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③
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③弘子は学校でみんなの冷たい視線を感じながら一日を過ごし、帰りに美月の家によった。
「お姉ちゃんの体の調子は、どう?」
「あっ、弘子お姉ちゃん、まだ、悪くて」
「おじゃまします」
弘子は、美月の部屋にいくと、痛がって苦しがっていた。
「病院、いったの?」
「弘子、来てくれたの?ありがとう、大丈夫」
「私がお母さんに話すから、一緒に病院いこう」
弘子は美月のお母さんに話して、美月の着替えを手伝ってタクシーをよんだ。
弘子は、制服のままで学生鞄は、美月の家に置かせてもらった。
病院は、翔の家の病院にした。
「弘子、これ、タクシー代」
「私が出すから、気にしないで」
「でも、悪いから」
「じゃあ、最後にまとめてもらうから、それでいいでしょ、大丈夫、動くの無理しないでね」
診断の結果、子宮の病気でしばらく入院になってしまった。
弘子は、また、タクシーで美月の家に行って話し、必要なものを持って病院に向かった。
「あのさ~美月、まだ、美月のお母さんには話してないけど、美月の部屋に寝てもいいかな、美月の物は絶対に触らない、迷惑かけないって誓うから、美月のいない間、美月の役に立ちたい、今まで、ごめんなさい」
「私は弘子を信じるけど、そこまで弘子に迷惑をかけられないわ、我が家は、すごく大変なの」
「わかってる、美月にしたことは、許してもらえないと思うけど、美月の役に立ちたい」
弘子の真剣さで、美月もお願いすることにした。
「今日、ゴミ出してくれた人、もしかして弘子」
「うん、気にしないで」
「でも、学校、遅れちゃったんじゃないの」
美月が心配そうに聞くと、
「大丈夫だってば、美月は、自分の身体を心配して」
「ありがとう、弘子」
弘子は、美月のお母さんに美月との話しをして承諾を得て、家に自分の荷物を取りにいった。家の人には、友達の家にしばらく泊まるとだけ伝えた。
太陽と星奈は美月を心配しながらも、弘子が来てくれたことを喜んだ。美月のお母さんと二人に聞きながら、ヤングケアラーとして、忙しい夕方、夜を迎えた。
美月のお母さんの寝床の世話をし、家事について聞き、メモをとった。美月のお母さんからは、美月と同じでなくて弘子のやり易いようにした方がいいからとアドバイスを受けながら、手を握られてお願いされた。
「お母さん、私、頑張ります」
「ううん、頑張りすぎないでね」
美月のお母さんは弘子の優しさに涙が出た。
夕食の準備だ、お米を洗って、シチュー作り、火を太陽君に見てもらっている間に洗濯だ、いつもはテレビやゲームをしている太陽君も手伝ってくれた。星奈ちゃんも弘子のそばで会話しながら手伝っていた。
「掃除、どうしよう」
「星奈が、洗濯機見てるよ」
「星奈ちゃんだけでは心配、だから、そのままにして、二人で掃除しようか」
「うん、星奈掃除する」
「弘子お姉ちゃ~ん、来て~、出来たよ」
「星奈ちゃん、最初、夕食にしようか」
「うん」
太陽と星奈、そして弘子は本当の兄弟のように仲が良かった。むしろ、注意されない美月よりもいいのかも知れない。
シチューは熱いので弘子が二人に分けてあげ、お母さんのお膳を寝床に持って行った。「弘子ちゃん、本当にありがとうね」
美月のお母さんに感謝されてうれしかった。でも、今までの美月にしていたことを考えると胸がとても痛かった。
食事が終わると片付けだ、手袋をして油ものを落とす洗剤を付けて、キュキュっと洗う。それを水洗いする。それなりに洗う数があって大変だ。さらに、流しを違う洗剤、スポンジで洗うのだ。
二人をお風呂に入れて、絵本の読み聞かせをしてあげた。二人が寝てから、まだ、掃除が終わってなかった拭き掃除を始めた。お風呂に入って美月の部屋に行ったのは夜中だった。
美月の壁に体操で入賞したトロフィーや症状が飾ってある。
「美月、頑張ったんだな~、すごい! 私は何をしていたんだろう・・・」
弘子は眠気のために宿題をしなければいけないことはわかっていても、ちょっとだけと思ってベッドに横になったら朝になっていた。
弘子は宿題をすることよりも、みんなの朝食作りを優先した。スマホで味噌汁の作り方、お米の洗い方など調べて、準備した。
「弘子お姉ちゃん、おはよう」
「おはよう~寝ぼけてどこかにぶつからないようにね」
「ねえ、何を着たらいいかな」
「そっか~、今日、着る服を一緒に見ようね」
弘子は、二人の下着と服を見てあげてから、朝食をとった。お母さんにも配膳を持って行った。急いで洗い物をして二人を園バスの迎えにくる所に連れていった。
「弘子お姉ちゃん、行ってきま~す」
「行ってらっしゃ~い」
美月は、その後、学校の道具も持っていて、学校に走って行くが、弘子はやり残したことがあるので、美月の家に一度帰ってから学校へ行った。
「弘子、今日も遅刻か、宿題はやってあるんだろうな」
「宿題忘れました」
「注意するから、昼休み、生徒指導室に来なさい」
「はい、わかりました」
教室の雰囲気は昨日と同じだった。美月は体の具合が悪くて入院したことをみんなは担任から聞いたが、弘子がいじめたことが原因だと思っているのだ。また、弘子自身も感じて反省しているので美月の家で生活援助をしていることを誰にも話さなかった。
