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【R15】Episode8 証拠不十分
【お急ぎの方へ☆サクッとネタバレ】Episode8 証拠不十分
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※『【8エピソード予定】ルノルマン・カードに導かれし物語たちよ!』における、「Episode4 あどけなき皮(※猟奇&胸糞、そして長文注意です!)」の約12年後のお話です。
尾見葉子(12年前の名前は平良葉子)は、ダンス部に所属している高校2年生の1人娘・希来里の晴れ舞台を見るたびに文化祭へと足を運んだ。
ちなみに希来里は、再婚した夫の連れ子であり葉子とは血は繋がってはいない。しかし、生さぬ仲である葉子と希来里の相性は非常に良いらしい。
なんと、文化祭にて葉子は自分が産んだ”怪物娘”・実葉と再会してしまう。
美しく成長したうえに県下一の進学校に通っている実葉と、ぎこちない会話を交わして別れた葉子。
希来里が所属するダンス部の発表も始まり、途中までは部員たちと一体となり素晴らしいパフォーマンスを見せてくれていた希来里であったが……最高潮の盛り上がりとなる場面で彼女は脱糞してしまう!
その時、葉子は見た。
実葉が後方にいた”誰かに”目配せし、口元に一瞬だけ笑みを浮かべたのを。
約半月後。
希来里の大脱糞事件には「絶対に実葉が絡んでいるに違いない」との確信が強まってきた葉子が平良家に凸してくる。
しかし、演技力までをもパワーアップさせた実葉に論理的にフルボッコにされ、元夫・実にも睨み付けられ、葉子はあえなく退散。
それもそのはず、葉子の確信と言えば、確かに見た実葉の目配せと笑みだけであったのだから。
証拠不十分。
そもそも最初から物証的な証拠など皆無である。
はたから話を聞いている者には、葉子こそ頭がどうかしてしまったんじゃないのか? と思われる行動だった。
となると、やっぱり誰かに責任転嫁をせざるを得ない葉子の荒唐無稽な被害妄想であったのか?
いや、やはり葉子の母親としての確信に間違いはなく、実葉が絡んでいた。
以下が真相となる。
※※※
実葉には、別の高校に通う津久井園香という中学校時代からの友人がいた。
儚げな美少女の園香は、その性格も気弱で言いたいこともはっきり言えず、クラス間での恋愛トラブルによって、いじめの対象となってしまっていた。
そんなある日のこと、園香がお店で商品を見ていた時、ちょうど同じクラスの女子生徒たちもやってきたため、園香は反射的に隠れてしまう。そして、あろうことか、万引きする気はなかったが商品を持ったまま、お店の外へと逃げ出してしまった。
この時、園香の一連の行動を見ていた男がいた。
男は、店にも学校にも万引きを黙っておいてやる代わりに、園香の体を要求してきた。園香は男に幾度も呼び出され、強姦され続ける。
死を考えるようになった園香であったが、偶然、実葉に再会し、実葉に全てを話してすがりつく。
実葉は、たった数日で男の娘のSNSを特定し、鬼畜のごとき男の身元の割り出しに見事、成功する。
園香を蹂躙し続けた雄の怪物は、尾見希来里の父親である尾見明義だった。
園香を連れ、尾見明義に会いにいった実葉は、園香とともに警察に駆け込むと脅し、その場で奴のスマホの中の園香の写真を消させる。
そして「他人の娘(園香)をズタズタに引き裂いておいて、自分の娘だけは大切に無傷のまま成人させるなんて、こんなのフェアじゃないですよ」と、奴自身の娘の”夢”をズタズタにしろとの取引を持ちかける。
「とりあえず9月の文化祭の舞台に娘さんを立てないようにしてください」と。
※※※
実葉のおかげで、”雄の怪物”の手からは逃れることができた園香であったも、彼女の壊れた心はもう元に戻りそうになかった。
もはや、”死”しか園香を完全に救うことはできないだろう。
園香から自死の決意を聞かされていた実葉は、それを止めることはしなかった。
10月9日、学校を休んでいた園香は自宅で首を吊って死亡。
その後、実葉は”園香にも話していなかったエピローグ”を用意していたのだ。
尾見明義に園香の死を――それも尾見明義の誕生日を命日に選んだ園香の死を知らせるのだと。
サイコな実葉であるも、園香との友情は本物だった。
そして、今回の件にしろ、そして12年前の事件にしろ、実葉は自分のためにではなく、自分以外の誰かを助けんとするために行ったことだ。
どちらも真のターゲットになった者に非があるとはいえ、やり方がエグすぎるし、巻き込まれて心身ともに傷を負うことになった者も多数いる。
なお、実葉は尾見明義の妻が自分の産みの母であることを園香にも話していなかった。実葉も母を恋しく思わないわけではなかったが、それとこれとは別だと考えていたのだろう。
葉子の1回目の結婚は、夫はいい人だが娘がヤバい。2回目の結婚は、娘はいい子だが夫がヤバい。という踏んだり蹴ったりである。
やっと幸せな家庭を手に入れたはずであった母・葉子が、”良き夫&良き父親の皮をかぶっていた”男の正体を、これから先もおそらく知らないままであるのはせめてもの救いであると、実葉は考える。
そして、「これからずっと(脱糞事件により家の外にも出ることができなくなった)娘さんを守って支えていくのは本当に大変だろうけど、私から逃げたみたいに、また子供から逃げ出さないでね」とも……
尾見葉子(12年前の名前は平良葉子)は、ダンス部に所属している高校2年生の1人娘・希来里の晴れ舞台を見るたびに文化祭へと足を運んだ。
ちなみに希来里は、再婚した夫の連れ子であり葉子とは血は繋がってはいない。しかし、生さぬ仲である葉子と希来里の相性は非常に良いらしい。
なんと、文化祭にて葉子は自分が産んだ”怪物娘”・実葉と再会してしまう。
美しく成長したうえに県下一の進学校に通っている実葉と、ぎこちない会話を交わして別れた葉子。
希来里が所属するダンス部の発表も始まり、途中までは部員たちと一体となり素晴らしいパフォーマンスを見せてくれていた希来里であったが……最高潮の盛り上がりとなる場面で彼女は脱糞してしまう!
