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★【R18】Episode3 妄想、はかどる。※2022年1月1日 改訂版アップロード

Episode3 妄想、はかどる。~ただいま、ハァハァタイム(*´Д`)~ ※変態注意です!

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 あの一件の後、ルナは花谷メグミ率いるリア充女子たちの弄りと称する虐めの対象になってしまった……なんてことはなく、いつもとそう変わらぬ日常が続いただけであった。
 花谷メグミたちも、性格が良くはないのは明らかではあるも、人を積極的にしつこく弄り回すタイプでなかったのは幸運だ。
 そして、ルナは今までついついチラ、チラ、チラッと見てしまっていた相戸リョウコを極力見ないようにも心掛けていた。
 自身の記憶の中に撮りためている相戸リョウコの姿より、自身の転機となるであろう次回作の様々なシチュエーションを練り続けていた。

 例えば……年上の彼氏と付き合っている相戸リョウコは、彼氏のマンションで彼を待っていた。しかし、そこに彼氏の弟が訪ねてきて、あれよあれよという間に押し倒されて、ややアブノーマルなうえ、彼氏よりも数段優れたセックステクニックを保有している彼氏の弟とイケナイ関係にズルズルと溺れていき……。

 だが、どうもパンチが足りない。
 ルナは、実際に相戸リョウコの彼氏の姿を見ていないためか、この妄想には、今一つ、しっかりとした骨組みなるものができないのだ。
 けれども、相戸リョウコが、そう親しくもない自分に彼氏を見せてくれるはずなどない。さらにいうなら、彼女が彼氏持ちであることが真実かどうかすら、定かでないのだ。
 花谷メグミたちが自分を焦らせて傷つけるため、裏付けもとれていない単なる噂でしかないことを自分の耳に入れてきた可能性だって無きにしも非ずだ。
 ハァハァタイムにおけるルナの妄想が、はかどりそうでいて、なかなかはかどらない、そんなある日の放課後のこと。
 ルナは、ついに”ルナのみならず多くの者の運命を変えてしまう”決定的瞬間を目撃してしまった。
 彼こそが相戸リョウコの彼氏であるだろう、と推測せざるを得ない人物を少女たちの園である、この女子校内にて見つけたのだ。

 ルナがいる校舎内の廊下と、その視線の先の渡り廊下までは距離があった。
 しかし、遠目でもその渡り廊下にいる相戸リョウコが、どうやら泣いているらしいことは分かった。そして、一人の男性教師が切なげな顔で、泣いている彼女を慰めるように、彼女の両肩に優しく手を置いている場面までもが。
 彼は教師として、彼女を叱ったり、指導しているようには到底見えなかった。

 あの先生って、確か、オオツキ先生とか呼ばれている先生だっけ?

 ルナの視線の先に、相戸リョウコとともにいる男性教師は、彼が受け持っている学年が違うため、ルナが直接、授業を受けたことは一度もない教師であった。
 担当している教科もおそらく理数系だったようなぐらいの認識であるし、名字も漢字で書くと「大月」であるのか、それとも「大槻」であるかすらも、ルナには定かではない。
 そのうえ、オオツキ先生の年齢は、おそらく還暦の少し手前、五十代後半であるとも推測された。この学校の大多数の教師の例にもれず、オオツキ先生も妻帯者であるだろう。
 
 えっと……もしかして……!

 ルナの頭の中でパズルが組み立てられていく。
 相戸リョウコの彼氏というのは、あのオオツキ先生なのかもしれない。
 かなりの年の差恋愛。不倫。そのうえ、教師と生徒の禁断愛。
 相戸リョウコの独特の雰囲気――彼女の内面の成熟した魅力を醸し出しているかのごとき雰囲気――は、心身共に成熟しきったうえ、失礼な話ではあるが枯れかけてもいるオオツキ先生との禁断の愛によって、培われたものなのかもしれないのだと。
 それから、しばらく間、ルナは彼女たち二人を、こっそりと観察するようにしていた。
 そして、彼女たちの秘められた関係をルナが確信せざるを得ない決定的シーンに、二回も遭遇してしまった。

 一回目は、下校時だ。
 友人とともに帰ろうとしていた相戸リョウコが、ちょうど通りかかったオオツキ先生に「さようなら」と友人とともにペコッと頭を下げた。
 その時、彼女たちに挨拶を返したオオツキ先生の相戸リョウコへの目線に、何とも言えない柔らかさと温かさをルナは感じずにはいられなかった。
 あれは、ただの生徒を見る目ではなかった。第三者から見てもはっきりと分かる特別な親愛の情。いや、恋愛の情か?
 二回目は一回目以上に、決定的であった。
 なんと、先日の渡り廊下の時と同じく、遠目からではあったものの、ルナはしっかりと目撃した。
 相戸リョウコが、オオツキ先生に”鍵を渡している”ところを。
 女が男に鍵を渡す。
 その鍵がどこの鍵かと言えば、家の鍵であるだろう。
 ルナは、相戸リョウコの家庭環境については詳しくは知らなかったが、彼女はいわゆる”複雑な家庭環境”に身を置いているのかもしれない。
 家族のことで悩んだ相戸リョウコが、オオツキ先生に相談しているうちに一線を越えてしまい……といった具合に、それならなおさら彼女たちの秘められた関係のバックグラウンドに納得がいく。

