上 下
62 / 64

しおりを挟む
③ 美月が学校に戻って来る前日、美月の机とイスをきれいにしている弘子の姿があった。
    翔は、そんな弘子を見て手伝い始め、一緒に、気持ち良く美月が勉強できるように、机とイスのパイプを丁寧に拭き始める。
「翔、本当に今までのこと、ごめんね」
「幼なじみの弘子だから、もう、謝ってくれたし、気にしなくてもいいよ、謝罪する勇気があってすごい! でも、正直、心のどこかに、美月にしたことに対して許せない自分がいる」
「ありがとう、翔に簡単に許されたら、かえって重い気持ちになっちゃうよ、でも、これからの私を見て、少しずつ許してもらえるようにする、私は、生まれ変わるの」
「弘子の目、顔つき、優しくなったな」
「バカ、やっと、翔の気持ちを整理したのに、また、好きになっちゃうよ」
「うん、嫌いになってほしいというのも微妙だな」
「翔、やっぱり、優しいね、ははは~」
「翔、美月を好きだよね」
「うん、好きだよ」
「私は、翔よりも美月、好きかも」

   美月は、退院して自宅にいた。
  家のことでするべきことを一覧にした。お母さんと太陽、星奈で、だれが何をできるか話し合った。他の人を頼らなくても、出来る範囲の生活を考えた。
「入院中に、出来なくてごめんね」
「弘子お姉ちゃんが、泊まってくれていっぱいしてくれたよ」
  家族、三人は美月がいなかった時の弘子の奮闘ぶりを話してくれた。お母さんの部屋では、弘子が涙を流して美月とのことで謝罪してくれたことを話してくれた。
「お母さん、心配させてごめんね」
「ごめんね、美月、気がついてあげられなくて」
「弘子と話し合ったよ、私、自分だけで何とかしようとして、弘子を、悪者にしてしまったのかもしれない、だから、これからは、何かあったら、すべてオープンにして、風通しの良い生活にするから、その時、何か合っても、やりなおしが出来ると信じて」
「無理しないで、逃げる勇気も大事、転校しても、通信教育でもいいと思う、体操をお母さんのためにやり続けなくてもいいよ」
「お母さん、ありがとう」
  美月は、お母さんに抱きついた。
  お母さんの話を聞いて、美月は、弘子に感謝しかなかった。今は、翔よりも弘子が好きになった。
   翔のメールのブロックを解いたのでメールがきた。弘子と一緒に美月の机とイスをきれいにしたことと、クラスのみんなと体操部の仲間が、美月の登校を待っているという内容だった。
  明日は、美月が病院から帰って初めて登校する日だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)

ヒロイン小説研究所
児童書・童話
未来からやってきた高校生の白鳥希望は、変身して美少女仮面エスポワールとなり、3人の子ども達と事件を解決していく。未来からきて現代感覚が分からない望みにいたずらっ子の3人組が絡んで、ややコミカルな一面をもった年齢指定のない作品です。

釣りガールレッドブルマ(一般作)

ヒロイン小説研究所
児童書・童話
高校2年生の美咲は釣りが好きで、磯釣りでは、大会ユニホームのレーシングブルマをはいていく。ブルーブルマとホワイトブルマーと出会い、釣りを楽しんでいたある日、海の魔を狩る戦士になったのだ。海魔を人知れず退治していくが、弱点は自分の履いているブルマだった。レッドブルマを履いている時だけ、力を発揮出きるのだ!

ホスト科のお世話係になりました

西羽咲 花月
児童書・童話
中2の愛美は突如先生からお世話係を任命される 金魚かな? それともうさぎ? だけど連れてこられた先にいたのは4人の男子生徒たちだった……!? ホスト科のお世話係になりました!

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

見ることの

min
児童書・童話
私の目は、人とは違うようです。 でも、それでも毎日を過ごせるのは…? 中学生という限られた時間を、頑張りたいだけ。

GREATEST BOONS+

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)を生みだし、規格外のインベントリ&ものづくりスキルを使いこなす! ユニークスキルのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅する、ほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能、「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です!

ぼくの家族は…内緒だよ!!

まりぃべる
児童書・童話
うちの家族は、ふつうとちょっと違うんだって。ぼくには良く分からないけど、友だちや知らない人がいるところでは力を隠さなきゃならないんだ。本気で走ってはダメとか、ジャンプも手を抜け、とかいろいろ守らないといけない約束がある。面倒だけど、約束破ったら引っ越さないといけないって言われてるから面倒だけど仕方なく守ってる。 それでね、十二月なんて一年で一番忙しくなるからぼく、いやなんだけど。 そんなぼくの話、聞いてくれる? ☆まりぃべるの世界観です。楽しんでもらえたら嬉しいです。

意味が分かると○○話

ゆーゆ
児童書・童話
すぐに読めちゃうショートショートストーリーズ! 意味が分かると、怖い話や、奇妙な話、時には感動ものまで?! 気軽に読んでみてね!

処理中です...