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「ごめんね。遅くなっちゃった」
「全然大丈夫。若菜の家からの方が遠いのに、こっちこそごめん」
気合を入れ直すための着替えに時間がかかってしまった若菜を、岳は涼しい顔でフォローする。普段はあまり自分の感情を表に出さず、それどころか、その表情は全くと言っていいほど変わらない岳だったが、小さい頃から自然とスマートな立ち振る舞いを身につけているせいで、小学校の頃からすでに女子に大人気だった。それに小6の時でさえ、他の男子とは一線を画すような整った顔をしていたのに、成長した彼は今日の入学式でも在校生から一目置かれるほど、華麗な容姿へと進化している。
「その組み合わせで着てるとこ、初めて見た」
「えっ?」
「その服。いつもはあの水色のスカートしか合わせないじゃん?」
「変……かな?」
「ううん。似合ってる。その組み合わせも全然ありだね」
「……ありがとう」
「ごめんね、こんな回りくどいことしかできなくて」
「どういう、意味?」
「あのさ若菜。今日の若菜って、いつもの若菜と違う人だよね?」
「な……」
「何でそれを……って?」
「……」
「若菜じゃ隠し通せないでしょ?それに実は……ちょっと聞いてた」
「ごめん。全く話が頭に入ってこないよ……」
「いつもの若菜がさ、この前言ってたんだ。四年に一度記憶が全くない年があるって……俺もそれを聞いた時は半信半疑だったんだけど、今日の若菜に会って確信した。前は小6の時だったでしょ?そうだよね、あの年の若菜と中学に入学してすぐの若菜とでは別人かと思ったし……いや、実際別人だったのか……」
「信じて……くれてるの?」
「全然大丈夫。若菜の家からの方が遠いのに、こっちこそごめん」
気合を入れ直すための着替えに時間がかかってしまった若菜を、岳は涼しい顔でフォローする。普段はあまり自分の感情を表に出さず、それどころか、その表情は全くと言っていいほど変わらない岳だったが、小さい頃から自然とスマートな立ち振る舞いを身につけているせいで、小学校の頃からすでに女子に大人気だった。それに小6の時でさえ、他の男子とは一線を画すような整った顔をしていたのに、成長した彼は今日の入学式でも在校生から一目置かれるほど、華麗な容姿へと進化している。
「その組み合わせで着てるとこ、初めて見た」
「えっ?」
「その服。いつもはあの水色のスカートしか合わせないじゃん?」
「変……かな?」
「ううん。似合ってる。その組み合わせも全然ありだね」
「……ありがとう」
「ごめんね、こんな回りくどいことしかできなくて」
「どういう、意味?」
「あのさ若菜。今日の若菜って、いつもの若菜と違う人だよね?」
「な……」
「何でそれを……って?」
「……」
「若菜じゃ隠し通せないでしょ?それに実は……ちょっと聞いてた」
「ごめん。全く話が頭に入ってこないよ……」
「いつもの若菜がさ、この前言ってたんだ。四年に一度記憶が全くない年があるって……俺もそれを聞いた時は半信半疑だったんだけど、今日の若菜に会って確信した。前は小6の時だったでしょ?そうだよね、あの年の若菜と中学に入学してすぐの若菜とでは別人かと思ったし……いや、実際別人だったのか……」
「信じて……くれてるの?」
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