その時、葉子は見た。
実葉が後方にいた”誰かに”目配せし、口元に一瞬だけ笑みを浮かべたのを。
約半月後。
希来里の大脱糞事件には「絶対に実葉が絡んでいるに違いない」との確信が強まってきた葉子が平良家に凸してくる。
しかし、演技力までをもパワーアップさせた実葉に論理的にフルボッコにされ、元夫・実にも睨み付けられ、葉子はあえなく退散。
それもそのはず、葉子の確信と言えば、確かに見た実葉の目配せと笑みだけであったのだから。
証拠不十分。
そもそも最初から物証的な証拠など皆無である。
はたから話を聞いている者には、葉子こそ頭がどうかしてしまったんじゃないのか? と思われる行動だった。
となると、やっぱり誰かに責任転嫁をせざるを得ない葉子の荒唐無稽な被害妄想であったのか?
いや、やはり葉子の母親としての確信に間違いはなく、実葉が絡んでいた。
以下が真相となる。
※※※
実葉には、別の高校に通う津久井園香という中学校時代からの友人がいた。
儚げな美少女の園香は、その性格も気弱で言いたいこともはっきり言えず、クラス間での恋愛トラブルによって、いじめの対象となってしまっていた。
そんなある日のこと、園香がお店で商品を見ていた時、ちょうど同じクラスの女子生徒たちもやってきたため、園香は反射的に隠れてしまう。そして、あろうことか、万引きする気はなかったが商品を持ったまま、お店の外へと逃げ出してしまった。
この時、園香の一連の行動を見ていた男がいた。
男は、店にも学校にも万引きを黙っておいてやる代わりに、園香の体を要求してきた。園香は男に幾度も呼び出され、強姦され続ける。
死を考えるようになった園香であったが、偶然、実葉に再会し、実葉に全てを話してすがりつく。
実葉は、たった数日で男の娘のSNSを特定し、鬼畜のごとき男の身元の割り出しに見事、成功する。
園香を蹂躙し続けた雄の怪物は、尾見希来里の父親である尾見明義だった。
園香を連れ、尾見明義に会いにいった実葉は、園香とともに警察に駆け込むと脅し、その場で奴のスマホの中の園香の写真を消させる。
そして「他人の娘(園香)をズタズタに引き裂いておいて、自分の娘だけは大切に無傷のまま成人させるなんて、こんなのフェアじゃないですよ」と、奴自身の娘の”夢”をズタズタにしろとの取引を持ちかける。
「とりあえず9月の文化祭の舞台に娘さんを立てないようにしてください」と。
※※※
実葉のおかげで、”雄の怪物”の手からは逃れることができた園香であったも、彼女の壊れた心はもう元に戻りそうになかった。
もはや、”死”しか園香を完全に救うことはできないだろう。
園香から自死の決意を聞かされていた実葉は、それを止めることはしなかった。
10月9日、学校を休んでいた園香は自宅で首を吊って死亡。
その後、実葉は”園香にも話していなかったエピローグ”を用意していたのだ。
尾見明義に園香の死を――それも尾見明義の誕生日を命日に選んだ園香の死を知らせるのだと。
サイコな実葉であるも、園香との友情は本物だった。
そして、今回の件にしろ、そして12年前の事件にしろ、実葉は自分のためにではなく、自分以外の誰かを助けんとするために行ったことだ。
どちらも真のターゲットになった者に非があるとはいえ、やり方がエグすぎるし、巻き込まれて心身ともに傷を負うことになった者も多数いる。
なお、実葉は尾見明義の妻が自分の産みの母であることを園香にも話していなかった。実葉も母を恋しく思わないわけではなかったが、それとこれとは別だと考えていたのだろう。
葉子の1回目の結婚は、夫はいい人だが娘がヤバい。2回目の結婚は、娘はいい子だが夫がヤバい。という踏んだり蹴ったりである。
やっと幸せな家庭を手に入れたはずであった母・葉子が、”良き夫&良き父親の皮をかぶっていた”男の正体を、これから先もおそらく知らないままであるのはせめてもの救いであると、実葉は考える。
そして、「これからずっと(脱糞事件により家の外にも出ることができなくなった)娘さんを守って支えていくのは本当に大変だろうけど、私から逃げたみたいに、また子供から逃げ出さないでね」とも……
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