この日、弘子に話しかける人は、翔も含めてだれもいなかった。
「お姉ちゃんの体の調子は、どう?」
「あっ、弘子お姉ちゃん、まだ、悪くて」
「おじゃまします」
弘子は、美月の部屋にいくと、痛がって苦しがっていた。
「病院、いったの?」
「弘子、来てくれたの?ありがとう、大丈夫」
「私がお母さんに話すから、一緒に病院いこう」
弘子は美月のお母さんに話して、美月の着替えを手伝ってタクシーをよんだ。
弘子は、制服のままで学生鞄は、美月の家に置かせてもらった。
病院は、翔の家の病院にした。
「弘子、これ、タクシー代」
「私が出すから、気にしないで」
「でも、悪いから」
「じゃあ、最後にまとめてもらうから、それでいいでしょ、大丈夫、動くの無理しないでね」
診断の結果、子宮の病気でしばらく入院になってしまった。
弘子は、また、タクシーで美月の家に行って話し、必要なものを持って病院に向かった。
「あのさ~美月、まだ、美月のお母さんには話してないけど、美月の部屋に寝てもいいかな、美月の物は絶対に触らない、迷惑かけないって誓うから、美月のいない間、美月の役に立ちたい、今まで、ごめんなさい」
「私は弘子を信じるけど、そこまで弘子に迷惑をかけられないわ、我が家は、すごく大変なの」
「わかってる、美月にしたことは、許してもらえないと思うけど、美月の役に立ちたい」
弘子の真剣さで、美月もお願いすることにした。
「今日、ゴミ出してくれた人、もしかして弘子」
「うん、気にしないで」
「でも、学校、遅れちゃったんじゃないの」
美月が心配そうに聞くと、
「大丈夫だってば、美月は、自分の身体を心配して」
「ありがとう、弘子」
弘子は、美月のお母さんに美月との話しをして承諾を得て、家に自分の荷物を取りにいった。家の人には、友達の家にしばらく泊まるとだけ伝えた。
太陽と星奈は美月を心配しながらも、弘子が来てくれたことを喜んだ。美月のお母さんと二人に聞きながら、ヤングケアラーとして、忙しい夕方、夜を迎えた。
美月のお母さんの寝床の世話をし、家事について聞き、メモをとった。美月のお母さんからは、美月と同じでなくて弘子のやり易いようにした方がいいからとアドバイスを受けながら、手を握られてお願いされた。
「お母さん、私、頑張ります」
「ううん、頑張りすぎないでね」
美月のお母さんは弘子の優しさに涙が出た。
夕食の準備だ、お米を洗って、シチュー作り、火を太陽君に見てもらっている間に洗濯だ、いつもはテレビやゲームをしている太陽君も手伝ってくれた。星奈ちゃんも弘子のそばで会話しながら手伝っていた。
「掃除、どうしよう」
「星奈が、洗濯機見てるよ」
「星奈ちゃんだけでは心配、だから、そのままにして、二人で掃除しようか」
「うん、星奈掃除する」
「弘子お姉ちゃ~ん、来て~、出来たよ」
「星奈ちゃん、最初、夕食にしようか」
「うん」
太陽と星奈、そして弘子は本当の兄弟のように仲が良かった。むしろ、注意されない美月よりもいいのかも知れない。
シチューは熱いので弘子が二人に分けてあげ、お母さんのお膳を寝床に持って行った。「弘子ちゃん、本当にありがとうね」
美月のお母さんに感謝されてうれしかった。でも、今までの美月にしていたことを考えると胸がとても痛かった。
食事が終わると片付けだ、手袋をして油ものを落とす洗剤を付けて、キュキュっと洗う。それを水洗いする。それなりに洗う数があって大変だ。さらに、流しを違う洗剤、スポンジで洗うのだ。
二人をお風呂に入れて、絵本の読み聞かせをしてあげた。二人が寝てから、まだ、掃除が終わってなかった拭き掃除を始めた。お風呂に入って美月の部屋に行ったのは夜中だった。
美月の壁に体操で入賞したトロフィーや症状が飾ってある。
「美月、頑張ったんだな~、すごい! 私は何をしていたんだろう・・・」
弘子は眠気のために宿題をしなければいけないことはわかっていても、ちょっとだけと思ってベッドに横になったら朝になっていた。
弘子は宿題をすることよりも、みんなの朝食作りを優先した。スマホで味噌汁の作り方、お米の洗い方など調べて、準備した。
「弘子お姉ちゃん、おはよう」
「おはよう~寝ぼけてどこかにぶつからないようにね」
「ねえ、何を着たらいいかな」
「そっか~、今日、着る服を一緒に見ようね」
弘子は、二人の下着と服を見てあげてから、朝食をとった。お母さんにも配膳を持って行った。急いで洗い物をして二人を園バスの迎えにくる所に連れていった。
「弘子お姉ちゃん、行ってきま~す」
「行ってらっしゃ~い」
美月は、その後、学校の道具も持っていて、学校に走って行くが、弘子はやり残したことがあるので、美月の家に一度帰ってから学校へ行った。
「弘子、今日も遅刻か、宿題はやってあるんだろうな」
「宿題忘れました」
「注意するから、昼休み、生徒指導室に来なさい」
「はい、わかりました」
教室の雰囲気は昨日と同じだった。美月は体の具合が悪くて入院したことをみんなは担任から聞いたが、弘子がいじめたことが原因だと思っているのだ。また、弘子自身も感じて反省しているので美月の家で生活援助をしていることを誰にも話さなかった。
この日、弘子に話しかける人は、翔も含めてだれもいなかった。
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