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②憂鬱な気分で学校に着くと、体操の朝練の前に弘子に呼び出されて、翔の妹の撮った写真を見せられた。

「この写真を職員室へ持って行ったら、美月と翔がどうなるか、わかっているわよね」

 昨日までは、弘子の言うことを聞こうと思っていたが、あまりにも卑怯なやり方に素直になれない正義感の強い美月の性格が出てしまった。

「きちんと話せば、先生も分かってくれるはず、そんな脅しには屈しないわ、体操の朝練があるから、行くわ!」

 美月は強がったものの、朝練後のミーティングで顧問の先生から、
「だれか一人でも不良行為をしたら全体に関わる、全員、大会に出られないかも知れない、疑われることも絶対にしないように気を抜くな!」

 思い詰めた表情で歩いていると、優しく声をかけられた。
「美月さん、昨日はごめん、必ず僕が美月さんを守るから、だから、・・」

「ごめん、授業始まるから! それに、私に関わらないで、お願い!」

「美月さん、職員室で先生が呼んでいるよ、授業の前に来てほしいって」

 職員室のドアの前に弘子が立っていて、写真を袋から出している。
「二人とも、入れ!」

「失礼します!」
 美月は、急いでメモを書いて弘子に渡した。
(何でも言うことを聞くので、写真を先生に見せないで、お願い!)
(本当に! じゃあ、裸になれって言ったら、裸になれるの?)
「なります、裸でも何でも言うことを聞くから、写真を見せないで)

「弘子、学校の名誉に関わる大事な話ってなんだ! 美月がどうした?」
「美月さんが、体操で全国大会に出られそうということだけでなく、いいこともたくさんしているから、取材して学校に知らせたいんですけど、いいですか」
「ああ~、いいことは、どんどん知らせてくれ! 来年の新1年生の宣伝にもなるからな、話は、それだけか」
「はい、ありがとうございました」

 二人は、廊下に出た。
「美月さん、今日の帰り、ほんの少しでいいから、家に寄ってほしいの、待ってるから、ご自慢のレオタードを、必ず、下に着てくること」
 美月は、メモでは書いたけど、自分でもどうした良いのかわからず、返事に困っていた。「必ず、来てね!みんなも待っているから、返事は!」
「はい」

 美月は、弘子の家に行く事にした。翔君を守るんだ、それに、体操部に迷惑をかけられないから、自分が我慢をすればいいんだ。美月は心に言い聞かせて、帰りに弘子の家に寄った。
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