このキスに意味はないからな

hana4

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「まあ、ここまで来たら……ってか俺も、葵のこと、知りたいよ」
「お兄さんは……あっ名前で呼んでも良い?」
「ははっ。なんで時たま律儀なの?いーよ。リトって呼んで?仲良い奴らからはそう呼ばれてるし」
「ありがとうっ!リト!いいね。あっ、リトは死んでから初めてできた友達だ!ってかさ、リトはこういうの怖くないの?」
「こういうのって?」
「オバケとか、心霊的な?もしかして、霊感あったりする?そうだよね……あの時だって呼んだらすぐに駆けつけてくれたし。今もなんかすでに馴染んでるし」
「霊感……は、ないと思う。今までだって幽霊とか、一度もみたこと無いし……でも、まぁ存在は信じてる。それに、幽霊?心霊現象にも恐怖は感じないな」
「なんで?オバケって怖くない?」
「生きてる奴の方がよっぽどコワイって知ってるから」
「そっか……でも確かに!私も今回死んでみてそれはちょっと痛感したな……」

 そう言った葵の顔を、須藤は思わず真っ直ぐに見つめ返した。

「ちょっと、そんな顔しないでよ……あっ、でもでも、来てくれたのがリトでホント良かった!話しやすいし、カッコイーし。モテるでしょ?」
「まあね。ってかさ、犯人……覚えてる?」
「やだなあ、リトってば焦り過ぎ。犯人だけを知りたいの?まだ私のこと何にも知らないくせに?」
「そういうわけじゃ……」
「もう……まあいいや。あっ、どの辺から見たい?」

  葵はそう言いながらソファーの脇に手を突っ込み、タブレットPCの様なものを取り出すと、現実でのそれと同じ様に扱う。

「え?それどこから?」

 驚いた須藤は思わず身を乗り出し、葵の手元を覗き込んだ。

「これねー、私の人生見れるやつらしい。ほら、これとか赤ちゃんの頃……」

 葵はそのタブレットの中の、動画フォルダのようなアイコンの一つを指差した。

「へー、可愛い。ってか流石JK!こういうの、何でもすぐに使いこなしちゃうんだな」
「リト、その言い方はおじさんぽいから……まあ、楽勝だったよ。スマホと同じ。それに、一人でめっちゃ暇だったしね。とりあえず、この辺りからかなっと……」

 葵はそのまま慣れた手つきで画面をスライドする。そして、その中の一つのアイコンをタッチすると、動画の再生が始まった。映画やドラマの様な視点で撮られたそこには、葵と男子学生の姿があった。
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