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②学校に市役所から連絡がきて、美月は相談室に呼ばれた。

「美月、市役所の支援課から連絡がきて知ったよ、どうして、学校の方を一番に相談してくれなかったんだ、先生方は悲しいよ」

「すみません、家庭のことだし、先生方は忙しいから話をするのが悪くて・・・」

 美月は、何をどうやって話したらいいのか困った。家事や病気のお母さんのこと、弟、妹、・・・・・。

「何か困っていることはないか」

 美月は、市の調査の人に話したことを先生にも話した。すると、調査に来た人と同じ結果になってしまった。

「そうか、美月、大変だったな、話を整理していこう」

「はい」

「お母さんは、美月たちを大切にしてくれているんだよな、虐待はないな」

「はい、とても思ってくれています」

「美月の欠席は、最初の2日間だけ、だから、やっていけるんだな」

「はい、努力してなんとかやっています」

「うむ、出来るなら、それでいいんだ、もう一度、教えてくれ、おかあさんはうつ病だけど、話もできるし、足が治ったら一緒に生活できるんだな」

「はい、でも、お母さんが心配だから薬や食事を部屋に持っていきます」

「それは、お母さんの問題ではなくて、美月の優しさだよな、だから、大丈夫だ」

「先生、それが毎日のように、他のこともしながらだから大変なんです」

「今まで出来たんだから、それくらい、これからもできるだろう」

「先生、時間が・・・・」

「大人になったら分かるけど、みんな時間に追われて生活しているんだ、今は、その練習だと思えばいいだろう、お金の話は家庭の問題だから、話し合えないけど、戸籍上とはいえ、お父さんがいるんだからお金をお母さんがもらっているさ、だから、美月は心配しないで、自分のできることをすればいいんだぞ、困ったことがあったら何でも先生に相談しなさい、じゃあ、もう、行っていいぞ」

「ありがとうございました」

 美月は、これからも絶対に先生には相談しないと決めた。相談できない、何も分かってくれないから!
困ったことがあったら何でも相談しろと言うかわりに、例えば、大変な時は遅刻してもいいんだぞって具体的に一つでも先生の方から言ってくれた方が気持ちが楽なのに。

 先生に相談しても解決の方向性は見いだせないから相談しない、時間を設定されたら、結局出来るなら頑張れしか言ってくれないのだ、美月は、自分が無理をしてでもやらなければ生活できないからやったことが、「出来ている」と思われてしまうのだ。やはり、欠席したり遅刻をしなければ大変だということにならないらしい。

「学校、休もうかな、でも、体操部を続けたい、夢を叶えたいな~」

 美月は、つぶやきながら教室に帰った。
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