7 / 56
2【:introduction】
2-2
しおりを挟む
あれから、四年くらい経つのか?
休み時間になっても自分の席から微動だにしないソラを見つめながら、カイたちのくだらない話を聞いている。高校生活はそれなりに楽しかったけれど、何かに強い興味が沸くわけでもなく、遠くの方に見える砂時計が落ちきるのを待ちながら、やり過ごしているような感覚だった。
カイとレオは、深夜に放送されているアニメと原作漫画との違いについて意見を交わし合っていたかと思えば、側に居たタクをも巻き込んで、見えない攻撃砲を打ち合っている。
俺は傍観者を決め込んで、それに加わる事は無かった。
「行っけぇ、冷却スプレーっ!」
「はっ?カイ、なんだよそれ?」
「弱そっ……」
「えー?なんか響きがイイ感じじゃね?」
「冷却スプレーって、足挫いた時のやつ……」
カイの弱そうな攻撃に笑いが止まらず、小学校の頃と何ら変わらないこんな休み時間は、何だか居心地が良い気がしている。
ふと、カイがレオとタクにいじられている先に一人で座るソラの存在を思い出した。
他のクラスメイトも皆、編入生には程々慣れていて、誰一人としてソラに話しかけにも行っていない。紺色のブレザーにネクタイをしめた姿の男女しかいないこの教室で、ソラの制服が一人だけ学ランなのも、その孤独を余計に主張しているように思えた。
まさか、俺が話しかけるのを待ってる……とかな?
そんな考えがチラッと頭を過ったけれど、約四年ぶりの親友との再会に、何のリアクションもないソラに、あんな居なくなり方をしたソラに。俺から話しかけるのはやっぱり癪だった……
休み時間になっても自分の席から微動だにしないソラを見つめながら、カイたちのくだらない話を聞いている。高校生活はそれなりに楽しかったけれど、何かに強い興味が沸くわけでもなく、遠くの方に見える砂時計が落ちきるのを待ちながら、やり過ごしているような感覚だった。
カイとレオは、深夜に放送されているアニメと原作漫画との違いについて意見を交わし合っていたかと思えば、側に居たタクをも巻き込んで、見えない攻撃砲を打ち合っている。
俺は傍観者を決め込んで、それに加わる事は無かった。
「行っけぇ、冷却スプレーっ!」
「はっ?カイ、なんだよそれ?」
「弱そっ……」
「えー?なんか響きがイイ感じじゃね?」
「冷却スプレーって、足挫いた時のやつ……」
カイの弱そうな攻撃に笑いが止まらず、小学校の頃と何ら変わらないこんな休み時間は、何だか居心地が良い気がしている。
ふと、カイがレオとタクにいじられている先に一人で座るソラの存在を思い出した。
他のクラスメイトも皆、編入生には程々慣れていて、誰一人としてソラに話しかけにも行っていない。紺色のブレザーにネクタイをしめた姿の男女しかいないこの教室で、ソラの制服が一人だけ学ランなのも、その孤独を余計に主張しているように思えた。
まさか、俺が話しかけるのを待ってる……とかな?
そんな考えがチラッと頭を過ったけれど、約四年ぶりの親友との再会に、何のリアクションもないソラに、あんな居なくなり方をしたソラに。俺から話しかけるのはやっぱり癪だった……
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
月は夜をかき抱く ―Alkaid―
深山瀬怜
ライト文芸
地球に七つの隕石が降り注いでから半世紀。隕石の影響で生まれた特殊能力の持ち主たち《ブルーム》と、特殊能力を持たない無能力者《ノーマ》たちは衝突を繰り返しながらも日常生活を送っていた。喫茶〈アルカイド〉は表向きは喫茶店だが、能力者絡みの事件を解決する調停者《トラブルシューター》の仕事もしていた。
アルカイドに新人バイトとしてやってきた瀧口星音は、そこでさまざまな事情を抱えた人たちに出会う。
小料理屋はなむらの愛しき日々
山いい奈
ライト文芸
第5回ほっこり・じんわり大賞にて、大賞を!受賞しました!ありがとうございます!( ̄∇ ̄*)
大阪の地、親娘で営む「小料理屋 はなむら」で起こる悲喜こもごも。
お客さま方と繰り広げられる、心がほっこりと暖まったり、どきどきはらはらしたりの日々です。
『喪失』
Kooily
ライト文芸
事故によって両腕を失ったピアニスト、広瀬 亜夢の物語。
※ライト文芸大賞用に急遽作り始めて、ライト文芸というジャンルがよく分からずに書いたので好み分かれると思います。
庭にできた異世界で丸儲け。破格なクエスト報酬で社畜奴隷からニートになる。〜投資額に応じたスキルを手に入れると現実世界でも無双していました〜
k-ing ★書籍発売中
ファンタジー
※元々執筆していたものを加筆して、キャラクターを少し変更したリメイク版です。
ブラック企業に勤めてる服部慧は毎日仕事に明け暮れていた。残業続きで気づけば寝落ちして仕事に行く。そんな毎日を過ごしている。
慧の唯一の夢はこの社会から解放されるために"FIRE"することだった。
FIREとは、Financial Independence Retire Earlyの頭文字をとり、「経済的な自立を実現させて、仕事を早期に退職する生活スタイル」という意味を持っている。簡単に言えば、働かずにお金を手に入れて生活をすることを言う。
慧は好きなことして、ゆっくりとニート生活することを夢見ている。
普段通りに仕事を終えソファーで寝落ちしていると急に地震が起きた。地震速報もなく夢だったのかと思い再び眠るが、次の日、庭に大きな穴が空いていた。
どこか惹かれる穴に入ると、脳内からは無機質なデジタル音声が聞こえてきた。
【投資信託"全世界株式インデックス・ファンド"を所持しているため、一部パラメーターが上昇します】
庭の穴は異世界に繋がっており、投資額に応じてスキルを手に入れる世界だった。しかも、クエストをクリアしないと現実世界には戻れないようだ。
そして、クエストをクリアして戻ってきた慧の手に握られていたのはクエスト報酬と素材売却で手に入れた大金。
これは異世界で社畜会社員が命がけでクエストを達成し、金稼ぎをするそんな物語だ。
その後の愛すべき不思議な家族
桐条京介
ライト文芸
血の繋がらない3人が様々な困難を乗り越え、家族としての絆を紡いだ本編【愛すべき不思議な家族】の続編となります。【小説家になろうで200万PV】
ひとつの家族となった3人に、引き続き様々な出来事や苦悩、幸せな日常が訪れ、それらを経て、より確かな家族へと至っていく過程を書いています。
少女が大人になり、大人も年齢を重ね、世代を交代していく中で変わっていくもの、変わらないものを見ていただければと思います。
※この作品は小説家になろう及び他のサイトとの重複投稿作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる