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④美月が登校するとクラスメイトの何人かが駆け寄ってきた。
「美月、退院、おめでとう、教室行こう」
 下駄箱に入っている上履きに履き替えたら、プリンターで印字された手紙が入っていた。
(もう、美月の居場所はねえんだよ)
 周りで愉快にはしゃいでいる友達に気付かれないように、そっと鞄にしまって笑顔に戻った。そして、教室に向かった。
「美月、お帰り、病院大変だったけど、神様が休みをくれたと思って、これから、ガンバ!」
「ありがとう、これからも宜しく」
 教室での朝の会では、美月の挨拶が最後に入っていて、御礼と弘子とのことを話した。
「みんなに感謝です。心配かけてごめんなさい。お見舞いや励ましの手紙ありがとうございました。いろいろなことがあって、私がいない間、ずっと、弘子が私の大変な家に泊まり込みで見てくれてとっても助かりました」
「えっ~!」
「私、最初は違う目的で美月の家に行ったけど、小さな子どもの世話や家事をしている間に美月も、こんなに大変だったんだなと感じてきて、美月と美月のお母さんにお願いして泊まり込みでやってみた。すごく、大変だったよ、でも、自分の成長が感じられる、美月にも心から謝ったら許してくれたよ」
 みんなは、弘子が美月に酷いことをしていたのを知っている。だから、二人の話が信じられずに驚いた。特に、翔は美月の家に行くことだけでなく、メールもブロックされていたので、二人がいつのまにか仲良くなっていたことには、開いた口を閉じることができなかった。
「弘子、俺にも手伝わせてくれれば良かったのに」
「翔、最初は美月へのお詫びだったよ、でも、こんな自分でも人の役に立っているんだと思ったらやり続けたくなったんだ」
 3人のやりとりを聞いていた先生が、 
「後で、詳しいことを教えてくれ、まあ、とにかく美月、座りなさい」
「先生、これ、私の下駄箱にありました」
 美月は、下駄箱にあったいやがらせの紙を渡して席に着いた。先生は、さっきの弘子の言葉よりも驚いて、
「後で、だれがしたのか調べるから」
「先生、返してください」
 美月は、先生から受け取ると破いてゴミ箱に捨てた。
「嫌がらせの手紙が入っていました。でも、このクラスの人ではありません。だから、捨てます」
 美月は、弘子や翔、クラスの友達との会話を弾ませて、放課後には体操部に行った。急には出来ないので、一人で出きる技からやり始めた。体は覚えているが、筋肉が衰えて技が出来ないのだ。
 休憩中に体育館から出て、図書室に行った。そこには、クラス委員長がいる。
「委員長、いない間、迷惑をかけてごめんなさい」
「元気に学校に来られてよかったね」
「ところで、委員長、朝、下駄箱に嫌がらせの手紙を入れたのって委員長ですよね、それに、私がいない間に、弘子にも酷いことをしていましたよね」
「どうして、美月、私、する理由ってあると思うの」
「委員長、その理由を知りたくてきました」
 二人の間に長い沈黙が続いた。

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