 見いちゃった、見いちゃった。
 妄想、はかどる。

 ルナは自宅の自室で、ノートパソコンの電源を入れた。
 エロティックノベル作成のためのテキストエディタを立ち上げた。
 正直、女子生徒と男性教師の組み合わせにしても、もうすぐおじいちゃんへ突入してしまう年代の教師よりかは、もっと勢力旺盛な年代の若いイケメン教師との組み合わせの方が一般的な需要はあるかもしれない。
 しかし、もうすぐ枯れてしまうであろう一人の男が、制服に身を包んだ一人の少女との出会いによって、”眠れる男”を呼び覚まし……そして、少女も……完全に成熟しきった男との出会いによって、何十年もの年の差を越えて結ばれたうえ、セックスに耽溺しまくる……。

 妄想、はかどる。
 超、はかどる。

 本当のことなんてどうでもいいし、誰かに言いふらすつもりもない。
 ただ、相戸リョウコという名のインスピレーションの女神と、女神の相手であると推定されるオオツキ先生から生まれしイマジネーションをムクムクと膨らませていったルナは、以下のようにシコシコと味付けをしていった。
 もちろん味付けが完了した後は、誤字脱字を見直し、「コクコクカキカキ」へのアップ前にテキストエディタにて、文字の検索と置換を一括で行う予定であった。



 女子高生・相戸リョウコは、その誰にも真似のできない独特の存在感によって、自分が中心じゃないと気が済まないクラスのボスギャル・花谷メグミとその取り巻きたちの虐めの対象となってしまう。
 放課後の教室において、リョウコはメグミとメグミの取り巻き二人に体を押さえつけられ、性的な虐めを受ける。
 ブラウスのボタンを引きちぎられ、ブラジャーを外され、サーモンピンクの両乳首にソーイングセットの糸をグルグル巻かれたりされてしまう。
 泣き叫んで許しを乞うリョウコであるも、メグミたちに許してはもらえない。
 その泣き叫ぶ可憐なリョウコの姿が、主にメグミの嗜虐心に更なる火をつけることとなる。
 メグミは、リョウコの綺麗にプリーツのきいたスカートをめくりあげ、嫌がりながらもしっかりと濡れているパンティーを脱がす。リョウコの和毛なアンダーヘアをまさぐり、親にも見せたことのなかった彼女の秘めたる箇所をあらわにする。
 そこの色もサーモンピンクで、フリルの形までもが美しいことに嫉妬したメグミは、自身のカバンの中より持ち歩いている特大サイズの制汗スプレーを取り出し、リョウコの秘所にインしたうえ、激しく出し入れする。
 恐怖と羞恥、そして自身の中の制汗スプレー思わぬ冷たさと異物感に、リョウコは涙を流し続けるも、メグミの絶妙な手の動きに、お尻の穴まで”歓びの牝のエキス”を垂らすことに。そして、リョウコはついに切ない叫び声をあげてしまった。
 教室内で、ただ一人、へたり込んで泣きじゃくり続けるリョウコの元に、お約束の展開とばかりにオオツキ先生が見回りでやってくる。
 それまでは言葉も交わしたこともなかったリョウコとオオツキ先生であるも、メグミたちからの虐めや自身の複雑な家庭環境の相談をしているうちに、ついに男女としての一線を越えてしまう。

 オオツキ先生は、リョウコの初めての相手となった。
 正確に言うなら、リョウコの初めてはメグミ所有の制汗スプレーではあったものの、年季が入っていることは別とし、きちんと心と体温の通った真っ直ぐなもので、体の穴をふさがれ、幾度も往復されることとなった。年長けた男の包容力とテクニックに陥落され、メロメロとなってしまうリョウコ。
 しかし、オオツキ先生は年のため、スタミナ切れを起こしやすく、そう長くは続かない。そのうち、彼女たちは冷蔵庫の中の、茄子やニガウリといったお野菜を使っての”オーガニックな愛の営み”にハマってしまう。リョウコは、特にニガウリプレイがお気に入りとなり、何度もおねだりをしてしまった。
 全てが満ち足りた後は、愛の営みに使用したお野菜を使用したの夕飯が待っている。
 背徳と快楽にまみれた彼女たちの禁断愛は、これからも続いていく……。



 以上が、ザックリとした新作のあらすじだ。
 書けた。書き終えることができた。
 次の日も学校だというのに、翌朝の五時という、ほとんど夜明け前まで何かにとりつかれたようにノートパソコンのキーボードを叩き続けていたルナは、ついに創作者としてハァハァタイムの絶頂を迎えることができた。
 以前より常々、ニガウリがエロい形状の野菜だと感じていたルナが、「いつか使おう」と自身の秘密のネタノートに書き留めていたプレイ案までも、この作品に落とし込み、”昇華”することができた。

 妄想、はかどった。
 超、はかどった。

 感謝、大感謝だ。
 これほどにイマジネーションを与えてくれた相戸リョウコとオオツキ先生に!
 そして、エロティックでサディストな虐めっ子として登場してくれた花谷メグミたちにも!
 この渾身のエロティックノベルは、月光淫慈愛の転機となり、かつてない飛躍のためのものとなるのは間違いない! ひょっとしたら、シリーズ化して展開していけるかもしれない! 書籍化だって夢ではないかもしれない!
 ほぼ徹夜と言えるほどの時間、ずっとノートパソコンに向かっていたためか、かつてない歓びに包まれているルナの両目は痛く、頭も少し朦朧としかけていた。
 眠るにしても、わずかな睡眠時間しか残されていない。
 このままベッドに飛び込んで眠れるだけ眠って、学校から戻ってきたら、もう一度、誤字脱字を見直してから「コクコクカキカキ」にアップしようかというか、という考えもルナの頭の中をよぎっていった。
 しかし、今すぐにアップしたい。
 月光淫慈愛の新作、この渾身のエロティックノベルを、世界中の人に見て欲しい。
 この衝動を押さえきることは、今の自分には到底できそうにない。

 「コクコクカキカキ」にルナがログインするのは、実に数週間ぶりであった。
 セキュリティのため、頻繁にパスワードを変えていたルナは、案の定、ログインパスワードを間違えてしまった。
 ログインIDは使用しているメールアドレスであるが、ログインパスワードは、ルナの西暦での誕生日と自分の名前の順番を入れ替えたり、前後させたものを気が向いた時に変更していたのだから。
 数回の挑戦ののち、ルナはやっと「コクコクカキカキ」にログインすることができた。この時にログインできたパスワードを、あろうことかルナはどこにも書き留めることはなかった。

 月光淫慈愛の小説管理ページを確認したルナであったが、旧作の小説へのアクセス数もずっと横ばいとなったままであり、各作品のブックマークの数もやはり減ってはいた。
 しかし、これから月光淫慈愛は飛躍する。読者からのハートだって、月光淫慈愛の身を焦がすほどに注入されるはずだ。
 手早く小説をアップし終えたルナは、超充実した熱い思いを胸に抱えたまま、冷え切っていたベッドへと潜り込んだ。



 寝不足のまま、登校したルナの頭は重く、体は怠かった。だがかつてないほどの充実感は、寝ても覚めてもルナの胸を満たし続けていた。
 自転車通学であるため、登校中はスマホで「コクコクカキカキ」を確認する時間の余裕はなかったも、絶対にアクセス数だって、ブックマークの数だって、ハートの注入数だって増えているだろう。うれし過ぎる感想だって、すでに届けられているかもしれない。
 だが、そんなルナの心中に反比例するかのように、学校の中の様子がおかしい。
 ルナに対しておかしいのではない。
 すれ違う多くの女子生徒たちがスマホを手に持って、互いに見せあっていた。
 そして、おそらく大半がノーマルな性的嗜好であるだろう彼女たちが進んで閲覧するとは到底思えない「コクコクカキカキ」というサイト名や、なんとルナのペンネームである「月光淫慈愛」という名前までもが飛び出していた。

 血の気が引いた。心臓が瞬時に凍りついた。
 ルナは思い出した。
 小説をアップするにあたって、取り返しのつかない最大級のミスを犯していたことを。

 ルナは妄想をよりはかどらせるため、インスピレーションの元となった者たちの本名をそのまま、その名字を含めてそのまま使用して書き進めていた。もちろん舞台となったこの女子校の名前も、地域名も作中でそのまま使用していた。
 ルナが渾身のエロティックノベルを一通り書き終えた後、文字の検索と置換の機能をちゃんと使い、モデルとなった彼女たちの名前を別の名前に――絶対に個人が特定できない名前や高校名、地域名――に変更していたなら、何の問題もなかった。
 しかし、ルナは書き終えたことの高揚感と歓びに包まれていたあまり、それら手順を綺麗にすっ飛ばしていた。
 つまり、何もかもをそのままに!
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