34 / 64
③
しおりを挟む
③
民生委員が家庭に来てくれた。近所の方が通報してくれたらしい。退院した母と私が対応した。
「少し、話を聞かせてくださいね、お母さんは高齢者じゃないから働けると思うけど、うつ病で働けないんですね、それとも、働かないんですか」
「母は、心労があって体がだるくて動くのがつらいんです」
「働く気がでないんですね、私が、お医者さんに確認したら、心の病気なので、体のどこという具体的に悪いところはないそうですね、気持ちの問題とのこと、働いてみようと思いませんか」
「はい、子ども達に迷惑をかけたくないので、働きたいと思います、でも、体の調子がわるくて休むのが多かったら仕事場に迷惑をかけてしまいますし・・・」
「働けるということでいいですね、後は、気のもちようですよね」
「あのう、母を責めるような言い方に聞こえます、母は、したくてもできないんです」
「それは、あなたの考えでしょう、お母さんについて聞いているんです、お母さんは働けますね」
「はい・・・」
「みなさん、高齢者の世話をしながら子どもの面倒を見ているんですよ、がんばりましょうよ」
「母は、母なりに頑張ろうとしているんです、だから、私も出来ることはやってあげたいと思っています」
「偉いですね、子どもが親のお手伝いをするのは、いいことです、今までも出来たんですから、家庭で協力して頑張ってくださいね、現状では、支援は必要ないと、私は思います」
「あのう、お母さんの病気の介護や家事、弟や妹の世話、とても大変です、何か支援してもらえることはないんですか」
「もっと、大変な家庭がいっぱいあるんですよ、聞いた限りでは、支援はありません、頑張って下さいとしか、言いようがありません、お母さんの具合がもっと悪くなったら、また、話し合いましょう」
「えっ、お母さんや私たちが、もっと体を悪くしないといけないんですか」
「美月、失礼な言い方は、やめなさい!」
「だって、お母さん・・・」
「前は支援が必要だったかも知れないですが、現状は支援できません、でも、これから変化するかも知れないので、その時に、また、考えましょうって言っているんです」
「私は、みんなと同じように学校へ行って、勉強したり話したり、部活を、もっと、もっとやりたい! でも、今、いっぱいいっぱいなんです、少しでも良くなるようにお願いします」
美月は民生委員に頭を下げたが、ちょっと怒ったように、
「私たち民生委員は、委嘱されてやっていますが、ボランてィアです、失礼します」
何かつぶやきながら行ってしまった。結局、行政も学校も、地域もヤングケアラーにとっては、心の支えにもなってもらえなかった。ただ、もっと大変な家庭があることが分かり、頑張ろうという気持ちは高まった。
民生委員が家庭に来てくれた。近所の方が通報してくれたらしい。退院した母と私が対応した。
「少し、話を聞かせてくださいね、お母さんは高齢者じゃないから働けると思うけど、うつ病で働けないんですね、それとも、働かないんですか」
「母は、心労があって体がだるくて動くのがつらいんです」
「働く気がでないんですね、私が、お医者さんに確認したら、心の病気なので、体のどこという具体的に悪いところはないそうですね、気持ちの問題とのこと、働いてみようと思いませんか」
「はい、子ども達に迷惑をかけたくないので、働きたいと思います、でも、体の調子がわるくて休むのが多かったら仕事場に迷惑をかけてしまいますし・・・」
「働けるということでいいですね、後は、気のもちようですよね」
「あのう、母を責めるような言い方に聞こえます、母は、したくてもできないんです」
「それは、あなたの考えでしょう、お母さんについて聞いているんです、お母さんは働けますね」
「はい・・・」
「みなさん、高齢者の世話をしながら子どもの面倒を見ているんですよ、がんばりましょうよ」
「母は、母なりに頑張ろうとしているんです、だから、私も出来ることはやってあげたいと思っています」
「偉いですね、子どもが親のお手伝いをするのは、いいことです、今までも出来たんですから、家庭で協力して頑張ってくださいね、現状では、支援は必要ないと、私は思います」
「あのう、お母さんの病気の介護や家事、弟や妹の世話、とても大変です、何か支援してもらえることはないんですか」
「もっと、大変な家庭がいっぱいあるんですよ、聞いた限りでは、支援はありません、頑張って下さいとしか、言いようがありません、お母さんの具合がもっと悪くなったら、また、話し合いましょう」
「えっ、お母さんや私たちが、もっと体を悪くしないといけないんですか」
「美月、失礼な言い方は、やめなさい!」
「だって、お母さん・・・」
「前は支援が必要だったかも知れないですが、現状は支援できません、でも、これから変化するかも知れないので、その時に、また、考えましょうって言っているんです」
「私は、みんなと同じように学校へ行って、勉強したり話したり、部活を、もっと、もっとやりたい! でも、今、いっぱいいっぱいなんです、少しでも良くなるようにお願いします」
美月は民生委員に頭を下げたが、ちょっと怒ったように、
「私たち民生委員は、委嘱されてやっていますが、ボランてィアです、失礼します」
何かつぶやきながら行ってしまった。結局、行政も学校も、地域もヤングケアラーにとっては、心の支えにもなってもらえなかった。ただ、もっと大変な家庭があることが分かり、頑張ろうという気持ちは高まった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
釣りガールレッドブルマ(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
高校2年生の美咲は釣りが好きで、磯釣りでは、大会ユニホームのレーシングブルマをはいていく。ブルーブルマとホワイトブルマーと出会い、釣りを楽しんでいたある日、海の魔を狩る戦士になったのだ。海魔を人知れず退治していくが、弱点は自分の履いているブルマだった。レッドブルマを履いている時だけ、力を発揮出きるのだ!
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
未来からやってきた高校生の白鳥希望は、変身して美少女仮面エスポワールとなり、3人の子ども達と事件を解決していく。未来からきて現代感覚が分からない望みにいたずらっ子の3人組が絡んで、ややコミカルな一面をもった年齢指定のない作品です。
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
おねしょゆうれい
ケンタシノリ
児童書・童話
べんじょの中にいるゆうれいは、ぼうやをこわがらせておねしょをさせるのが大すきです。今日も、夜中にやってきたのは……。
※この作品で使用する漢字は、小学2年生までに習う漢字を使用しています。
ホスト科のお世話係になりました
西羽咲 花月
児童書・童話
中2の愛美は突如先生からお世話係を任命される
金魚かな? それともうさぎ?
だけど連れてこられた先にいたのは4人の男子生徒たちだった……!?
ホスト科のお世話係になりました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる