美人」であるのか、「月明かりの下でひっそりと咲く百合の花のごとき清純な美人」であるのかでは、読者に与える印象も違ってくるでしょう。
鞭でぶたれるフローラさんの白いお尻にしたって、「グラマラスでボリューム満点ツヤっツヤに輝く白いお尻」か「ほっそりとしていながらも、女らしい丸みをふんだんに含んだ白いお尻」かに違いが出てきますからね。
容姿の描写も少ないので、彼女たちの年齢もよく分かりません。お母さんは、「フローラさんとゴードンさんの年齢は20代半ばぐらいかな……」と脳内補完して読み進めていたのですが、昔は10代前半で嫁ぐお姫様もいましたよ。
そして、フローラさんの夫である王様のゴドウィンさんは、自分のことを「わし」と呼んでいるから、おそらくフローラさんよりもおおよそ数十歳年上という設定でいいのかしら?
小説は漫画とは異なり、言葉だけで読者へと物語を届けるのです。
中には、極限にまで言葉を厳選し、読者の想像に任せるといった手法の小説もあるかとは思いますが、澄香ちゃんの小説の場合は、詳細に描写することでより性的興奮を高めることができるかと思います。
第二に、それに、おそらくフローラさんは生を受けた国の政治の道具として「ストロンガーランド」(この国名も安直すぎる気もします)に嫁いだのですよね?
自由恋愛ではなく、幼き頃より他国に嫁ぐ姫としての教育を受けていたはずのフローラさんが仮病で、ゴドウィンさんとの夫婦生活の大半を断り続けていて、それが2年間も許されていたことに、少し違和感を感じます。
澄香ちゃんの作った「ストロンガーランド」は架空の時代の架空の国ではありますが、もっと実際の歴史の中に生きていた女性たちの姿も調べて、知識を増やしましょう。
王のゴドウィンさんは、フローラさんのバレバレであったであろう仮病も受け入れてあげていた、もともとは優しい方のような印象を受けました。
むしろ、フローラさんが痛いっていってるのに、腰を振り続けるゴードンさんの方がどうかとお母さんは思いました。それに、ゴードンさんは果てるのが早すぎだし、男性器が”小さい”のではと感じられる描写もありましたしね。
第三に、フローラさんの不倫相手である騎士ゴードンさんと、夫である王ゴドウィンさんの名前が似ているためこんがらがります。あえて、よく似た名前にしたのかもしれませんが、一話完結の短編における登場人物の名前は覚えやすくした方が印象に残りますね。
第四に、フローラさんが絶頂の階段の一番上まで駆け上がった時の声が「ああああああああっっっ!!」だけとは、あまりにもワンパターン過ぎます。もっと、バリエーションを増やしましょう。
最後に、これはお母さんの勝手な好みなので、読み流していただいても構いませんが……
澄香ちゃんは、王妃と騎士との秘められた危うい関係とその関係の罰として受けるSMチックなプレイに萌えてしまうのかもしれませんが、不倫ってそんなにいいものではありませんし、鞭で叩かれたらとっても痛いですよ。
正直、お母さんは「未婚の若い姫が幾人もの王子や騎士に迫られるお話」が好みです。
麗しい王子や逞しい騎士に「美しい姫、どうか私の花嫁に……!!」や「僕は永遠に、姫をお守りいたします!!」などと甘い言葉を耳元で囁かれ、これ以上ないほどに大切に扱われ……男たちからの熱き愛の洪水をその全身に受けざるを得ないほど可憐で未来の希望に溢れている若いお姫様のお話に萌えてしまいます。
長くなりましたが、また厳しいことも記させてもらいましたが、澄香ちゃんが自らの手で白いページに書き記していく楽園が、これから先もっとより良いものとなることを、お母さんは影ながら応援しています。
でも、ちゃんと部屋は片づけましょうね。
お母さんより」
手の震えが止まらない。
足の震えも止まらない。
毛穴からブワッと吹き出てくる、冷たく粘り気のある汗も澄香の全身を”濡らしていく”……
女子高生・澄香は、大学ノートにこっそり書き記していた自作のエロ小説を、部屋の掃除に来たお母さんに見られてしまった。
澄香が白いページに描き上げた楽園へと足を踏み入れてきたお母さんに、秘密のオナニー小説(しかもSMチックな凌辱もの)を熟読され……改善点付きの手紙までをも、お母さんからもらってしまった。
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