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教室に入り出席番号順で指定されている自分の席についた三人は、思わず顔を見合わせた。若菜の真後ろは海音の席で、若菜の右隣には岳がいる。
「ねえ、俺の視界にずっとお前らがいるってなに?」
口ではそんなことを言っている海音の顔はにやけ、若菜も思わず吹き出した。
「あーっ!!若菜ぁ……クラス別れちゃったね。寂しいよぉ」
その時、可愛らしいトーンの声が教室の入り口で響いたかと思うと、若菜はその声の主に後ろから抱きしめられていた。
「若菜ってば、朝来るの早すぎだし……ってか、はぴはぴハピバ!」
「あ、ありがとう」
「えっ?若菜なんかよそよそしくない?あーっ!!……海音も岳くんもこの席なの?席まで近いなんてずるーいっ!」
「寧々うるさい。早くクラスに戻らないと、ぼっちになるぞ?」
若菜よりもだいぶテンションの高い進藤寧々は若菜に抱きついたまま、海音と岳と話している。若菜はその記憶の限りを必死で探し、「寧々」という名前だということしか知らない彼女のことを探った。しかし、若菜の記憶には寧々がどこにも登場しない。海音と岳とはここまでの態度をみてしても、小6の時からずっと仲が良かったのだとわかるのに、彼女に関する記憶が若菜に無いということは、きっと若菜にとっては空白の中学時代に、この世界の若菜が仲良くなった友達なのだ。
「海音ひどい。わたしが人見知りなの知ってるくせに!ってか本当にこのクラスが良かったあ……岳くんもいるし」
「寧々の人見知りは最初だけだろ?それに、岳は俺の事が大好きだから、レベル落としてまで一緒の高校来たんだぜ?そこまでしても俺と離れたくなかったんだよな?まあ、寧々は気持ちが足りないから若菜とクラスが離れちゃったってことで」
「なにそれぇ?若菜ぁ、海音が相変わらずひどい……」
「……よしよし」
ここまでの会話から、若菜はこの世界の若菜ならこんな時どうするかを探り、一か八かで寧々の頭を撫でながら慰めてみる。
するとどうやら若菜の読みは当たったらしく、寧々は「うわぁん。中学が懐かしいよぉ」と言いながらブンブンと首を振っていた。
「ってかさ、若菜も知ってたの?わたし岳くんまでここに入学したとか全然知らなかったし。ああ、入学早々つらぁ……」
「ねえ、俺の視界にずっとお前らがいるってなに?」
口ではそんなことを言っている海音の顔はにやけ、若菜も思わず吹き出した。
「あーっ!!若菜ぁ……クラス別れちゃったね。寂しいよぉ」
その時、可愛らしいトーンの声が教室の入り口で響いたかと思うと、若菜はその声の主に後ろから抱きしめられていた。
「若菜ってば、朝来るの早すぎだし……ってか、はぴはぴハピバ!」
「あ、ありがとう」
「えっ?若菜なんかよそよそしくない?あーっ!!……海音も岳くんもこの席なの?席まで近いなんてずるーいっ!」
「寧々うるさい。早くクラスに戻らないと、ぼっちになるぞ?」
若菜よりもだいぶテンションの高い進藤寧々は若菜に抱きついたまま、海音と岳と話している。若菜はその記憶の限りを必死で探し、「寧々」という名前だということしか知らない彼女のことを探った。しかし、若菜の記憶には寧々がどこにも登場しない。海音と岳とはここまでの態度をみてしても、小6の時からずっと仲が良かったのだとわかるのに、彼女に関する記憶が若菜に無いということは、きっと若菜にとっては空白の中学時代に、この世界の若菜が仲良くなった友達なのだ。
「海音ひどい。わたしが人見知りなの知ってるくせに!ってか本当にこのクラスが良かったあ……岳くんもいるし」
「寧々の人見知りは最初だけだろ?それに、岳は俺の事が大好きだから、レベル落としてまで一緒の高校来たんだぜ?そこまでしても俺と離れたくなかったんだよな?まあ、寧々は気持ちが足りないから若菜とクラスが離れちゃったってことで」
「なにそれぇ?若菜ぁ、海音が相変わらずひどい……」
「……よしよし」
ここまでの会話から、若菜はこの世界の若菜ならこんな時どうするかを探り、一か八かで寧々の頭を撫でながら慰めてみる。
するとどうやら若菜の読みは当たったらしく、寧々は「うわぁん。中学が懐かしいよぉ」と言いながらブンブンと首を振っていた。
「ってかさ、若菜も知ってたの?わたし岳くんまでここに入学したとか全然知らなかったし。ああ、入学早々つらぁ……」
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