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case1:武田慎吾様
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15時58分。そろそろご来店してもおかしくない時間だな……と思ってた矢先、「ピンポーン」という昔ながらの音でインターホンが鳴った。
私は慌ててスマホのマナーモードがサイレントになっているかを再確認し、それを鞄へと放り込むと、個室の入り口に貼り付けてある丸鏡で前髪を直す。
重めにおろした前髪はサラサラ感を残しつつ、セミロングの髪はシニヨンにまとめてある。目だけは二重でパッチリとしていて、万人受けする可愛さがあると自負していた。派手になりすぎないナチュラルメイクに、少し低めで残念な鼻を隠してくれるマスク。上手に見える身なりも、セラピストには欠かせないのだ。
「はーい、今開けますねっ!」
お店のドアに鍵はかけていないのだけど、一見するとお店に見えない外観のせいか、彼は念のため、インターホンを鳴らしたんだと思う。ドアを開けると、ビジネスバッグを持ったスーツ姿の男性が、スマホを片手に視線を泳がせ、不安そうに立っていた。
サラリーマンにしておくのは勿体無い。180センチはあると思われる身長と、長い手足。スラッと細身のスーツを着こなしているが、スーツに隠されたその身体はとても筋肉質だとみてとれる。
髪質はコシのありそうな黒髪。それでいてサラサラとしていそうだ。ああ、指通りの良さそうな直毛……良き。学生時代にはきっと運動部だったはず。部活は……そうね、サッカーかしら?これで笑った時に八重歯が見えれば完璧。私の予想通りだとしたら、頭皮は少し乾燥気味で、毛穴は少し多めな気がする……。私は彼に触れた時の頭皮の感触を妄想し、「むふっ」と声が出そうになったのをグッと堪えた。
「……リムーブさんで、合ってますか?」
訝しげにたずねられたので、一瞬、妄想がバレたのかと焦る。
私は慌ててスマホのマナーモードがサイレントになっているかを再確認し、それを鞄へと放り込むと、個室の入り口に貼り付けてある丸鏡で前髪を直す。
重めにおろした前髪はサラサラ感を残しつつ、セミロングの髪はシニヨンにまとめてある。目だけは二重でパッチリとしていて、万人受けする可愛さがあると自負していた。派手になりすぎないナチュラルメイクに、少し低めで残念な鼻を隠してくれるマスク。上手に見える身なりも、セラピストには欠かせないのだ。
「はーい、今開けますねっ!」
お店のドアに鍵はかけていないのだけど、一見するとお店に見えない外観のせいか、彼は念のため、インターホンを鳴らしたんだと思う。ドアを開けると、ビジネスバッグを持ったスーツ姿の男性が、スマホを片手に視線を泳がせ、不安そうに立っていた。
サラリーマンにしておくのは勿体無い。180センチはあると思われる身長と、長い手足。スラッと細身のスーツを着こなしているが、スーツに隠されたその身体はとても筋肉質だとみてとれる。
髪質はコシのありそうな黒髪。それでいてサラサラとしていそうだ。ああ、指通りの良さそうな直毛……良き。学生時代にはきっと運動部だったはず。部活は……そうね、サッカーかしら?これで笑った時に八重歯が見えれば完璧。私の予想通りだとしたら、頭皮は少し乾燥気味で、毛穴は少し多めな気がする……。私は彼に触れた時の頭皮の感触を妄想し、「むふっ」と声が出そうになったのをグッと堪えた。
「……リムーブさんで、合ってますか?」
訝しげにたずねられたので、一瞬、妄想がバレたのかと焦る。
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