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⑦橋の上から川の水の流れを見ていると、妄想で周りの声や音が聞こえない。

「苦しいんだろう、飛び込んじゃえよ」

「家庭のことを心配しなくても、楽になれるよ」

「学校でいじめられてつらい思いをしなくてすむよ」

「私、疲れちゃった、・・・・・楽になりたいのかな・・・・・どうしよう」

「ほら、飛び込む勇気を持てよ」

「頑張って、足をのせて飛ぶんだ!」

「勇気をもって頑張ることって、今、飛び込むことなの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「体操を続けたい! 家族で楽しく過ごしたい!! 私、生きていたい!!!」

 その時、美月の耳に車や人の通る音や声が聞こえた。

「私、学校に戻ろう、私のするべきことをするんだ!!」

 美月が、学校に戻ると先生に叱られた。しかし、教室へ行くと、何人かが心配そうに声をかけてくれる。何でも良いから相談してね、と何人にも優しくされて涙が出てきた。放課後の部活のことを考えて授業を受けて、放課後の部活には仲間と向かった。弘子達は、ちょっとやりすぎたようだと反省したのか、何も関わってこなかった。

 部活の練習が終わり、校門の所で一人の人影が見えた。それは、心配そうな顔をしている翔だった。あれからメールの返信をしないで無視をしていたので、美月は戸惑ってしまった。

「美月さん、いいかな、少しでいいから一緒に話そう」

 美月は、何も話さずに帰り始めると、後から付いてきた。美月と一緒にいた女子は、気を利かして美月に挨拶をして帰っていった。美月は、後ろを振り向かず歩き続ける。

「美月さん、最初は好きだったけど、・・・・・今は、もっと、大好きだ、母さんにはきちんと美月さんとの交際を許してもらえるように話すから、そしたら、交際してください!!お願いします・・・」

「メールをしてこないで、・・・でも、お母さんが許してくれたら・・・・考えるけど・・・・」

 美月もいつのまにか翔が気になり、好きになっていた。でも、家のことや、何よりも翔君のお母さんとあんなことがあったので、受け入れることはできないのだ。美月は、心の中で、翔君、ありがとう、と感謝の言葉を思っていたが、それは、翔には聞こえなかった。

「美月さん、ありがとう、絶対に許してもらって、君を僕が守るよ!!!」

 美月は、涙を流したまま歩き続け、とうとう翔の方を向くことはなかった。そして、二人は別方向に歩いて帰った。

 美月は、院内保育に二人を迎えに行き、家に帰ってヤングケアラーとしての家事をいつものようにやり遂げた。今日も、翔からの励ましのメールがきていた。

「毎日、メールしていたらストーカーと間違えられちゃうのに・・・ありがとう、翔君」

 今日、美月は色々なことがあったけど、生きていて良かったと思いながら眠りについた。
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